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第一章 はじまりのダンジョン編
第十話 ダンジョン 3階層
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カイルはオークを倒し、蘭丸と共に3階層へと続く階段を降りていく。
3階層に降りるといきなり魔獣がいる。
背中をこちらに向けてボーッと立つ姿には何故か
既に見覚えのあるような不思議な感覚を覚える。
朱槍を構えながらにじり寄ると、こちらに気づいたのかゆっくりと首だけ回し振り返る。
魔獣はグールだった。
「キシャアアアアアアア!」
カイルの存在に気づくとすぐに雄叫びをあげた。
身体を揺さぶり、歯をガチガチ言わしながら走り迫ってくる。
オークとの激戦を経て強さに自信がついたとは言え、こうもゾンビ感を出されてしまうとビビってしまった。
必死に突きを繰り出し腹部に槍を突き刺すも、止まる事をやめず両手を前にだし、槍を身体にめりこましながら進んでくる。
「ひぃい!」
咄嗟に槍を離し、グールを蹴飛ばした上で短剣を腰から抜き取りグールの後頭部に突き刺した。
するとそのままドサッと倒れ込み、消滅していく。
「はぁ、はぁ、まるでゾンビ映画か。」
3階層はグールが出現するようだ。
それにしても体のところどころが腐っているのかただれており、骨が見えていたりする。
見た目的にインパクトがかなり大きい。
「蘭丸、いいか。噛みつくなよ。蹴り飛ばせ!」
流石にこの世界でウィルスでゾンビになるとは思わないがあんな気持ち悪いものを噛んで欲しくもない。
魔石を拾っていると通路の向こうから3体のグールが走ってきている。
「おいおいおい!」
どうやら先程のグールの叫びでこちらに向かってきたらしい。
「アアアアアアアア!!」
奇妙な唸り声を上げながらグールが走ってくる。
「蘭丸!一体を頼む!」
蘭丸に指示を出しながら朱槍を構え、連突きで頭を突き刺し、2体を仕留める。
すぐに蘭丸が蹴り飛ばし倒れたグールに走り寄り、飛んで着地と同時に槍を頭に突き立てた。
「ふー。最初は焦ったけど弱点さえわかればなんとかなりそうだ。」
動きの速さと迫力はすごいが動き自体は単調だ。
落ち着いて対処すれば問題は無い。
戦うごとに何かを学び、戦いに段々と慣れていく感じが少し心地よい。成長していると実感できるのだ。
「そうか。こういう積み重ねが歴戦の余裕というものを作るのか。」
ふと自分の中で気付く事があった。
どの勇猛な戦国武将も若い時代というものがある。流石に最初から最強だった訳ではないはずだ。濃密な戦闘を経ることで強くなり、度胸も据わっていくのだと自分なりに理解した。
まだ転生してからそんなに日も経っていないが、一角ウサギに必死になっていた頃が既になつかしくもある。
(俺ももっと強くなって勇猛な将と呼ばれたい。
この世界の歴史に名を刻むってのも悪くないな)
少し冗談混じりではあるがそんな欲が芽生え始めていた。
妄想を膨らませながら、3階層を歩いていると不意に背後から何かに引っ張られ、そのまま尻餅をついた。
「わっ!!ーーー何するんだよ、蘭丸!」
犯人は蘭丸だった。服の裾を噛んで引っ張ったのだ。
ガウッ!
と声をあげ、蘭丸が見つめる場所は自分がさっきまで立っていた場所だ。
矢が5本地面に刺さっている。
「お、おい。なんで矢が刺さってるんだ。」
何が起きたのか一瞬分からなかった。魔獣は周りにはいない。この矢はどこから来た。
蘭丸が引っ張ってくれなかったら刺さっていた。
(まさか。。)
何かに気づいたのか、矢が刺さっている場所をじっくり観察しながらもう一度歩いてみる。
すると矢のポイントに来た瞬間に足元に魔法陣が現れ、すぐさま矢が周囲から飛んできた。
カイルはすかさず矢を跳んでかわす。
「へー、設置型の魔法陣か。確かにダンジョンと言えば罠だけど完全に油断していたな。」
この階は罠がある事がわかった。
これからは罠にも注意しなければならない。
「蘭丸。やばかったらまた助けてくれよ」
若干不安だったので蘭丸に声をかけた。
ガウッ!
いつもの声を返してくれたがわかったのかどうかはよくわからない。
罠に注意しながら、いつものように右に右にと3階層を進んでいく。
行き止まりにぶつかると戻り、別の分岐へ進む。
合間にグールに遭遇するが蘭丸と連携して対処した。今のところ3.4体ずつしか出てこない。
罠は火柱が水平に出るもの、落とし穴、グールが召喚されるタイプ等いろいろあった。
罠に注意して歩いているおかげで発動させてもなんとか避けることはできている。落とし穴は正直危なかった。
結構進んだが未だ宝箱は見つけれていない。
更にダンジョンを進んでいると部屋に突き当たった。
「なんだ、結構広めの部屋だな。」
そう言いながら部屋を眺めていると、
(ん?)
部屋の奥に宝箱があるのが見えた。
「おぉ!やった!見つけたっ!」
宝箱を目にした事でテンションが上がり思わず駆け寄ろうとする。
部屋に一歩踏み入れた瞬間。
「あっ、、」
なんとなく感覚でわかった。
足元に魔法陣が出現している。
それと同時に部屋いっぱいにグールが出現したのだ。
「やばっ!」
部屋の正体はモンスターハウスだった。
流石にまずいっ!と即逃げることを決断。
「蘭丸!逃げるぞ!」
蘭丸に声をかけながら走り出した。
振り返り確認すると大量のグールが部屋を飛び出し走り追ってきている。
「やばいやばいやばい」
日頃から走り込んでいてよかったと思いながらひたすら走る。捕まったら最後だ。
逃げるルートも重要だった。
行き止まりに間違って行ったら死んでしまう。
「蘭丸!階段に戻るぞ!階段だ!」
念のため蘭丸にも意思を伝えておく。
あとは道を思い出しながらひたすら走るのみだ。
走りながらもどうするか必死に考えている。
(結局はあいつらを倒さないと先には進めない。
ならば、少しずつでも減らすべきか。)
そう思い立ち、振り返って槍を構えて立ち止まった。目の前には100を超すかの数のグールが道いっぱいに走り迫っている。
「無理無理無理無理ぃぃ~!」
あまりの迫力に再度振り返り走り出した。
罠地点を踏まないよう飛び越え走る。
ドゴーーン!
という音がした。走りながらも振り返るとグールが罠を発動させ落とし穴ができていた。
次々とグールが落ちて行っている。
(そうか。罠だ!使えるぞ!)
罠は大体覚えている。使えるのがいくつかある。
罠を目指しひた走る。
2個目の罠で大きなギロチンが振り子のように飛んでくる。盛大にグールを薙ぎ倒している。
3個目の罠は四方から矢が飛んでくる。
4個目の罠が本命だ。水平に火柱が飛び出すのだ。
罠を飛び越え、少し距離を取ってから振り返り、槍を構えた。
ここでグールを迎え撃つ算段だ。
グールが罠を踏み、火柱が飛び出した。
激しく燃え上がり消し炭となったグールが倒れ込む。運良く逃れたグールを突きで掃討していく。
火柱によって倒れていくグールの死体が積み上がっていき、カイルのところへ辿り着くグールの数も減ってきている。
消滅よりも死体の補充の方がはやいらしい。
何度も何度も火柱がたち、次々に倒れていくグール。みるみる数が減っている。
「いける!このまま押し切るぞ!」
そのまましばらく戦い続け、ついにはグールを全て掃討することに成功した。
この罠で全て倒せたことは大きい。
この先には大した罠は残っていなかったからだ。
ボス以外でこんなにピンチになるとは思っていなかった。
通路には大量の魔石が転がっている。
流石に持ちきれないので集めて一箇所に固めておいた。いつか回収するつもりだ。
ドッと疲れを感じたが、カイルには目指す場所がある。先程の宝箱のあった部屋だ。
どうしても宝箱が欲しかった。
カイルと蘭丸はようやくモンスターハウスに辿り着き戻ってこれた。
3階層に降りるといきなり魔獣がいる。
背中をこちらに向けてボーッと立つ姿には何故か
既に見覚えのあるような不思議な感覚を覚える。
朱槍を構えながらにじり寄ると、こちらに気づいたのかゆっくりと首だけ回し振り返る。
魔獣はグールだった。
「キシャアアアアアアア!」
カイルの存在に気づくとすぐに雄叫びをあげた。
身体を揺さぶり、歯をガチガチ言わしながら走り迫ってくる。
オークとの激戦を経て強さに自信がついたとは言え、こうもゾンビ感を出されてしまうとビビってしまった。
必死に突きを繰り出し腹部に槍を突き刺すも、止まる事をやめず両手を前にだし、槍を身体にめりこましながら進んでくる。
「ひぃい!」
咄嗟に槍を離し、グールを蹴飛ばした上で短剣を腰から抜き取りグールの後頭部に突き刺した。
するとそのままドサッと倒れ込み、消滅していく。
「はぁ、はぁ、まるでゾンビ映画か。」
3階層はグールが出現するようだ。
それにしても体のところどころが腐っているのかただれており、骨が見えていたりする。
見た目的にインパクトがかなり大きい。
「蘭丸、いいか。噛みつくなよ。蹴り飛ばせ!」
流石にこの世界でウィルスでゾンビになるとは思わないがあんな気持ち悪いものを噛んで欲しくもない。
魔石を拾っていると通路の向こうから3体のグールが走ってきている。
「おいおいおい!」
どうやら先程のグールの叫びでこちらに向かってきたらしい。
「アアアアアアアア!!」
奇妙な唸り声を上げながらグールが走ってくる。
「蘭丸!一体を頼む!」
蘭丸に指示を出しながら朱槍を構え、連突きで頭を突き刺し、2体を仕留める。
すぐに蘭丸が蹴り飛ばし倒れたグールに走り寄り、飛んで着地と同時に槍を頭に突き立てた。
「ふー。最初は焦ったけど弱点さえわかればなんとかなりそうだ。」
動きの速さと迫力はすごいが動き自体は単調だ。
落ち着いて対処すれば問題は無い。
戦うごとに何かを学び、戦いに段々と慣れていく感じが少し心地よい。成長していると実感できるのだ。
「そうか。こういう積み重ねが歴戦の余裕というものを作るのか。」
ふと自分の中で気付く事があった。
どの勇猛な戦国武将も若い時代というものがある。流石に最初から最強だった訳ではないはずだ。濃密な戦闘を経ることで強くなり、度胸も据わっていくのだと自分なりに理解した。
まだ転生してからそんなに日も経っていないが、一角ウサギに必死になっていた頃が既になつかしくもある。
(俺ももっと強くなって勇猛な将と呼ばれたい。
この世界の歴史に名を刻むってのも悪くないな)
少し冗談混じりではあるがそんな欲が芽生え始めていた。
妄想を膨らませながら、3階層を歩いていると不意に背後から何かに引っ張られ、そのまま尻餅をついた。
「わっ!!ーーー何するんだよ、蘭丸!」
犯人は蘭丸だった。服の裾を噛んで引っ張ったのだ。
ガウッ!
と声をあげ、蘭丸が見つめる場所は自分がさっきまで立っていた場所だ。
矢が5本地面に刺さっている。
「お、おい。なんで矢が刺さってるんだ。」
何が起きたのか一瞬分からなかった。魔獣は周りにはいない。この矢はどこから来た。
蘭丸が引っ張ってくれなかったら刺さっていた。
(まさか。。)
何かに気づいたのか、矢が刺さっている場所をじっくり観察しながらもう一度歩いてみる。
すると矢のポイントに来た瞬間に足元に魔法陣が現れ、すぐさま矢が周囲から飛んできた。
カイルはすかさず矢を跳んでかわす。
「へー、設置型の魔法陣か。確かにダンジョンと言えば罠だけど完全に油断していたな。」
この階は罠がある事がわかった。
これからは罠にも注意しなければならない。
「蘭丸。やばかったらまた助けてくれよ」
若干不安だったので蘭丸に声をかけた。
ガウッ!
いつもの声を返してくれたがわかったのかどうかはよくわからない。
罠に注意しながら、いつものように右に右にと3階層を進んでいく。
行き止まりにぶつかると戻り、別の分岐へ進む。
合間にグールに遭遇するが蘭丸と連携して対処した。今のところ3.4体ずつしか出てこない。
罠は火柱が水平に出るもの、落とし穴、グールが召喚されるタイプ等いろいろあった。
罠に注意して歩いているおかげで発動させてもなんとか避けることはできている。落とし穴は正直危なかった。
結構進んだが未だ宝箱は見つけれていない。
更にダンジョンを進んでいると部屋に突き当たった。
「なんだ、結構広めの部屋だな。」
そう言いながら部屋を眺めていると、
(ん?)
部屋の奥に宝箱があるのが見えた。
「おぉ!やった!見つけたっ!」
宝箱を目にした事でテンションが上がり思わず駆け寄ろうとする。
部屋に一歩踏み入れた瞬間。
「あっ、、」
なんとなく感覚でわかった。
足元に魔法陣が出現している。
それと同時に部屋いっぱいにグールが出現したのだ。
「やばっ!」
部屋の正体はモンスターハウスだった。
流石にまずいっ!と即逃げることを決断。
「蘭丸!逃げるぞ!」
蘭丸に声をかけながら走り出した。
振り返り確認すると大量のグールが部屋を飛び出し走り追ってきている。
「やばいやばいやばい」
日頃から走り込んでいてよかったと思いながらひたすら走る。捕まったら最後だ。
逃げるルートも重要だった。
行き止まりに間違って行ったら死んでしまう。
「蘭丸!階段に戻るぞ!階段だ!」
念のため蘭丸にも意思を伝えておく。
あとは道を思い出しながらひたすら走るのみだ。
走りながらもどうするか必死に考えている。
(結局はあいつらを倒さないと先には進めない。
ならば、少しずつでも減らすべきか。)
そう思い立ち、振り返って槍を構えて立ち止まった。目の前には100を超すかの数のグールが道いっぱいに走り迫っている。
「無理無理無理無理ぃぃ~!」
あまりの迫力に再度振り返り走り出した。
罠地点を踏まないよう飛び越え走る。
ドゴーーン!
という音がした。走りながらも振り返るとグールが罠を発動させ落とし穴ができていた。
次々とグールが落ちて行っている。
(そうか。罠だ!使えるぞ!)
罠は大体覚えている。使えるのがいくつかある。
罠を目指しひた走る。
2個目の罠で大きなギロチンが振り子のように飛んでくる。盛大にグールを薙ぎ倒している。
3個目の罠は四方から矢が飛んでくる。
4個目の罠が本命だ。水平に火柱が飛び出すのだ。
罠を飛び越え、少し距離を取ってから振り返り、槍を構えた。
ここでグールを迎え撃つ算段だ。
グールが罠を踏み、火柱が飛び出した。
激しく燃え上がり消し炭となったグールが倒れ込む。運良く逃れたグールを突きで掃討していく。
火柱によって倒れていくグールの死体が積み上がっていき、カイルのところへ辿り着くグールの数も減ってきている。
消滅よりも死体の補充の方がはやいらしい。
何度も何度も火柱がたち、次々に倒れていくグール。みるみる数が減っている。
「いける!このまま押し切るぞ!」
そのまましばらく戦い続け、ついにはグールを全て掃討することに成功した。
この罠で全て倒せたことは大きい。
この先には大した罠は残っていなかったからだ。
ボス以外でこんなにピンチになるとは思っていなかった。
通路には大量の魔石が転がっている。
流石に持ちきれないので集めて一箇所に固めておいた。いつか回収するつもりだ。
ドッと疲れを感じたが、カイルには目指す場所がある。先程の宝箱のあった部屋だ。
どうしても宝箱が欲しかった。
カイルと蘭丸はようやくモンスターハウスに辿り着き戻ってこれた。
応援ありがとうございます!
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