選ばれし者

西山鷹志

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お糸の方様へ特性の籠を作る

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イネはどうせ捨てた命、一生懸命に尽くした。元影だけでなく奥様に申し訳ないと、こちらも一生懸命に看病した。お糸の方も最初は妻の座を奪われるのではないかと辛く当たったが、その優しさに触れ自分の妹のように可愛がった。元影も我が妻に認められるとはたいしたものだと益々可愛がるようになっていった。可愛がって貰うのは嬉しいが優しいイネは奥方に気を使う。私が可愛がられた分奥方は辛い思いをするではないかとイネは奥様の事を第一にお考え下さいと元影を諫めた。寝たきりの奥方は楽しみもない、朝から晩までほとんど布団の中、楽しみはたまに戸を開け外の庭を眺める程度。そこでイネは考えた。
イネが人身御供として乗せられた箱を思い出した。朝倉家に仕える者達に例の箱に改良を頼んだ。此処に来た頃は身分的には最下位。ところが元景に可愛がられた途端、待遇は一変した。いきなり元景、お糸の方様に継ぐ第三位の地位になったのだ。

イネは自分の地位を利用して使用人に大きな駕を作るように頼んだ。
「イネさん四人も乗れる駕なんて聞いた事がないけど何に使うのです」
「ここだけの話、お糸様を花見に連れて行きたいの。横になって寝られるように隣に殿も座れれば良いのです
「なるほどそれは良い考えです」
「但し、殿にもお糸の方様にも内緒で、あとで驚かせてやりたいのです」
駕を広く四人ほど座れて横になるようにも変えた。床には布団を敷き詰めた。動いても振動を和らげる工夫した。普通の駕の五倍の大きさだ。これだけ大きいと人が担ぐのは無理で大八車を改良し駕を乗せた。これで横になる事も出来る。窓も左右に付いているので外を眺める事も出来る。病の奥方でも問題なく出掛けられる。
やがて完成し。お披露目となった。
「イネこれはなんじゃ随分と大きな駕のようじゃが」
「はい奥方様。この駕に乗り桜見物は如何でしょう。他にも沢山の見られる丘にご案内致しとう御座います」
「ほうこれだけ座っても横になっても良いな」
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