正反対の2人

ももたろ

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正反対の2人

交わるはずなかった2人

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それからはお互い話すこともなく別々の生活を送っていた。

僕も今まで通りの平凡な日々が戻ってきた。

1つ違うことがあるとするならば、僕の視線の先にあるものだ。

今までの僕は人と関わらずに本ばかりを読んでいた。

なのに最近の僕は気づいたら彼のことを観察してしまっている。

誰も傷つかないような言葉遣い。普段の行動の中に見える些細な優しさ。友達に見せる優しい表情。いつもヘラヘラしてるくせに時々辛そうな表情をするところ。

そのどれもが僕の視線を奪っていた。

その言葉遣い、優しさ、表情。その全てが僕だけのものであって欲しいと思った。

僕は恋していた。

気づいた時にはもう遅かった。

また話したくて仕方なかった。

でも彼はもう僕に話しかけてくれないだろう。

僕はまた勇気を振り絞って話しかけた。

今度はなんて話しかけるかしっかり決めていた。

「あのさ!また僕と話して欲しい」

すると彼はあの時みたいに驚いた顔をした。でも、すぐに今度は悲しそうな顔で笑ってこう言った。

「なんでこんな俺と話したいんだよ」

もう逃げないと決めた僕はこう言った。

「君と友達になりたいから」

本当は好きだと伝えてしまいたかったが、流石にそれは引かれると思い勇気が出なかった。

すると彼はまた少し驚きながらもこう言った。

「いきなりなんだよ。大体、この前俺が話しかけた時は嫌そうな顔してたくせに今度は友達になりたいなんて意味がわからない」

その声は少し怒ってるようにも聞こえた。

それはそうだと思った。でも、ここで身を引いたところで僕の気持ちは治らないと分かっていたから僕はもうどうにでもなれと言う思いで彼に想いをぶつけていた。

「最初、話しかけてくれた時は本当に嫌だと思ってた。だけど、急に話しかけられなくなってから毎日つまらなくて。しかも気付いたら君のことずっと観察しちゃってて、、それで、僕、、いつの間にか好きになってた」
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