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02.現代の叡智(ウェイン視点)

 ♤・08-16・♤ 〈続〉

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 片足を広げて、腰を千綾の鼠径部に当てて、クリトリスも後孔もいじめ抜く。
 ウェインもハーハー息を荒らげて、二度目の限界を迎えようとしていた。
  
「ん……。俺も、もうちょいで、射精そう」
  
「あっ♡ んうっ♡ 射精してぇ♡♡ おく、に、いっぱ、い……、射精ひて♡♡♡」
  
 ウェインはゆさゆさ揺れ動く乳房を揉みながら、すっかりとがりきった乳嘴をきゅうっとつまんで、やや乱暴に引っ張る。
  
「いってるの♡ いってるからぁ♡♡ もぉ、ら、めぇっ♡♡」
  
「ん。ちい。イッてていいよ。もっとイッちゃおっか? きっと気に入るよ?」
  
 巨大な肉棒で突き上げつつ、びんびんに勃っているクリトリスをぬるりとつまむ。
 とっくに臨界点を突破している千綾は、もうなにも考えられず、ウェインにされるがままだ。
  
「はぁっ。ちい。射精すよ。奥で、いっぱい射精すからっ」
  
 切羽詰まったウェインの声は、千綾にはもう届いていない。勢いよく白濁液を噴き上げたウェインは、千綾をしばらく膝の上で抱きしめて、淫紋を愛しそうに撫でる。そんなことも恍惚の向こう側にいる千綾は知らない。
 そのまま押し倒され、ウェインが萎えるまで挿入されっぱなしだったことも。
 寝入ってしまった千綾にウェインがキスを注いでいたのも。
  
  
  
 少し眠っていた千綾が目覚めるや、くたくたになっている彼女を抱きかかえて一緒に熱いシャワーを浴びた。おざなりに拭いたままの千綾を離さずにベッドに横になる。
 小さな鼻にキスをして、頬に、目元に軽いキスをする。足はいつの間にか絡み合っている。
  
「ふふっ。やぁだ。くすぐったい」
  
 触り心地スベスベの脇をさわさわ撫でていると千綾は笑いながら逃げるから、ウェインも笑って追いかける。
  
「あー、やっぱり、ものっすご──く幸せっ。……言っちゃった」
  
「今さら気づいた?」
  
「うん。今さら。ウェイン。好きだよ。ほんとうは……恋しいし、愛しいなって思うの」
  
 千綾は至極真剣だった。目元も頬もバラ色に染めて。そうしていると乙女みたいだなと、年齢差ギャップを感じる。
  
「素直に言ってくれなかったよね」
  
「わたしはただの人間だもの。淫魔って長く生きるんでしょ? それに、わたしの性エネルギー? がなくなったら……」
  
 ウェインは千綾の鼻をむぎゅっとつまんだ。
  
「ひとり合点しない。俺は離れるとも別れるとも、ひと言も言った覚えはないよ。離れて別れることでちいが幸せになれるなら、別れるのもやむなしだけど。俺と一緒にいるのが幸せなら、離れるのも別れる必要ないよ」
  
 千綾さえよければ、ウェインの眷属にできる。眷属にして、最上級で極上の精気が永劫に得られるのだから、ウェイン的に旨味しかない。
 でも。人間ではなくなる。
 淫魔の眷属になるのか、人間として生きるのか、千綾に選んでもらいたい。だけど、今はまだ、そこまで千綾を追い詰めたくない。
 恋をして、欲しいから。
  
(できれば、俺の手を取ってもらいたいな)
  
 そうするために、もっともっと好きになってもらって、愛してもらって、幸せになってもらう。そうする態度や行動をウェイン自身が選択する。
 でも、千綾に合わせるのではなく、ふたりの妥協点や落としどころに歩み寄ってもらう。
 いつか、永劫の時間を生きるために。
 淫魔が持っていい感情かわからないけど、ウェインはウェインだ。常識などにとらわれずにこれまで生きてきた。これからもそうする。
  
「……うん。恋を、しても、いいの?」
  
「しようよ、恋。俺もちいに恋したいよ。……一緒に好きと恋を育てようよ」
  
 ほっそりとした手を取り、真っ直ぐ千綾を見つめ、真心を込めて告白をする。彼女はバラ色に染めた顔で頷いて、ポロポロと美しい涙を零した。
  
 人間は脆い。身体だけじゃなくて、精神も。だから、守ってあげたくなる。
 ウェインにとって、それは千綾にだけ向けられる感情だ。ということを、現時点のウェインは言語化できていない。
 それをなんというものなのか。


  ・・・✦・✧︎・✦・・・

  
「ちい。まだ連休は始まったばかりだし、えっちいっぱいしようね」
  
「チェックアウトは?」
  
「日曜日だよ」
  
「連泊!? こんな、高級ホテルで!?」
  
「朝食は絶品らしいから悩ましいよね。着替えを買いに行ったあとは、美術館の近くの天ぷら屋さんを予約してあるんだ。だから、美術館に行こうね。それからまたホテルに戻ってきていっぱいえっちしよう。ホテルにプールもあるから水着も買おうか」
  
 千綾は、ぽかんとしたあと、頬を赤くして目を潤ませる。榛色の瞳がきゅるきゅるだ。だから、ウェインの胸の内側がキュンとした。
  
「どうやって過ごすか、考えてくれてたんだ。そうだね、悩んじゃうね」
  
「ちいが俺に叡智の書スマホをくれたから。どう過ごすかのナビゲーションはAIにしてもらおうか」
  
 おかしそうに笑った千綾がゆっくりまばたきをしたから、ウェインは彼女に合わせて、キスをした。
  
「ウェイン。大好き。うじうじしたり、ドキドキしたり、考えていたり……。わたし、やっぱり、恋してるの。ウェインに」
  
 恋心と愛に答えてもらい、ウェインは千綾を力任せに抱きしめた。
  
「く、くるし……っ。うれし……っ」
  
「ごめん。つい、嬉しくて。初めてだから。こういう感情」
  
 心底から恋しいと想い、愛しく想えるのも、初めてだ。
 永遠ともいえる時間を生きてきて、初めての真の恋人に出会った。
 運命の女神はなんて意地悪なのだろうか。千綾に巡り会ったから、それでチャラにしてやってもいいが。
  
(俺の、永遠の恋人だ、千綾は)
  
 恭しくほっそりとした手を取り、その可憐なネイルの爪先に、指に、手の甲にキスをする。
  
「千綾。これからは恋人としてよろしくね」
  
 千綾は、ふわっと笑う。幸せだと嬉しそうにはにかむ柔らかな雰囲気と好意が、空気に溶けてウェインに届く。美しく調和がとれた音楽のように心地よかった。
  
  
  
 ・・・✦・✧︎・✦・・・
  
  
 〈続〉
  

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