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第1章 OMT編
第34話 OMT選手選抜試験⑤
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不意な出来事に、ミアはマナの塊を投げつけることしかできない。
グレイトは目の前に繰り出されたミアの攻撃に冷静に対処する。居合い切りの体勢から、そのマナの塊を一瞬にして粉々に切り刻んだ。
グレイト・シーヴァ。能力はラピッドソルジャー。彼が刀を振る速度は常人の目では追えず、彼に斬れないものも無い。
このままではまともに攻撃を食らってしまう、とミアがリフレクションを固めようとしたその時、
「ミア、伏せて」
翔太が、ミアの後ろから青い波紋を出現させていた。ミアの初動のおかげで、出現から発動までの隙は無くなっている。グレイトはギースから聞いた翔太の強さを思い出し、真っ向勝負を望む。
「お初にお目にかかる、その力……!」
グレイトの刃と、翔太の青い槍が一点で激突する。だが、徐々に攻撃に圧されていくグレイトは足が浮き、塔の壁に背を打ち付けてしまう。
「まだだ……!」
翔太は攻撃の手を緩めない。塔の壁にビキビキとヒビが入る。翔太はそのままグレイトを塔の外へと吹き飛ばした。
「くっ!!」
しかし、グレイトの刃先も僅かながらに翔太の槍に切れ込みを入れられている。まだ彼が攻撃を凌げる兆しは残っていた。
だがグレイトは次に、その槍と闘技場周辺の結界との板挟みになってしまう。グレイトのすぐ後ろで、結界は今にも割れそうに音を立て始めていた。
「こんな所でっ!……ぐぬあぁっ!!」
間一髪。グレイトは寸でのところで槍を弾き、場外による失格を免れた。
翔太とミアはグレイトの様子を確認しながら、どの行動に出るかを選択する。
「このまま畳み掛けるか……?」
「いく!? 翔太君!!」
「あぁ。やってやろう」
グレイトの元へ翔太たちは走り出す。その時だった。
螺旋階段の遥か下から、煙たい臭いが二人の鼻をかすめる。下を向くと、灼熱の炎が急速に舞い上がってきていた。
「ミア! 外へ!!」
翔太がミアの手を取り、空いた穴から外へと脱出する。上がった炎は屋上まで突き抜け、溢れていった。だがそれは塔の内部だけではない。外装もその燃え盛る炎に覆われていた。
「何が起きた……!?」
翔太はマナを圧縮して足場にし、辺りを見渡す。すると、今いた塔の中だけじゃなく、第二闘技場の壁全体が燃えていることに気づく。
下を見ても同じ。結界までの地上に火柱が敷き詰められて立っていた。
「この炎……アレスの仕業……!」
ミアが確信する。だが、これだけの炎の量、一体どうやって出せたのかが彼女には不可解な点だった。
「良き。男気溢れるステージを用意してくれた。アレス殿」
翔太はハッと思い出して、その声の方へ振り返る。グレイトの闘気がますます増していた。彼は紫色にゆらめくオーラを纏って、刀を握り直す。
《全ペアスタート完了から6分経過。残り24分》
グレイトは目の前に繰り出されたミアの攻撃に冷静に対処する。居合い切りの体勢から、そのマナの塊を一瞬にして粉々に切り刻んだ。
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このままではまともに攻撃を食らってしまう、とミアがリフレクションを固めようとしたその時、
「ミア、伏せて」
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「まだだ……!」
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「くっ!!」
しかし、グレイトの刃先も僅かながらに翔太の槍に切れ込みを入れられている。まだ彼が攻撃を凌げる兆しは残っていた。
だがグレイトは次に、その槍と闘技場周辺の結界との板挟みになってしまう。グレイトのすぐ後ろで、結界は今にも割れそうに音を立て始めていた。
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間一髪。グレイトは寸でのところで槍を弾き、場外による失格を免れた。
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「このまま畳み掛けるか……?」
「いく!? 翔太君!!」
「あぁ。やってやろう」
グレイトの元へ翔太たちは走り出す。その時だった。
螺旋階段の遥か下から、煙たい臭いが二人の鼻をかすめる。下を向くと、灼熱の炎が急速に舞い上がってきていた。
「ミア! 外へ!!」
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「何が起きた……!?」
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下を見ても同じ。結界までの地上に火柱が敷き詰められて立っていた。
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