上 下
48 / 71
10.ロゼッタと魔力の貸借

48.-4-

しおりを挟む



「そんな物足りない顔をするなよ、ロゼッタ」

「……もの、足りなくないです」

 カウチソファから降りたマシューを目が追いかけ、彼が膝をついた。
 え? と思うロゼッタをよそに、汗ばんだ太腿を持ち上げられて、慌てて秘所を隠そうと手を伸ばしたが、ソファに倒れ込んだせいで隠せなかった。

「や……! 見ないで、ください」

「つれないことを言うな、ロゼッタ」

 艶然としたアメジストの瞳に見つめられ、ロゼッタは顔を隠した。マシューに見つめられると困るのだ。

「そんなところ……」

 秘所がヒクヒク勝手にひくついて、潤みきっているのに新しく愛液をはしたなく滴らせてしまう。
 彼が太腿を肩に担いだから、足を閉じることもできない。
 ──堪えきれない。

「だめ、だめです」

 指の隙間から、秘所を見つめているマシューを見ると、その色っぽくたれた目と目が合った。
 彼は猛獣が狙いを定めたように目を細くして笑った。

「なにを……」

 彼が足の間に顔を埋める。まさか。

「やぁ……、あ!」

 熱くてぬるぬるとした舌が秘所を這う。指とは全然違う感触が背筋と腰をふるふる震わせた。

「想像したんだろ?」

「して、ない……、ですってば、ひあ、ああ……」

 第一、こんな破廉恥極まりないことは本に書かれてなかった。

「やめ……、おね、がい、ぃ……ぁ、くふぅ」

「そのお願いは叶えてあげられないな」

「はぁ……あぁ……、ふあ、ああ。とけちゃう……ぅ」

 舌をねっとりと這わされると茹だった全身が蕩けてしまいそうに力が抜けて、くらくらとしてしまう。かと思えば、じゅるじゅると音を立てて吸われ、ロゼッタはいやいやと首を振って人参色……夕焼け色の髪を振り乱す。

「ひ、うっ……ぅ」

 過敏になった女芯を尖った舌先でつんつんとつつかれて、びくんと腰が跳ねた。同時に未開通の蜜壺に硬い指を入れられ、足先にぎゅっと力が入る。

「二本にすると、キツいな」

 隘路はぎちぎちで、ロゼッタの意に反して指を締めつけてしまう。痛くはないが、異物感がある。
 マシューが女芯をぺろりと舐めて、ちゅうっと優しく吸いつく。指で扱かれるのとはまた違う快感がやって来て、ロゼッタを翻弄させる。
 蜜洞の異物感はなくなったかわりに、浅い部分を引っ掻かれて、蜜とともにマシューへの思いが溢れる。

「あ──ああ、すき、好きです。マシュー、さぁ……ん……んん」

 ロゼッタは彼の長い髪を掻き混ぜて、絶頂し続ける。

「────ひ、ああ」

 なにも考えられない。マシューがくれる快楽に身を委ねてひたすらあられもない声を上げ続ける。

「かわいいよ、俺のロゼッタ」

「…………──あああ──!」

 強く女芯を吸われ、蜜壺をぐりっと掻き回されて、大きすぎる絶頂の波にさらわれた。
 多幸感と恍惚が降り注ぐ。蜜壺の奥は切なくきゅんきゅんしている。マシューに処女を捧げるのだとロゼッタは期待した。
 しかし、マシューはロゼッタの乱れたガウンを直して、座り直すと息が整ってないロゼッタの髪を手ぐし丁寧に直した。

「マシュー……さん、はぁ……」

「今はまだ、これ以上はしない。俺のケジメだ」

「……はい」

 それに。と付け足した彼の目線の先は、強い輝きを発する魔術スティックだ。

「魔力が充分そうだな」

(こんなにも、強く……輝くんですね。安心しました)

 アメジストの光がマシューの横顔を照らしている。魔力を借りられたのだと、ロゼッタは安心した。
 ガウンを直してもらっても、火照りがなかなか引いていかない。彼は息を乱していないのに。

「マシューさん。手を、つないでてもいいですか?」

 ロゼッタは、まだじんと疼く下腹部に違和感を感じながらソファに深く座わる。マシューの肩に、まだ髪乱れが残る頭を預けて深呼吸を繰り返す。
 もちろん、マシューがどれだけ我慢しているか、ロゼッタは知る由もない。

「ああ、いいよ」

 いつもよりも色香が強いマシューの声が胸をきゅうっと締めつけ、落ち着こうとしているのを阻む。
 瞼を下ろして呼吸を整える。

(まだ、魔術の途中……なのが、すごく、すごーく、残念です。もっと……触って、愛してほしかったです。だけど、切り替えなきゃ。ロゼッタ・フリューズ。わたしは魔術師。大ウィスタリア王国一番の大魔術師・アルター・ボールドウィンが愛弟子。
 マシューさんにかっこいいところを見せるんです)

「……マシューさんにも過去視が見れるようしますから呼吸を合わせてください。……それからは、わたしが導くので、任せてください」

「頼りにしてるよ、魔術師ロゼッタ」

「はいっ」

 マシューとの呼吸が合ってきた頃、長い呪文を唱えながら、近頃よく馴染むマシューの体温と雰囲気に意識を集中させる。身体の芯がポカポカとあたたかくなって、優しいメロディを聞いたようになごんでいく。

(マシューさんと魔力を合わせる感覚……。美しいハーモニーが、広がっていくみたいです)

 薄目を開けると、書いた魔術式が微かな紫色に輝きながら浮かんで、ゆっくりと回り始めた。

(発動した……、よかった! あとは……)

 同じビジョンが見れように、強く願いながら意識を眉間に向ける。

「マシューさん。聞こえますか? ふたりでゆっくり身体の力を抜いていきましょう。まずは足先から……」

 全身の力を抜くように静かに誘導しながら、ロゼッタも力を抜いていく。隣の体温がゆっくりソファに身体を沈めたのを肩で感じ、ロゼッタもまた、静かに沈んでいった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~

一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、 快楽漬けの日々を過ごすことになる! そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

皇帝陛下は皇妃を可愛がる~俺の可愛いお嫁さん、今日もいっぱい乱れてね?~

一ノ瀬 彩音
恋愛
ある国の皇帝である主人公は、とある理由から妻となったヒロインに毎日のように夜伽を命じる。 だが、彼女は恥ずかしいのか、いつも顔を真っ赤にして拒むのだ。 そんなある日、彼女はついに自分から求めるようになるのだが……。 ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

天然王妃は国王陛下に溺愛される~甘く淫らに啼く様~

一ノ瀬 彩音
恋愛
クレイアは天然の王妃であった。 無邪気な笑顔で、その豊満過ぎる胸を押し付けてくるクレイアが可愛くて仕方がない国王。 そんな二人の間に二人の側室が邪魔をする! 果たして国王と王妃は結ばれることが出来るのか!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。

ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい えーー!! 転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!! ここって、もしかしたら??? 18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界 私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの??? カトリーヌって•••、あの、淫乱の••• マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!! 私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い•••• 異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず! だって[ラノベ]ではそれがお約束! 彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる! カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。 果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか? ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか? そして、彼氏の行方は••• 攻略対象別 オムニバスエロです。 完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。 (攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)   

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

冷徹御曹司と極上の一夜に溺れたら愛を孕みました

せいとも
恋愛
旧題:運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜 神楽坂グループ傘下『田崎ホールディングス』の創業50周年パーティーが開催された。 舞台で挨拶するのは、専務の田崎悠太だ。 専務の秘書で彼女の月島さくらは、会場で挨拶を聞いていた。 そこで、今の瞬間まで彼氏だと思っていた悠太の口から、別の女性との婚約が発表された。 さくらは、訳が分からずショックを受け会場を後にする。 その様子を見ていたのが、神楽坂グループの御曹司で、社長の怜だった。 海外出張から一時帰国して、パーティーに出席していたのだ。 会場から出たさくらを追いかけ、忘れさせてやると一夜の関係をもつ。 一生をさくらと共にしようと考えていた怜と、怜とは一夜の関係だと割り切り前に進むさくらとの、長い長いすれ違いが始まる。 再会の日は……。

慰み者の姫は新皇帝に溺愛される

苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。 皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。 ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。 早速、二人の初夜が始まった。

処理中です...