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03.あんしんモードでまったりと

 ❦・05-21・❦ 

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 そんな千綾をウェインが抱きしめてくれた。優しく包み込まれ、安心感がまた涙を溢れさせる。
  
「ばかだな、ちいは。また、ひとり合点して。不動産屋で話、聞いてなかったの?」
  
 千綾はただ頷く。
  
「ふたりで暮らせる新居。ここもちいの匂いがして安心できる場所だけど、安全じゃない。それに、港区のがここより銀座に近くなんだよね? 仮契約するときに話してたんだけどな。不動産屋でちいに相談もしてたでしょ」
  
「だって、わたし……ウェインのこと、なにも知らなくて……。名字とか、出身地とか……」
  
「あれ? 言ってなかった?」
  
「知らないよ。セルヴァンスって名字なの?」
  
「そうだよ。今のところは、ウェイン・セルヴァンスって名乗ってる。地位は伯爵」
  
 伯爵。それはなんだった?
 ふわふわのドレスを着たヒロインとなんかかっこいい服とマントを着たヒーローのファンタジックなマンガが頭に浮かび、涙が止まった。
  
「はく、しゃく?」
  
 すんすん。鼻をすする千綾の頬をウェインの手が包み、涙をそっと拭ってくれる。
  
「ここ数百年は」
  
「魔界? とかで暮らしてるんじゃないの?」
  
「そういうやつもいるよ。魔界からこっちに来るのに魔力すっごく使うから、俺はいやなんだ。魔界にいれば魔王の配下になるし」
  
 そういえば、フリーランスの淫魔だとか前に聞いていた。
  
「で、俺みたいにこっちの世界で暮らすやつは変わり者って言われてるね。でも、召喚ナシの淫魔もいるよ。そういう奴らは魔狩りの対象になりやすい。実力もないから魔界に逃げ込むか、灰になるか、だね。俺みたいに召喚者と契約するタイプは人間に溶け込んでるからわかりにくいんだ」
  
「でも、わたしはウェインと契約をした記憶ないんだけど」
  
「一応、召喚された日に口約束で契約たし、淫紋刻んだでしょ。それに、今は恋人だから契約はいらないよね。ちいとは結婚するときに契約したいな」
  
「け……っ、こん?」
  
「あ」
  
 ウェインの目の下が赤くなる。それを誤魔化すように、彼は千綾の額に額を当てた。サラサラな髪が当たるのに意識してしまう。
  
「つい。こんなタイミングで打ち明けるつもりはなかったんだ。……今度、やり直しさせてよ」
  
 かあっと千綾の頬が染まり、胸が高鳴る。そして、お腹とお尻の淫紋がずくんと疼いた。
  
「淫魔は基本的に同族でセックスはできるけど、子孫は増えない。例外もあるし、手段はあるけど、そんなこと真っ当な淫魔はしない。増やしたいときに人間に産ませるんだ。そんなの勝手だよね。俺は、そんな可哀想な子供は必要ないと思ってるんだ。俺以外の淫魔が増えれば種の絶滅はないしさ」
  
 それも勝手な都合か。と彼は、らしくもなく照れながら付け足した。
  
「なんていうのかな。子供が欲しいから結婚したいわけじゃないんだ。ちいを独占したいし、独占されたいから、結婚したいんだよ。愛なんて見えない不確かな縛りじゃなくて、結婚っていう確かな縛りがいいんだ。俺たち淫魔にとって、契約っていうのは、ものすごく重たいもので、魂を縛るものなんだよ」
  
 ストレートすぎる愛の告白が胸を打つ。嬉しくて嬉しくてたまらない。
  
「今すぐ答えないでね。然るべきとき、然るべき場所でプロポーズしたいから。考えてくれたら嬉しいな」
  
「うんっ」
  
 千綾はこれまでのネガティブさを吹き飛ばす笑顔でウェインの首に腕を回して抱き返した。
 が、はたと思う。
  
「人間と淫魔って結婚できるの? 伯爵ってなに? ウェインはいつから生きてるの?」
  
 質問をしたのに、彼の手は千綾のスカートの上からお尻をやわやわと揉んでいる。
  
「……こっちの小さい淫紋、すごいね」
  
「あ、やんっ。質問に、答えて」
  
「ん。ちいの反応触ったら、勃っちゃった」
  
 お腹にぐりっと大きなモノを当てられて、千綾のお腹の淫紋がずくんずくん反応して、響いたそこから愛蜜を滴らせる。
  
「ヤバいよね。淫魔の俺が、先にこうなるなんてさ。ちい、すごいよ。ねぇ、見せて? 見たいな、かわいいお尻のキュートな淫紋」
  
「……え、それは……」
  
 強引にくるりと壁を向かされた千綾は、戸惑う。ウェインが強引だ。ドキドキするし、前後の淫紋が疼いて、秘所がひくんひくんと反応してしまう。
 でも、恥ずかしい。ここは玄関だ。
 首を捻り少し振り向くと、ウェインがしゃがむのが見えてしまった。
  
「スカート、めくってよ」
  
 ウェインがスカートをめくってショーツをおろせばいいのに。
  
(えっち! すけべ! へんたいっ! すけべ淫魔っ!)
  
 うらめしく思いつつも千綾は、そろりと手を動かして、スカートをおずおずとたくし上げる。今日に限って、細やかなプリーツのロングスカート。ミニスカートかパンツスタイルだったら、たくし上げる恥ずかしさが少なかったかもしれない。
 たくし上げてお尻が見えるように、スカートを前に抱える。彼にはガーターストッキングとの揃いのベルトとTバックショーツが見えているはずだ。
  
「小さなショーツも下ろして」
  
(……うう。恥ずかしいのに、逆らえない……。ウェインからのおねだりって少ないもの……)
  
 惚れた弱みだ。
 羞恥で震える指で、ラベンダー色のガーターベルトのひらふわレースをめくり、幅が広めのTバックショーツの脇レースに指をかける。
  
(見てる……ウェインが……)
  
 うずうずするのは淫紋だけじゃない。脳イキを知ってしまった千綾は、想像と期待を大きく膨らませてしまい、ひくつくところから愛蜜をたらたらと大量に太腿まで滴らせる。
 スルリとショーツを下げる。恥ずかしさで身が焼けそうになっている。好きな人の前でお尻を突き出しているのだ。堪えきれない恥ずかしさが、千綾を確かに高揚させる。

(着衣で、スカートめくって、ショーツ下げてる……。ヒールのまま、玄関で)
  
「……すごい。昨日もしたのに……緑色に輝いてる」
  
 つんと、彼の指が尾てい骨の小さな淫紋を触った。
  
「あっ!」
  
 思わず声が出てしまったくらい、快感が脊髄をビリビリ駆け抜け、脳を痺れさせた。
 お尻の淫紋は、お腹に刻まれた〈これぞ淫紋〉というデザインに比べればシンプルなハートマークだ。お尻の谷間の頂点(?)だと主張する感じは否めない。
  
「だめだよ、ちい。玄関のドアは薄いんだから。声はがまんしようね」
  
 つんつんとお尻の小さな淫紋を突かれるだけで、ビクビクしてしまい、脱いでいないヒールが玄関のコンクリートをカツカツ鳴らす。それに、壁に手をつけていなければ倒れてしまいそうなくらい、腰と膝がカクカクいやらしく反応する。しかも声をがまんするのは至難だ。
 ウェインがショーツを太腿まで下ろした。
  
「えっちな蜜が糸引いてるよ。そんなにきもちいーの?」
  
「う……んん」
  
 だから、玄関じゃなくて寝室でしたい。
  
「ふぁ、ぁ、きた、ない、から……やめ、て」
  
 ウェインが後ろの淫紋にキスをしながら、お腹の淫紋を撫でる。その手つきはいつもより性急で、千綾をぎゅんぎゅんときめかせる。
  
「ん……、……ぁ。なめ、ちゃ……」
  
 小さな淫紋を口先で啄ままれ、チロチロと舌先でくすぐられる。そんなところに鋭敏な性感帯はないはずなのに、クリトリスを舐められているみたいだ。お腹の奥がずくずく疼いてたまらない。
  
「千綾の匂いが強くなってる。魂とココからすごく香るよ」
  
 喜色ある声が千綾の気分を浮かせ、興奮を高める。
 彼の舌は小さな淫紋をレロレロ執拗に舐め、不埒な手がぎゅっと太腿の柔肉を掴んで、拡げる。愛蜜がつとつとと太腿を垂れていくのが千綾自身でもわかってしまい、恥ずかしさに拍車がかかる。
 お尻を突き出すよう手に促された。きっと、全部丸見えになっている。執拗に尾てい骨の淫紋を舐めていた彼の舌は、ぬるりとお尻の谷間を舐めて、秘所へ向かう。
  
「やだやだっ! 汚いっ!」
  
「ちいに汚いところなんかないよ。ふふっ。後ろの孔もヒクヒクさせてる」
  
「やめ……おねがい……」
  
 性器ではない窄まりを彼の熱くてぬるつく舌がチロチロ舐めては、舌先でノックする。
 お風呂に入ってない。汚いからやめて欲しい。そんなところ。
 だけど、くすぐったくて、妙に昂る。
  
「あ♡」
  
 ぐずついた卑劣な秘裂を指がなぞる。くちゅくちゅと淫らな音をわざと立てて、千綾の羞恥心と興奮を掻き立てる。
  
「いいこと思いついちゃった」
  
 後孔を舐めていた舌が離れてくれた。が、舌は尾てい骨の淫紋に戻り、キスを繰り返す。そして、愛蜜まみれの指がピンッと勃っているクリトリスを捉え、包皮の上からくにくにくちゃくちゃとソフトに扱き始めた。
  
「んっ♡ んんっ♡」
  
「ちいはクリイキ大好きだから、気持ちいいよね」
  
 人体にクリトリスはひとつだけ。それが後ろにもある状態になっている。同時に責められ、たちまち暴力的な快感に全身が支配される。
 腰と足がガクガクする。喘がなければ呼吸がままならないのに、薄いドアのある玄関だから、喘ぐわけにはいかない。
  
「は──♡ は────♡」
  
 彼の指がくるくると円を描くように包皮に包まれたクリトリスを嬲り、愛蜜だらけの親指と人差し指で優しくつまんでは、敏感な器官を上下ににちにち扱く。



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