えっ!?俺が神様になるの? チートで異世界修行物語。

偵察部隊  元リーコン

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2章3部フィナールの街編

57話 商人ロランド

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消しゴムの材料を探しに森に来たタケルとアルミスは以前会ったエントに連れられゴムの木のエントに出会った。そして樹液の代わりに同じような液体の採れる植物の種を貰った。そして工場に帰ったタケルは魔法で種の成長を促進させて大量の種を手に入れた。その後一緒に採れた草の部分からゴムの液体も大量に手に入れ、早速試作品を作ったがどれもイマイチでタケルは満足出来なかった。そこでタケルは静寂の谷に素材を探しに行くと、フォルティス達が魔物と戦っており助太刀することにした。向かっている最中に例の新種の魔物がフォルティス達の元へ向かって居るのを確認すると、タケルはアルミスと別れ新種の魔物を倒しに向かった。アルミスのお陰で戦っていたグランドワームを倒したフォルティスであったが、すぐにタケルが声を掛けてきて新種の魔物と戦ってみるかと聞くと、フォルティス達は倒すと言い、その顔はどこか嬉しそうであった。 

「もしかしてと思ってこの依頼を受けたが、本当に戦えるとはツイてるな。」

「そうね。」

実はフォルティスは新種の魔物と戦うのを望んでおり、もしかしたら戦うこともあると考えて依頼を受けたようだ。そしてソレーラもフォルティスと同じようで、向かって来る新種の魔物を見て笑みを浮かべながらフォルティスの話に同意していた。

「俺はそんな化け物みたいな奴と戦いたくなんかないけどね。」

戦いたくないと言うミケーレであったが、その顔はフォルティスやソレーラと同様に顔は笑っていた。

「まずは俺から行く!」

フォルティスはそう言うと魔物に向かい斬撃を飛ばした。しかし魔物は軽々と斬撃を避けてフォルティスに向かって炎のブレスを放ってきた。

「やはりそう簡単にはいかないか。」

フォルティスは魔物を睨みながらそう呟いた。そしてブレスがフォルティスに当たる寸前にフォルティスの前に土の壁が現れてブレスを防いだ。

「身体強化と物理ダメージ軽減のバフを掛けた!魔法で攻撃するからその隙に近寄れ!」

「行くわよ!」

ミケーレがフォルティスへのブレスを防ぎそう言って幾つかの属性のバレットを展開させ撃ち放った。それと同時にソレーラが飛び出して行き、続いてフォルティスも飛び出して魔物に斬り掛かっていった。
 魔物はミケーレが撃ち放ったバレットを全て避けていたが、遠隔操作されたバレットは的を外しても再度向きを変えて魔物に向かい飛んで行っていた。その為バレットを避けるので精一杯のようでフォルティスとソレーラの剣撃は避ける事が出来ずに左右から斬り付けられてその場に崩れ落ちた。

「トドメだ!」

崩れ落ちた魔物の首をフォルティスがそう声を上げて剣を振り下ろして斬り落とした。

「よし!」

魔物の首が落ちたのを確認してバレットを消したミケーレが小さくガッツポーズをしていた。

「ふう、3人でなら余裕だな。」 

「身体強化無くても行けたかしらね?」

フォルティスが剣を鞘に納めるながらそう言うと、ソレーラが少しハードルを上げて戦ってみたいとでも言いたげにそう尋ねて来た。

「おいおい。わざわざハードルを上げる事無いだろ、それに相手がいつも1匹だとは限らないんだ。万全の態勢で戦えるように無闇にハードルを上げる必要は無いだろ。」

「何をムキになってるのよ、ただ可能かどうか聞いただけじゃない、判ってるわよ。」

「まあまあ、折角倒す事が出来たんだ。素直に喜んでおこうよ。それよりもホラ、あれを見てごらんよ、二人共。」

フォルティスとソレーラが言い争いになりそうになり、ミケーレがそう言ってなだめた。そしてある方向を指差しており、フォルティス達がその方向に目を向けるとタケルが新種の魔物数匹を相手に同時に戦っていた。

「やっぱり彼は別次元だな。」

複数の魔物相手に戦うタケルを見てフォルティスがそう言って感心していた。

「そうね。私達が1匹を相手にしてる間に何匹倒したのかしらね。」

フォルティスの言葉にソレーラが同意し、何匹倒したのかと二人の顔を見て聞いてきた。

「んん~。倒したそばからアイテムボックスに仕舞ってるから判らないけど、10匹は居た筈だよ。」

フォルティスはソレーラと同様見てなかったので判らないというジェスチャーをしていたが、ミケーレは後衛で広範囲を見ておりタケルの動きも視界の端に捉えており、おおよその数をソレーラに答えた。

「10匹!凄いな。もしかしたらタケル君の実力はSSS以上かもしれないな。」

フォルティスがタケルの実力をそう推測すると、ソレーラが驚いた様子で声を上げた。

「えっ?SSS以上?いくら何でもそんな訳・・・そうね、彼ならそうだとしてもおかしくは無いわね。」

「あっ、終わったみたいだよ。」

フォルティスとソレーラがタケルのランクの推測をしていると、タケルの戦闘を見ていたミケーレがそう声を掛けて来た。

「フォルティスさん、やりましたね。」

魔物を全て倒しフォルティスの元へやって来たタケルは、首を落とされた魔物を見るとそう言って満面の笑みを浮かべていた。

「いやいや、タケル君。俺達は3人で1匹倒しただけだよ。比べて君は10匹位倒したんだろ?」

「本当よ、流石ね。というより貴方はちょっと次元が違うって感じね。」

新種の魔物を倒した事をタケルに褒められたが、フォルティス達は一人で10匹以上倒しているタケルに言われても素直に喜べなかった。

「いやあ、人より少し強いだけですよ。それに俺は初見じゃないですからね。」

「確かに俺も実物は初めてだが、それでもなあ。」

「ええ、そうね。」

「二人とも、そう拗ねるなよ。タケル君と比べたら駄目だって。俺達は十分強くなってるよ、それで良いじゃないか。」

タケルの言葉素直に喜べないフォルティスとソレーラであったが、ミケーレがそう言って二人をなだめていた。

「タケル君、すまないね。二人とも君の戦いを見て少し自信を失ったみたいなんだ。」

ミケーレがタケルにそう話をしているとアルミスが商人と一緒に馬に乗って戻って来た。

「おお、みんな無事だったか。いやあ、この獣人のお嬢さんはえらく強いんだね、みんなに見せたかったよ!」

フォルティス達の元へ戻って来た商人が興奮気味に馬上からそう話し掛けて来た。

「おや?その魔物は・・・グリフォンのような魔物・・・もしやギルドで話に出てた新種の魔物では!」

商人は新種の魔物に気付くと急いで馬から降りて魔物を触って確めていた。

「ああ、そうだが。どうかしたか?」

新種の魔物に驚く商人にフォルティスがそう素っ気なく返した。

「どうかしたかって、商人ギルドではえらく強い魔物で普通の護衛じゃ歯が立たないから見掛けたらとにかく逃げろって指示が出されてるんだぞ!」

「フォルティスさん達はそこらの護衛とは強さのレベルが違いますからね。」

驚く商人にタケルがそう言って話し掛けた。

「そうなのか、やはり流石はAランク冒険者という事か。ん?君は?」

タケルの話に納得したが、そこでタケルの事にようやく気付いた。

「あ、初めまして。タケルと言います。」

タケルはそう言って軽く会釈をして挨拶をした。

「私はロランド、商人をやってるんだ。ところでこんな所で1人で何をしてるんだい?」

静寂の谷は現在は街道からも外れている為人も通らなくなっおり、危険な魔物も出るので護衛も付けないで少年がそこに居る事を不思議がっていた。

「ちょっと、素材を探しに来たんですよ。それに1人じゃ無いですよ。」

タケルがそう言うとアルミスがスッとタケルの背後に立ち、タケルはアルミスの事を見て無言でアルミスが連れである事を無言で示した。

「おお、そうだったのか。なるほど、そのお嬢さんが護衛なら安心だな。それで何を探しに来たんだい?」

ロランドはアルミスの事をタケルの護衛だと勘違いしていた。そしてタケルもそう言われても特に否定はしなかった。

「ロランドさん。彼は最短でAランクに上がった冒険者で、俺達よりも強いんですよ。」

ロランドがタケルの事を普通の少年のように見ていた事に我慢が出来なかったのか、ミケーレが少し語気を強めてタケルの事をロランドに話した。

(ミケーレさん・・・言わなくていいのに・・・)

タケルは敢えて何も言わなかったのだが、ミケーレがあっさりとタケルの事をバラしてしまい、方を落としていた。

「最短でAランクに・・・そう言えば黒目黒髪の少年だと聞いていたな。そうか、君がそうだったか。いや~、君のお陰で街は大変潤っているんだ、ありがとう。」

ロランドはそう言ってタケルの手を取り握手をすると、満面の笑みでブンブンと繋いだままの上下に振っていた。

(何だか思った反応と違うな。)

「えっと、俺のお陰とは?」

ロランドの言っている事の意味が判らずタケルは首を傾げていた。

「とは?って何を言ってるんだい。君がギルドに売っている魔物のお陰だよ。君が街に来てから流通する魔物の量も質もグンと上がったからね、王都や他の街、更には他の国にも素材が高値で売れてね。お陰で税金が安くなって庶民も喜んでいるし、我々商人も儲かって嬉しい限りだよ。」

「ああ、そういう事ですか。それはなによりです。」

タケルは自分やパーティーメンバーがギルドに売った魔物のお陰で街が潤ってると聞いて嬉しく思っていた。元々フィナールの街はシーバムの大森林が近い為にその素材の交易で栄えた街であるが、王都に比べて報酬が安い地方の街の為高ランクの冒険者が少なく、ギルドに売却される魔物も貴重な物はそれほど多くは無かったのである。しかしタケルが街に来てからは連日大量の魔物が売却されており、しかもそれが今まではたまにしか入荷しないような高ランクの魔物ばかりだったのである。お陰で商人も取引が増え、国外にも販売も出来て税金が安くなっていたのである。

(成る程、俺達のお陰でちょっとしたバブルみたいな景気になっていたのか。)

「確かに最近街が活気付いてるな。そういう理由だったのか。それに最近若い冒険者の死亡率や怪我人も少ない事も影響してるんだろうな。」

フォルティスも景気の事は肌で感じて居たらしいが、その理由までは判らなかったようである。

「成る程ね、若い冒険者達の装備が良くなってるのもそのお陰みたいね。」

タケルがもたらした好景気と素材により、今まで若い冒険者には手が出なかった装備が安くなっており、若い冒険者達の装備の底上げが成されていたのである。

「みんな忘れて貰っちゃ困るよ。俺がギルドの教官もやってるから実力の底上げになってるんだよ。それにゴーレムで訓練も出来るしね。」

ミケーレは若い冒険者達の実力が上がったのは自分のお陰でもあるとドヤ顔をしていた。

(うーん。全部俺が絡んでるな・・・)

「まあ、街が活気付くのは良い事ですよね。」

「そうだね。ところでタケル君、素材って何を探してたんだい?」

タケルが話をまとめた所でロランドが再度何を採集しに来たのかを聞いて来た。

「実は今学校を作ってまして、そこで使う紙と鉛筆は確保出来たんですが、消しゴムが上手くいかなくてその材料を探しに来たんですよ。」

「紙と鉛筆?消しゴム?タケル君!君は紙を作ってるのかい?」

ロランドがタケルの言葉に反応し、商人の顔になりタケルに話し掛けた。

「ええ。コレがそうです。」

タケルはアイテムボックスから紙と鉛筆を取り出してロランドに手渡した。

「これは・・・これを君が作ったのかい?」

ロランドはタケルから紙と鉛筆を受け取るとその上質さに驚いていた。

「ええ、そうですが、どうかしましたか?」

「こんな上質な紙をどうやって・・・王宮からの親書よりも上質な紙じょないか。コレを学校で使うって言うのかい?」

タケルが作った紙は思っていたよりも上質な物になるようで、ロランド曰く宮廷で使われている上質な紙よりも更に上質な物に分類されるという事が判った。そしてそんな上質な紙を学校で使う程の量が有るのか、技術が有ると推測してロランドが食い付いて来たのである。

「ええ。学校の隣に製紙工場も作りましたからね。」

「製紙工場?!それはどんな物なんだい?1度見せて貰えないだろうか。」

ロランドは更に食い付き、タケルの肩を掴んで工場を見せてくれと頼んで来た。

「え、ええ。構いませんよ。えっと、どうしましょうか。」

タケルが転移で連れて行って良いものかどうか戸惑っていると、フォルティスがタケルに耳打ちしてきた。

「ロランドなら大丈夫だ。昔から知ってるし、アイツは商人で無闇に秘密を漏らしたりしないから大丈夫だ。」

「そうですか。じゃあ一旦戻りますか。」

「悪いな、俺達も頼む。」

「ええ、勿論構いませんよ。」

タケルは一旦素材の採集を中断して商人に製紙工場を見せる為に戻る事にした。そして商人とフォルティス達を連れて製紙工場へと戻って行った。

「おお、なんと素晴らしい。紙の製作が機械化されてるのか!それにしてもどれも変わった機械だな。」

ロランドは製紙工場に転移で移動すると、転移で移動した事よりも珍しい機械に驚き興奮していた。

「全て魔石が組み込んであって、少量の魔力で動かせるようになってるんですよ。」

「おお!それは素晴らしい!すまないがちょっと動かしてる所を見せて貰えないだろうか?」

「良いですよ。」

タケルはロランドの頼みを快く聞き入れると、機械を実際に動かしてみせた。

「おお!なんと素晴らしい光景だ!タケル君!私にここの紙を売ってくれないだろうか?」

「へ?」

ロランドの申し出に、タケルは思わず変な声を出してしまった。元々余った紙はどこかに売るつもりであったが、それはゆくゆくフィナール伯爵にでもお願いしようと思っていたが、いきなり売ってくれと言われ驚いてしまったのである。

「タケル君、頼む!私は今独立しても良いと会頭に言われてるんだが、今の商会と商品が被らない事が条件なんだ。何か無いかと静寂の谷に探しに来たが、特に目新しい物は見付からなかったんだ。だがこの上質な紙なら被らない、なんなら鉛筆と消しゴムとやらもウチで取り扱おう。だから頼む。」

ロランドは必死になりお願いをし、タケルに頭を下げて来た。

「ロランドさん、ちょっとまって下さい。今はまだ生産態勢が整って無いんです。だから売ってくれと言われても返事は出来ませんよ。それにメインは学校で使う教科書やノートに使うので、余った分しか売れないですよ。」

「生産態勢ってこれだけ設備が整ってるのに?そうか、従業員が居ないからか。それなら奴隷商で買って来るのはどうだろう、借金奴隷なら元々手に職を持って居た者も多いからな。」

「まあ、そこは追々考えますよ。それよりも鉛筆と消しゴムが何だか判らないで扱うんですか?」

ロランドはタケルにそう言われると、先程タケルから受け取った紙と鉛筆を取り出した。紙の上質さに驚き、鉛筆の事を良く見ていなかった為に改めて鉛筆を持ってじっくりと見ていた。

「これは・・・筆記具か、どれ。」

ロランドは紙をテーブルに置いて鉛筆でスラスラと自分の名前を書き込んだ。

「おお!なんと滑らかな!インクとはまた違った書き味で素晴らしいな。」

ロランドが鉛筆の書き味に驚いていると、タケルが消しゴムを取り出してロランドの前に置いた。

「コレが消しゴムです。消しゴムで今書いた字を擦ってみて下さい。」

「擦れば良いのか?どれ・・・あっ!おお!おおお!消える!文字が消えるぞ!」

ロランドは消しゴムで擦る事で鉛筆で書いた文字が消える事に驚き、そして興奮して書いては消して、書いては消してを繰り返していた。

「凄い!鉛筆も消しゴムも凄い発明だ!これは売れるぞ!是非扱いたい!」

ロランドはそう言って興奮していた。そして喉が乾いたのか、バッグから容器を取り出して口に含んだ。

「あっ!それは!」

「ブフーッ!うわ!コレは何かに使えるかもと採集しておいたスライムだった。」

フォルティスが気付き止めようとしたが間に合わず、ロランドは死んだスライムを口に含んでしまい、思わず吹き出した。

「あ~あ。すまない、消しゴムがスライムで汚れてしまった。」

「良いんですよ、試作品ですから。ん?んん?」

ロランドはスライムで汚れた消しゴムを振って汚れを落としタケルに返すと、タケルは消ゴムの違和感に気付いた。

「表面の質感が変わったな・・・もしかして。」

タケルは紙に適当に線を書き、それを消しゴムで消してみた。

「おお!これだ!この消し心地が欲しかったんだ!」

タケルは消しゴムを頭上に突き上げ、片手でガッツポーズを取ってそう叫んでいた。


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ようやく風邪も良くなり書けるようになりました。しかし忙しさは変わらないので毎日の更新は難しそうです。

懲りずに応援宜しくお願い致します。
















    
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