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第1章 OMT編
第14話 ミラルフォーン魔法討伐隊
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「足元気をつけろよ。道が荒れてるから」
ロレンがそう翔太に呼びかける。
「?……ここって、結構人が出入りしてるんだよな?」
ロレンの後ろにつき、転ばないように歩く翔太が聞く。
「あぁ、そうだけど?」
「道、整備されてないのか? 何でこんなにデコボコに……」
「……この森は真夜中に、全ての木々が根を張る場所を変えるんだ。だから、毎日地形が変わっている」
「そんな……! じゃあ、持ってきた地図いらないじゃん!」
「そうだな。地図はここに来るまでの道にしか使わん。ここからはもう運だ。俺らが探すキノコってのも、特定の木の下に生えているやつだから、それを探すしかない」
「……どんな木なんだ?」
翔太は辺りを注意深く見渡しながら、少しでもお使いを早く終わらせようと考え始める。
「周りの地面が緑色に光ってるんだ。特殊なマナを漂わせている。それを養分にして例のキノコ、マカリキノコってやつが生えてるんだ」
翔太は視線を下に向けて遠くまで見通すが、緑色の光が見えることはない。
「目細めすぎてブサイクになってんぞ、翔太。この森は広ぇから気長に行こうや。……めちゃくちゃメンドクセェけどな」
しばらく歩いて、突然、翔太たちはある全身メタルボディのスーツを着た集団と出くわした。
「な、何だ? こいつら……」
翔太が驚きのあまり声を漏らす。
「しっ! 静かにしろ! ミラルフォーンのやつらだ」
ロレンが翔太にそう伝えるが、翔太はミラルフォーンと言われても何のことか分からない。
その集団の中から、リーダーと思われる人物が二人の前に姿を現した。
「やぁ、君達。ここで何をしているのかな?」
その人はスーツの胸のボタンを押してメットを外し、その素顔をさらす。金髪の長い髪で、鼻が高く、赤い綺麗な瞳を持つ青年である。だが彼からは、その若さに反して威厳のあるオーラも感じられる。
一瞬、翔太とロレンは彼の登場に固まった。だがロレンが時間差で、自分達が質問されていることに気付き口を開く。
「素材の採取に来たんです。おつかいを頼まれて」
「ほほう、それは偉いことだ。どこの者だね?」
「オーガンです」
「……学生かい?」
「はい」
その青年は黙ってうなずき、それから鷹のように鋭い目で翔太たちを見つめる。
「申し遅れた。私はミラルフォーン魔法討伐隊隊長、ラディア・カーレット。素材の採取でここに来たのなら注意していただきたい。この森を含めたここ周辺で、最近強力な魔獣の目撃情報が多くなっている。なるべく夜までいないように」
「はい……分かりました」
ロレンが律儀に返事をする。
話を終えるとラディアはまたスーツを装着し、大勢の仲間たちを引き連れて森の奥へと消えていった。
その途中、翔太はその近未来なスーツを着ている集団の中に、一人の少女の姿を見た。翔太と一瞬目が合ったが、その娘はすぐに目をそらしスーツ集団の後に付いて行った。翔太には、その娘の目がどこか悲しそうにしていると感じた。
「ロレン、お前があんなかしこまった口調になるなんて、らしくないな」
翔太がロレンを半ばからかう。
「……そうか。お前はあのミラルフォーンのことも知らねぇんだもんな」
「……その、ミラルフォーンって、何だ?」
翔太がそう聞くと、ロレンは辺りを見渡して、開けた場所を探す。そこで二人は地に腰を下ろし、ロレンは話を始めた。
「少し休憩にしよう。まだ日没まで時間もある。お前にはもう少し、この世界の現状を詳しく説明しないといけない」
ロレンがそう翔太に呼びかける。
「?……ここって、結構人が出入りしてるんだよな?」
ロレンの後ろにつき、転ばないように歩く翔太が聞く。
「あぁ、そうだけど?」
「道、整備されてないのか? 何でこんなにデコボコに……」
「……この森は真夜中に、全ての木々が根を張る場所を変えるんだ。だから、毎日地形が変わっている」
「そんな……! じゃあ、持ってきた地図いらないじゃん!」
「そうだな。地図はここに来るまでの道にしか使わん。ここからはもう運だ。俺らが探すキノコってのも、特定の木の下に生えているやつだから、それを探すしかない」
「……どんな木なんだ?」
翔太は辺りを注意深く見渡しながら、少しでもお使いを早く終わらせようと考え始める。
「周りの地面が緑色に光ってるんだ。特殊なマナを漂わせている。それを養分にして例のキノコ、マカリキノコってやつが生えてるんだ」
翔太は視線を下に向けて遠くまで見通すが、緑色の光が見えることはない。
「目細めすぎてブサイクになってんぞ、翔太。この森は広ぇから気長に行こうや。……めちゃくちゃメンドクセェけどな」
しばらく歩いて、突然、翔太たちはある全身メタルボディのスーツを着た集団と出くわした。
「な、何だ? こいつら……」
翔太が驚きのあまり声を漏らす。
「しっ! 静かにしろ! ミラルフォーンのやつらだ」
ロレンが翔太にそう伝えるが、翔太はミラルフォーンと言われても何のことか分からない。
その集団の中から、リーダーと思われる人物が二人の前に姿を現した。
「やぁ、君達。ここで何をしているのかな?」
その人はスーツの胸のボタンを押してメットを外し、その素顔をさらす。金髪の長い髪で、鼻が高く、赤い綺麗な瞳を持つ青年である。だが彼からは、その若さに反して威厳のあるオーラも感じられる。
一瞬、翔太とロレンは彼の登場に固まった。だがロレンが時間差で、自分達が質問されていることに気付き口を開く。
「素材の採取に来たんです。おつかいを頼まれて」
「ほほう、それは偉いことだ。どこの者だね?」
「オーガンです」
「……学生かい?」
「はい」
その青年は黙ってうなずき、それから鷹のように鋭い目で翔太たちを見つめる。
「申し遅れた。私はミラルフォーン魔法討伐隊隊長、ラディア・カーレット。素材の採取でここに来たのなら注意していただきたい。この森を含めたここ周辺で、最近強力な魔獣の目撃情報が多くなっている。なるべく夜までいないように」
「はい……分かりました」
ロレンが律儀に返事をする。
話を終えるとラディアはまたスーツを装着し、大勢の仲間たちを引き連れて森の奥へと消えていった。
その途中、翔太はその近未来なスーツを着ている集団の中に、一人の少女の姿を見た。翔太と一瞬目が合ったが、その娘はすぐに目をそらしスーツ集団の後に付いて行った。翔太には、その娘の目がどこか悲しそうにしていると感じた。
「ロレン、お前があんなかしこまった口調になるなんて、らしくないな」
翔太がロレンを半ばからかう。
「……そうか。お前はあのミラルフォーンのことも知らねぇんだもんな」
「……その、ミラルフォーンって、何だ?」
翔太がそう聞くと、ロレンは辺りを見渡して、開けた場所を探す。そこで二人は地に腰を下ろし、ロレンは話を始めた。
「少し休憩にしよう。まだ日没まで時間もある。お前にはもう少し、この世界の現状を詳しく説明しないといけない」
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