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04.粘土の板から機械の板へ
♤・06-28・♤ 〈続〉
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「……っていう話」
長々と話さなかったが、淫紋を通してイメージが流れているだろう。現代的な鮮明な動画ではなく、抽象的で幻想的な古いフィルムの映画のようなもので。いや、もしかすると、配信動画のように解説されているかもしれないし、MADのようにまとめられているかもしれない。
「もぉ、だめ……」
「やっぱり?」
千綾の耳のそばでその鼓膜をくすぐり、ときおり耳朶を唇で食み、甘く噛み、牙を優しく突き立てていた。
服の上から淫紋を触っていたが、くすぐったがった千綾が身をよじらせたため、服がめくれて肌があらわになっている。パンツのボタンとファスナーをおろして、直接淫紋に手を当てていただけで、千綾は発情していた。
脳イキを覚えさせたから、そう差し向けたのだけれど。
「昨日えっちしたばっかりだし、今はまだこのままでいいよね?」
「えっ? うそぉ」
「残念そうに言ってもらえるのはすごーく嬉しいけど。たまには、ちいに全身マッサージしてあげようか」
「凝ってないよ。……ウェインとするようになって……ひどかった肩こりも腰痛も、なくなったの」
それも知っている。淫魔の体液による治癒効果だ。肌の代謝も促すため、千綾は美肌になる一方。
(俺はグルメで大食らいだからね)
「キス、していい?」
ころりと寝返りを打った千綾が言う。が、ウェインは首を傾げた。
「今日はお出かけしようか。指輪のサイズも知りたいし」
触っただけで、指のサイズからバストウエストヒップどころか体重まで知っているのだが。
「えっ、指輪!? いいの?」
発情したままの千綾は嬉しそうに柔らかく、ふにゃっと笑う。幸せそうな笑顔だ。
「で、千綾が大好きなコトはそのあと。ラブホ行っちゃう? 行ったことがないんだよね。隠しカメラとかあるのかな」
「やだよ、そんなラブホ」
戯れるようなキスを続けて、千綾を本格的に発情させたが、精気搾取はしなかった。そのかわり、性行為をした。愛情の確認、その人がここに或る存在確認。
体温と体液のまじわり。
丁寧な愛撫をし合い、側臥位で挿入し、ゆっくりじっくり千綾を愛でる。
(ああ。あったかい。千綾を、感じる。執着なんて陳腐な言葉や拙い想いじゃない)
淫魔に愛だの恋だの必要ない。千綾だから。
彼女は食事でもあるけれど、世界にたったひとりの唯一。
「もっと、言葉で気持ちを伝えてほしいな」
「ん、ん。つたえてるよ……、ふ、ぅ」
もどかしいのか、千綾が腰を動かしながら、キスをしてくる。出会ったばかりのころに比べて、大胆にもなってくれたし、ウェインの無理難題にも付き合ってくれる。
「毎日、好き・愛してるって言ってくれないの? ダーリン?」
「そういう、のは、むり」
お国柄や性格もあるだろう。スマホのメッセージでは言ってくれるのに、千綾はあまり口にしないし、外出のときもべたべたしない。日本人同士も若者の恋人同士はべたべたしているくせに、ある程度の年齢や子供連れ夫婦はボディーランゲージが少ないようだ。
(アダルトグッズやエロ動画・エロ本は素晴らしく多いのに。ちいもセックスは受け身なんだよね)
痴態を見られて恥じらう千綾は最高なので、恥じらいはあってもいいな。と、答えが出たところで、ウェインは体位を変えて、千綾を上に乗せた。
「あ……」
昼閒の陽射しが互いの火照った身体を照らしている。淫紋がピンクに発色してるのも彼女に見えるだろう。それに、まだナカイキの足りていない千綾はシラフに近いため、胸元まで染めて恥じらっている。大ぶりの乳房を隠さぬように、さっと手を繋いだ。
「ね、千綾。愛し合おうよ」
極星が位置を変える歴史以前のなか、たったひとりで生きてきた。千綾がいなかったから。
ひとりに戻るのは苦痛はない。千綾と離れたくないし、離れられたくない。
知恵の実を食べて楽園を追放された物語があった。
実は、知恵ではなく、愛だったのではないか? 恋愛感情や愛憎は、太古の神々と人間しか持っていない。動物が子を思い守るのは生存本能であり、愛憎ではない。
「んっ。はぁ……、ウェイン、……っいい?」
乳房を大きく揺らしならが、榛色を瞳を潤ませ、千綾がたずねる。
彼女はウェインのかたちを覚えているのに、根元まで銜え込もうとしない。ポルチオに当たるのを恐れているのか、正気を保とうとするのか。
(がんばるちいには悪いんだけど。生殺しなんだよね。こんなに善いちいの膣内で、いたずらされてる感じ。ちいももっと感じたいんだろうな)
「いいよ。とくに視界が最高。ふふ。でも。ちい。ちいはどうなのかな?」
「ん?」
「まだまだ余裕あるよね? 突き上げて荒馬に乗ってるみたいになりたい?」
「そ、れは」
「自分で奥をぐりんぐりんずちゅずちゅ、できない?」
千綾は頷いて、まぶたを伏せた。ぽろり。零れた涙の淫らな理由。
「告白してほしいな」
「……ウェイン。好き。あ、愛してる、の。だから、愛して」
真実の愛。最初で最後の恋。
とんでもない中毒性のある猛毒。その解毒方法は、この世に存在しない。
解毒される恋愛は、真実ではない。
「愛してるよ、千綾」
果ても、終わりもない想い。快楽というかたちに変換されない愛を、いついかなるときでも、唯一の愛しい人に伝えたい。
・・・✦・✧︎・✦・・・
〈続〉
3
☽・:*
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