28 / 68
第2章 現実世界
27話 協力
しおりを挟む
そもそもの始まりは2年前。モンスターは突如としてその存在を現した。
当時は対策処か討伐すらも困難を極めた。だがその存在が公にならなかったのは『ガーディアン』が裏で根回しをしていた為だ。
元々『ガーディアン』は世界の平和を願って作られた組織だそうだ。だからモンスターを脅威と判断し誰よりも速く行動した。始めは銃やミサイルなどの化学兵器を使っていたが倒せるのはEランク、どれだけ頑張ってもDランクが限界だった。そこで研究を始めたのが『スキル』だ。武器が駄目なら肉体を強くすれば良い、という発想らしい。その研究によって作り出されたのが『クリエイトオンライン』だ。
仮想とはいえ五感がはっきりしているので戦闘やスキルの感覚を覚えている。それを現実でも再現出来れば……、という事らしい。空腹や睡眠があったり、回復系の機能は時間が掛かったりとリアルだったのも仮想と現実のギャップを無くしモンスターとの戦いに支障を来さない為だったのだろう。
そして戦闘員達はある程度ゲームをプレイして力を付け、その上で薬を使い覚醒をする。
その後、人知れずモンスターを討伐していたのだ。
これが『ガーディアン』の実体だ。
古木から告げられた話は俺の想像を超えていた。
だがこれだけでは『ガーディアン』に対する信頼は得られない。
何故なら、この事態を隠蔽した事、わざわざゲームとして一般に公開した事だ。全く逆の事をしている。パニックが起きる事を恐れて隠蔽したのであれば『クリエイトオンライン』を公開する意味が無い。寧ろ俺の様に何も知らない人が覚醒すれば事態が公になる可能性が大きくなる。
その事を古木に話すと、俺が何を言うか分かっていたかのように答える。
「確かにパニックを恐れたのも事実ですが、それ以上に我々の活動が制限される事を危惧しました」
「活動が?どうして?」
「何しろ今の時代、戦争なんて全く縁の無いものです。数年前には世界中で武器の使用が禁止されましたしね。そんな中異世界から侵略者が来ると言っても誰も信じません。信じてくれる人がいても法律や人権といった物が邪魔して思う様に人が集まらないでしょう。それどころか狂っているなどの批判が殺到し組織自体が潰れるかもしれません」
「だから隠蔽したのか」
「はい」
「ならどうして『クリエイトオンライン』を一般公開したんだ」
「主に資金調達ですね」
「は?」
「そもそも貴方の様に薬も使わずに覚醒する事は想定外だったのです。自然的な覚醒をする確率は0にも等しかった。これは、正しく奇跡です」
奇跡ねぇ。確かに俺だけが例外だと考えると古木の言っている事にも納得がいく。
「ですので協力して貰えますか、竜也さん」
「うーん」
「今はまだ我々だけで対処出来ていますが近い将来そうも行かなくなります」
「え?」
「彼方も今は様子見。我々の予測では1年以内にはモンスターの大軍が攻めて来ます」
「な!」
「そうなれば我々だけではどうにもなりません。どうか力を貸して下さい」
「………。分かった。協力する」
こうして俺は『ガーディアン』と協力する事になった。
当時は対策処か討伐すらも困難を極めた。だがその存在が公にならなかったのは『ガーディアン』が裏で根回しをしていた為だ。
元々『ガーディアン』は世界の平和を願って作られた組織だそうだ。だからモンスターを脅威と判断し誰よりも速く行動した。始めは銃やミサイルなどの化学兵器を使っていたが倒せるのはEランク、どれだけ頑張ってもDランクが限界だった。そこで研究を始めたのが『スキル』だ。武器が駄目なら肉体を強くすれば良い、という発想らしい。その研究によって作り出されたのが『クリエイトオンライン』だ。
仮想とはいえ五感がはっきりしているので戦闘やスキルの感覚を覚えている。それを現実でも再現出来れば……、という事らしい。空腹や睡眠があったり、回復系の機能は時間が掛かったりとリアルだったのも仮想と現実のギャップを無くしモンスターとの戦いに支障を来さない為だったのだろう。
そして戦闘員達はある程度ゲームをプレイして力を付け、その上で薬を使い覚醒をする。
その後、人知れずモンスターを討伐していたのだ。
これが『ガーディアン』の実体だ。
古木から告げられた話は俺の想像を超えていた。
だがこれだけでは『ガーディアン』に対する信頼は得られない。
何故なら、この事態を隠蔽した事、わざわざゲームとして一般に公開した事だ。全く逆の事をしている。パニックが起きる事を恐れて隠蔽したのであれば『クリエイトオンライン』を公開する意味が無い。寧ろ俺の様に何も知らない人が覚醒すれば事態が公になる可能性が大きくなる。
その事を古木に話すと、俺が何を言うか分かっていたかのように答える。
「確かにパニックを恐れたのも事実ですが、それ以上に我々の活動が制限される事を危惧しました」
「活動が?どうして?」
「何しろ今の時代、戦争なんて全く縁の無いものです。数年前には世界中で武器の使用が禁止されましたしね。そんな中異世界から侵略者が来ると言っても誰も信じません。信じてくれる人がいても法律や人権といった物が邪魔して思う様に人が集まらないでしょう。それどころか狂っているなどの批判が殺到し組織自体が潰れるかもしれません」
「だから隠蔽したのか」
「はい」
「ならどうして『クリエイトオンライン』を一般公開したんだ」
「主に資金調達ですね」
「は?」
「そもそも貴方の様に薬も使わずに覚醒する事は想定外だったのです。自然的な覚醒をする確率は0にも等しかった。これは、正しく奇跡です」
奇跡ねぇ。確かに俺だけが例外だと考えると古木の言っている事にも納得がいく。
「ですので協力して貰えますか、竜也さん」
「うーん」
「今はまだ我々だけで対処出来ていますが近い将来そうも行かなくなります」
「え?」
「彼方も今は様子見。我々の予測では1年以内にはモンスターの大軍が攻めて来ます」
「な!」
「そうなれば我々だけではどうにもなりません。どうか力を貸して下さい」
「………。分かった。協力する」
こうして俺は『ガーディアン』と協力する事になった。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件
こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。
だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。
好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。
これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。
※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。
目覚めると彼は真っ白な空間にいた。
動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
チート級スキルを得たゲーマーのやりたいことだけするVRMMO!
しりうす。
ファンタジー
VRゲーム【Another world・Online】βテストをソロでクリアした主人公──────雲母八雲。
βテスト最後のボスを倒すと、謎のアイテム【スキルの素】を入手する。不思議に思いつつも、もうこのゲームの中に居る必要はないためアイテムの事を深く考えずにログアウトする。
そして、本サービス開始時刻と同時に【Another world・Online】にダイブし、そこで謎アイテム【スキルの素】が出てきてチート級スキルを10個作ることに。
そこで作ったチート級スキルを手に、【Another world・Online】の世界をやりたいことだけ謳歌する!
※ゆるーくやっていくので、戦闘シーンなどの描写には期待しないでください。
※処女作ですので、誤字脱字、設定の矛盾などがあると思います。あったら是非教えてください!
※感想は出来るだけ返信します。わからない点、意味不明な点があったら教えてください。(アンチコメはスルーします)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる