2人で奏でる異世界デュエット

琢也

文字の大きさ
上 下
8 / 20
バンド結成

バンド結成3

しおりを挟む

サラマンダーの大ホールの大きさはプロのバンドがライブ会場に使ってもおかしくない程の大きさである。エバ意外にも入り口で口を開けて固まっている生徒がちらほら見える。


「そんなとこで固まってんじゃねーよ……」


 キッドに言われてようやく石化が解ける。


「でも、本当に大きいホールですね!」

「こんなの学校のレベルじゃないよね……」

「確かにでけえな! てか、こんなでかいホールって全校生徒何人居るんだよ……」

「一クラス大体50人ぐらい居て、10クラス、それが3学年分と、教師が50人……多いですね……」

「そんなに居るのかよ……絶対覚えられねえ」

「俺も無理だと思う……」

「私も……」


 そんな会話をしているうちに集会が始まり、校長先生のありがたい話など、至って普通の集会が終わり、エバ達は教室に戻った。


「よーし、じゃあ今からホームルーム始めるぞー、今日のホームルームは自己紹介と明日からのちょっとした説明な? じゃあ廊下側の席から始めてくれ。」


 ガロンの言葉を合図に自己紹介が始まる。各々種族と楽器を弾く生徒は得意な楽器を、歌を歌う生徒はジャンルを名前に添えて自己紹介をしていた。緊張してる生徒や、笑いを取るもの、自己紹介は順調に進んでいった。


「はーい、じゃあ次の人ー」

 そう言われて立ち上がったのは、ドワーフの女子だった。

「私はドワーフの【ワルフ=エレナ】よ! 歌はラップしか歌わないわ。楽器はDJブースしかいじれない。あと、自分でDJブースを作ったりもしてるわ。よろしくね!」


【ワルフ=エレナ】身長は150センチぐらいで女子の中でも小さい方だろう。ドワーフなので女子だが筋肉が少し付いている。髪型は黒色のショートで、パーマがかかっている。

「女子でラップってできんのか?」

「ドワーフはラップ上手いけど、女子でってあまり聞かないよな?」

「ラップなんて男っぽいジャンルやらないよね普通……」

「はいはい、そーいうのこのクラスでは要らねーぞ? 音楽は個人の自由だからな。女子がラップして何が悪い?しかも、エレナのラップまだ聞いたことねえだろ?」


 ガロンの一言でエレナへの批判が止む。武力は無くなったとはいえ、まだ言葉での暴力は無くならないのが事実であった。とは言え、流石は教師である。この場を上手く納めたのであった。


「悪いなエレナ。」

「大丈夫です! こんなの言われ慣れてるわ。私のラップを聴いた時の反応が楽しみね!」


 そう言って僅かに口の端を上げたエレナであった。


「じゃあ自己紹介再開するぞー」


 ガロンの一言で自己紹介が再開する。アメリの前まで自己紹介が終わり残りはアメリ、エバ、キッドの順番である。


「次は私ですね! 皆さん始めまして! エルフのサン=アメリです! 楽器はハープも弾けますが、メインはギターです! 歌はあまり得意ではありません……よろしくお願いします!」

「あの子可愛いな……」

「だよな? 俺も思った!」

「アメリ様……」


 エレナの時とは違うざわつきが広まった。アメリは顔を真っ赤にして席に座った。


「すっかり人気者になったじゃねーか!なあ? エバ? 」

「そうだね……なんか変な事言ってる人も居たけど……」

「やめて下さい!それより、次はエバですよ?」

「そうだった! アメリの後やりづらいな……」


 そう言って、恐ろしく遠慮しながら席から立ち上がった。


「えー……皆さん始めまして。ヒューマンの重葉 奏です。楽器はギターしか弾けません。自分で作詞をして歌ったりもしてます。よろしくお願いします……」

「パチパチ……」

「反応しょぼすぎ」

「やめて下さい、キッド」


 キッドとアメリは下を向き小刻みに震えている。


「だからアメリの後嫌だったんだよー」


 エバはそのまま机に突っ伏した。


「あー!おもしれえ!最後は俺だな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おいでませ神様のつくるミニチュア空間へ

森羅秋
ファンタジー
目を開いたら『私』ではない人間になっていた。 ホラー夢は楽しいなぁ。とエンディングまで進めたが、いつまで経っても夢から醒めない。 もしかして、これは現実? いやあり得ない。だって『私』が住んでいた世界ではないから。 それに私の名前は………………えっと、なんだっけ? 天路国という異世界で目覚めた『私』。 防衛組織カミナシに所属している『息吹戸瑠璃』になっていた。 自分が何者かわからないまま、息吹戸として異界からの侵略者を討伐する日々を送る。 いつかは夢が覚めて元の世界に戻るはず。それまでは…… <こちらの世界に来た時に記憶喪失になりましたが 神話の知識が役に立つので、愛想尽かされないように立ち回ろうと思います!> ・ ・ ・ 8/31から続きが始まります。その後9/30まで毎日投稿します。 ホラー要素やバトル、強い女性が好きな方はぜひ読んでみて下さい! ・ ・ ・ □補足□ ☆世界の神話、神様やモンスターを参考にしています。(ただしクトゥルフ神話は省いています) ☆物語の都合上、神話とは違う動きや機能を持たせていますがご了承ください。 ☆軽めの復讐劇になります。 同作品を小説家になろう・カクヨムに投稿しています。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

世界中にダンジョンが出来た。何故か俺の部屋にも出来た。

阿吽
ファンタジー
 クリスマスの夜……それは突然出現した。世界中あらゆる観光地に『扉』が現れる。それは荘厳で魅惑的で威圧的で……様々な恩恵を齎したそれは、かのファンタジー要素に欠かせない【ダンジョン】であった! ※カクヨムにて先行投稿中

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

処理中です...