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初LIVE
初LIVE3
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「戻ったよ!」
「わりいな……」
演奏室に戻って来た2人の表情は対照的であった。
「おかえりなさい! エバ、キッド」
「キッド……さっきはごめんなさい! 本当はあんな事言うつもりじゃなかったの」
「こっちこそごめんな? 俺だってあんな事言うつもりじゃなかったんだよ……エレナはいつも走ってる俺のギター注意してくれてただけなのにな」
「私が悪いのよ! 自分だって全然出来てないのに、みんなにばかり注文言って」
「それは違う! 俺のギターが……」
「ふふっ」
「プッ……」
キッドとエレナの終わりの見えないやりとりを強制的に終わらせたのは、アメリとエバの堪えきれずに出てしまった笑い声であった。
「あ、あんた達! 何がおかしいのよ」
「こっちは真剣に謝ってるんだぜ?」
「す、すいません……あまりにもお2人が必死だったもので」
「いつまで続くのさそのやりとり」
「いつまでって、キッドが許してくれるまでよ」
「許すもなにも、俺が悪いんだって言ってるだろ」
「違うわ! 私よ」
「また始まっちゃったよ……2人ともそろそろ終わりにして」
「お互い謝ってるんですから、もう解決してるじゃありませんか」
「「確かに……」」
アメリの一言で今度こそようやく終わりを迎えたキッドとエレナの言い合い。
「丁度いい機会だし、大会に向けて少し話し合わない?」
「それもそうね」
「エレナは正直TDIMの音楽どう思いますか?」
「えーっと……」
「エレナ、遠慮する必要無えぞ? 思ってる事はっきり言ってくれ」
キッドの言葉にエバとアメリが頷きながらエレナを見る。
「なら、正直に言うわね? 今のままじゃ優勝どころか、予選で選ばれる事も無いと思う」
「どうしてそう思った?」
「私も含めてだけど、まだ全然音楽が1つにまとまってないわね。DJとギター2人でハープが居ない分どうしても音に広がりが無いのよ」
「それなら私ハープにしましょうか?」
「それじゃアメリがサラマンダーに来た意味がなくなるじゃないのよ」
「そうですけど……」
「俺もエレナがハープに戻すのは反対かな。せっかくギターの勉強をしに来たんだから、ギターでやってほしい」
「エレナはどうなんだ? ギターが良いのか、ハープが良いのか」
「出来るなら、ギターをやりたいです。 それと、あまり主張するのは得意じゃ無いんです……どちらかというと、影でキッドとエレナの音を支えるような弾き方をしたいです」
「そうだったのね……ごめんなさい。 いつも無理させてたのね」
「謝らないで下さい! 私がちゃんと言わなかったのが悪いんですから」
「なら俺また一から曲作り直してみるよ」
「今からで間に合うのか?」
「大幅に変えるのは多分間に合わないから、基礎は変えないで作ってみる」
「それならなんとか間に合いそうね」
「じゃあとりあえず3人で音合わせでもしてみるか? とりあえず合わせる事重視で」
「そうね」
「はい! お願いします」
先ほどまで言い合っていたTDIMであったが、どうやら大会には響かなさそうだ。
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