G.B.S（グレーター・ビースト・サーガ）

第1章

第32話

「もう分かったってのよッ！　死ぬって、こんな痛いんだぞッ！　もう勘弁してよッ‼」
　圧倒的な痛みが身体からだを突き抜ける。
　皮膚が溶ける痛み。
　骨が溶け落ちる痛み。
　眼球が焼け爛ただれる痛み。
　全身が痛覚の神経になった様に痛みだけを身体からだの全てが感じる。
　そして、急激な意識フェード遮断アウト……。
　そこで眩まぶし過すぎる発光はっこうした光景こうけいは途切とぎれた。

　一瞬、世界が一点に集約される様な妙な感覚を覚えた。
　ボヤけた視界が、徐々に明瞭めいりょうになってくる。
































「しっぽりは、いかへんけど、助けてくれたお礼に、うちらの仲間に入れたる！　だから、今は、ここを切り抜けるで！」


「よかった……まだ、こっからだ……。シュタイガーンバオアーがやられた後からだったらどうしようかと思ったよ。でも、何度も痛いのは良くないぞッ⁉」

「何やッ⁉　いきなり文脈のおかしいこと言い出してッ⁉」
　シュタイガーンバオアーの人が、さっきと同じ驚おどろきの声を上げる。
　あ、ここは一緒の反応なんだ……。じゃなくてッ‼


「TSトレジャースティーラーの人ッ！　とにかく回避に専念して下さいッ！　理由は今は言えないけど、オイラがこの状況を絶対に打開するから、とにかく回避に専念して下さいッ！　お願いしますッ！　本当、一生のお願いっスッ‼　もうまた死んで痛くなりたくないのッ‼」


　オイラの心の底からの一念の言げんにッ！
「なんやようわからんが必死なんは伝わったッ！　分かったッ！　とにかく回避に専念するから何とかしてやッ！」
　TSトレジャースティーラーの人が頷き、理解を示してくれるッ！


「何だか分からんがロクスリーの言う事は盲言だッ！　そしてロクスリーは素人のノーコンだッ！　ゲズは放ほうっておいてシュタイガーンバオアーに攻撃を集中させろッ！」
　よし！　シュタイガーンバオアーに攻撃が集中した！　これでッ！！




「なんやッ⁉　ガトナスが2機とも、急に動きが止まりおったぞッ⁉」

「なッ…⁉　レンダーッ⁉　イリーッ⁉　どうしたッ⁉」

「すまん隊長。スタンアンカーの使い過ぎでエネルギー切れになっちまった……。」

「こっちもです。隊長すみません、後は、お願いします……。」
　良しッ！　ここからッ‼




「ザヌスはノーコンっス！　ザヌスは最後で良いから、まずはエネルギー切れしたガトナス2機の足を砕いて下さいッ！　FGファイターギアはラジエールエンジンっス！　時間が経ってエネルギーが回復してガトナスが、また動くようになるのが、この場で一番の脅威っス！　でも、エネルギーが回復しても、足さえ砕いとけば回避が出来なくなるので、普通の神経の操者パイロットなら反撃が怖くて攻撃して来なくなるっスよ！　追っても来れなくなるっスし！」


「OKやッ！　君が何かやったワケやないけど、このガトナスのエネルギー切れを、分析、予測しとったっぽいから、確かに君の分析眼はしっかりしとるんやろう。……やからッ！」
　シュタイガーンバオアーが、ガトナス2機の両足を質量兵器バトルアックスでブッ叩いて砕く。




「クッ……‼」

「こんな事で……ッ‼」

　ガトナスの、お二人が、悔しさに言葉を詰まらせる！




「クッ……まだオレが居いる事を教えてやるッ‼」

　ザヌスのヨギーさんが果敢にシュタイガーンバオアーに攻撃を加えようとしているっぽいけど、相変わらずバズーカが思いっきり外れまくる。

　その間に、シュタイガーンバオアーがガトナスの2機の両足を粉砕し終わる。




「うっス！　後はザヌスを撃ち抜いたら全速ダッシュで逃亡っス！」
「おお、分かったわ！」


「クッ……そうムザムザやられは……ッ！」
　ヨギーさんが何か言い終わる前にシュタイガーンバオアーのレーザーライフルがザヌスの右腕間接部うわんかんせつぶを撃ち貫く。それでザヌスの右腕が垂れ下がったッ！




「いくら慣れん機体でも相手がたった１機やったらな！　早はよ、脱出した方が身の為やで？」
　シュタイガーンバオアーが、垂直すいちょくミサイルの発射態勢はしゃたいせいに入はいるッ！


「クッ…！　それでも…ッ‼」
　未だに、しつこく粘るヨギーさん。
　ここに来て、ザヌスの左外腕部ひだりがいわんぶのレーザーガトリング砲をやっと使い出す。


　が、この距離でも、やっぱり明後日の方向に射撃が寄る。




「脱出せんかったら、どうなっても知らんでッ⁉」
　シュタイガーンバオアーが垂直すいちょくミサイルを、数発すうはつ、発射はっしゃする！




　上空に垂直すいちょくに飛び、空中で一瞬止まった後、斜め下のザヌスに向かって一斉いっせいに降ふり注そそぎ、ザヌスの胴体部にモロに直撃する！




　重装甲のザヌスとはいえ、垂直すいちょくミサイルの連弾の直撃で胴体部の装甲が剥はげ、胴体部の一部の内部が剥むき出だしになる！




　そこに、更さらに、数発すうはつの垂直すいちょくミサイルが、シュタイガーンバオアーから上空じょうくうに放はなたれるッ！




「クッ……！　これ以上は…ッ！」
　流石に危機を感じ、脱出ポッドを起動し、ザヌスを捨てるヨギーさん！




　それを尻目にシュタイガーンバオアーの垂直すいちょくミサイルが降ふり注そそぎ、更さらに止とどめとばかりに、レーザーライフルが剥むき出だしになった胴体部を撃ち貫き、ザヌスを撃破するッ！




「テメェらッ‼　憶えておけよッ‼」
　吠えるヨギーさんを尻目に、


「うっス！　後は全速ダッシュで逃げるっスよ！」

「ほい来た！」

　一気に、さっきまでの林を抜けて行く。




　ドンドンと遠ざかって行く自警団のFGファイターギアたち。
　よっしッ！　この分なら、ブッち出来る感じだねッ！