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第1章 OMT編
第13話 森への道中
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深蒼の森に向かう道中、翔太はロレンに疑問を投げかける。
「深蒼の森って、危険なのか?」
「俺みたいな、上級クラスの奴らからしたら危険じゃねえな。ただ、森自体がばか広くて、目当ての素材を見つけるのが面倒くさい。罰のレベルにしては最も適当だ」
翔太は次に、ミアの能力について聞く。
「さっき初めてミアが魔法使ってるところを見たんだけど、彼女はどのくらいの実力なんだ?」
「ミアか?……あいつは、成績なら俺よりも上だな」
「えっ!?」
「成績は、だよ! 成績は! お前も見た、学校でやってる基礎的な能力しか測れないあの実技テストでは、だ! 実践なら圧倒的に俺の方が上さ」
「はぁ。……というか、そもそもロレンが学校のどの辺に位置するか分からないんだが……」
「……。この学校には今現在203名の生徒が在籍してる。その中で、まぁおおよそ、下級クラス100人、中級クラス60人、上級クラスが40人いる。俺は上級クラスで……前のテストだったら6位だな」
翔太は驚きを隠せなかった。彼は横から何度もロレンの顔を覗き込んだが、ロレンは何も、凄いことは言ってないという様子で振る舞う。
「何だお前、人の顔ジロジロ見て。嘘じゃねえぞ。不正もしてねぇ。俺の今の実力さ」
翔太には、そのロレンの言葉には少しの自慢も込もっていないように感じられた。反対に、まだまだ成長しなければならないという向上心が窺えたほどだった。
翔太は、その彼の心構えがどれほどのものか探る。
「ロレンなら、1位の座を取りたそうだけど」
「……あぁ。実技テストだけじゃなく、実践でもな。……でも、この学校でトップになったってだけじゃ、意味がねえ。重要なのはあのOMTの大会だ。あそこで活躍できた魔法使い達が、後々出世していけるんだ。俺はあそこで何とか爪痕を残す。絶対にな」
翔太はそこで、ミアから聞いた話を思い出した。
「……第一魔法学校との戦いがあるんだよな?」
「あぁ。俺ら第二はここ数十年奴らに勝ててねぇんだ。そもそも奴らとはスペックが違いすぎる。毎年、OMTは第一の独壇場。第二は奴らと決勝で当たって、観客に笑い者にされてるのさ。この流れを変える奴は、おそらく国のお偉いさんの目に留まる。だからまずは、俺は第二の代表として出場権を獲得しなきゃならない」
「あ……出場のことなんだが……」
翔太は熱く語るロレンに恐る恐る話してみる。
「俺もその、OMTに出場するチャンスがあるのかなぁ? って。でも、6位のロレンがまだ出場が確定してないってなると……」
「あ!? お前舐めてんのか? そんな甘ぇもんじゃねえよ! お前はまだ魔法に関してド素人だし、その代表選手を決めるテストは5日後に行われるんだ。お前じゃ間に合わねえ」
「……そのテストは、どうやって受けられるんだ?」
翔太はロレンの叱咤に引き下がらない。彼は、上に行けるチャンスがあるなら全力でしがみ掴もうとしていた。
「あ?……実技テスト上位8名による戦闘だ。そこから4人選ばれる。それにしてもお前、その原動力はどこから来てんだ……?」
翔太は自分の思いを整理して、しっかりとロレンに打ち明ける。
「郷に入ったら郷に従えって、いうだろ? 言わないかな。……この世界に来たからには、俺はやれるだけのことをやってみたいんだ。元の世界に戻れる術も分からないし、ここでは全力に生きようかなって、思ってるんだ。それと、ミアが、俺ならOMTに出られるかもしれないって」
最初は真剣に話を聞いていたロレンだったが、ミアの話になると手で顔を覆った。
「奴の言葉に乗せられたか……」
「? 何だ?」
「いや、何でもねぇ。……それよりも、着いたぞ。深蒼の森に」
翔太たちの前に、うっそうと生い茂った巨大な森林が立ちはだかる。翔太は一瞬、その不気味な雰囲気に気圧されながらも、その森に足を踏み入れた。
「深蒼の森って、危険なのか?」
「俺みたいな、上級クラスの奴らからしたら危険じゃねえな。ただ、森自体がばか広くて、目当ての素材を見つけるのが面倒くさい。罰のレベルにしては最も適当だ」
翔太は次に、ミアの能力について聞く。
「さっき初めてミアが魔法使ってるところを見たんだけど、彼女はどのくらいの実力なんだ?」
「ミアか?……あいつは、成績なら俺よりも上だな」
「えっ!?」
「成績は、だよ! 成績は! お前も見た、学校でやってる基礎的な能力しか測れないあの実技テストでは、だ! 実践なら圧倒的に俺の方が上さ」
「はぁ。……というか、そもそもロレンが学校のどの辺に位置するか分からないんだが……」
「……。この学校には今現在203名の生徒が在籍してる。その中で、まぁおおよそ、下級クラス100人、中級クラス60人、上級クラスが40人いる。俺は上級クラスで……前のテストだったら6位だな」
翔太は驚きを隠せなかった。彼は横から何度もロレンの顔を覗き込んだが、ロレンは何も、凄いことは言ってないという様子で振る舞う。
「何だお前、人の顔ジロジロ見て。嘘じゃねえぞ。不正もしてねぇ。俺の今の実力さ」
翔太には、そのロレンの言葉には少しの自慢も込もっていないように感じられた。反対に、まだまだ成長しなければならないという向上心が窺えたほどだった。
翔太は、その彼の心構えがどれほどのものか探る。
「ロレンなら、1位の座を取りたそうだけど」
「……あぁ。実技テストだけじゃなく、実践でもな。……でも、この学校でトップになったってだけじゃ、意味がねえ。重要なのはあのOMTの大会だ。あそこで活躍できた魔法使い達が、後々出世していけるんだ。俺はあそこで何とか爪痕を残す。絶対にな」
翔太はそこで、ミアから聞いた話を思い出した。
「……第一魔法学校との戦いがあるんだよな?」
「あぁ。俺ら第二はここ数十年奴らに勝ててねぇんだ。そもそも奴らとはスペックが違いすぎる。毎年、OMTは第一の独壇場。第二は奴らと決勝で当たって、観客に笑い者にされてるのさ。この流れを変える奴は、おそらく国のお偉いさんの目に留まる。だからまずは、俺は第二の代表として出場権を獲得しなきゃならない」
「あ……出場のことなんだが……」
翔太は熱く語るロレンに恐る恐る話してみる。
「俺もその、OMTに出場するチャンスがあるのかなぁ? って。でも、6位のロレンがまだ出場が確定してないってなると……」
「あ!? お前舐めてんのか? そんな甘ぇもんじゃねえよ! お前はまだ魔法に関してド素人だし、その代表選手を決めるテストは5日後に行われるんだ。お前じゃ間に合わねえ」
「……そのテストは、どうやって受けられるんだ?」
翔太はロレンの叱咤に引き下がらない。彼は、上に行けるチャンスがあるなら全力でしがみ掴もうとしていた。
「あ?……実技テスト上位8名による戦闘だ。そこから4人選ばれる。それにしてもお前、その原動力はどこから来てんだ……?」
翔太は自分の思いを整理して、しっかりとロレンに打ち明ける。
「郷に入ったら郷に従えって、いうだろ? 言わないかな。……この世界に来たからには、俺はやれるだけのことをやってみたいんだ。元の世界に戻れる術も分からないし、ここでは全力に生きようかなって、思ってるんだ。それと、ミアが、俺ならOMTに出られるかもしれないって」
最初は真剣に話を聞いていたロレンだったが、ミアの話になると手で顔を覆った。
「奴の言葉に乗せられたか……」
「? 何だ?」
「いや、何でもねぇ。……それよりも、着いたぞ。深蒼の森に」
翔太たちの前に、うっそうと生い茂った巨大な森林が立ちはだかる。翔太は一瞬、その不気味な雰囲気に気圧されながらも、その森に足を踏み入れた。
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