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05.公私の区別
❦・08-36・❦ 〈続〉
しおりを挟む千綾は身体をガクガクさせ、棚にもたれて深イキを繰り返す。
膝が折れそうで、片方のパンプスが脱げかけているのもわかっていない。
(い……っっくぅぅ♡♡ えっちな体位で、誰かいるのに、イっちゃぅぅ────♡♡♡)
超強力な媚薬は恐ろしい。嫌なのに。卑猥な体位で犯されているのに。人がいるのに。でも、感じまくってしまう。
抵抗しようにも、超強力媚薬に染まった身体はなすがままだ。
ぐっぽぐっぽ。抽挿を続けられ、恥ずかしいのと気持ちいいので、千綾の意識があやふやになる。
(あ~~──ッ♡ だめぇ♡ もぉ、だめぇ♡ イきすぎて、こわれ、ぅぅ♡♡ ばかに、なっちゃぅ……♡♡ うぇいん♡ うぇいんんんん♡♡)
理性のタガが外れそうだ。踏みとどまれているのが奇跡である。
けれど、ばちゅぱちゅ尻を叩くように激しく穿たれ、それももう限界だった。
涙で滲んでいる景色──資料室だか倉庫だかが消えてしまい、元のゴージャスな特別役員室に戻った。
え? と思う間もなく、立ちバックのまま力強く突き上げられる。
「あ、ぁあ、あ────♡♡」
「ここなら声が聞けるね」
ガクガクの片膝の裏をウェインの腕に担がれる。と、挿入の深さと角度が変わる。
「いくっ。うぇいんっ、いくぅ♡♡」
「いいよ。俺も射精していい?」
「ん♡ いっぱい、ちょうだい……──は、ぁ♡♡」
千綾は腰を限界まで捻り、ウェインの首に腕を回す。意を汲んだ彼は長身を屈めて、キスをしてくれる。
「は♡ うぇいんっ♡ うぇいんん♡♡」
安堵とともに全身に巡る快感。たまらない気持ちよさと体温。
「ん。千綾っ、……っ、はぁっ」
びゅるるる、びゅーびゅー精液を噴き出しながら腟内でビクビク動いている。その精液を搾り取るように膣襞がいやらしく蠕動する。
荒い息のままふたりは、立ったまま抱き合っていた。千綾は恍惚のなかである。
「ねぇ、ちい。どうする? 抜かずにもう一回してもいい?」
「はい?」
「あんなに大興奮してるちい見たの初めてだから。なんかいいなーって。これからは雰囲気だけじゃなくてシチュエーションにもこだわるようにするね」
「……っていうか、ここは?」
「だから、投影の魔術だって初め説明したよ。千綾のドスケベな痴態を誰かに見せるわけないでしょ。声の主は俺の使い魔。人間は強い暗示がかかると幻の火に触ってヤケドする不思議な種族だよ」
「え? えー!!」
「そんな勘違いしちゃう千綾もかわいいっ!」
ウェインはソファに座りながら、上に座る千綾の頬にキスを繰り返す。
「もうっ! ウェインっ!」
コツコツと腟内でノックされる。と、超強力な媚薬のせいで、もう発情してしまう。しかも、淫魔の精液のおかげで膣の痛みもなければ、体力も回復している。
「……向き合って、するなら……、許してあげる」
恨むような睨んでもトロ顔では説得力もなく、ウェインは嬉しそうに微笑む。
「許してほしいな」
その上に千綾が座っている。大好きな対面座位で、奥の奥まで大好きなウェインの熱を安心して、淫らに感じる。
「もぉ、げん……かぁい……♡」
ゆっさゆさ揺らされ、髪を乱し千綾は弱音を吐く。
「ん……俺は、まだ、大丈夫だよ。次、イったら、つながったまま休憩しようね」
二度も精液を放ったウェインは余裕しゃくしゃくだ。淫魔の彼氏を持つと、いろんな面で大変である。
「ん……」
特濃精液を経口摂取し、超強力な媚薬にあてられてしまったがゆえ、神聖なるオフィスで何度も何度も絶頂したのに、休憩を少し取ると身体が疼いて発情してしまう。
どすけべ、ド淫乱、えっち大好き雌に堕ちてしまった。いつものことだが。
で、目を覚ますと、横向きで抱きかかえられシャワーを浴びていた。
「落ちるのを待って移動したんだよ。生きた人間が転移魔術で移動するとひどい酔いがあるみたいだから」
気遣いなのか? 気絶するまでしなくても、着替えを持ってきてくれたんだから、落ち着いたら一旦着替えて帰宅すればよかったのでは? でも、何度も何度も発情していたから、事後の顔を他人に見られたくない。
(何度も何度も発情って……。いやいや、わたし、人間から離れてってない?)
ウェインに体液まみれの身体を洗ってもらっているさなかに、興奮しつつあった。淫紋の下がずくずく疼く。超特濃淫魔精液、恐ろしい。
「ちい、足広げようね。精液掻き出してあげる。んで、また注いであげる」
「もぉ、大丈夫だからっ」
「遠慮しないで。ちいが発情してるの、淫紋でわかってるからね」
(心を読んで~! 気持ちを汲んで~っ!)
セックスばかりに明け暮れたくない。語らい合って、イチャイチャして。デートして。
(でも、するのはウェインの食事で……。しないってことは、ご飯をあげないのと同じで……。うう、悩む……。それに……したい……)
超強力な媚薬がおさまらなくて、翌日の夜まで長引いたため、仕事を休んでしまった。
が、ウェインの魔術で、使い魔が千綾の代わりに仕事をしていた、ということになっている。フェデリコがリモートワーク週でよかった。よくないけど。
「おはようございます、千綾マネ」
「津田さん、おはようございます。変わったことはなかった?」
「え、ええ。普通ですよ」
部下の津田と話していると川内がちょこちょこ歩いてやって来る。
「昨日、英国本社の超VIPが来たみたいですよ。受付と秘書課の子がすっっごく騒いでたみたいです。金髪青眼でハリウッドスターよりもかっこよかったとか~っ。超富豪でハリウッドスターですよっ」
「おはようございます、川内さん。川内さん、フェデリコさん狙いだったんじゃないんですか?」
聞けば、川内はカラカラ笑う。
「いやぁ、彼氏いますし。なんていうか、観賞用と実用とは別というか。アイドルと彼氏は別、みたいな? 私の彼氏、ちょーへーぼんなんですよ」
「あー、そういう。……昨日、用事があるからって定時で帰りましたよね? デートだったんですか?」
「川内ちゃん。うちら女子じゃなかったらセクハラだよ? ずけずけとプライベートに踏み込むのって外資っぽくないよ」
「IT企業みたいなキラキラ映え部署じゃないから大丈夫ですって。たまにはウェットに付き合いましょうよ。フェデリコDの叱責も今週はないら気軽ですし」
「あ~。やっぱり圧かかってたよね。顔がいいだけに怖いもん」
(やっぱりみんなストレスに思ってたんだ……。大人だよね、みんな……)
思っていると、川内に手を握られた。
「で、デートはどちらへ?」
「川内ちゃんっ。まあ、私も気になりますけど? ほら、安城マネ、お手製お弁当だから一緒に社食に行かないじゃないですか」
「津田さんまで……。お家デートです。お弁当は彼氏のお手製なんですよ」
「へぇ」
ふたりの雰囲気が変わってしまった。興味と憐れみ。これは……。
「ヒモじゃないからっ。フリーランスなの。だいたい、わたしのお給料じゃ、養えません」
「でも、彼氏さんとラブッてイチャッなんですよね? いーなぁ。うちはマンネリですよ」
「朝からする話じゃないから。さ、お仕事しましょう」
「じゃ、金曜日。私と津田ちゃんと安城マネで女子会しましょう! ディープな話、待ってますよぉ」
津田と川内キャッキャしているところを、くるりと踵を返した千綾は自分のデスクに座る。
ふと、目に入った付箋に不思議な文字が書いてあった。見知らぬ文字なのに、千綾には読めた。
『きのうは おたのしみ でしたね』
千綾に化けた使い魔が書いたのだろう。付箋をくしゃくしゃに丸めて、バッグに入れる。
(アラサー社会人として、昨日のはない。絶対だめ。もう二度と超強力な媚薬は飲まないんだからっ!)
と、誓う千綾だった。が、オフィスセックスというシチュエーションと背徳感は忘がたい。
・・・✦・✧︎・✦・・・
〈続〉
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