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7.ロゼッタと火災現場
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しおりを挟むツンととがった艶やかな薄ピンクの先を男らしい指がつまむ。ぞくんと腰に熱が駆けて、肩がぴくんと跳ねた。彼は熱っぽく、形を変える胸の尖りを見て──ぱくりと銜えた。
(え、えええ!????!?)
急な熱さに驚いたのは一瞬で、彼の舌で胸の先をくにくに転がされ、息がなぜか上がる。
(あられもない、声が……出そうに……っ)
太腿を撫で上げられて、懸命に結ぼうとした唇から甘えたため息が零れ出る。太腿と柔らかな腹筋は撫でられたところから熱くなって、身を焼くように悶えさせる。
どうしてか秘所がむずむずして、太腿を擦り合わせたくなった。
ちゅくちゅくと胸の先を吸われると、とくにむずむずと気持ちよさが湧きあがり、溜め息ともつかない小さな声があがる。
「ふ、あ、ぁ……。ま、マシューさん。は、恥ずか……いです」
「恥ずかしいのはこれからだと思うが?」
「しゃ、喋っちゃ、だめですって」
彼が喋ると銜えられた胸の先に歯が当たって、秘所がたまらなくむずむずするし、ゾクゾクが背筋を駆け下りる。それでいて、もっとしてほしい。もっとされたら、蕩けてしまいそうで、少し怖い。
「どうして?」
「いえ、ませ……あ」
カリッと軽く噛まれて、大きな声が出た口を押さえる。
わかってやられたと思っても、嫌ではない。もっと、とはしたなく思う。
「いい声だな」
ようやく胸から離れたマシューは、ロゼッタにキスをしながらシュミーズをすっかり脱がしてしまった。どうしてビスチェとストッキングを着てないのだろう? と、思ったが、彼の手がドロワーズに伸びたせいで考えが霧散する。
「そこ、は……だめですっ」
誰にも触られてことがない不浄は、ジンジンして触られたがっている。足に力を入れて彼の手の侵入を拒むが、柔らかな恥丘をふにふに押されて力が抜けてしまう。
「どうしてだめなんだ?」
「……そ、れは。ふ、不浄だらから、です」
「知識がありあまってるんじゃなかったのか?」
「でも……あっ、こんな……ふうになるなんて……ぇっ、ひゃ……あ、だめ」
秘所が濡れている。本には濡れると書いてあったが、まさかこんなにも体液が出てくるとは思いもよらない。
だめだと言っているのに、マシューの指を許してしまう。いや、その先を知りたい。
硬い指先が熱く蕩けた肉びらをかき分けて、出てくる体液をもっと溢れられるように軽く何度も引っかく。
「あ……、それ、……んんっ、変な……ああっ」
浅い場所は異物感よりも甘やかな痺れに支配されている。これまで得た快感とは違う快感がロゼッタを虜にしていく。
「気持ちいいだろう?」
「んぅ……、きもち、いい、です……あ、はぁっ。でも……その奥が、変なんです……ぅ」
「ここだな?」
ゆっくり入ってきたマシューの硬い指を処女の隘路が無意識で押し返してしまう。その奥をどうにかしてほしいのに。こんなことが長く続くのが逆に苦しくて泣いてしまいそうだ。
「たっぷり蜜を滴らせてる。いい子だ」
頬に、首筋にキスをされていると、濡れ襞をかき分ける異物感が薄らいでいく。ぴりぴりする秘所の一点、ひどく敏感になった女芯をツンと指でつつかれて、わっと身体中に快感が駆け回る。
「あ、ひゃうっ」
経験したことがない快感を与えられるたびに、ロゼッタは喘いで悶える。蜜壺を出入りする彼の指が奥の濡れ襞を掻くたび、鈍い快感を置いていく。それに、ピンと立った女芯をくちゅくちゅ擽られるのがたまらなく気持ちがいい。
「マシュー、さぁ、あんんんっ……あ、はぁ……、もう、やめてぇ……おかし、くな、ぁぁ」
ピリピリする身体のどこそこのどこかが、頭の中が、快感の濁流に呑まれてしまう。堰き止めている、なにかが、決壊してしまう。決壊するのが、怖い。なにも考えられなくなるのも、怖い。
「ロゼッタ。もっと感じろ」
キスをされると怖さが消えてしまい、ロゼッタは逆らうのをやめた。とたんに、堰き止めていた大きな快感に全身を呑まれた。
「あ、あうっ……もう、あ、ぁぁ────んんぅ、ふぁぁん」
弾ける。身体中。頭の中も。胸の奥も。
マシューが好きで好きでたまらないから、全部弾けてしまった。
「どうだ、絶頂感は?」
乱れたシーツの波間にくたりと身体を預けているロゼッタは、はーはーと整わない息を繰り返して、蕩けた頭の中であれが絶頂だとふわふわと思う。
果てしなく気持ちよかったが、腹の奥がまだ切ない。
「……き、もち…………ったです」
この後、マシューがまだ痺れるそこに男性器を入れるのだと、ぼんやりしながら火照った身体を起こす。足のあわいからとろりと蜜が垂れる。
マシューはシャツを脱ぎ、引き締まった身体でロゼッタを抱きしめた。
「あたたかい、です」
触れるところが温かくて、心地いい。ロゼッタは広い背中に手を回して、隆起する筋肉を触る。
(ごつごつしてます。……それに、絡んだ髪が、絹みたいに滑らか。……不思議です、マシューさんって)
「ロゼッタ」
「……ぁ、はい」
耳のそばで名前を呼ばれると心の奥がくすぐったい。
「まだ、無理をさせられない」
「むり?」
愛されることに無理はない。
「大切なんだ、ロゼッタ」
離れた彼の甘い顔は真剣だった。だから、ロゼッタもいつもの顔に戻りたいのに、身体の熱が引いていかなくて、うまく真剣な顔ができない。
マシューがベッドの脇のテーブルに手を伸ばして、小さなグラスを取ると、飲み干した。なんだか儀式めいていて、見逃すことができないでいると、キスをされた。
ロゼッタの口内にゆっくりと冷たくて甘い水が染み渡り、喉をおりていく。
(……性行の、おまじない?)
すっかり水を飲んでしまうと、マシューの舌がロゼッタの口内を優しく隅々まで舐める。
深いキスがふわふわとさせて、力を抜いてしまう。
ゆっくりと再びベッドに押し倒され、とくとくと心臓が鳴るのに、だけど、眠たくてしかたがない。
何度も何度も頭を撫でてくれる手が、優しく眠りへ誘うよう。
「軽い睡眠薬だ。もう少し休め」
「……ま、しゅ……さん」
重たい手を伸ばして抱きついたけれど、眠たくてわからない。
重たい瞼も上がらない。彼の体温と心臓の音、香りに包まれてまどろむ。
まだ、眠りたくないのに。
大好きなマシューを感じたいのに。
(夢の中で、会えます……よね……?)
「……おやすみ、ロゼッタ」
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