2週間と200余年と。出会って変わったふたりの始まり。~ハロウィンダンションで

なかむ楽

文字の大きさ
上 下
11 / 22

11.だって、好きなんだもん①

しおりを挟む
 
   …✮…♱…✮…


 それなりの広さのフィールドに落ちている、青白く発光するクッキー缶を探すこと数時間。探そうとするとなかなか見つからないもので、広い森林でようやく1個見つけた。が、時計の針は正午を指す手前だった。午前中でも夜のままだから時間感覚が狂いっぱなしだ。
 昨晩、フィーリーが馴染みの情報屋に送った魔法の手紙の返事がやってきたのも、同じタイミングだった。
 問い合わせ通り、ジャック・オー・ランタン希少種は、青白く発光するクッキー缶でもオバケカボチャ柄の物に入っている。
 追伸で、ハートマークなら魅了を。クエスチョンマークなら幻惑を。絵柄に近い魔法を使ってくる。ナイトランタンのドロップ率は50%。かなり高確率だ。強さは中レベルであるもの、火の魔法なら高等魔法も使うから注意。可愛くてもアンデッドだから水と氷、闇魔法は通用しにくい。と書いてあった。
 さらに追伸で、情報料金はギルドに請求しておくとのこと。

「はなっから言っとけっての。追加料金せしめやがって。業突く張りらめが」

 フィーリーはイラつきに任せて、魔法の光でできた手紙をくしゃっと握りつぶす。今日も短気だ。

「2つに1つの割合を引いたんですね」

「悪運高そうだよね、堕天使って」

「時限爆弾の赤か青のコードを切らせたら、起爆するとでも?」

「うん」

「アッサリ怖いこと認めないでくださいよ! 人をなんだと思ってんですか」

「堕天使。大丈夫だぁいじょーぶ、死なないんだろ、あんた」

 グッ! と、親指を立てられても。魅了や幻惑ならまだしも、痛い系の罠だったら嫌だ。

「今日の夜中までに10個くらい見つけよ?」

「そんなにアイテムをドロップしてどうするんですか?」

「必要に応じて使う、もしくは売る。1個がわたしの有り金全部と同じ金額なんだぜ。1年と少しくらい遊んで暮らせるだろが」

 ひひひとご機嫌に笑ってフィーリーが先をゆく。その後をセムがぼちぼち歩いてついて行く。
 フィーリーの探知サーチ能力は実に優秀で、お求めの箱を夜の休憩までに5個見つけた。箱を開けるのは明日、31日の朝。

「それまで戦闘にそなえる」と、フィーリーは本日の拠点で食事を終えてさっさと横になり、寝てしまった。
 セムは寝ない。天使は基本的に欲がない。堕天使や悪魔は睡眠をとることもあるが、睡眠は食事、飲酒喫煙と同じで趣味・嗜好の範疇だ。でも、横になって人の──好きな人の寝起きを聞いていると……正直ムラムラしてきた。正直で素直な身体である。

(寝てる時にヤっちゃえばいいのでは? えっちの途中で落ちた時は気がつかなかったし)

 そろりと起きて、ぐっすり寝ているフィーリーを覗き込む。ごろんっと寝返りを打つと、マントがめくれて、大きなおっぱいがポロリしそうな黒いブラと腹が丸見えになった。膝を曲げると小さな小さなショーツのほぼ紐のクロッチから大事な場所がモロ見えである。

(………………)

 フィーリーの手がマントを探して、さっと被りながら横を向く。ガーターベルトについている悪魔のしっぽ。マントからむき出しの桃尻が半分見えている。

(…………お、ち、んちんが、むくむくむずむずする)

 興奮を覚えた身体がかぁっと熱くなる。でも、フィーリーは寝ている。眠姦するなら今がチャンスだ。体力だって治癒してしまえば、体力は戻って戦闘不能にはならない。
 だけど。激怒したフィーリーは、セムのことを嫌いになるかもしれない。ならば起こす? それこそ蹴り出される。フィーリーの寝起きは鬼のようの悪い。

(……目的のために……えっちしちゃだめだ)

 股間がむくむくむずむずするのに。どうしたらいいのかわからない。もじもじしてもどうにもならない。初めての感覚に戸惑うばかり。
 ころん。フィーリーがうつ伏せになると、ぷりりんとした魅惑的な尻が全部見える。尾てい骨の窪み、そこから上にスッと伸びている背筋が美しい。蜘蛛の巣柄のサイハイストッキングが食い込む太腿はむっちりとしていて美味しそう。舐めまわしたい、撫でくりまわしたい。青い豊かな髪からチラリと見える白い項。白い柔和な頬。キスしたい、いっぱいキスして匂いをつけたい。
 思わず、喉がゴクリと鳴る。絶賛むずむずしているおちんちんがトラウザーズを強く強く押して痛い。
 ちんポジが悪くて、カチコチのおちんちんをよいしょと直す──と、おちんちんから衝撃が走った。

(────ふぁ!? 気持ち、いい?)

 どういったことだ? フィーリーに触られしゃぶられておらず、自分が触っただけで気持ちいいとは? 排泄や風呂で幾度となく(天使時代は排泄もしない)ぷらりんちんを触ったが、こんな革命的で衝撃的な刺激はなかった。

(このまま触ってみたら……、どうなるんだ?)

 トラウザーズ越しではなく、寝ているフィーリーの前でぼろんとモロ出しにする。フル勃起したおちんちんの先っちょを恐る恐るちょんっとつつく。先っちょからぴりりっと小さな快感が腰に走った。

「!?!??!?」

 先っちょをちょんちょんと触るたび、ぴりりと快感が突き抜ける。愉しい。もっと触ったら? でも、どうやって?
 フィーリーはどうしていた? しゃぶる前や挿入いれる前、カチコチの肉棒を手で上下にぬちょぬこ扱いていた。

(腫れたおちんちんを自分で触るって、変な感じ?)

 だって、天使は勃起しない。堕天使になったばかりのセムは、朝立ちも未経験だった。連日連夜性行為をしているから、この2週間弱でも朝立ちしてなかった。性的な興奮を覚えるとおちんちんが勃起おっきするのだと、フィーリーが教えてくれた。が、男がいつ勃起してどうするのかを知らないのは、正しい知識を身につけてない無知がゆえ。
 このカチコチんちんを触っても握っても痛くないことはわかる。フィーリーがそうしたし、フィーリーの尻や腹で擦るとやたらめったら気持ちがいいし、ものすごーく興奮する。
 はたして、自分でおちんちんを擦ってそうなる? かもしれない? どうなの? やってみる? ちょっとだけやってみるか。そうしよう。そうしましょったら、そうしましょ。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

エリート課長の脳内は想像の斜め上をいっていた

ピロ子
恋愛
飲み会に参加した後、酔い潰れていた私を押し倒していたのは社内の女子社員が憧れるエリート課長でした。 普段は冷静沈着な課長の脳内は、私には斜め上過ぎて理解不能です。 ※課長の脳内は変態です。 なとみさん主催、「#足フェチ祭り」参加作品です。完結しました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

仮面夫婦のはずが執着溺愛されちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
仮面夫婦のはずが執着溺愛されちゃいました

Home, Sweet Home

茜色
恋愛
OL生活7年目の庄野鞠子(しょうのまりこ)は、5つ年上の上司、藤堂達矢(とうどうたつや)に密かにあこがれている。あるアクシデントのせいで自宅マンションに戻れなくなった藤堂のために、鞠子は自分が暮らす一軒家に藤堂を泊まらせ、そのまま期間限定で同居することを提案する。 亡き祖母から受け継いだ古い家での共同生活は、かつて封印したはずの恋心を密かに蘇らせることになり・・・。 ☆ 全19話です。オフィスラブと謳っていますが、オフィスのシーンは少なめです 。「ムーンライトノベルズ」様に投稿済のものを一部改稿しております。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...