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第1章 OMT編
第4話 見学
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「えー今日は、昨日に引き続き魔力テストを行うが、この時間、見学者が来てくれている。我が校のアピールのためにも、力を抜かないように」
一人の先生が、大勢の生徒の前に立って魔力テストなるものの説明をする。場所は大きな壁に囲まれた円形の闘技場。生徒は皆、学校特製の厚めのローブを着ている。中には杖、魔法書などを持っている者がいる。翔太は、早く彼らの魔法を見てみたい、と期待していた。
「昨日はP3のテストだったが、今日はP4を巧く扱えるかどうかのテストだ」
「……ミア、P3とかP4とか、あの人何を言っているの?」
「ん?あー……今の翔太くんにはまだ難しいかもね、後で教えるよ!」
「あ、分かった……」
ミアが説明役として翔太に同行する。翔太にとってはありがたいことだが、たまに彼女は適当に済ませる時があるため、彼の心のモヤモヤは晴れないことがある。
とにかく翔太は、その魔力テストやらを見届けることにした。
「魔人形を遠くに設置した。遠距離まで届く魔法で攻撃だ、分かるな?それじゃあテンポ良く行こう!標的を動かして欲しい者は自主的に申し出るように」
先生の合図でテストが始まった。するとそこからは魔法のオンパレード。火の玉をすごい速さで飛ばし、人形を焼きつくしたり、樹の幹を生成して、人形の胴を貫く。翔太は、彼らの多種多様な魔法に圧倒された。
「翔太くん、まだまだ凄いの見れるよ。うちの本丸が登場するから!」
そう、ミアが言って指した先には、一人の黒髪の男が立っていた。本丸、翔太はそう言われると、彼にはどこかしらそのオーラがあるように思えた。
「先生、人形、動かしてくれ」
「ああ、分かった」
その男の希望で人形が動かされる。人形は凄まじく速い反復横飛びのようなものを始め、しまいには舞い上がった砂煙が人形の姿を呑み込んだ。
「!? あんなの、攻撃の当てようが……」
「まあ、見てて」
翔太の動揺など気に留めず、ミアは誇らしげな顔をしながらその男を見守る。
男が前方に手をかざして、詠唱した。
「スワロー・ワイドリー」
その瞬間、砂の上からでも分かるくらいの大きな黒い穴が人形の真下に開いた。その穴に人形と、周りの砂もろとも呑み込まれていく。これほどの広範囲の攻撃、人形の高速移動は彼に対して何も意味がなかった。
「彼の名前はギースっていうの。今は彼がこの学校で一番の実力者かな。通称“闇への案内人”とも呼ばれてる」
そう説明するミアの目はキラキラと輝いていた。魔法学校の実態、楽しそうな彼女の様子を見て、翔太は興奮を抑えきれない。彼の心はより「入学」の二文字に傾いた。
「“今は一番”って……、前は違ってたのか?」
翔太はミアに素朴な疑問を投げかけた。
「そう。トップ争いは熾烈なの。他にもグレイトって人とかいるけど、やっぱり今日のテストもサボってる……」
「サボり魔?」
「いや、気持ち悪いほどの努力家だよ……」
翔太は、テストはサボっているのに、努力家と言われているそのグレイトの存在に困惑した。その反面、その人をどこか羨ましくも感じた。
「あとは、アレスとか……」
ミアの顔が曇る。アレスという人の説明になって初めて、彼女の言葉は淀んだ。
「やっぱりいない……」
「どうした?」
「ううん!大丈夫!何でもないよ」
翔太には、彼女がその場しのぎの笑顔で誤魔化したように見えた。
「あっ!先生!」
ちょうど生徒全員の試験が終わって、ミアが先生に声を掛ける。
「見学者も、魔法を放ってみたいと言ってます!」
「……え?」
一人の先生が、大勢の生徒の前に立って魔力テストなるものの説明をする。場所は大きな壁に囲まれた円形の闘技場。生徒は皆、学校特製の厚めのローブを着ている。中には杖、魔法書などを持っている者がいる。翔太は、早く彼らの魔法を見てみたい、と期待していた。
「昨日はP3のテストだったが、今日はP4を巧く扱えるかどうかのテストだ」
「……ミア、P3とかP4とか、あの人何を言っているの?」
「ん?あー……今の翔太くんにはまだ難しいかもね、後で教えるよ!」
「あ、分かった……」
ミアが説明役として翔太に同行する。翔太にとってはありがたいことだが、たまに彼女は適当に済ませる時があるため、彼の心のモヤモヤは晴れないことがある。
とにかく翔太は、その魔力テストやらを見届けることにした。
「魔人形を遠くに設置した。遠距離まで届く魔法で攻撃だ、分かるな?それじゃあテンポ良く行こう!標的を動かして欲しい者は自主的に申し出るように」
先生の合図でテストが始まった。するとそこからは魔法のオンパレード。火の玉をすごい速さで飛ばし、人形を焼きつくしたり、樹の幹を生成して、人形の胴を貫く。翔太は、彼らの多種多様な魔法に圧倒された。
「翔太くん、まだまだ凄いの見れるよ。うちの本丸が登場するから!」
そう、ミアが言って指した先には、一人の黒髪の男が立っていた。本丸、翔太はそう言われると、彼にはどこかしらそのオーラがあるように思えた。
「先生、人形、動かしてくれ」
「ああ、分かった」
その男の希望で人形が動かされる。人形は凄まじく速い反復横飛びのようなものを始め、しまいには舞い上がった砂煙が人形の姿を呑み込んだ。
「!? あんなの、攻撃の当てようが……」
「まあ、見てて」
翔太の動揺など気に留めず、ミアは誇らしげな顔をしながらその男を見守る。
男が前方に手をかざして、詠唱した。
「スワロー・ワイドリー」
その瞬間、砂の上からでも分かるくらいの大きな黒い穴が人形の真下に開いた。その穴に人形と、周りの砂もろとも呑み込まれていく。これほどの広範囲の攻撃、人形の高速移動は彼に対して何も意味がなかった。
「彼の名前はギースっていうの。今は彼がこの学校で一番の実力者かな。通称“闇への案内人”とも呼ばれてる」
そう説明するミアの目はキラキラと輝いていた。魔法学校の実態、楽しそうな彼女の様子を見て、翔太は興奮を抑えきれない。彼の心はより「入学」の二文字に傾いた。
「“今は一番”って……、前は違ってたのか?」
翔太はミアに素朴な疑問を投げかけた。
「そう。トップ争いは熾烈なの。他にもグレイトって人とかいるけど、やっぱり今日のテストもサボってる……」
「サボり魔?」
「いや、気持ち悪いほどの努力家だよ……」
翔太は、テストはサボっているのに、努力家と言われているそのグレイトの存在に困惑した。その反面、その人をどこか羨ましくも感じた。
「あとは、アレスとか……」
ミアの顔が曇る。アレスという人の説明になって初めて、彼女の言葉は淀んだ。
「やっぱりいない……」
「どうした?」
「ううん!大丈夫!何でもないよ」
翔太には、彼女がその場しのぎの笑顔で誤魔化したように見えた。
「あっ!先生!」
ちょうど生徒全員の試験が終わって、ミアが先生に声を掛ける。
「見学者も、魔法を放ってみたいと言ってます!」
「……え?」
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めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
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