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出会いは突然

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パチパチと火がはぜる音が聴こえ、暖かくて木々と藁の香りが心地良い。此処は何処だろうか?寝ているのは確実だが、全身が宙に浮いているような気がする。体に硬い物が当たらず、雲に包まれているような。

ゆっくりと目を開ければ、火に照らされた、藁葺きの天井が見える。そして雲だと思っていたのは、布団だった。枕は沈み込む頭全てを面で受け止め、首や肩の全てに負担を与えず。布団は重さを微塵も感じない、綿菓子よりも軽くて柔らかい。それでいて暑くも寒くもない、理想的な暖かさ。これを知ってしまったら、二度と他の寝具で眠れないかもしれない。冬場の露天風呂から出る思いで、ゆっくりと這い出た。

布団をファサファサしながら、部屋を見渡す。屋根は少し高めの造りで、僕がジャンプしても届きそうにない。木造のワンルームで、置いてあるのは布団と焚き火と大きな壺だけ。ついでに床も半分無い。ゆっくり近づいて覗き込むと、足の踏み場のない物置のように感じる。位置的にここはロフトだろうか?

下に降りようと思ったが、梯子や階段は見当たらない。外の確認も窓は無く、出口らしきドアは一階なので難しそうだ。仕方がない、誰か来るまでファサファサする事にしよう。僕は布団を堪能した。

出口付近に近づく音が聞こえる。ライオンに襲われた時に聞こえた風切り音を、優しくしたような音。その音の持ち主はドアを開け、僕の目の前まで飛んで来た。

「どうも初めまして、貴方が満月平原まんげつへいげんでライオンに襲われていた獣人ですね。まさか酉族以外であの平原に来る獣人がいるなんて思いませんでしたよ。ああ、そんなに怯えなくても大丈夫、立ち入り禁止区域ではありませんから。それよりも気になるのはあの大岩ですね、稲の神様の祝福・・・いや、今はキコ様の祝福でしたね。あの大きさなら良い物が見つかりそうですし。いや、遠ざかったと言う事は、貴方がもう手に入れたのでしょうか?それにしてもいきなり眠ったって、副隊長が大慌てしいた時の顔と言ったらふべっ!?」
「いい加減にしろお喋りめ!困っているのが判らないのか!」

マシンガンのように話し出したのは、黄色いフワフワの羽毛が生えたインコのような獣人。鋭い突込みをしたのは、丈夫そうな羽をした隼のような獣人。一見すると金髪ショートの元気で明るいお兄さんと、黒髪ロングのかっこいいお姉さん。顔だけ見ればどちらも美形な人間だが、何となく鳥の獣人だと感じる。しかもどちらも腕は大きな羽で、足は鳥特有の形をしていた。本の通りなら、獣化段階Lv3に当たるだろう。

「あの、助けて頂いてありがとうございます。」
「気にするな!そもそも助けたの俺らじゃないし、事情を聴いた方が楽だと思う打算もあるだろうからね。ああ、俺は違うよ。俺は君みたいな多種族と話すのが好きなだけだから。それより君は尻尾がまだ生えてないんだね、そもそも戌?猫?それともあいたっ!?」
「まあ、早い話が岩について知ってる事と、君が何故あの場所にいたかを聞きたいのだ。」

漫才のような突込み音が響く中で僕は、日本から来た事とキコに会った事以外を話し。

「なるほど・・・恐らく君は先祖返りだ」

よく解らない結論が下された。
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