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第1章 OMT編

第111話 カウントダウン-20Minutes-

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 ー オーガン第一魔法学校 ー

「なーんか、『防衛』側の方が仕掛けとかいっぱいあるし、有利そうだなぁ」

 二回目のルール通達を受け、コロが愚痴をこぼす。その言葉にリオンが反応した。

「ホントにそうかい? どれだけ仕掛けを用意されようと、20分で四階の管理室まで辿り着ければいいんだ。一つの階あたり5分、君たちが足止めさせられると思うかい?」

「……それは思わないなぁ」

 コロは簡単にリオンの口車に乗る。その会話をルイスが離れて睨んでいた。また彼女の機嫌が損なわれないよう、ガットが空気を読んで二人の間に入る。

「確かに、仕掛けのほとんどが小さな妨害だ。強行突破していけばどうってことないかもしれない。だが相手には頭の切れるギースがいる。足下すくわれないように構えておく方が安全だ」

「あー……そうだね。うん。手は抜かないようにするよ」

 コロはそう言って背伸びをし、準備体操をし始める。再度リプレイを見返すリオンに、身体のマナの循環を感じるガット。ルイスは飲み物を買ってくる、と控え室を出た。近づく決勝に彼らは、いつも通りの平常心を保っていく。


 ー オーガン第二魔法学校 ー

 試合開始まで、残り10分。グレイトとミアは『攻撃』側よりも先に館に入り、仕掛けの設置ができる時間を設けられた。

 ギースと翔太含めた30分間の作戦会議で、次のようなことが話された。まず、仕掛けをどう使うかについて。看守鳥や魔の蝋燭は、館の至る所に置き、敵が常に何処にいるかを把握することに使う。ゴーストには、グレイトの技を覚えさせて敵を長時間足止めさせることにした。

 だが、これ以外の4つの仕掛けをどう使うかがグレイトたちの悩みどころだった。

「グレイト……やっぱり落とし穴の魔法陣は目に見えるよ。これじゃ引っかかるわけない」

 館内でミアの弱々しい声が響く。彼らは今、玄関前の大広間を過ぎた大食堂にいた。

「それを活かそうとするなら……『インビジブル・タイム』を使うか?」

「1分間、館全体真っ暗にするんだっけ」

「うむ。その間に誘導させれば上手く決まるのかもしれないが……その1分間を、敵を一階分落とすだけために使うのも惜しいな」

「確かに。……でもそれしか使い道なさそう」

 ミアはひとまず『フォールトラップ』のことは置き、別の仕掛けに話題を変える。

「あっ、ダミースルーのさ、ギースの案はやってみる?」

 30分の間に出たギースの案。それは、空間と空間を繋げるダミースルーを四階に置き、一階の空間と繋げるというもの。四階まで行った相手がまた一階まで戻されることで結構な時間稼ぎができるのでは、という話が出ていた。

 グレイトは天井を見上げ、

「それが良い手段かどうかは、見て確かめるしかない」

 そう言うと二階へ続く階段へと歩いていった。ミアもその後ろをついていく。

 二階から四階まで、館内の構造は全て同じだった。廊下には二つ、曲がり角があるというだけで一本道。それに、それらの階は3つしか部屋が置かれていないため、階段の探索はすぐに終わる可能性が高い。迷路のように入り組んでなく、移動が簡単な館内で果たして、四階から一階に戻す妨害が時間を十分に稼げるのか、グレイトたちは不安を感じ始めていた。

「ダミースルーでは相手の時間を奪えて一、二分だろう。……それだけでは……」

「どうする? もう時間ないよ? 私あちこちに蝋燭と鳥置いてくるからさ、ギースの案と暗闇で落とし穴作戦、それで行こうよ!」

「……いや、待った!」

 グレイトはミアを引き留める。何か思いついたかと、ミアが目を見開いて待つが、グレイトはそれから二階の大浴場、三階の図書室に足を運んでは唸り出す。はたまた立ち尽くすミアを差し置いて、グレイトはゴーストに自分の技を教え出した。

「ちょっと! グレイト! 何かあるなら指示出してよ! 何か思い付いたの!?」

 ミアの呼ぶ声にグレイトの動きが止まる。そして彼は息を荒らげながら、ミアの両肩を掴む。

「拙者と賭けをする勇気はあるか……?」

 いつもと違う、震えた声。ミアは思わず聞き返す。

「おそらく残り時間の関係上、一度しか言えないだろう……! ミア、そなたにこれからやって欲しい事がある……! いいか……!」

「……う、うん!」

 ____10分という時間はあっという間に過ぎ、とうとうその館のエントランスに、二人の猛者が訪れる。

「すぐに終わらせよう、コロ」

「……りょーかいっ」

 ー OMT決勝 第一試合 開始 ー
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