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リーシャの両親
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異世界に着いた俺たちはギルドに向かって歩いていた。
リーシャには念の為、ローブを着せてある。
やはり、おかしいな。
デニムに騎士がいるなんて。リーシャを探しているのだろうか。
ここで姿を現してもいいのか?いや、もしかしたら指名手配で探している可能性もある。ギルドの張り紙がどうなっているかは確認した方がいいな。
俺たちはギルドの中に入った。
「あっ、アマネ。久しぶり」
「ミサか」
「今日はミッション受けるの?」
「いや、別の用事があってな」
俺はギルドの貼り紙を確認する。
指名手配…………では無くなってる。
俺は小さくガッツポーズをした。
「アマネさん!」
リーシャは満面の笑みを浮かべた。
だが探しているのには代わりない。迷子を探しているみたいな張り紙は貼っている。
自由にさせる気はないって事か。
「婚約者の人、無罪だったみたいだね。二日前くらいに騎士の人が来て、言ってた」
「そうなのか───」
俺はミサの肩に手を着いた。
「そうだけど………きゅ、急にどうしたの?」
「いや、何でもない」
とりあえず、命を狙っていないのは分かった。だがここで正体を現すのはやめた方がいいだろう。混乱を招く可能性がある。
「じゃあなミサ」
「もう行くの?」
「ああ、やる事があるんだ」
俺たちはミサと別れ、ギルドを出た。
そうして街にいる騎士の一人に声をかけた。
「どうかされましたか?」
「これから見せるものに対して攻撃しないと誓えますか?」
「どういう事だ?」
そう言って騎士は腰に携えている剣に手をかけた。
「誓えないのでしたら良いです」
そう言って俺たちは騎士の元を去る素振りを見せた。
ここまで怪しい問いを投げたんだ。騎士なら当然、見逃せないだろう。
「…………待て。分かった。誓おう」
「でしたら少しこちらに来てください」
「何故だ?」
「混乱は避けたいので」
そう言って俺たちは騎士を連れ、人気の少ない場所に来た。
「(リーシャ、準備はいいか?)」
俺は耳打ちでリーシャにそう言った。
「(はい)」
リーシャも耳打ちでそう返してきた。
「では見せます」
俺はそう言って、リーシャの来ているローブを脱がした。
そこから現れた長い銀色の髪がサラサラと風になびかれ、揺れていた。
騎士は一瞬驚いた顔をし、剣を握ったが、すぐにその手を離した。
そしてその場に跪いた。
「リーシャ・ミリセント様……………ご無事でいらっしゃったのですね」
<感覚>が反応していない。
どうやら攻撃の意思は無いようだ。
「要求は一つです。俺とリーシャを安全に城まで連れて行ってください」
「承知しました。すぐに竜車を手配します」
そう言って騎士はどこかに向かって走っていった。
「はぁ~緊張した…………」
「ですね…………」
俺たちは力が抜けたようにその場に座り込んだ。
どうやら<信用強制《ジェノサイド》>はちゃんと切れているらしい。
そして秩序に乗っ取り、改変された部分を必死に戻そうとしている。
皮肉なものだな。秩序に助けられるなんて。
そうして待っていると、俺たちの前に竜車が到着した。
俺たちは中に乗り込む。
「では出発します」
その言葉と同時に竜車は城に向かって走り出した。
俺たちは緊張を解すため、手をつなぎ、その時を待った。
竜車に揺られること数時間、ついに城に到着した。
俺たちは竜車から降りる。
すると銀髪に立派な髭を生やした男と銀髪に厚化粧の女が近づいてきた。
どことなく、リーシャに似ている容姿をしていた。
「誰だ?」
「両親です…………」
「っ!?」
リーシャは少し怯えているような、緊張しているような顔をした。
両親はリーシャの前に立つと怒りの表情を浮かべ、口を開いた。
「リーシャ!今まで一体何をしていたんだ!マルクス王子を待たせるんじゃない!」
「そうよ!婚約者としての自覚がないのかしら」
なんだこいつら、まずはリーシャを心配するところだろ。
リーシャは暗い顔をし、俯く。身体を振るえさせ、怯えていた。
「申し訳───」
「そんな言い方無いんじゃないですか?」
「誰よ、あなた」
「アマネ・シュンと申します。俺はこの時までずっとリーシャを信じ、守ってきました。どこかのクズ親と違って」
俺がそう言うとリーシャの両親は更に顔を赤くさせた。
「クズ親だと!口の聞き方に気を付けろよ小僧!だいたいあの話はスキルで嘘を信じ込まされていたと言うじゃないか!それなら、仕方ない事だろ!」
「仕方ないですか……………。俺もあのスキルを食らったことがありますが、効きませんでしたよ。何でか分かりますか?」
俺がそう言うとリーシャの両親は驚愕の表情を浮かべた。
「俺は心からリーシャを信じていたからです。だから効かなかった。つまりあなた達は自分の娘を信じていなかったということになります。ほんと、親として失格ですよ」
俺がそう言うと、リーシャの両親は怒りに任せてこんな事を言った。
「黙りなさい!あんたに何がわかるっていうのよ!リーシャが指名手配になっている間、私たちがどれだけ肩身の狭い思いをしたか、分からないでしょ!」
「だいたいリーシャが要らん反感をかったせいでこんな事になったんだぞ!」
「そんな…………私のせいですか…………」
リーシャは瞳に涙を溜めていた。今にもこぼれ落ちそうな程に。
「そうだ!お前のせいだ!全部お前が悪い!謝れ!私たちに謝れ!」
「ほら、早く謝りなさいよ!迷惑かけてすみませんでしたって頭を下げなさい!」
そう言って母親がリーシャの頭を掴んだ。
俺は我慢できなかった。
こんな親を持ったリーシャが不憫でならなかった。
「な、何よこれ…………」
「貴様!何をする!」
「ふざけるなよお前ら」
俺は<│束縛の呪い《バインド》>でリーシャの両親を縛った。
「貴様!何のつもりだ!」
騎士が剣を構えた。
焦ったリーシャが俺の腕を揺すり口を開いた。
「アマネさん、ありがとうございます。でも私は大丈夫ですから……………」
俺は全てを無視して話を続ける。
「リーシャがどんな気持ちで逃げたかお前らに分かるか?親にすら信じてもらえず、ありもしない罪をきせられた気持ちが分かるのか?お前ら、親だろ?無事にここへ帰ってきた娘を心配するべきじゃないのか?優しく抱きしめてあげるべきじゃないのか!!」
こんなことを言ったってこの二人には響かないだろう。だが抑えることが出来なかった。
リーシャを苦労を分からせてやりたくなった。
リーシャは大粒の涙を流していた。こんなに泣いているのを見るのは初めてかもしれない。
「これはリーシャが起こした問題だ。自分で責任を取るのが当然だ」
「そうだとしても信じてやるくらいはできるだろ?」
「その行為に何の意味があるというのだ?娘を叱ることこそ親としての責務だ。それ以外は不要なのだよ」
「出来の悪い娘をここまで育てたのは私達よ。その恩をこんな形で返されたのに、どうして心配なんかしたいといけないのよ」
出来が悪いだと。こんな親の言うことを文句も言わずに聞き続けたリーシャが?
最後まで諦めず、敵に立ち向かってきたリーシャのどこが出来が悪いんだ。
俺は手から血が滲み出るほどに拳を強く握った。
それが攻撃の意思表示として見られたのだろう、騎士が俺を取り囲んできた。
その時だった───。
「もういい加減にしてください!!」
城全体に響くほどに大きな声でリーシャはそう言った。
声だけでわかった。
両親に対して心の底から怒っていると。
─────────────────────────
ストックが無くなりましたので、次話から不定期更新になりますm(_ _)m
リーシャには念の為、ローブを着せてある。
やはり、おかしいな。
デニムに騎士がいるなんて。リーシャを探しているのだろうか。
ここで姿を現してもいいのか?いや、もしかしたら指名手配で探している可能性もある。ギルドの張り紙がどうなっているかは確認した方がいいな。
俺たちはギルドの中に入った。
「あっ、アマネ。久しぶり」
「ミサか」
「今日はミッション受けるの?」
「いや、別の用事があってな」
俺はギルドの貼り紙を確認する。
指名手配…………では無くなってる。
俺は小さくガッツポーズをした。
「アマネさん!」
リーシャは満面の笑みを浮かべた。
だが探しているのには代わりない。迷子を探しているみたいな張り紙は貼っている。
自由にさせる気はないって事か。
「婚約者の人、無罪だったみたいだね。二日前くらいに騎士の人が来て、言ってた」
「そうなのか───」
俺はミサの肩に手を着いた。
「そうだけど………きゅ、急にどうしたの?」
「いや、何でもない」
とりあえず、命を狙っていないのは分かった。だがここで正体を現すのはやめた方がいいだろう。混乱を招く可能性がある。
「じゃあなミサ」
「もう行くの?」
「ああ、やる事があるんだ」
俺たちはミサと別れ、ギルドを出た。
そうして街にいる騎士の一人に声をかけた。
「どうかされましたか?」
「これから見せるものに対して攻撃しないと誓えますか?」
「どういう事だ?」
そう言って騎士は腰に携えている剣に手をかけた。
「誓えないのでしたら良いです」
そう言って俺たちは騎士の元を去る素振りを見せた。
ここまで怪しい問いを投げたんだ。騎士なら当然、見逃せないだろう。
「…………待て。分かった。誓おう」
「でしたら少しこちらに来てください」
「何故だ?」
「混乱は避けたいので」
そう言って俺たちは騎士を連れ、人気の少ない場所に来た。
「(リーシャ、準備はいいか?)」
俺は耳打ちでリーシャにそう言った。
「(はい)」
リーシャも耳打ちでそう返してきた。
「では見せます」
俺はそう言って、リーシャの来ているローブを脱がした。
そこから現れた長い銀色の髪がサラサラと風になびかれ、揺れていた。
騎士は一瞬驚いた顔をし、剣を握ったが、すぐにその手を離した。
そしてその場に跪いた。
「リーシャ・ミリセント様……………ご無事でいらっしゃったのですね」
<感覚>が反応していない。
どうやら攻撃の意思は無いようだ。
「要求は一つです。俺とリーシャを安全に城まで連れて行ってください」
「承知しました。すぐに竜車を手配します」
そう言って騎士はどこかに向かって走っていった。
「はぁ~緊張した…………」
「ですね…………」
俺たちは力が抜けたようにその場に座り込んだ。
どうやら<信用強制《ジェノサイド》>はちゃんと切れているらしい。
そして秩序に乗っ取り、改変された部分を必死に戻そうとしている。
皮肉なものだな。秩序に助けられるなんて。
そうして待っていると、俺たちの前に竜車が到着した。
俺たちは中に乗り込む。
「では出発します」
その言葉と同時に竜車は城に向かって走り出した。
俺たちは緊張を解すため、手をつなぎ、その時を待った。
竜車に揺られること数時間、ついに城に到着した。
俺たちは竜車から降りる。
すると銀髪に立派な髭を生やした男と銀髪に厚化粧の女が近づいてきた。
どことなく、リーシャに似ている容姿をしていた。
「誰だ?」
「両親です…………」
「っ!?」
リーシャは少し怯えているような、緊張しているような顔をした。
両親はリーシャの前に立つと怒りの表情を浮かべ、口を開いた。
「リーシャ!今まで一体何をしていたんだ!マルクス王子を待たせるんじゃない!」
「そうよ!婚約者としての自覚がないのかしら」
なんだこいつら、まずはリーシャを心配するところだろ。
リーシャは暗い顔をし、俯く。身体を振るえさせ、怯えていた。
「申し訳───」
「そんな言い方無いんじゃないですか?」
「誰よ、あなた」
「アマネ・シュンと申します。俺はこの時までずっとリーシャを信じ、守ってきました。どこかのクズ親と違って」
俺がそう言うとリーシャの両親は更に顔を赤くさせた。
「クズ親だと!口の聞き方に気を付けろよ小僧!だいたいあの話はスキルで嘘を信じ込まされていたと言うじゃないか!それなら、仕方ない事だろ!」
「仕方ないですか……………。俺もあのスキルを食らったことがありますが、効きませんでしたよ。何でか分かりますか?」
俺がそう言うとリーシャの両親は驚愕の表情を浮かべた。
「俺は心からリーシャを信じていたからです。だから効かなかった。つまりあなた達は自分の娘を信じていなかったということになります。ほんと、親として失格ですよ」
俺がそう言うと、リーシャの両親は怒りに任せてこんな事を言った。
「黙りなさい!あんたに何がわかるっていうのよ!リーシャが指名手配になっている間、私たちがどれだけ肩身の狭い思いをしたか、分からないでしょ!」
「だいたいリーシャが要らん反感をかったせいでこんな事になったんだぞ!」
「そんな…………私のせいですか…………」
リーシャは瞳に涙を溜めていた。今にもこぼれ落ちそうな程に。
「そうだ!お前のせいだ!全部お前が悪い!謝れ!私たちに謝れ!」
「ほら、早く謝りなさいよ!迷惑かけてすみませんでしたって頭を下げなさい!」
そう言って母親がリーシャの頭を掴んだ。
俺は我慢できなかった。
こんな親を持ったリーシャが不憫でならなかった。
「な、何よこれ…………」
「貴様!何をする!」
「ふざけるなよお前ら」
俺は<│束縛の呪い《バインド》>でリーシャの両親を縛った。
「貴様!何のつもりだ!」
騎士が剣を構えた。
焦ったリーシャが俺の腕を揺すり口を開いた。
「アマネさん、ありがとうございます。でも私は大丈夫ですから……………」
俺は全てを無視して話を続ける。
「リーシャがどんな気持ちで逃げたかお前らに分かるか?親にすら信じてもらえず、ありもしない罪をきせられた気持ちが分かるのか?お前ら、親だろ?無事にここへ帰ってきた娘を心配するべきじゃないのか?優しく抱きしめてあげるべきじゃないのか!!」
こんなことを言ったってこの二人には響かないだろう。だが抑えることが出来なかった。
リーシャを苦労を分からせてやりたくなった。
リーシャは大粒の涙を流していた。こんなに泣いているのを見るのは初めてかもしれない。
「これはリーシャが起こした問題だ。自分で責任を取るのが当然だ」
「そうだとしても信じてやるくらいはできるだろ?」
「その行為に何の意味があるというのだ?娘を叱ることこそ親としての責務だ。それ以外は不要なのだよ」
「出来の悪い娘をここまで育てたのは私達よ。その恩をこんな形で返されたのに、どうして心配なんかしたいといけないのよ」
出来が悪いだと。こんな親の言うことを文句も言わずに聞き続けたリーシャが?
最後まで諦めず、敵に立ち向かってきたリーシャのどこが出来が悪いんだ。
俺は手から血が滲み出るほどに拳を強く握った。
それが攻撃の意思表示として見られたのだろう、騎士が俺を取り囲んできた。
その時だった───。
「もういい加減にしてください!!」
城全体に響くほどに大きな声でリーシャはそう言った。
声だけでわかった。
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