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3、八千代15歳、菊華21歳─春
15.春の乱─熱①
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ふたりが帰宅したマンションの自宅には、八千代の両親はいない。保護者同士の昼食会の幹事だからと、卒業式後そのまま料亭に出掛けたのだ。
菊華の両親はもちろん仕事で不在だ。
菊華は部屋に入るなりベッドに押し倒された。こんな強引なことを八千代にされるのは初めてで、菊華の胸のうちは期待と大きな不安が綯い交ぜだ。
「待って、お着物が……」
「脱いでハンガーにかけたら?」
菊華の上に跨って、その細く白い首筋を鼻先でなぞり続けているのは八千代だ。
「どいてくれなきゃ、できない、よ」
「うん」
耳元で八千代がそう言ったのに、退くどころか菊華の耳朶を甘く噛んだ。
「や……」
「完全に菊華が悪い」
なにが悪かったかなど、当の菊華はわかっていない。ただわかるのは、八千代が少年のまま自分を求めている事だ。それは悪い気はしない。
「ほんとに……帯で背中痛いの」
硬い西陣帯と帯枕が背中に当たって痛いのだ。
無言で八千代が菊華を抱き起こす。菊華はムッと膨れ面で「だから待って言ったの」と零した。
帯締め紐に手を掛けた八千代は「ごめん」と菊華に軽くキスをする。悪びれない言い方に吹き出した菊華は、帯揚げを緩めながら八千代にキスを返す。
二人でキスをしながら帯を外し終え、八千代が、
「次の機会もあるしいいか」
そう呟いたのを、菊華は聞き逃さなかった。
「やっくん、オジサンみたいだよ、今のは」
和服の破壊力を知らない菊華は、色気なくケラケラ笑う。
無事に訪問着をハンガーに掛けた菊華の背後を、八千代が抱きすくめた。長襦袢も着物用の下着も脱いで汗を流したあとが良かった菊華は、眉を下げて笑う。
「シャワーしてから、ね?」
いつもなら軽く汗を流してからだ。とは言っても、最後までしない、いつもだ。今日は違うかもしれない。
「うん」
「和服の下着……可愛くないし。ね?」
補正下着も和装下着も見られたくない部類だ。それに、その時用の可愛い下着はタンスの中にしまってある。
「うん」
菊華の首筋を下へと八千代の唇が動く。長襦袢の緩い胸元を節ばった指がスルスルなぞる。動きを止めるために重ねた菊華の手は、意味なく添えられているだけだ。
「ね? ……だから」
何度も菊華の首や肩、胸元に、甘やかな感覚を植え付ける少年の指が素肌を触れる。それだけなのに、菊華の身体が期待して熱を拾おうとする。補正下着で押さえつけてある胸の先がムズムズしてしかたない。
頬にキスをされて菊華は八千代を振り返る。「待って」と言ったのは菊華なのに、シャープな八千代の顎を触り首筋をなぞる。目を細めた男の子がドキドキするほど色っぽい。
キスをするぐらい顔を寄せ合うと、今日は一段とエロティックに見える八千代唇が動く。
「菊華、舌出して」
素直に従うと、八千代は尖らせた舌先で菊華の小さな舌をつついてチロチロ舐める。それを同じように返しすと、次第に舌が八千代に呑み込まれた。
八千代の咥内で、菊華の舌は吸われたり扱かれる。解放されたと思えば、今度は八千代が菊華の口の中いっぱいに舌を差し込んで、掻き混ぜ乱す。
経験のない六歳も年下の八千代に、こんな淫らなキスは愛撫なのだと、二十一歳の菊華は教えられた。
丁寧に咥内を擽られると立っていられなくなるし、吐息をキスの隙間から零してしまう。体温が上がった視界が滲んでくる。
「は、ぁ……。やっく、んぅ」
八千代にしがみついた菊華は、ゆっくりとベッドへ誘導されてシーツの波間に横たわった。
ずっと菊華の胸はドキドキしっぱなしだ。菊華の着物姿のせいか、八千代が卒業式で気が昂っているせいかわからないが、八千代がいつもと様子が違う。それが菊華の胸の高鳴りを止ませない。
長襦袢の前合わせを開いた八千代が、肌襦袢と補正下着の上から鼻をすりすりしている。
「胸、潰してるんだ」
「うん。着物をキレイに着るためだよ」
「今は着物姿の菊華も好きだよ。姿勢が綺麗でさ」
「今は……? 昔は嫌いだったの?」
急に八千代が、白い胸元の肌に吸い付いた。鎖骨下のピリッとした感覚に、菊華の腰がピクリと反応してしまった。
「んっ、そこ、服着る時に困るよ」
「揚げ足取るからだ」
和装用ブラジャーのファスナーを一気に下ろされ、開放感があるのにと恥ずかしさで息がしにくい。
こういう関係になっても見られるのはまだ慣れなくて、手で隠そうとしてしまう。その菊華の手の下から、八千代の手が伸びて2二つの柔らかさを指でやわやわと触り始めた。
「だって、やっくん……」
甘くなってきた息を吐くと、八千代の形良い鼻先が菊華の丸がちな鼻先を下から押し上げた。上がった菊華の顎に唇が落とされて、そのままツウと八千代の舌が首筋をなぞり下る。
菊華の両親はもちろん仕事で不在だ。
菊華は部屋に入るなりベッドに押し倒された。こんな強引なことを八千代にされるのは初めてで、菊華の胸のうちは期待と大きな不安が綯い交ぜだ。
「待って、お着物が……」
「脱いでハンガーにかけたら?」
菊華の上に跨って、その細く白い首筋を鼻先でなぞり続けているのは八千代だ。
「どいてくれなきゃ、できない、よ」
「うん」
耳元で八千代がそう言ったのに、退くどころか菊華の耳朶を甘く噛んだ。
「や……」
「完全に菊華が悪い」
なにが悪かったかなど、当の菊華はわかっていない。ただわかるのは、八千代が少年のまま自分を求めている事だ。それは悪い気はしない。
「ほんとに……帯で背中痛いの」
硬い西陣帯と帯枕が背中に当たって痛いのだ。
無言で八千代が菊華を抱き起こす。菊華はムッと膨れ面で「だから待って言ったの」と零した。
帯締め紐に手を掛けた八千代は「ごめん」と菊華に軽くキスをする。悪びれない言い方に吹き出した菊華は、帯揚げを緩めながら八千代にキスを返す。
二人でキスをしながら帯を外し終え、八千代が、
「次の機会もあるしいいか」
そう呟いたのを、菊華は聞き逃さなかった。
「やっくん、オジサンみたいだよ、今のは」
和服の破壊力を知らない菊華は、色気なくケラケラ笑う。
無事に訪問着をハンガーに掛けた菊華の背後を、八千代が抱きすくめた。長襦袢も着物用の下着も脱いで汗を流したあとが良かった菊華は、眉を下げて笑う。
「シャワーしてから、ね?」
いつもなら軽く汗を流してからだ。とは言っても、最後までしない、いつもだ。今日は違うかもしれない。
「うん」
「和服の下着……可愛くないし。ね?」
補正下着も和装下着も見られたくない部類だ。それに、その時用の可愛い下着はタンスの中にしまってある。
「うん」
菊華の首筋を下へと八千代の唇が動く。長襦袢の緩い胸元を節ばった指がスルスルなぞる。動きを止めるために重ねた菊華の手は、意味なく添えられているだけだ。
「ね? ……だから」
何度も菊華の首や肩、胸元に、甘やかな感覚を植え付ける少年の指が素肌を触れる。それだけなのに、菊華の身体が期待して熱を拾おうとする。補正下着で押さえつけてある胸の先がムズムズしてしかたない。
頬にキスをされて菊華は八千代を振り返る。「待って」と言ったのは菊華なのに、シャープな八千代の顎を触り首筋をなぞる。目を細めた男の子がドキドキするほど色っぽい。
キスをするぐらい顔を寄せ合うと、今日は一段とエロティックに見える八千代唇が動く。
「菊華、舌出して」
素直に従うと、八千代は尖らせた舌先で菊華の小さな舌をつついてチロチロ舐める。それを同じように返しすと、次第に舌が八千代に呑み込まれた。
八千代の咥内で、菊華の舌は吸われたり扱かれる。解放されたと思えば、今度は八千代が菊華の口の中いっぱいに舌を差し込んで、掻き混ぜ乱す。
経験のない六歳も年下の八千代に、こんな淫らなキスは愛撫なのだと、二十一歳の菊華は教えられた。
丁寧に咥内を擽られると立っていられなくなるし、吐息をキスの隙間から零してしまう。体温が上がった視界が滲んでくる。
「は、ぁ……。やっく、んぅ」
八千代にしがみついた菊華は、ゆっくりとベッドへ誘導されてシーツの波間に横たわった。
ずっと菊華の胸はドキドキしっぱなしだ。菊華の着物姿のせいか、八千代が卒業式で気が昂っているせいかわからないが、八千代がいつもと様子が違う。それが菊華の胸の高鳴りを止ませない。
長襦袢の前合わせを開いた八千代が、肌襦袢と補正下着の上から鼻をすりすりしている。
「胸、潰してるんだ」
「うん。着物をキレイに着るためだよ」
「今は着物姿の菊華も好きだよ。姿勢が綺麗でさ」
「今は……? 昔は嫌いだったの?」
急に八千代が、白い胸元の肌に吸い付いた。鎖骨下のピリッとした感覚に、菊華の腰がピクリと反応してしまった。
「んっ、そこ、服着る時に困るよ」
「揚げ足取るからだ」
和装用ブラジャーのファスナーを一気に下ろされ、開放感があるのにと恥ずかしさで息がしにくい。
こういう関係になっても見られるのはまだ慣れなくて、手で隠そうとしてしまう。その菊華の手の下から、八千代の手が伸びて2二つの柔らかさを指でやわやわと触り始めた。
「だって、やっくん……」
甘くなってきた息を吐くと、八千代の形良い鼻先が菊華の丸がちな鼻先を下から押し上げた。上がった菊華の顎に唇が落とされて、そのままツウと八千代の舌が首筋をなぞり下る。
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