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02.現代の叡智(ウェイン視点)

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「ねぇ……」
  
 食事を終えた千綾は、伸ばしたほっそりとした手をウェインの大きな手に重ねる。
  
(ちい、欲情してる)
  
 手を重ねられなくても、千綾の榛色の目には欲が灯っているのがありありとわかる。
 ほろ酔いで赤くした目元。
 人間は三大欲求を抱えている。睡眠欲、食欲、性欲。千綾の睡眠欲と食欲を満たし性欲を引き出すのは、淫魔のウェインにとってもっとも重要なことだ。
 性欲を引き出すのが必要だから、千綾を煩わせるものを排除するのは、自明の理。
  
「……このあと……だめ?」
  
 明日は平日だ。時計は午後九時前。軽くなら大丈夫だろう。千綾はそう思っているに違いない。
  
(淫紋も緑に光ってるんだろうな。ここは熟すまで待つか。それも一興)
  
「明日は午前中に会議が話してたよね」
  
「ウェインはわたしのリマインダーかな? 覚えててくれたんだ?」
  
「ちいに関することは覚えるよ。便利でしょ」
  
「……じゃあ……、少し……その」
  
 彼女は幼子のように唇を尖らせる。実際、ウェインからすれば、産まれたてのコネズミ
  
「恋しく思っていないのに、肌との触れ合いは恋しいんだ?」
  
「いじわる」
  
「知ってるくせに」
  
 食後の片付けを魔術でささっと終わらせる。入浴した千綾がふわふわのパジャマを着てソファにちょこんと座り、スマホを触っていた。
 ウェインも入浴をすませて、お揃いのふわもこメンズパジャマを着て、彼女の隣に座る。
 千綾はサッとスマホをブラックアウトさせてしまった。
  
「なにを見ていたの?」
  
「秘密。あ、淫魔が出てくるマンガじゃないからねっ」
  
 小さな秘密は男女間にはささやかなスパイスだ。
  
「えっちな淫魔が出てくるマンガ、見てもいいよ。ちいは、もう俺以外の淫魔と接触はできないから」
  
「そうなんだ?」
  
「ちいのお腹に淫紋があるでしょ。それがお守りになってるんだよ」
  
 実のところ、淫紋は所有の証であるが、ウェイン以外の淫魔を避ける効果のある強力な封印だ。多少、歪曲しているが、広義的にお守りであっている。
  
「へぇ。すごいね」
  
 千綾はふわもこのパジャマの上から下腹に手を置く。「ふふふっ」微かに声を上げてにこにこと微笑む。 
 淫紋を喜ぶ人間と会ったのは初めてだ。
  
「ねぇ……ウェイン」
  
 瞳に物欲しそうな色がある。燻っていた欲望の火が大きくなったのだ。
  
「ちい、明日は早いんだよ?」
  
「ん……」
  
 納得してない返事。しょぼんとした薄い肩。数えるのも莫迦らしい年月を生きていたのに、日本人に召喚されたのは初めてだ。小柄な日本人のなかでも千綾は比べて小さくて華奢だ。そして小動物のような仕草や動作が多い。なんだか、小さな猫みたいだ。
  
(最後にしたのは生理前の日曜。なのに、ちいの欲望は……性エネルギーは、こちらに伝わるくらいに育ってる。限界寸前まで育ててみたいな)
  
「おいで。ちい。いっぱいマッサージしてあげる」
  
「うん」
  
 ソファでしてもいいが、今日はベッドの気分だったので千綾をお姫さま抱っこして寝室へ運ぶ。
 キスをしながら入浴したてのしっとりとした素肌をまさぐる。ナイトブラも取り外し、千綾の女性らしい背中を抱く。
 背後から手を伸ばし、ふるふる柔らかな乳房を心ゆくまで揉みしだいた。
 薄闇に下腹に刻んだ淫紋が微かに光っている。ウェインが魔力を注いだときはピンクに。千綾が欲求不満になっているときは緑色に光る。
  
(性欲がこんなにも強くて、素敵だ。……今日は摘み取らない)
  
 微かに光る淫紋を触る。びくびくと身体を震えさせる千綾はなんて淫らで美しく、可憐なのか。
  
「ん、んっ♡」
  
 ほっそりとした白い首筋を伝う汗をぺろぺろと舐めとる。
 汗だけでもとても強い精気を味わえる。千綾は奇跡的な存在だ。
  
(強い性欲。甘露のような汗、天の水のような愛蜜……。柔らかな身体のどこもかしこも、おいしくて、どえろい。敏感で、かわいい)
  
「今日もいっぱい濡れてるね。たくさん感じちゃったの?」
  
「ウェインが、さわる、から」
  
 薄い和毛がべたべたになるくらい、もう濡れている。敏感になっているクリトリスには触れずに、遠回りをしてふっくらと充血した肉びらを丁寧にほぐす。
 千綾のそこはウェインの指の動きに合わせて従順に、淫らに変貌していく。
  
「んぅ……♡」
  
 千綾は目を閉じ親指をかじって、快感を受け入れる。小刻みに震えるまつ毛もいい。
 指を二本蜜口に突き立てる。ぐぢゅんっぐぢゅ♡ ぢゅこぢゅこ♡ 始めは浅くソフトに。教え込んだエロポイントを傷つけないように刺激する。
  
(俺のモノも呑み込めるようになった、柔軟で淫乱でかわいいココ。まだまだ育て甲斐あるのがいいよね。伸びしろ大きいのもいい)
  
「ウェインっ♡ きちゃうぅ♡ あっ、すご♡」
  
 ぱしゅ、ぴちゅぅっ。千綾は潮を吹きながら首をそらして絶頂する。淫紋が緑色を強く強く、発光する。
  
(挿入れたいな。ガンガンにめちゃくちゃ突いて、ぐっちゃぐちゃに掻き回して、思いっきり腟内射精なかだししたい。二回目はぶっかけたいな。俺の匂いを染み込ませたい)
  
「ん、ねぇ、……はぁっ、ウェイン……もう……っ♡」
  
「指じゃだめ?」
  
 千綾はこくりと頷く。子宮近くで絶頂する快感を幾度も得てしまったド淫乱になった千綾は、もう物足りないのだ。指の届かない腟奥を巨大なグロテスクでいじめられ、欲に素直になっておおいに乱れたいのだろう。なんてわかりやすい、貪欲ドスケベ淫乱で淫魔好みなのか。
 ウェインだって、ガッチリ反り立った雄を柔軟でとろとろの腟にぶち込んで千綾をふしだらな雌にしたい。
 でも、まだその時じゃない。
  
「Gスポでいっぱいイったでしょ?」
  
「……ん。お腹の奥が……ウェインに来てって」
  
「じゃあ、コレ、使おうか」
  
 ウェインは指をパチンと鳴らす。どたどたと空中から落ちてきたものが千綾は目を大きくさせた。
 そして、興味もあるとそれらを見ている。やっぱりわかりやすい。
  
「なんで、そんなものを!?」
  
 大量のアダルトグッズ。
 ウェインはそのなかのひとつの箱を開ける。男性器を模しつつも、普通の人間にはついていない張り出しのある電動バイブを手にした。
  
「ちいがいないとき暇だから、秋葉原や歌舞伎町に行って買っちゃった。日本はえっちなお店がたくさんあるんだね」
  
 初心者向けローターから電動マッサージ器。初心者向け電動バイブから上級者向け電動バイブ。大小のディルドはもちろん、後孔拡張ディルドまで買い揃えた。ローション、拘束具なども無駄に豊富に揃えてある。
 淫魔のウェインがアダルトショップに行かないわけがない。各地のアダルトショップにおもむいては、千綾が好みそうなおもちゃを買い、自分が使ってみたい器具を買った。
  
「こんなに、いっぱいどうするの? それに、これなに!?」
  
 目を白黒させている千綾が指をさしているパッケージを、ウェインはにこにこしながら両手に取る。
  
「知ってるくせに。拡張ディルドとアナルビーズだよ。ふふ。ちいが恥ずかしがりながらビーズを産むのも見たいなぁ」
  
「産まないよっ、そんなのっ」
  
「そうだよね。拡張しないと無理だもんね」
  
「か、拡張……?」
  
「知らないふりして。ちいの処女が欲しいから、そのうち開発してあげるね。今日はこの細めのバイブと電マにしようね」
  
「電マは、むり、だって。壊れちゃう……」
  
「大丈夫。淫魔の体液には治癒効果もあるから。いっぱいキスしながらなら、こんなおもちゃで壊れないよ」
  
 自分のモノで壊れるなら大歓迎だけど。
  
「それに、オナニー大好きでしょ、ちいは。乳首をくりくりしながら、指でくちゅくちゅクリ弄って、クリイキ覚えたんだよね。勉強熱心で感心するな」
  
「ううっ……。言わないで……」
  
 真っ赤な顔。うらめしそうな可憐な目は潤んでいて。ふっくとした唇は不満そうに尖らせている。
  
「図星さされると喋れなくなるんだっけ? っていうか、俺が意識すれば、ちいのことなんだってわかるの、覚えてるでしょ」
  
 千綾の初めての絶頂経験やナカイキ処女、アダルトグッズ処女まで独占できるのは僥倖だ。
 処女というのは、やはり、淫魔にとって特別な意味がある。穢れなき魂に触れて、その清らかなエネルギーを吸入すれば、百年は精気搾取しなくてもいい。
 ウェインはテキパキと使うバイブと電マにアルコール消毒をして、バイブには千綾にゴムを装着させた。
  
「さ、あたたか~くなるローション使おうね。つめた~い系でもいいけど、あたたか~い系のが千綾には合うと思うな」
  
「自動販売機で売ってるみたいな言い方しないでっ」




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