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2章3部フィナールの街編

70話 時を越えて

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エステル達との事が終わり、同じだけアルミスと愛し合ったタケル。その後オットーの商会の工場でブラックスライムで作ったタイヤを持って行くとすぐに話題になってタイヤ付の車輪の馬車は瞬く間に広まって行った。そして新たな衣装を癒しの館 女神の抱擁に持って行き、試着してもらうとミランダも加わり更に網タイツとガーター、ハイヒールも作り上げ試着してもらった。その後マチルダとミランダとも体を重ねる事となり、更にミランダの要望で店の女性全員を相手にする事となったタケル。全員の相手を終えてアルミスとも愛し合った後に、タケルはアルミスを腕枕で抱きながら考え事をしていた。

(何だか成人してから凄いな・・・どれだけしても疲れないし、何度果ててもすぐに復活するし・・・まあ、きっと成人前からそうだったんだろうな、今迄実感する機会が無かっただけなんだろうな。)

タケルは自分の絶倫っぷりについて考えていたが、元からだと結論付け納得していた。

(それにしてもこの街にも随分と長居したな・・・旅の途中で少し長く滞在するだけのつもりだったんだけどな・・・)

タケルはこの街に着いてからの事を色々と思い出していた。

(思えばこの街で色々な事をしたな。スラムも無くなったし、この街で敢えて俺がする事ってのももう無いのかもな・・・)

「タケルさん、何を考えてるんですか?」

アルミスがタケルが考え事をしてるのを気付き、タケルの頬を指でつつきながらそう問い掛けてきた。

「ん?ちょっとね。」

「えー、なんですか?教えて下さいよ。」

アルミスはそう言いながら頬をつついてる指に力を入れるとタケルの頬をグリグリと押し込んだ。

「アハハ、痛いよアルミス言うからやめて。」

「分かりました。ハイ、何を考えてたんですか?」

アルミスはグリグリするのを止めるとそう言ってタケルの胸に頭を乗せた。

「俺って絶倫だなって思ってさ。」

「もう!あの顔はそんな事を考えていた顔じゃ無い筈ですよ。」

アルミスはそう言うと顔を赤くしながらタケルの乳首に噛みついた。 

「イテテテテ!痛いって、アルミスやめて。ちゃんと話すから!」

「もう。ちゃんと最初から話して下さい。」

アルミスはそう言うと噛みついた所をペロペロと舐め始めた。

「ウハハ、くすぐったいよ。」

「我慢して下さい、話しは聞いてますからこのまま教えて下さい。」

アルミスはそう言うと噛みついた所を舐め続け、次第に舐める範囲を広げて行った。

「んっ。この街に来て色々な事をしたでしょ、うっ・・・それでさ、スラムも無くなったしこの街で、あっ・・・俺が敢えてする事も無いかなって思ってさ、んんっ・・・この街にも長く居たしそろそろ、んあっ・・・また旅に出ようかと思ってさ。」

「そうだったんですか、私はタケルさんがしたいようにすれば良いと思いますよ、チュッ。そして私はそんなタケルさんに着いて行くだけです。んん・・・」

アルミスはタケルの話を聞いてそう答えるとタケルの息子を口に含み頭を上下に動かし始めた。そしてまたタケルとアルミスは愛し合い始めた。


 フィナールの街は元々魔物の素材の取引で活気があったが、タケルのお陰で更に活気に満ちた街となっていた。そしてそんなフィナールの街に一人の男がやって来た。

「随分と賑やかだな。」

街に来た男は街を真っ直ぐと歩きながら街並みを見てそう呟いた。男はフードを目深まぶかに被っており、顔は見えないがチラッと見える肌や露出している手からまだ若いと推測出来た。

(彼はもうこの世界に来ているだろうか・・・)

男は変わらずある場所を目指し歩いており、賑やかな街並みを黙々と歩いていた。

その頃、フィデル達5人とアルセリオ達はそれぞれ依頼を達成し、冒険者ギルドから出て来て外で話をしていた。

「では父上、俺達は先に戻りますね。」

「ああ。私は装備を新調するかもしれないから少し遅くなるかもしれない。」

「分かりました。母上に伝えておきます。」

ほぼ同時に依頼を達成し一緒に帰ろうとしたアルセリオ達であったが、フィデル達は装備の修復等の為にテオドルの店に行くというので別々に帰る事にしたのだが、テオバルトがフィデル達と一緒に行くと言ったのでアルセリオは一人で先に帰って行った。

「ではフィデル君、行こうか。」

「テオバルトさん、まだ新しい装備なのに買い換えるんですか?」

テオバルトの話を聞いてフィデルがテオバルトの装備を見てそう尋ねた。フィデルがそう聞くのも当然で、テオバルトの装備は少し前に新調したばかりで傷も殆ど付いておらず新品同様であったからである。

「ああ、最近攻撃を受ける事も少いからね、私もフィデル君達のように動きやすい防具にしようかと思ってね。」

「そうだったんですね、確かに俺達も最初に比べると装備を少なくしましたね。」

フィデルとテオバルトが装備について話し、その後ろにジラルドやエステル達が話をしながら歩いていた。通りには大勢の人が歩いていたがテオバルト達が通ると自然な形で道が出来て真っ直ぐと歩く事が出来た。タケルのパーティーメンバーというだけで無く、それぞれが短期間でAランクに昇格した実力者達だと知れ渡っており自然と人々が道を開けていたのである。
 そしてそんな光景に気付き、体を震わせている者が居た。

「ま、まさかっ。既に復活していたというのか・・・」

先程のフードを目深に被った男がテオバルトの姿を見て体を震わせながらそう呟いていた。男は腕を組むように両腕を掴むと必死に震えを止めようとしていた。

「落ち着け!まだ本人とは限らない・・・」

男は自らに言い聞かせるようにそう呟くとゆっくりと深呼吸をして震えを止め、一旦物陰に身を隠しテオバルト達が通り過ぎるのを待ち少し距離を置いて後をつけ始めた。

(どうする・・・どうやって確認するか。それに一緒に歩いてる者達は何者だ?護衛では無さそうだし、従者か?)

男がテオバルト達の後をつけ始めて暫くすると、テオバルト達が路地に入って行った。男は少し小走りになり路地に駆け寄り建物に体を預けるとそっと路地を覗き込んだ。

(良かった。見失って無い。)

男は安堵の表情を浮かべ路地に足を踏み入れると、後をつける為に再び距離を置いて歩き始めた。しかし少し進んだ所で急に声を掛けられ体をビックッとさせて歩みを止めた。

「そこのフードの人。」

いつの間にかシーラが男の背後に周り込んでいた。男はビックリして返事が出来ずにおり、ただテオバルトの姿を目で追い手にかいた汗をローブで拭いていた。

「ねえ、ちょっと。聞いてるの?」

返事もせず振り向きもしない男に対し、シーラは少しイラついた口調でそう話し掛けた。

(どうする、このままでは見失ってしまう、魔法で眠らせるか・・・いや、かなりの実力者のようだ、成功の確率は低い・・・ならば正直に話すしかあるまい。)

男はゆっくりと振り向くとフードを被ったままシーラに話し掛けた。

「申し訳御座いません。急に声を掛けられ驚いてしまいまして。」

「そう、なら仕方無いわね。でも何故後をつけてたのかしら?この街の人では無さそうだし、何か用?」

(このダークエルフは確か一緒に歩いていた・・・凄いな、一見無防備に見えるが隙が無い、このような人物を従えているとはやはり・・・)

男は意を決してシーラに聞いて見ることにしフードを外し話し始めた。

「あの、先程一緒に歩いていた甲冑姿の男性の名前はもしかしてテオバルトと言うのですか?知り合いに似てまして。」

男がテオバルトの名前を出すとシーラの表情が変わった。

「貴方もしかして・・・ちょっと一緒に来なさい。」

シーラはそう言ったかと思うと男を抱え上げて走り始めた。男はいきなりの事に声を出せずにただ身を任せていた。

「おお、シーラ。そいつが後をつけてた奴か?それにしても抱えて来るなんてどうしたんだ?」

路地を抜けた所で戻ってきたシーラにフィデルが少し驚いた感じで声を掛けた。

「アナタは黙ってて。それよりもテオバルトさん。」

シーラはそう言ってテオバルトの前に男を下ろした。

「ん?その男がどうかしたのかね?」

テオバルトが不思議そうにシーラにそう尋ねると、男の表情が変わり男はテオバルトの前に跪いた。

「その声、そのお顔、そしてテオバルトと言う名前、間違いない。陛下、復活なされていたのですね。私です、顔が違いますがサカリアスです。」

男は自分をサカリアスだと言った。そう、アルセリオ達やテオバルトを封印する事で魔王軍から救ったあのサカリアスである。

「なっ・・・さ、サカリアス、お前なのか?」

「はい、陛下。私を信じて下さるのですか?」

「ああ、信じるとも!戻って来るのを待っていたぞ。」

テオバルトは跪きサカリアスの肩に手を置くと、目に涙を浮かべならそう言ってサカリアスを強く抱き締めた。

 
「それにしても何故・・・シーラさんでしたか、貴女はあの時私を陛下の元へ連れて行ったのですか?」

千年振りの再開を果たしたテオバルトとサカリアスはテオドルの店へ行くのを取り止めて急遽屋敷へと戻って来ており、再開を祝して急遽パーティー全員で宴を開いていた。

「え?何故ってこの街でテオバルトさんの事を本名で呼ぶ人なんて居ないですもの。」

「そうね、私達パーティーメンバーくらいしかそう呼ばないわね。」

シーラがサカリアスの質問にそう答えるとエステルがワインを飲みながらそう補足した。

「そうでしたか。それで陛下はどのように呼ばれているのですか?」

サカリアスが料理を食べながら嬉しそうに尋ねた。

「そうね、テオさんって呼ぶ人が多いわよ、あの人もそう呼ばれるのを気に入ってるみたいなのよ。ねえ。」

「そうだな。」

サカリアスの質問にルシアナが微笑みながら答えてテオバルトの方を見た。テオバルトは話を振られ、にこやかに一言だけ答えるとどこかソワソワしていた。

「あのね~、テオちんは他には父上殿とか父上さんって呼ばれているんだよ。」

クシーナが話に入ってきてそう話すとテオバルトはガックリと肩を落としていた。

「父上殿?それはどうして・・・」

「テオバルト、それは私から話そう・・・」

サカリアスがテオバルトの呼び名に不思議がっていると、肩を落としていたテオバルトが諦めたように自分で説明すると言って来た。

「実はな、アルセリオの方が先にタケル殿に復活して貰ったのは話したな。それでタケル殿の特殊なレベル上げで今ではアルセリオの方が私よりも強いんだ。今やアルセリオはタケル殿を除けばこの街で一番の冒険者なんだ。それでアルセリオの父と言う意味で父上なのだよ。」

テオバルトがそう説明すると、一同笑いを堪えていた。そしてミレイアが堪えかねて口を開いた。

「そうなのよ、お兄様がお父様の事を父上って呼ぶもんだからそう呼ぶのよ。この街で自分の親を父上って呼ぶのはお兄様だけだから親しみと面白がってそう呼ぶのよ。」

「だって父上は父上なんだから仕方ないだろ。街のみんなみたく親父おやじだなんて呼べないよ。」

ミレイアの言葉にアルセリオが顔を赤くしながら反論すると、ミレイアが更に追い討ちをかけるように話を続けた。

「それだけでなく、お兄様も違う呼び名が有るのよ。」

「そうなんですか、いったいどのように呼ばれておるのですか?」

サカリアスが料理を口に運びながらミレイアに尋ねた。

「うふふ。それがね、なんと王子って呼ばれてるのよ。時折見せる何気ない立ち振舞いとお父様の事を父上と呼ぶ事から、親しみを込めて王子なのよ。」

ミレイアがそういうと、アルセリオが立ち上がりミレイアの方に歩み寄ってきた。

「ミレイア!ナイショだって言っただろ。」

「あら、本当の事ですもの。それに内緒にするとは言ってませんもの。」

「この~、ずるいぞ!こうしてやる!」

アルセリオは王子と呼ばれてるのをバラされたのが恥ずかしかったのか、仕返しにミレイアの料理のメインであるドラゴンステーキをつまみ上げて食べてしまった。

「あ~!私のドラゴンステーキ!ひどい!」

ミレイアが怒ってアルセリオを叩こうとしたが、アルセリオはひらりと身をかわし逃げ出した。ミレイアも席から立ち上がりアルセリオを追いかけ始めた。そして二人のやり取りを見てみんなが楽しそうに笑い、サカリアスとの再会の宴は賑やかであった。


「それでは陛下は今のシーバムの王宮の事をご存知なのですね。」

「ああ、樹木に覆われ内装は朽ちて無くなっていたが、今は聖獣のシルヴァが護っておるから魔物もおらず、静かなもんだよ。」

「そうですか、王宮がそんな状態になっているとは・・・」

サカリアスは現在の王宮の状態を聞くと少し暗い顔をして持っていたグラスをテーブルに置いた。
 再会の宴も終わり、現在はタケル、アルセリオ、テオバルト、サカリアス、ベルナルド、サビオの男6人でリビングでワインを飲みながら話をしていたのである。

「しかしタケル殿、前から気になってたんだが、何故王宮をシルヴァに護らせているんだい?」

テオバルトが素朴な疑問としてタケルにそう聞いてきた。そしてアルセリオとベルナルドも頷きタケルの答えを待つかのようにタケルの事を見ていた。

「何となくですね、ベルナルドさんと会って思ったんですが、王妃様達を復活させて国を復興させるってなったときに王宮が魔物の棲み家じゃいけないと思ったんですよ。勿論国を復興させるアテなんか無いですけどね。」

「そっか。そんな事考えてくれてたんだな。」

タケルの話を聞きアルセリオが少し嬉しそうにしてした。

「うん、まあそうだけど、現状同じ場所に復興させるのは難しいよね。」

「それは・・・同じ場所だと何か問題でも?」

タケルの言う難しいという言葉に理由が分からずサカリアスが尋ねた。

「うん、今この街は新しい商売で活気付いてるけど、元々シーバムの大森林の魔物の素材で発展した街ですからね、そして今でも街の経済の柱は魔物の素材の取引です。そして国を復興させるとなると森を切り開かなくてはなりません。そうなると森が無くなるのは痛手なので色んな所が黙ってはいないでしょう。」

「確かにそうだな、それにいきなり森を切り開いて建国を宣言しても国民が居なければそれは国とは呼べんしな。国とは国民が居て始めて国と呼べるものだからな。」

テオバルトがタケルの話に納得して更に自分の考えを述べた。

「陛下、それでは王国の復興は・・・」

「勿論諦めてはいない。命を掛けて私達に尽くしてくれた者達の為にも、私は国を作り上げてみせる。」

「陛下!私も陛下の国作りに尽力致します。」

「テオバルト様、私は陛下にこの身を捧げた身、一生お供致します。」

テオバルトの決意を聞きサカリアスは目に涙を貯めてテオバルトにそう誓うと、ベルナルドも同じように目に涙を貯めてテオバルトに改めて忠誠を誓っていた。
その後男達の話は国作りの話を中心に様々な事が話され、悩んでいたタケルはある決意を固めたのであった。

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随分と更新の間が空いてしまいました。ちょっとプライベートでバタバタしてて書けなかったのと、モチベーションが下がってしまっていました。
何とか再開しようと思いますが、暫く電波の届かない所での仕事なので書くのが遅いです。

それでは今後も宜しくお願い致します。
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