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2章3部フィナールの街編
47話 屋敷内の探索
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ミレーナと共に人拐いに拐われてしまったミレイア。しかし難なく全員を殺す事無く拘束し、捕らえる事が出来た。タケル達も蒼牙と黒狼の会話を聞き助けに来たが、その必要も無いと思う程であった。その後人拐い達は犯罪奴隷として売られ、タケル達はレベル上げを終えて、フォルティス達に十分な強さを手に入れさせる事が出来、タケルはフィナール伯爵の屋敷に報告に来ていた。
「タケル君、今回は本当にありがとう、話に聞くとレベル上げに参加した者達は何れもSランク相当の実力手に入れたそうだね。」
「そうですね、レベル上げに参加する前のフォルティスさんよりも強くなってますよ。」
「おお、そんなにか!本当に凄いな。そうだとすると報酬があの屋敷だけというのも安すぎる気がするな。」
フィナール伯爵はタケルが行ったレベル上げへの報酬が安すぎると思いっていた。今回のレベル上げに参加した10人全員がSランク以上の実力を手に入れており、タケル達のパーティーを除けば大陸随一の実力が有る集団となっていたからだ。もし今回のレベル上げが国王からの依頼であったならば、受爵されてもおかしくない程の功績であった。
「良いんですよ、レベル上げの際に狩った魔物を貰ってますし、十分ですよ。」
「そうか、そう言って貰えると助かるよ、タケル君の功績はこの街以上の領地を貰ってもおかしくない程の物だからね。」
「いやあ、俺はそんなの貰っても困りますからね、今回の報酬くらいが丁度良いですよ。」
「タケル君は欲が無いな。それじゃあコレが例の屋敷の権利書と鍵、それとコレを受け取って欲しい。」
フィナール伯爵はそう言って権利書と鍵の他に短剣をテーブルの上に置いた。
「え?コレは・・・」
フィナール伯爵がテーブルに置いた短剣は、全体に装飾が施されており、一目で貴重な物だと判る物であった。そしてその短剣には火の大精霊の加護が付いており、とても強い魔力を纏っていた。
「この短剣は我が家に伝わる家宝でね。タケル君に是非受け取って欲しいんだ。」
フィナール伯爵は代々伝わる家宝をタケルに受け取って欲しいと言った。自分が持っているよりも実力が有るタケルが持っている方が良いと考えたようである。
「ええ!そんな大事な物、貰う訳にいきませんよ。」
「いや、私なんかよりもタケル君のような実力が有る人物が持った方が、この短剣も生きると思うんだ、是非受け取って欲しい。」
フィナール伯爵はそう言ってタケルに短剣を押し付けるように渡してきた、タケルは仕方なく受け取りその短剣を鑑定で調べてみた。
「コレは・・・伯爵、やはりコレは受け取れません。」
タケルは短剣を鑑定すると、何かに気付いたのか丁寧に伯爵に短剣を返した。
「何故だい?この短剣は凄い力を秘めてると聞いている。きっとタケル君の力になると思うんだが。」
「だからですよ。この短剣は火の大精霊の加護が付いています。そしてその加護はフィナール家の者が持って初めて有効になるようになっています。恐らく伯爵の先祖は大精霊と実際に会った事が有るのでしょう、その時の盟約の証しとしてこの短剣に加護を授かったようですね。」
「確かに我が家は昔から女神の他に火の精霊に祈りを捧げているが、何故そうなのかまでは知らなかったな。」
フィナール伯爵は短剣を見つめながらそう言って、今まで何となく捧げて来ていた火の精霊への祈りの意味を知って何か考え込んでいた。
「ええ。どんな盟約かまでは判りませんが、その短剣は伯爵が持っている事で初めて効果が得られる物みたいなので、今まで通り大切に持っていて下さい。」
「この短剣にそんな意味が有ったとは・・・何か逆に悪いね、教えて貰う形になっちゃって。」
「いえ、良いんですよ。良いもの見れて良かったです。」
「タケル君、そう言えば孤児院への寄付金の事だけど、ようやく解決したよ。」
「あ、そうなんですか?それで何が原因だったんですか?」
タケルがそう質問すると、フィナール伯爵は少し渋い顔をして話し始めた。
「実はミレイアちゃんが先日捉えた人拐いの集団の中に居たマルコスと言う男が居たんだけど、判るかい?」
「ああ、門の警備をしていた兵士ですよね?」
「そう、そのマルコスが街への様々な寄付金を担当する役人と結託して横領していたんだよ。」
「そんな事までしていたんですか!」
「そうなんだ。タケル君が街へ来た時に絡まれたそうだね、あの後マルコスの悪事が次々に明るみになって、犯罪奴隷となる事が決まり奴隷商へ移送中に馬車が事故に遭ってね、死んだと思われていたんだけど生きていて、街から逃げるついでに最後の稼ぎとして子供達を買って売り捌くつもりだったらしい。」
「そうなんですか!捕まえられて良かったですね。」
「そうだね。これで暫くは街も平和になると良いんだが。」
「そうですね、そうなると良いですね。あっ、そうだ、伯爵。先日お話しした学校の件ですが、コレが俺が考えた内容です。」
タケルはそう言ってアイテムボックスから書類を取り出してテーブルに置いた。
「どれどれ。ちょっと確認させて貰うよ。」
フィナール伯爵はタケルが作成した学校の概容を見て驚いていた。
「学校を無料で開くののかい?それに算術から薬草に錬金術、鍛冶に魔法にこんなに教えるのかい?」
「あ、いえ。あくまで提案です。それに習いたい物を選択出来るようにして、個人のスキルを伸ばせればと思いまして。」
「なるほど、貴族が通うような学校とは違うと言うわけだね。確かに識字率が上がって様々なスキルを身に付けた者が増えれば街全体の利益にも繋がるね。」
「そうなんです。最終的には失業者を居なく出来ればと思いまして。」
「すまないね、本来それは私が考えなくてはいけない事なんだけど、タケル君にそんな事を考えさせてしまって。」
「いえ、あくまで俺の自己満足ですから気にしないで下さい。」
「ははは、自己満足か。判った、タケル君の自己満足を満たせるように協力させて貰うよ。学校の件は今後もう少し煮詰めて行こう。」
「そうですね。判りました。じゃあ俺は例の屋敷の内部を隅々まで調べてみます。それでは失礼致します。」
タケルはフィナール伯爵に頭を下げ挨拶をすると、転移で宿に戻った。
「ただいま。権利書と鍵を貰って来たよ。」
「おお、じゃあもう屋敷はタケルの物なのか。」
「おめでとうございます。タケル様。」
「うん、ありがとう。アル、アルミス。」
アルセリオとアルミスはタケルの帰りを待っていたようである。
「いつから住み始めるんだ?」
「んん~、ちょっと変わった家だから、少し調べてからだね。」
「少し変わってるって・・・変わってるのは見た目だけじゃ無いのか?」
「そうだね。ちょっと確認しただけでも内部も随分と変わってる感じだったね。」
「タケル様、では内部を調査し終わってから引っ越しと言う事でしょうか?」
タケルとアルセリオの会話を聞いたアルミスが聞いてきた。
「そうだね。今からサビオさんと調査に行くからアルミスとアルも付いて来て。」
「分かりました。タケル様。」
「おう、良いぜ。」
その後タケルはサビオの部屋に行き、サビオとアルミス、アルセリオを連れて屋敷の玄関前に転移した。
「おお、何だか凄い屋敷だな。」
アルセリオが屋敷を覆っている蔦を見てそう声を上げた。
「コレは精霊魔法の一種だの。蔦が結界の役目をしてるようだな。」
サビオは一目見て蔦の正体に気付いたようであった。
「そうなんですよ、流石サビオさんです。ここの石柱に触れると中に入れるようになります。」
タケルがそう言って石柱に触れると蔦が動いて扉が現れた。
「ほう。なるほど。精霊魔法に反応するようになっているのか。精霊魔法を使えるのは精霊か精霊の加護を受けた者だけだからな。」
「そうですね、それもこの屋敷を気に入った理由の一つです。」
タケルはそう言って扉に鍵を挿し込み扉を開いた。
「さ、内部を探検といきますか。」
「ええ、行きましょう。」
探検をすると言ったタケルにアルミスがそう言って腕を絡めて来た。扉を通り中へ入るとタケルは【ライト】の魔法を使って中を照らした。
「思ったより綺麗、というか凄く綺麗ですね。」
「ふむ、結界が張られている間は状態保存の魔法が掛けられていたみたいだな。」
「そうなんですよ。シーバムの宮殿は建物自体に掛けられていて内装は朽ちて居ましたが、ここは内装や家具にも掛けられていたみたいで、20年程空き家だったんですが全然傷んでないんですよ。」
タケルはそう言いながら花瓶に生けられている花を一輪抜いてサビオに向けて差し出した。
「なるほど、タケル殿が気になる訳だの。」
サビオはそう言ってタケルから花を受けとると、クルクルと回して確認して花瓶に戻した。
「じゃあ一通り確認してみますか。」
タケルはそう言うと屋敷の一階部分を手分けして調べる事にした。
「1階は特に変わった所は無いですね。」
「そうだの、どこも綺麗だという事以外は特に変わった事は無いな。」
「俺も同じだ。」
1階は厨房、風呂場、トイレ、応接室等が有り、細々としていたが、タケル達は手分けして調べ終わり、特に何も無かった事を報告し合った。
「じゃあ、上の階に行ってみますか。」
タケル達は次に2階を手分けして探した。2階は客間らしい寝室や、執務室、書斎等が有った。
「書斎とこの執務室に結界が張られていた以外は2階も変わった事は無いですね。」
「ふむ。一応後で書斎と執務室の物を調べて見るとしよう。」
執務室と書斎に結界が張ってあったが、パッと見た目はそんなに珍しい者は無かった、しかし書類や書籍が沢山有ったので後でゆっくりと調べる事にした。
「じゃあ次は3階か?」
アルセリオが執務室の机の上の書類をパラパラとめくりながらそう聞いてきた。
「そうだね、行ってみようか。」
タケル達は執務室を出て次は3階へ行き手分けして調べる事にした。
「この階は他と違って変わった所だらけだな。」
「そうですね。タケル様。」
そう言うタケルとアルミスの目の前には変わった植物が沢山有り、室内でありながら植物園のようであった。
「さっきの部屋は石像みたいなのがびっしりと並んでいたし、この部屋は床が土になってるし。なんなんだ?」
「タケル~。普通の寝室だった、うわっ!なんだこれ!」
違う部屋を見てきたアルセリオが部屋の植物を見て驚いていた。
「タケル殿、また結界が張ってある部屋が有って、書庫だったんだの・・・ほほっこれはまた面白い。」
他の部屋を調べたサビオもやって来て、部屋の植物を見て面白がっていた。
「ここの当主は何がしたかったんですかね?」
「ワシにもわからんが、研究者であったようだの。」
「へえ、ただの変人じゃ無かったって事か。」
アルセリオがそう言って床の土を足で穴を掘っていた。
「じゃあ書庫も後で確認しましょう。隣の部屋にある隠し部屋から地下に降りる階段が有るので、地下室を調べましょう。」
「えっ?3階から地下室へ行くのか?」
タケル達が居るのは3階で、そこから地下に続く階段が有ると聞いてアルセリオは驚いていた。
「そうなると地下が一番怪しいの。」
「そうですね。」
タケルはそう言いながら隠し部屋の入り口の結界を解除して中へ入って行った。隠し部屋は小さい小部屋で階段を隠す為だけ有るようで何も無かった。タケルは壁を調べて隠された仕掛けを見つけ、隠し扉を開いた。
「随分と手が込んでますね。」
「そうだの、ますます地下が怪しいの。」
タケル達は罠が無い事を確認して階段を降りて行った。階段は一直線に下へ伸びており、一階辺りで折り返す感じになっており、地下へ続いていた。地下へ下りると頑丈な扉が有り、そこにも結界が張って有った。
「さて、何が有るんですかね。」
「財宝じゃ無いのか?」
タケルが結界を解除すると、アルセリオがそう聞いて来た。
「財宝では無いみたいだね。ここの当主はあまりそう言った物には興味が無かったみたいだね。そこそこのお金はさっき見つけたけど、貴族の財産にしては少なかったね。」
「なんだ、そうなのか。」
「うん、それにこの扉の向こうにも財宝の反応は無いね。」
タケルはそう言うと扉を開けて中へ入って行った。
「おお、凄いな。」
「これは・・・」
「なんだ?こりゃ。」
タケル達が地下室へ入ると魔石が自動で光り地下室を照らした。そして目に飛び込んで来たも物は、沢山有る棚に並べられた魔石と何かの石と、書籍と書類の山であった。
「魔石をこんなに沢山集めて何の研究をしてたんですかね。」
「判らんが、ここに有る魔石は全て魔物から取れる物では無く、自然界で取れる物ばかりだな。」
この世界で魔石と言ったら魔物の体内から取れる物、と言うのが一般的であるが、希にではあるが自然に魔石が出来る事が有る。地中に形成される事が多いが、更に希に水中や空中にも形成される事もあった。そして地下室には希少な自然の魔石が大量に保管してあったのである。
「ここにも隠し部屋が有りますね。」
自然の魔石には目もくれず、タケルはまっすぐ進んで行き、棚の魔石を手にして見ているサビオにそう声を掛けた。
「そこに何かが有るみたいだの。」
その隠し部屋もやはり結界が張られていた。タケルはサビオの言葉に頷くと、隠し部屋の結界を解除して扉を開けた。
「コレは・・・」
タケルが扉を開けるとそこには豪華な装飾が施された机が1つだけ置いてあり、その上に1つの魔石が台座に乗せられていた。
「サビオさん、コレって・・・」
タケルは隠し部屋の中に入り魔石に顔を近付けてサビオにそう話し掛けた。
「そうだの。間違い無いの。」
サビオはタケルの言いたい事を察してそう言うと、タケルは黙って頷いた。アルセリオとアルミスは何の事か分からず、首を傾げていた。
「アルミス、コレに見覚えないかい?」
意味が分からず首を傾げるアルミスに対し、タケルは机の上の魔石を指し示してそう尋ねた。
「えっ?・・・・あっ!」
アルミスは最初意味が判らず魔石を見つめていたが、何かに気付いたようで驚いたように声を上げた。
「気付いたみたいだね。そう、これは封印石」
タケルがそう良いながら封印石に触れた瞬間、見覚えの有る景色が飛び込んで来た。それは以前シーバムの大森林にある遺跡で体験したものと同じ過去の記憶で、またもシーバム王国の謁見の間であった。
「タケル君、今回は本当にありがとう、話に聞くとレベル上げに参加した者達は何れもSランク相当の実力手に入れたそうだね。」
「そうですね、レベル上げに参加する前のフォルティスさんよりも強くなってますよ。」
「おお、そんなにか!本当に凄いな。そうだとすると報酬があの屋敷だけというのも安すぎる気がするな。」
フィナール伯爵はタケルが行ったレベル上げへの報酬が安すぎると思いっていた。今回のレベル上げに参加した10人全員がSランク以上の実力を手に入れており、タケル達のパーティーを除けば大陸随一の実力が有る集団となっていたからだ。もし今回のレベル上げが国王からの依頼であったならば、受爵されてもおかしくない程の功績であった。
「良いんですよ、レベル上げの際に狩った魔物を貰ってますし、十分ですよ。」
「そうか、そう言って貰えると助かるよ、タケル君の功績はこの街以上の領地を貰ってもおかしくない程の物だからね。」
「いやあ、俺はそんなの貰っても困りますからね、今回の報酬くらいが丁度良いですよ。」
「タケル君は欲が無いな。それじゃあコレが例の屋敷の権利書と鍵、それとコレを受け取って欲しい。」
フィナール伯爵はそう言って権利書と鍵の他に短剣をテーブルの上に置いた。
「え?コレは・・・」
フィナール伯爵がテーブルに置いた短剣は、全体に装飾が施されており、一目で貴重な物だと判る物であった。そしてその短剣には火の大精霊の加護が付いており、とても強い魔力を纏っていた。
「この短剣は我が家に伝わる家宝でね。タケル君に是非受け取って欲しいんだ。」
フィナール伯爵は代々伝わる家宝をタケルに受け取って欲しいと言った。自分が持っているよりも実力が有るタケルが持っている方が良いと考えたようである。
「ええ!そんな大事な物、貰う訳にいきませんよ。」
「いや、私なんかよりもタケル君のような実力が有る人物が持った方が、この短剣も生きると思うんだ、是非受け取って欲しい。」
フィナール伯爵はそう言ってタケルに短剣を押し付けるように渡してきた、タケルは仕方なく受け取りその短剣を鑑定で調べてみた。
「コレは・・・伯爵、やはりコレは受け取れません。」
タケルは短剣を鑑定すると、何かに気付いたのか丁寧に伯爵に短剣を返した。
「何故だい?この短剣は凄い力を秘めてると聞いている。きっとタケル君の力になると思うんだが。」
「だからですよ。この短剣は火の大精霊の加護が付いています。そしてその加護はフィナール家の者が持って初めて有効になるようになっています。恐らく伯爵の先祖は大精霊と実際に会った事が有るのでしょう、その時の盟約の証しとしてこの短剣に加護を授かったようですね。」
「確かに我が家は昔から女神の他に火の精霊に祈りを捧げているが、何故そうなのかまでは知らなかったな。」
フィナール伯爵は短剣を見つめながらそう言って、今まで何となく捧げて来ていた火の精霊への祈りの意味を知って何か考え込んでいた。
「ええ。どんな盟約かまでは判りませんが、その短剣は伯爵が持っている事で初めて効果が得られる物みたいなので、今まで通り大切に持っていて下さい。」
「この短剣にそんな意味が有ったとは・・・何か逆に悪いね、教えて貰う形になっちゃって。」
「いえ、良いんですよ。良いもの見れて良かったです。」
「タケル君、そう言えば孤児院への寄付金の事だけど、ようやく解決したよ。」
「あ、そうなんですか?それで何が原因だったんですか?」
タケルがそう質問すると、フィナール伯爵は少し渋い顔をして話し始めた。
「実はミレイアちゃんが先日捉えた人拐いの集団の中に居たマルコスと言う男が居たんだけど、判るかい?」
「ああ、門の警備をしていた兵士ですよね?」
「そう、そのマルコスが街への様々な寄付金を担当する役人と結託して横領していたんだよ。」
「そんな事までしていたんですか!」
「そうなんだ。タケル君が街へ来た時に絡まれたそうだね、あの後マルコスの悪事が次々に明るみになって、犯罪奴隷となる事が決まり奴隷商へ移送中に馬車が事故に遭ってね、死んだと思われていたんだけど生きていて、街から逃げるついでに最後の稼ぎとして子供達を買って売り捌くつもりだったらしい。」
「そうなんですか!捕まえられて良かったですね。」
「そうだね。これで暫くは街も平和になると良いんだが。」
「そうですね、そうなると良いですね。あっ、そうだ、伯爵。先日お話しした学校の件ですが、コレが俺が考えた内容です。」
タケルはそう言ってアイテムボックスから書類を取り出してテーブルに置いた。
「どれどれ。ちょっと確認させて貰うよ。」
フィナール伯爵はタケルが作成した学校の概容を見て驚いていた。
「学校を無料で開くののかい?それに算術から薬草に錬金術、鍛冶に魔法にこんなに教えるのかい?」
「あ、いえ。あくまで提案です。それに習いたい物を選択出来るようにして、個人のスキルを伸ばせればと思いまして。」
「なるほど、貴族が通うような学校とは違うと言うわけだね。確かに識字率が上がって様々なスキルを身に付けた者が増えれば街全体の利益にも繋がるね。」
「そうなんです。最終的には失業者を居なく出来ればと思いまして。」
「すまないね、本来それは私が考えなくてはいけない事なんだけど、タケル君にそんな事を考えさせてしまって。」
「いえ、あくまで俺の自己満足ですから気にしないで下さい。」
「ははは、自己満足か。判った、タケル君の自己満足を満たせるように協力させて貰うよ。学校の件は今後もう少し煮詰めて行こう。」
「そうですね。判りました。じゃあ俺は例の屋敷の内部を隅々まで調べてみます。それでは失礼致します。」
タケルはフィナール伯爵に頭を下げ挨拶をすると、転移で宿に戻った。
「ただいま。権利書と鍵を貰って来たよ。」
「おお、じゃあもう屋敷はタケルの物なのか。」
「おめでとうございます。タケル様。」
「うん、ありがとう。アル、アルミス。」
アルセリオとアルミスはタケルの帰りを待っていたようである。
「いつから住み始めるんだ?」
「んん~、ちょっと変わった家だから、少し調べてからだね。」
「少し変わってるって・・・変わってるのは見た目だけじゃ無いのか?」
「そうだね。ちょっと確認しただけでも内部も随分と変わってる感じだったね。」
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「そうだね。今からサビオさんと調査に行くからアルミスとアルも付いて来て。」
「分かりました。タケル様。」
「おう、良いぜ。」
その後タケルはサビオの部屋に行き、サビオとアルミス、アルセリオを連れて屋敷の玄関前に転移した。
「おお、何だか凄い屋敷だな。」
アルセリオが屋敷を覆っている蔦を見てそう声を上げた。
「コレは精霊魔法の一種だの。蔦が結界の役目をしてるようだな。」
サビオは一目見て蔦の正体に気付いたようであった。
「そうなんですよ、流石サビオさんです。ここの石柱に触れると中に入れるようになります。」
タケルがそう言って石柱に触れると蔦が動いて扉が現れた。
「ほう。なるほど。精霊魔法に反応するようになっているのか。精霊魔法を使えるのは精霊か精霊の加護を受けた者だけだからな。」
「そうですね、それもこの屋敷を気に入った理由の一つです。」
タケルはそう言って扉に鍵を挿し込み扉を開いた。
「さ、内部を探検といきますか。」
「ええ、行きましょう。」
探検をすると言ったタケルにアルミスがそう言って腕を絡めて来た。扉を通り中へ入るとタケルは【ライト】の魔法を使って中を照らした。
「思ったより綺麗、というか凄く綺麗ですね。」
「ふむ、結界が張られている間は状態保存の魔法が掛けられていたみたいだな。」
「そうなんですよ。シーバムの宮殿は建物自体に掛けられていて内装は朽ちて居ましたが、ここは内装や家具にも掛けられていたみたいで、20年程空き家だったんですが全然傷んでないんですよ。」
タケルはそう言いながら花瓶に生けられている花を一輪抜いてサビオに向けて差し出した。
「なるほど、タケル殿が気になる訳だの。」
サビオはそう言ってタケルから花を受けとると、クルクルと回して確認して花瓶に戻した。
「じゃあ一通り確認してみますか。」
タケルはそう言うと屋敷の一階部分を手分けして調べる事にした。
「1階は特に変わった所は無いですね。」
「そうだの、どこも綺麗だという事以外は特に変わった事は無いな。」
「俺も同じだ。」
1階は厨房、風呂場、トイレ、応接室等が有り、細々としていたが、タケル達は手分けして調べ終わり、特に何も無かった事を報告し合った。
「じゃあ、上の階に行ってみますか。」
タケル達は次に2階を手分けして探した。2階は客間らしい寝室や、執務室、書斎等が有った。
「書斎とこの執務室に結界が張られていた以外は2階も変わった事は無いですね。」
「ふむ。一応後で書斎と執務室の物を調べて見るとしよう。」
執務室と書斎に結界が張ってあったが、パッと見た目はそんなに珍しい者は無かった、しかし書類や書籍が沢山有ったので後でゆっくりと調べる事にした。
「じゃあ次は3階か?」
アルセリオが執務室の机の上の書類をパラパラとめくりながらそう聞いてきた。
「そうだね、行ってみようか。」
タケル達は執務室を出て次は3階へ行き手分けして調べる事にした。
「この階は他と違って変わった所だらけだな。」
「そうですね。タケル様。」
そう言うタケルとアルミスの目の前には変わった植物が沢山有り、室内でありながら植物園のようであった。
「さっきの部屋は石像みたいなのがびっしりと並んでいたし、この部屋は床が土になってるし。なんなんだ?」
「タケル~。普通の寝室だった、うわっ!なんだこれ!」
違う部屋を見てきたアルセリオが部屋の植物を見て驚いていた。
「タケル殿、また結界が張ってある部屋が有って、書庫だったんだの・・・ほほっこれはまた面白い。」
他の部屋を調べたサビオもやって来て、部屋の植物を見て面白がっていた。
「ここの当主は何がしたかったんですかね?」
「ワシにもわからんが、研究者であったようだの。」
「へえ、ただの変人じゃ無かったって事か。」
アルセリオがそう言って床の土を足で穴を掘っていた。
「じゃあ書庫も後で確認しましょう。隣の部屋にある隠し部屋から地下に降りる階段が有るので、地下室を調べましょう。」
「えっ?3階から地下室へ行くのか?」
タケル達が居るのは3階で、そこから地下に続く階段が有ると聞いてアルセリオは驚いていた。
「そうなると地下が一番怪しいの。」
「そうですね。」
タケルはそう言いながら隠し部屋の入り口の結界を解除して中へ入って行った。隠し部屋は小さい小部屋で階段を隠す為だけ有るようで何も無かった。タケルは壁を調べて隠された仕掛けを見つけ、隠し扉を開いた。
「随分と手が込んでますね。」
「そうだの、ますます地下が怪しいの。」
タケル達は罠が無い事を確認して階段を降りて行った。階段は一直線に下へ伸びており、一階辺りで折り返す感じになっており、地下へ続いていた。地下へ下りると頑丈な扉が有り、そこにも結界が張って有った。
「さて、何が有るんですかね。」
「財宝じゃ無いのか?」
タケルが結界を解除すると、アルセリオがそう聞いて来た。
「財宝では無いみたいだね。ここの当主はあまりそう言った物には興味が無かったみたいだね。そこそこのお金はさっき見つけたけど、貴族の財産にしては少なかったね。」
「なんだ、そうなのか。」
「うん、それにこの扉の向こうにも財宝の反応は無いね。」
タケルはそう言うと扉を開けて中へ入って行った。
「おお、凄いな。」
「これは・・・」
「なんだ?こりゃ。」
タケル達が地下室へ入ると魔石が自動で光り地下室を照らした。そして目に飛び込んで来たも物は、沢山有る棚に並べられた魔石と何かの石と、書籍と書類の山であった。
「魔石をこんなに沢山集めて何の研究をしてたんですかね。」
「判らんが、ここに有る魔石は全て魔物から取れる物では無く、自然界で取れる物ばかりだな。」
この世界で魔石と言ったら魔物の体内から取れる物、と言うのが一般的であるが、希にではあるが自然に魔石が出来る事が有る。地中に形成される事が多いが、更に希に水中や空中にも形成される事もあった。そして地下室には希少な自然の魔石が大量に保管してあったのである。
「ここにも隠し部屋が有りますね。」
自然の魔石には目もくれず、タケルはまっすぐ進んで行き、棚の魔石を手にして見ているサビオにそう声を掛けた。
「そこに何かが有るみたいだの。」
その隠し部屋もやはり結界が張られていた。タケルはサビオの言葉に頷くと、隠し部屋の結界を解除して扉を開けた。
「コレは・・・」
タケルが扉を開けるとそこには豪華な装飾が施された机が1つだけ置いてあり、その上に1つの魔石が台座に乗せられていた。
「サビオさん、コレって・・・」
タケルは隠し部屋の中に入り魔石に顔を近付けてサビオにそう話し掛けた。
「そうだの。間違い無いの。」
サビオはタケルの言いたい事を察してそう言うと、タケルは黙って頷いた。アルセリオとアルミスは何の事か分からず、首を傾げていた。
「アルミス、コレに見覚えないかい?」
意味が分からず首を傾げるアルミスに対し、タケルは机の上の魔石を指し示してそう尋ねた。
「えっ?・・・・あっ!」
アルミスは最初意味が判らず魔石を見つめていたが、何かに気付いたようで驚いたように声を上げた。
「気付いたみたいだね。そう、これは封印石」
タケルがそう良いながら封印石に触れた瞬間、見覚えの有る景色が飛び込んで来た。それは以前シーバムの大森林にある遺跡で体験したものと同じ過去の記憶で、またもシーバム王国の謁見の間であった。
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良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
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小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
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初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
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