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01.電子書籍だとっ?

 ❦・01-03・❦ 

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 ポロポロと涙が零れた。悔しさと怒り、悲しさ、情けなさ。しばらく泣いていると、頭を撫でてくれたり、背中をさすってくれたりしていたウェインの優しさが荒んだ心にあたたかくて、涙の意味が変わった。
  
(わたし……)
  
 流れる涙はウェインが優しく丁寧に拭ってくれる。途中でティッシュを取ってもらって鼻をかんだ。
 こんなに泣くのもいつ以来だろうか。元カレと別れるときもこんなに泣かなかったのに。
  
(あー。ばからし。サバ女気取って、信頼できる人を頼ってなかったな……。鈴本のアホを躾てもだめなら、無能課長じゃなくて有能イケメン部長に直談判しよ。無理ならボイレコ買って証拠集めて、弁護士に相談だ。嫌なら転職すればいい。キャリアがどうのなんて気にする必要ないんだから。……どうして気がつかなかったのかな。今のキャリアにしがみついてても、いいことないのに)
  
 営業の男どももあんな態度を取り続けていたら、いつか痛いしっぺ返しがあるはずだ。因果応報であれ。
 仕事もひとりで抱えるんじゃなくて、チームの頼れる人を中心に仕事を割り振ればいいし、信頼できる少ない同期や先輩に相談すればいい。とりあえず暴言やセクハラなどの数々はボイスレコーダーを購入して録音しておこう。自衛するに越したことはない。

(夢のなかで泣いて、すっきりするなんて。変なの。ウェインさんが優しいから。マンガのなかではえっちしかしてなかったのに。わたしの想像たくましい)
  
「ウェインさん、ありがとう。……ごめ……」
  
 ウェインが頬の涙あとをぺろりと舐めたので、言葉が切れてしまった。
  
「謝らないで。千綾はなにも悪くないよ。負の感情の涙は心のデトックスだしね。俺の前でなら遠慮なく泣いていいんだよ」
  
 眦に残る涙を彼がちゅぅっと優しく吸う。柑橘系スパイシーなムスクの香りは、優しく爽やかでどこかミステリアスで、掴みどころがない。夢のなかの2.5次元イケメン(ツノ付き)だからか? 好みのどストライクだから? 淫魔だから? 彼の優しさとミステリアスさが千綾を惹きつけていく。
  
(夢なのに、香りがあるって、不思議)
  
 恋人繋ぎをしていないウェインの手は千綾の頬にある。彼は、涙のあとにキスをし、唇の近くや顎にキスをする。そっと唇があたるだけの思いやりのあるキス。まるで昔からの恋人みたいだ。
 キスは涙のあとを追って首筋へ下り、広く開いた胸元へ。
  
「……キス、しないの?」
  
 ちょっぴり涙声だった。
 ウェインに目だけで見られた。宝石のような青い瞳の上目遣いは破壊力が強くて、クラッとする。
  
「いきなりはだめって、千綾が言ったんだよ」
  
「そう、だけど」
  
「それとも、もうキスのおねだり?」
  
「それは……」
  
「不安?」
  
「不安は、ないけど……」
  
「じゃあ、不満なんだ。キスされなくて」
  
「そういうんじゃなくて」
  
「セックスに作法はないよ。俺としては、千綾といっぱいキスして、たっぷり出た唾液でぐちゃどろになりたいな」
  
 イケメンとキスしそうな距離になって、千綾の心臓はドキドキしっぱなしだ。
 ウェインの唇を目で追ってしまう。荒れたところがない、形のいい色気のある唇が、少し開く。
  
「キス、しちゃうよ? いいの?」
  
「う……ん」
  
 こくりと頷く前に、彼の柔らかな唇と触れ合った。軽やかなキスは、幾度も離れてはくっつき、デリケートな粘膜を口説くように刺激してくる。
 唾液がじゅんわりと湧き出たタイミングで、彼の舌が口内にやって来た。もしかすると、千綾が招いたのかもしれない。
 ウェインの厚く長い舌が、好むところ、弱いところを以前から知っているかのように自在に動いて、他人との触れ合いから遠ざかっていた千綾の口内と心をくすぐる。
  
「ん……、ふ……っ」
  
 舌同士を絡めて擦りつけ合い、あたたかな体温を移し合う。ウェインのリードが巧みで、吐息が唇の端から零れるのが止められない。
  
(キスって、こんなに、気持ちよかった? ……優しくて、好きな、キス)
  
 酸素不足なのか、キスに酔っているのか、頭がぼんやりくらくらする。夢のなかなのを忘れそうだ。
 彼の手が腹から胸をまさぐる。その手つきはマッサージみたいで心地いい。
 けれど、ブラトップのカップの上から揉みしだかれると、息と熱がさらに上がった。
  
「ぁ……ぁん」
  
 ブラトップのカップだけを下ろされる。ぷるんっと乳房が弾んで零れ出た。ウェインは、さも良いものを見たかのように目を輝かせていた。
 胸の谷間がひんやりとして、そわっと乳暈が縮こまったのが恥ずかしいのは、ガン見されているからだ。
  
「きれいな、おっぱい」
  
「たれてるって……言われたことが、あって」
  
「どこが?」
  
 たれていると言ったのは元カレの前のカレシバカで、もう七年以上も前の話だ。それからバストアップのストレッチとたれないブラを選んで育んでいる。まだ女を諦めたくない。
  
「ここ。筋肉がついてて」
  
 ウェインに薄い大胸筋と硬くない小胸筋をふにっと押された。少し、くすぐったい。
  
「この美しい下のまるみを持ち上げてるよ。とってもきれいに」
  
 下乳のまるみを彼の手のひらがさすさすと触って、重たげに持ち上げる。
  
「下にたっぷり脂肪があるからね。ほら、ゆさゆさしてる。すてきだな。柔らかい。形もきれいだよ。乳腺も、まだ硬いね。大きなおっぱいなのに」
  
 ウェインはおっぱいの重みと柔らかさを確かめるように下乳をたぷたぷと叩く。平均値だったバストサイズは、続けたバストアップ体操と各種栄養のおかげでサイズも上がった。が、触る者など自分しかいなかった。
 だから、ウェインに褒められると、ちょっと嬉しい。
  
「ふふふ。遊ばないでよ、きみ」
  
「きみ、じゃないよ」
  
 背後の彼がほんのり不機嫌になったのは、千綾の気のせいか。
  
「ウェイン、だよ。呼んで、千綾」
  
 耳にかかる声もちょっぴり機嫌が悪い。それも気のせいか?
  
「ウェイン、さん」
  
「だぁめ。そんな他人行儀に呼ばないでほしいな」
  
 かぷっ。耳を噛まれて、そわわっと背筋に熱が走る。
  
「んくっ」
  
「呼んで」
  
 彼の指が乳房の脂肪に埋まる。こんなに柔らかな胸だったか? そう思うと、彼の指は乳房の丸みに沿って自由にするすると動き、くすぐる。
  
「ん……、ん……」
  
 乳房を触られているだけで気持ちよくなるのが初めての体験で、恥ずかしくて体温はますます高くなっていく。
 優しくマッサージをされているのに、乳暈がぷっくり膨らみ、先がツンと勃つ。触ってほしいみたいに。
  
(さわって、ほしい……かも……)
  
「千綾のおっぱいはえっちで正直だね。とっても。好きだな」
  
 固く大きなモノが腰にぐりぐりと当てられ、千綾の乳頭と下腹部がムズムズじんじんする。
  
「さわ……」
  
 少し後ろを振り向くと、優しそうな青い目と目が合う。彼もほんのりと頬を赤らめている。
  
「名前を呼んでよ、千綾」
  
 宝石のような青い目が優しげなのに、ぎらついている。千綾の乳房を見て、触って、興奮しているのがわかる。たとえ夢のなかでも、美貌の持ち主を昂ぶらせたのは、少し優越感が湧く。
  
「……ウェイン」
  

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