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横須賀教育隊
着隊1
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200◯年3月
どうにか高校を卒業した。
サボりで出席日数がたりなくなりそうだったり、追試を受けまくってやっとではあったが。
そして3年間で蓄えたオタクとしての知識量に比例して、体重も増えた。
立派なクソキモデブオタの完成である。
だが昨今のSNSで見なくなったテンプレのようなクソキモデブオタの納品先…もとい進路は海上自衛隊なのだ。
3月の末ごろ
着隊日の朝に募集広報官に指示された集合場所に向かう。
優しいことにわざわざ居住地の最寄りの駅から教育隊に送迎してくれるらしい。
広報官はニコニコで挨拶し、私を車に案内し、高校を卒業したてで緊張する私に朝飯を奢ってくれて、車内ではジュースもくれる。
「なんて優しいんだ」とこの頃は思っていたが、今ではこの広報官も大変な苦労があることを知っている。
クソキモデブオタの私でも、自分から志願して入隊までしてくれるのだから大歓迎だろう…
当時の自衛隊はそれ程人気が無かった。
やがて車は横須賀教育隊という看板がデカデカとある門を潜る。
入隊前の説明会では今後4か月訓練を行う学校のような施設とのことだった。
手入れのされた芝生、広々としたグランド、真っ白で綺麗な建物、大きな食堂や体育館といったものが並ぶ広大な敷地。
馬鹿な私は「FMJ(フルメタルジャケット:ミリオタ必修の戦争もの映画)の舞台だ」などと暢気に眺めていた。
数日後には吐きながら走らされることも知らず。
「これから頑張ってね!」と満面の笑みを浮かべる広報官に見送られて、とある建物に入る。
中の案内係の隊員に指定された講堂に入ると、既に到着している人間が沢山いた。
彼らは私の同期となる人達である。
面白いのがスーツの者、Tシャツハーパンの者、上下スウェットの者、なぜか迷彩服をきている者と服装がまちまちなのだ。
更にどこにでもいる短髪が多いが、ロン毛、スキンヘッド、なぜかモヒカンの者。
茶髪やメッシュが入っている者もいる。
講堂の中は説明が無ければ何の集まりかわからない連中が静かに椅子に座っている、不思議な空間になっていた。
合格の通知には着隊案内というマニュアルが入っており、着隊日の携行品などが大まかに書いてあるにも関わらずこの様である。
つまり"この段階では"その程度の人間が多数なのだ。
何一つ安心できる要素がないのだが安心してほしい。
そんな人達も全員自ら志願し、試験を受けて合格した選ばれし者達なのである
…と、自分に言い聞かせて空いている席に着く。
全員揃うとまず配属分隊(教育隊での組分けみたいなもの)が言い渡される。
これから4か月、一つ屋根の下(どころか同じ部屋)で一緒に寝食を共にし、苦楽を分かち合う仲間達が判明する。
私の配属された分隊はイケメンの元キャバクラ店長、
海外でライフセーバーをしていたが帰国して金を稼ぐために入隊してきた人、
実家を継ぐのが嫌で逃げてきた某寺の長男、
どう見てもヤクザだけど刺青は無いただの強面、
女と酒が大好きだが口調がオカマのガチムチ、
そして元サラリーマンが多いという構成。
高卒の同年代はあまりいなかった。
世は就職氷河期末期、当時の班長(海自では指導してくれる1~3曹の教官を指す)曰く「ここ何年かで一番ワケノワカラン奴らが多かった」世代である。
兎にも角にもそんなバラエティ豊富な出自の…まんま、フルメタルジャケットの世界のキャラのような同期達との生活が始まるのだ。
どうにか高校を卒業した。
サボりで出席日数がたりなくなりそうだったり、追試を受けまくってやっとではあったが。
そして3年間で蓄えたオタクとしての知識量に比例して、体重も増えた。
立派なクソキモデブオタの完成である。
だが昨今のSNSで見なくなったテンプレのようなクソキモデブオタの納品先…もとい進路は海上自衛隊なのだ。
3月の末ごろ
着隊日の朝に募集広報官に指示された集合場所に向かう。
優しいことにわざわざ居住地の最寄りの駅から教育隊に送迎してくれるらしい。
広報官はニコニコで挨拶し、私を車に案内し、高校を卒業したてで緊張する私に朝飯を奢ってくれて、車内ではジュースもくれる。
「なんて優しいんだ」とこの頃は思っていたが、今ではこの広報官も大変な苦労があることを知っている。
クソキモデブオタの私でも、自分から志願して入隊までしてくれるのだから大歓迎だろう…
当時の自衛隊はそれ程人気が無かった。
やがて車は横須賀教育隊という看板がデカデカとある門を潜る。
入隊前の説明会では今後4か月訓練を行う学校のような施設とのことだった。
手入れのされた芝生、広々としたグランド、真っ白で綺麗な建物、大きな食堂や体育館といったものが並ぶ広大な敷地。
馬鹿な私は「FMJ(フルメタルジャケット:ミリオタ必修の戦争もの映画)の舞台だ」などと暢気に眺めていた。
数日後には吐きながら走らされることも知らず。
「これから頑張ってね!」と満面の笑みを浮かべる広報官に見送られて、とある建物に入る。
中の案内係の隊員に指定された講堂に入ると、既に到着している人間が沢山いた。
彼らは私の同期となる人達である。
面白いのがスーツの者、Tシャツハーパンの者、上下スウェットの者、なぜか迷彩服をきている者と服装がまちまちなのだ。
更にどこにでもいる短髪が多いが、ロン毛、スキンヘッド、なぜかモヒカンの者。
茶髪やメッシュが入っている者もいる。
講堂の中は説明が無ければ何の集まりかわからない連中が静かに椅子に座っている、不思議な空間になっていた。
合格の通知には着隊案内というマニュアルが入っており、着隊日の携行品などが大まかに書いてあるにも関わらずこの様である。
つまり"この段階では"その程度の人間が多数なのだ。
何一つ安心できる要素がないのだが安心してほしい。
そんな人達も全員自ら志願し、試験を受けて合格した選ばれし者達なのである
…と、自分に言い聞かせて空いている席に着く。
全員揃うとまず配属分隊(教育隊での組分けみたいなもの)が言い渡される。
これから4か月、一つ屋根の下(どころか同じ部屋)で一緒に寝食を共にし、苦楽を分かち合う仲間達が判明する。
私の配属された分隊はイケメンの元キャバクラ店長、
海外でライフセーバーをしていたが帰国して金を稼ぐために入隊してきた人、
実家を継ぐのが嫌で逃げてきた某寺の長男、
どう見てもヤクザだけど刺青は無いただの強面、
女と酒が大好きだが口調がオカマのガチムチ、
そして元サラリーマンが多いという構成。
高卒の同年代はあまりいなかった。
世は就職氷河期末期、当時の班長(海自では指導してくれる1~3曹の教官を指す)曰く「ここ何年かで一番ワケノワカラン奴らが多かった」世代である。
兎にも角にもそんなバラエティ豊富な出自の…まんま、フルメタルジャケットの世界のキャラのような同期達との生活が始まるのだ。
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