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直接対決
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「面をあげよ」
マルクス王子がそう言い俺たちは顔を上げる。
「そなたがアマネ・シュンだな」
そう言って俺の方に視線を送るマルクス王子。
「はい」
「ではそなたの隣におるのは何者だ?」
そう言ってリーシャの方を見るマルクス王子。
どうやらリーシャだと気づいていないようだ。
<色素変化>で黒髪黒目に変え、買っておいた伊達メガネをかけさせた事で上手く隠せているのだろう。
ここまでは計画通りに進んでいる。
リーシャは俺の妹という設定でいくつもりだ。
「こちらは我が妹の天音 里奈《りな》と言います」
「妹であったか……………」
良かった。怪しまれてなさそうだ。
「そなたらをここに招いたのは竜討伐の礼をするためだ。望みを言ってみよ。出来る限りのものは用意しよう」
この質問がくるのは分かっていた。
危険を承知ではあるが俺たちが望むものは一つ───リーシャ・ミリセントについてだ。
「では一つ質問をよろしいでしょうか?」
「良かろう。言ってみよ」
「現在、指名手配されているリーシャ・ミリセントについてお聞かせ願いたいく存じます」
俺がそう言うとマルクス王子の眉がピクリと動いた。
「何故それが知りたい?」
明らかに疑いの目を向けてくるマルクス王子。
「指名手配の貼り紙を見ていたところ少々興味が湧いたまでです。牢獄から抜け出せる実力をお持ちであるならば私自身、警戒してしまいますから」
「………………そうか。良いだろう」
「良いのですか?マルクス王子」
護衛の騎士がそう言った。
「別に良い。隠さなければならないものでもないからな」
なるほど相当嘘に自信があるわけか。でないとまず話すこともしないだろう。
指名手配で追われている犯人の話だ。隠そうと隠すまいと王子にとってはどちらでもいいことだからな。
「リーシャ・ミリセントは反国家主義の貴族、複数名と手を組み、ゼブン国王の暗殺を企んでいたのだ」
この話はリーシャから事前に聞いていた内容と合致している。
だがリーシャは言っていた。これが分かりやすくでっち上げられていた嘘であり、少なくともミリセント家の人間であれば疑問を持つ内容だと。
なぜなら、学業や花嫁修業などで忙しくしていたリーシャに貴族と密会しているような暇は無かったのだ。
「どうしてリーシャ・ミリセントは国王の暗殺を企んでいたのでしょうか?」
「王国に不満がある者は少なくない。リーシャもその一人だっただけだ」
「マルクス王子の元婚約者であったのに、でしょうか?」
「───そなたは何が言いたいのだ」
少し圧のある口調でそう言うマルクス王子。
これがもう一つの不可解な点だ。
リーシャが国王の暗殺をする動機が見当たらないのだ。
もし動機が婚約であるのだとするならばマルクス王子を標的にすればいいし、王国を乗っ取りたいのであれば反国家主義の貴族だけではなく他国の協力も不可欠のはずだ。
もしこの暗殺計画が成功したとしても少しの間国がパニックになる程度の事でリーシャにとってメリットが無いと言ってもいいのだ。
「いえ、少し情報に誤りがあるのではと考えただけです」
「そなたは動機が不明というだけで私達の調べが誤りだというのか?」
鋭い瞳を俺に向けそう言うマルクス王子。
その目は嘘がバレそうになって動揺したとかではなく───俺たちを疑っているかのようなものだった。
「……………失礼しました。無礼をお許しください」
俺は深く頭を下げた。
「良いだろう。今回だけは不問としよう。だが質問はこれで終わりだ。今すぐに立ち去るがいい」
「ははっ」
俺たちは言われた通りマルクス王子の前から去った。
どういう事だ?何故動揺するのではなく俺たちを疑うような目で見てきたんだ?
それに嘘にしては分かりやすすぎる。本当に人を騙そうとするならば動機もはっきりさせるはずだ。
もしかしてマルクス王子は嘘をついていないのか?リーシャが邪魔だから嘘の罪を着せた訳ではなく、本当に罪を犯していると思っているのだとしたら───。
くそっ、訳がわからん。
俺たちは扉を開け、部屋を出た。
何だ?さっきと雰囲気が違う……………。
メイドを探す必要があるが扉の前には騎士がいる。怪しい行動は出来ないな。
俺たちは周囲を軽く確認しながら城の出口へと向かった。
「(アマネさん。メイドを探さなくて無いのですか?)」
小声でそう言うリーシャ。
「(大丈夫だ。多分、探さなくても見つかる)」
俺がそう言うとリーシャは首を傾げた。
マルクス王子の元を去ってからというもの<感覚>によってずっと嫌な気配を感じている。
まるで捕食者が獲物を狙っているかのような感じだ。
そうしてメイドを見つける事が出来ないまま庭に出た。
そこには見張りの騎士の姿はなく、赤髪のメイドが一人で庭の掃除をしているのが見えた。
前髪が長めで顔がよく見えないので少し怪しい。
だがリーシャから聞いていたメイドは青髪にメガネだ。
するとそのメイドは俺たちに気がついたのか顔をハッとさせ頭を下げてきた。
俺たちは軽く会釈をしてそのメイドとすれ違う。
そこで俺は足を止めた。
「アマネさん?」
俺は振り返り、メイドに向かって<束縛の呪い>を使った。
「ぐっ……………」
「アマネさん!何をしてるんですか!」
特徴の違うメイドに魔法を使った俺にリーシャはそう言った。
リーシャの中でメイドは青髪メガネという特徴でしか記憶していない。
だから少しでも姿が変われば気が付かないのだ。
カランッ。
メイドの腕からナイフが落ちてきた。
「えっ……………どうしてナイフなんて……………?」
そう言って青ざめるリーシャ。
「髪の色を変えた程度で俺が騙せるとでも思ったのか?」
このメイドの髪は<色素変化>で色を変えたものだ。なので青以外の色にも変えることができる。
だが魔力を使って変えているので<魔眼>を通してみればスキルを使っていることは丸わかりなのだ。
つまりこのメイドが俺たちの探していたやつだという事だ。
「何のことですか?早く私を離してください!」
そう言って抵抗を始めるメイド。
「嫌だね」
俺はメイドの顔を確認しようと前髪に手を伸ばす。
「何をしている貴様!」
城内から数人の騎士が飛び出してきた。
さすがにバレるのが早すぎる。
これが嫌な気配の正体か。
俺たちを警戒し、ずっと見てきていたのだろう。
だからこんなにも早く向かってきたわけだ。
俺は魔法を解除し、メイドから距離を置く。
「このメイドがナイフを向けてきたので捕まえただけです。危害を加えるつもりはありませんでした」
騎士はメイドの近くに落ちているナイフを見て口を開いた。
「パペットどういう事だ?」
パペット、このメイドの名前か。メイドだというのに騎士と面識があるのか?
するとメイドは不敵な笑みを浮かべ口を開いた。
「違うんです!この男が連れている女がリーシャ・ミリセントだと気づいたからです!」
「えっ…………?」
そう声を漏らすリーシャの顔には焦りが見えた。
だが今の彼女にリーシャの特徴である銀髪は皆無だ。さすがの騎士も信じるはずがない。
だがこのメイドは何か確信を持ってそう言ったはずだ。
俺の近くにリーシャが居ることを知っているのは───。
このメイドはずっと俺たちの近くにいたというわけか。嘘であってもらいたいものだ。
するとメイドが俺の方に向かってこう言った。
「あなたもいいかげん目を覚ましなさい!リーシャ・ミリセントは犯罪者なんですよ!」
「ああ、確かにそうだな───」
「えっ?アマネさん………………」
メイドは不敵な笑みを浮かべた。
「───なんて言うと思ったか?」
俺がそう言うとメイドは怒りの表情を浮かべた。
「どこまでこの女を信用して…………!早くその女を捕らえてください!」
「大人しくすれば痛い思いをせずに済むぞ」
そう言って騎士達は俺たちの前に立ち剣を抜いた。
リーシャは身体をブルブルと震わせ怯えている。
俺は漆黒の刀を構え、騎士に向ける。
「安心しろリーシャ。俺はこの騎士達みたいに操られたりはしないから」
さっき<魔眼>を通してメイドを見た時、発する言葉に魔力が含まれていた。
これは何かのスキルを使っているということになる。おそらくその言葉を聞いたものは何の疑いもなく信じてしまうのだろう。
だからこの騎士達は俺の隣にいる黒髪の少女をリーシャと決めつけた。
自分の意思では無くメイドの言った通りに動いてるただの操り人形だ。
つまりあのメイドが使っているのは自身の発言を強制的に信じさせる類のスキルだということだ。
───だが俺には効かなかった。
『どこまでこの女を信用して』このメイドの発言通りで解釈するのならば、俺のリーシャへの信用がスキルの強制力を上回った事で効果を打ち消したということになる。
つまりは一定以上の信用を持つ相手には通じないスキルという事だ。
マルクス王子はそこまでリーシャに対しての思い入れがなかったからこのメイドの嘘を信用したというわけか。
すると騎士が俺に向かって剣を振るってきた。
俺はそれを弾き、リーシャを守りながら後ずらしをしていく。
騎士を傷つけるのはあまりいい事では無い。
それにメイドの正体はもうわかったのだから。
ここは一度引いた方がいいだろう。
なぜならこのメイドは俺と同じように現実世界から来ている。
つまり<帰還>の特性を知っている。
こんなところで使ってしまえば次にこっちの世界に来た時、この庭に召喚されることになる。
確実に対策されるだろう。
召喚された瞬間───騎士に切りつけられる可能性だって考えられる。
最低でも全員を巻く必要があるわけだ。
俺は<漆黒の炎>で騎士たちとの間を分断し、こちらに来れないようにした。
その後、リーシャを引き城の門へと走り出す。
門をくぐり抜けた瞬間───何者かがリーシャに向けて剣を振るってきた。
マルクス王子がそう言い俺たちは顔を上げる。
「そなたがアマネ・シュンだな」
そう言って俺の方に視線を送るマルクス王子。
「はい」
「ではそなたの隣におるのは何者だ?」
そう言ってリーシャの方を見るマルクス王子。
どうやらリーシャだと気づいていないようだ。
<色素変化>で黒髪黒目に変え、買っておいた伊達メガネをかけさせた事で上手く隠せているのだろう。
ここまでは計画通りに進んでいる。
リーシャは俺の妹という設定でいくつもりだ。
「こちらは我が妹の天音 里奈《りな》と言います」
「妹であったか……………」
良かった。怪しまれてなさそうだ。
「そなたらをここに招いたのは竜討伐の礼をするためだ。望みを言ってみよ。出来る限りのものは用意しよう」
この質問がくるのは分かっていた。
危険を承知ではあるが俺たちが望むものは一つ───リーシャ・ミリセントについてだ。
「では一つ質問をよろしいでしょうか?」
「良かろう。言ってみよ」
「現在、指名手配されているリーシャ・ミリセントについてお聞かせ願いたいく存じます」
俺がそう言うとマルクス王子の眉がピクリと動いた。
「何故それが知りたい?」
明らかに疑いの目を向けてくるマルクス王子。
「指名手配の貼り紙を見ていたところ少々興味が湧いたまでです。牢獄から抜け出せる実力をお持ちであるならば私自身、警戒してしまいますから」
「………………そうか。良いだろう」
「良いのですか?マルクス王子」
護衛の騎士がそう言った。
「別に良い。隠さなければならないものでもないからな」
なるほど相当嘘に自信があるわけか。でないとまず話すこともしないだろう。
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「リーシャ・ミリセントは反国家主義の貴族、複数名と手を組み、ゼブン国王の暗殺を企んでいたのだ」
この話はリーシャから事前に聞いていた内容と合致している。
だがリーシャは言っていた。これが分かりやすくでっち上げられていた嘘であり、少なくともミリセント家の人間であれば疑問を持つ内容だと。
なぜなら、学業や花嫁修業などで忙しくしていたリーシャに貴族と密会しているような暇は無かったのだ。
「どうしてリーシャ・ミリセントは国王の暗殺を企んでいたのでしょうか?」
「王国に不満がある者は少なくない。リーシャもその一人だっただけだ」
「マルクス王子の元婚約者であったのに、でしょうか?」
「───そなたは何が言いたいのだ」
少し圧のある口調でそう言うマルクス王子。
これがもう一つの不可解な点だ。
リーシャが国王の暗殺をする動機が見当たらないのだ。
もし動機が婚約であるのだとするならばマルクス王子を標的にすればいいし、王国を乗っ取りたいのであれば反国家主義の貴族だけではなく他国の協力も不可欠のはずだ。
もしこの暗殺計画が成功したとしても少しの間国がパニックになる程度の事でリーシャにとってメリットが無いと言ってもいいのだ。
「いえ、少し情報に誤りがあるのではと考えただけです」
「そなたは動機が不明というだけで私達の調べが誤りだというのか?」
鋭い瞳を俺に向けそう言うマルクス王子。
その目は嘘がバレそうになって動揺したとかではなく───俺たちを疑っているかのようなものだった。
「……………失礼しました。無礼をお許しください」
俺は深く頭を下げた。
「良いだろう。今回だけは不問としよう。だが質問はこれで終わりだ。今すぐに立ち去るがいい」
「ははっ」
俺たちは言われた通りマルクス王子の前から去った。
どういう事だ?何故動揺するのではなく俺たちを疑うような目で見てきたんだ?
それに嘘にしては分かりやすすぎる。本当に人を騙そうとするならば動機もはっきりさせるはずだ。
もしかしてマルクス王子は嘘をついていないのか?リーシャが邪魔だから嘘の罪を着せた訳ではなく、本当に罪を犯していると思っているのだとしたら───。
くそっ、訳がわからん。
俺たちは扉を開け、部屋を出た。
何だ?さっきと雰囲気が違う……………。
メイドを探す必要があるが扉の前には騎士がいる。怪しい行動は出来ないな。
俺たちは周囲を軽く確認しながら城の出口へと向かった。
「(アマネさん。メイドを探さなくて無いのですか?)」
小声でそう言うリーシャ。
「(大丈夫だ。多分、探さなくても見つかる)」
俺がそう言うとリーシャは首を傾げた。
マルクス王子の元を去ってからというもの<感覚>によってずっと嫌な気配を感じている。
まるで捕食者が獲物を狙っているかのような感じだ。
そうしてメイドを見つける事が出来ないまま庭に出た。
そこには見張りの騎士の姿はなく、赤髪のメイドが一人で庭の掃除をしているのが見えた。
前髪が長めで顔がよく見えないので少し怪しい。
だがリーシャから聞いていたメイドは青髪にメガネだ。
するとそのメイドは俺たちに気がついたのか顔をハッとさせ頭を下げてきた。
俺たちは軽く会釈をしてそのメイドとすれ違う。
そこで俺は足を止めた。
「アマネさん?」
俺は振り返り、メイドに向かって<束縛の呪い>を使った。
「ぐっ……………」
「アマネさん!何をしてるんですか!」
特徴の違うメイドに魔法を使った俺にリーシャはそう言った。
リーシャの中でメイドは青髪メガネという特徴でしか記憶していない。
だから少しでも姿が変われば気が付かないのだ。
カランッ。
メイドの腕からナイフが落ちてきた。
「えっ……………どうしてナイフなんて……………?」
そう言って青ざめるリーシャ。
「髪の色を変えた程度で俺が騙せるとでも思ったのか?」
このメイドの髪は<色素変化>で色を変えたものだ。なので青以外の色にも変えることができる。
だが魔力を使って変えているので<魔眼>を通してみればスキルを使っていることは丸わかりなのだ。
つまりこのメイドが俺たちの探していたやつだという事だ。
「何のことですか?早く私を離してください!」
そう言って抵抗を始めるメイド。
「嫌だね」
俺はメイドの顔を確認しようと前髪に手を伸ばす。
「何をしている貴様!」
城内から数人の騎士が飛び出してきた。
さすがにバレるのが早すぎる。
これが嫌な気配の正体か。
俺たちを警戒し、ずっと見てきていたのだろう。
だからこんなにも早く向かってきたわけだ。
俺は魔法を解除し、メイドから距離を置く。
「このメイドがナイフを向けてきたので捕まえただけです。危害を加えるつもりはありませんでした」
騎士はメイドの近くに落ちているナイフを見て口を開いた。
「パペットどういう事だ?」
パペット、このメイドの名前か。メイドだというのに騎士と面識があるのか?
するとメイドは不敵な笑みを浮かべ口を開いた。
「違うんです!この男が連れている女がリーシャ・ミリセントだと気づいたからです!」
「えっ…………?」
そう声を漏らすリーシャの顔には焦りが見えた。
だが今の彼女にリーシャの特徴である銀髪は皆無だ。さすがの騎士も信じるはずがない。
だがこのメイドは何か確信を持ってそう言ったはずだ。
俺の近くにリーシャが居ることを知っているのは───。
このメイドはずっと俺たちの近くにいたというわけか。嘘であってもらいたいものだ。
するとメイドが俺の方に向かってこう言った。
「あなたもいいかげん目を覚ましなさい!リーシャ・ミリセントは犯罪者なんですよ!」
「ああ、確かにそうだな───」
「えっ?アマネさん………………」
メイドは不敵な笑みを浮かべた。
「───なんて言うと思ったか?」
俺がそう言うとメイドは怒りの表情を浮かべた。
「どこまでこの女を信用して…………!早くその女を捕らえてください!」
「大人しくすれば痛い思いをせずに済むぞ」
そう言って騎士達は俺たちの前に立ち剣を抜いた。
リーシャは身体をブルブルと震わせ怯えている。
俺は漆黒の刀を構え、騎士に向ける。
「安心しろリーシャ。俺はこの騎士達みたいに操られたりはしないから」
さっき<魔眼>を通してメイドを見た時、発する言葉に魔力が含まれていた。
これは何かのスキルを使っているということになる。おそらくその言葉を聞いたものは何の疑いもなく信じてしまうのだろう。
だからこの騎士達は俺の隣にいる黒髪の少女をリーシャと決めつけた。
自分の意思では無くメイドの言った通りに動いてるただの操り人形だ。
つまりあのメイドが使っているのは自身の発言を強制的に信じさせる類のスキルだということだ。
───だが俺には効かなかった。
『どこまでこの女を信用して』このメイドの発言通りで解釈するのならば、俺のリーシャへの信用がスキルの強制力を上回った事で効果を打ち消したということになる。
つまりは一定以上の信用を持つ相手には通じないスキルという事だ。
マルクス王子はそこまでリーシャに対しての思い入れがなかったからこのメイドの嘘を信用したというわけか。
すると騎士が俺に向かって剣を振るってきた。
俺はそれを弾き、リーシャを守りながら後ずらしをしていく。
騎士を傷つけるのはあまりいい事では無い。
それにメイドの正体はもうわかったのだから。
ここは一度引いた方がいいだろう。
なぜならこのメイドは俺と同じように現実世界から来ている。
つまり<帰還>の特性を知っている。
こんなところで使ってしまえば次にこっちの世界に来た時、この庭に召喚されることになる。
確実に対策されるだろう。
召喚された瞬間───騎士に切りつけられる可能性だって考えられる。
最低でも全員を巻く必要があるわけだ。
俺は<漆黒の炎>で騎士たちとの間を分断し、こちらに来れないようにした。
その後、リーシャを引き城の門へと走り出す。
門をくぐり抜けた瞬間───何者かがリーシャに向けて剣を振るってきた。
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