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3章.嘘つきたちの思惑。

07.やつは無慈悲な夜の王

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 ☽・:*



 人権を無視するなと言ったのはわたしだ。
 だが、わたしはセキが寄越してくる快楽にてんで弱い。軽く肌を撫でられただけで、スカートの奥。タイツとショーツの中心はドロドロの愛液をしたたらせる。
 愛撫を気持ちよーく受け入れているあいだに、毛玉ができにくい愛用のタイツは破かれていて、ショーツは中途半端に引き下げられていた。
 くちゅくちっと、粘着質な音を立てて男の指が、すぼまった後ろの穴を指で押し始めた。ぞぞぞっと熱が腰に溜まり、ぶわり総毛立つ。

「あっ、ぁ……、く……ぃっ、や……。お尻はやだぁ」

 明日はみっちり授業を受けた後、バイトを入れてある。お尻の穴まで攻められたら、わたしの身体は1日役に立たない。
 ローション塗れのそこをセキは指で念入りにほぐしながら、ささやかに揺れる胸の先を絶妙な強さで甘噛みを続ける。

「気持ちいいんでしょ?」
「きもち、よくなるから、だめなんだって……ぇ、は、あ、ぁ──っ」

 ぐっぽり入っていた指を抜かれただけで、わたしは軽くイってしまった。

「お尻に挿入いれるよ」

 はぁぁ……と息を吐きながら、ゆっくり埋められる球体の異物感を身体中ゾクゾクとさせて、味わう。ぬちゅっとビーズが挿入はいるたび、排泄器官からぞわぞわとした感覚が背筋を駆け昇る。

「あ……ひぅぅっ」
「きゆのお尻、かわいい。こんなにも正直なドスケベに育ってよかったね」

 こんなのになる前はドスケベでも淫乱でもなかった! 言いたい文句は、次々に入ってくる球体のせいで飲み込んでしまう。
 入れられる時よりも抜かれる時の期待感が高くて、なにも入れてもらってない腟内なかが切ないし、蜜口もヒクヒク過剰に動いてしまう。

「あ、ふぅぅ……セキ……挿入れてぇ」

 しばらくぶりのお尻からの快感のせいで、早々に根を上げてしまった。

「だめ。こっちはこれを挿入れてあげるから」 

 ごんぶとバイブを見せつけられて、お腹の奥とお尻の奥がきゅぅんっと締まった。でも、無機質な玩具よりセキのがいい。

「お尻も上手に飲み込んだね。じゃあ、こっちにバイブ挿入るよ。上手に飲み込もうね?」

 冷たいものをあてがわれた刹那、身体がこわばる。期待して。こんなものでもいいんだって。だって、セキがくれるから。

「セキ、のが……あっあっ、や、うごかさ、ない……ぃいっ」

 ずっぽり咥えているアナルバイブがお腹をかき混ぜるようにぐいんぐいん動く。たまらなくて、首をそらして快感を受け流そうとする。でも、セキは容赦なくなかにごんぶとバイブを挿入ていく。

「あ、あ、あ、いっ、ぁ……──っ」

 薄い肉襞の壁を隔て、それらが無慈悲に動き、別々に振動する。根元まで埋められたバイブの付属品が、ちょうどいい具合にピンピンに勃った小さなソコにあたって、暴力的な快感を与えてくる。あたまが、おかしくなりそう。

「はい、きゆはこっち」

 ばかみたいに喘いでいるわたしの胸に跨ったセキは、ガチガチにそそり立った雄の肉を、小さめの胸に擦りつける。マーキングしてるみたいだと、ぼんやりと思う。

「ぷくぷくの乳首にあてられるのもいいんだね」
「……っ、もう、わか……ぁ、ないっ……ああ」
「俺は気持ちいいよ。きゆ、口を開けて。あーん」

 開けるなにも、喘ぎ声を出しっぱなしでヨダレまみれの口はゆるゆるだ。そこに、むっとする雄の……セキの男のフェロモンの塊を近づけられる。
 わたしは唾液をトロトロ分泌させながら、舌を伸ばして雄のまぁるい先をチロチロ舐める。顎から首に流れる自分の唾液がたらたらと首からシーツへ落ちていく。それも熱くなりすぎた身体は、快感に変えてしまう。

「おいしそうに舐めてくれるんだね」

 わたしをうっとりと見下ろすセキ。その手がなにを持っているのかも考えないで、大きく口を開けて鼻先を掠める雄の肉を追う。

「しゃぶりながら、うんと気持ちよくなって」

 下半身を痺れられせているバイブが激しくのたうつ。ゴリゴリといい所をふたつの穴に責められ、頭の中が真っ白になった。

「ア、……ん、む、……ふぅ、ん、あ゙……ぁ」

 口の中はセキの味でいっぱい。上顎をぐりっと擦り、じゅぼっと出ていく。決して喉奥をつかないように。喉の奥まで犯されてもいいんだけど。
 下半身を犯す玩具と口を犯すセキの匂いと熱で、わたしは満足に喘げずにはーはーヨダレ混じりで息をする。……でも、きもちいい。ああ。ばかになる。ばかになってる。こんなことされて気持ちいいんだもん。

「きゆ、えっちな顔。……は。もっと見せて」
「あ、……ぐっ。は、あ、い……いくぅっ! ……は、う、ぅ、いくっ! いくってる……っ。あ、ああ、しんじゃうっ」

 果たしてこれが人語としてセキの耳に届いたかは分からない。目をチカチカさせて、身体のあちこちをビクビクさせて、わたしは暴力的な快感とそのさらに上の気持ちよさに喘ぐばかり。
 あたまぱーぷーになる。でも、気持ちよすぎて。でも、顎が痛い。

「……ん、きゆ。は……ぁっ。俺も、出そう……」

 きれいなセキが切なそうに眉を寄せる姿が涙で滲んで見えない。気に入っている表情が見たかった。
 今は、それよりも、バイブのスイッチを止めてほしい! もう、おかしくなるっ!



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