正反対の2人

ももたろ

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似たもの同士

交わった先で得たもの

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僕は怖くて顔を見ることができなかった。

ずっと俯く僕に今までとは違う優しい声が降ってきた。

「顔をあげてよ」

その声に反応して顔を上げた僕がみた彼の顔はすごく優しい顔をしていた。

そして彼は続けてこう言った。

「まずは、そんな風に俺のこと思ってくれてありがとう」

僕は続きを聞かなくても振られることなんてわかってた。いつの間に悲しい顔になっていたらしい僕の顔を見て彼が笑いながら言った。

「そんな顔しないでよ笑 俺もお前のことずっと好きだったよ。話し掛けたのも気になってたから。好きになって欲しくて」

僕は驚いて声が出なかった。嬉しさと驚きでまた僕は変な顔になっていたらしい。

「だからそんな変な顔しないでよ笑」

彼は笑っていた。つられて僕も笑った。

ふと僕は不思議に思ったことを聞いてみた。

「でも、僕と君は正反対なのになんで僕のこと好きになってくれたの?」

そう言うと彼は

「本当は俺人見知りだし人と喋る時緊張するしお前と同じ分類だよ。学校にいる時は学校用の自分を身に纏ってるだけ。この前休んだのはそんな自分に疲れたから。お前に話しかけるのやめたのはお前が嫌そうな顔してたのもあるけどそれよりも、こんな俺のこと好きになってくれるわけないよなって諦めたから笑」

彼は悲しそうに笑ってた。

僕は本当の彼を少し知れた気がした。

それがとてつもなく嬉しくて気付いたら僕は笑っていた。

そんな僕につられて彼も笑っていた。

僕だけが知ってる本当の彼。

それを知るのはこれからも僕だけでいい。

周りの人から見れば僕と彼は正反対の2人。

だけど僕と本当の彼は似たもの同士。

これからも学校での生活はお互い変えるつもりはない。

友達と笑い合っている彼を見ても嫉妬する事はない。

だってそれは偽りの彼だから。

そして僕の生活でひとつ変わった事がある。

それは窓から差し込む太陽に照らされたその眩しい横顔を隣で見る事だ。

そんな僕に気付いて彼がこちらを向いた。

その顔は太陽よりも輝いていた。

やっぱり好きだな。

これからもその顔を向ける相手は僕であって欲しい。

そんなことを思いながら僕は今日もいつも通りの日々を過ごす。

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