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2章3部フィナールの街編
37話 地竜型ゴーレム
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里での宴の翌日、タケルはみんなのレベル上げを自分抜きにし、アルセリオをリーダーとして森に行って貰う事にして森に送った後、1人セーフティゾーンに行き、以前ビエントと約束したゴーレム作成装置を作る事にした。【サポート】の魔法の助けで作業が思いの外早く終わり、冒険者ギルドにゴーレム作成装置を届け、使い方を説明するとビエントが試しに地竜のゴーレムを作って見たいと言い、闘技場に地竜型ゴーレムをつくると、本物そっくりの地竜型ゴーレムは咆哮まで放った。そこへ投票へ戻って来た冒険者が驚きちょっとした騒ぎになり、タケルとビエントは固まってしまった。
「ちょっと受かれてましたね・・・」
「あ、ああ。そうだな。」
ビエントはそう言うと剣を仕舞い、何事も無かったように装置に歩み寄ると地竜型ゴーレムを消し去った。
「タケル君、スマン。記憶を操作出来ると言っていたよな・・・」
ビエントは事態の収集の為に、タケルの魔法で記憶を操作して揉み消そうとしているようであった。
「いやいや、ビエントさん。流石にそれは不味いですよ!ギルドマスターなんですから自分で何とかして下さいよ!」
「・・・ハァ。そうだよな。どのみち訓練で使う予定だった物だ、しっかり説明するしか無いな。」
ビエントがそう言うと、先程まで驚き騒いでいた新米冒険者達が、地竜が突然消え去った事を不思議に思い地竜が居た辺りを調べようと近付いて来ていた。
「地竜、居たよな・・・」
「どこ行ったんだ?」
新米冒険者達は地竜型ゴーレムが居た辺りをウロウロとしており、そう言って周囲を確認していた。
「ウォッホッン!あ~諸君、ちょっと良いかな。カルロ、みんなを連れて来てくれ。」
ビエントはウロウロしている新米冒険者に声を掛けると、以前新米冒険者の訓練の教官をしていたカルロがまた教官をしており、カルロにみんなを集めるように言った。
「よし、みんな揃ったな。」
ビエントは集まった新米冒険者とカルロを見てそう言うと、小さく深呼吸をして話を始めた。
「諸君、初心者講習ご苦労様。初心者講習は諸君の冒険者としての──」
「ビエントさん!地竜の話。」
地竜の話を始めようとしないビエントに対し、タケルが歩み寄り小声でそう話し掛けた。
「分かっている・・・あ~先程地竜を見たと騒いでいたが、実際に見たと言うものはどれ位居るかな?」
ビエントがそう尋ねると、10人程の新米冒険者が手を上げた。どうやら他の者達は咆哮しか聞いていないようであった。
「あの、ギルドマスター。先程の咆哮のような物はやはり地竜なのでしょうか?」
教官のカルロは地竜の姿を見ていないようで、ビエントにそう質問をしてきた。
「ああ、確かに地竜は居た。」
ビエントがそう言うと、集まった新米冒険者達がザワザワと騒がしくなった。
「諸君!静粛に!・・・地竜は居たと言ったが、正確に言うと地竜では無い。」
「え?それはどういう・・・まさか!新種のドラゴンなのですか?」
ビエントの言葉にカルロがそう問い掛けた。
(一体何を言い渋ってるんだか、素直に言っちゃえば良いのに。)
「ビエントさん、代わりに言いましょうか?」
タケルはなかなかハッキリと説明しないビエントに小声でそう問い掛けた。
「う、だ、大丈夫だ。」
ビエントは意を決したように息を吐くと、顔付きがキリッと引き締まりギルドマスターらしい威厳の有る物へと変わり、再び話始めた。
「諸君。先程は驚かせてすまない。地竜を見たと思うが、あれはギルドが開発を重ねて来た訓練用ゴーレムの姿だ。今日ようやく完成してな、そのテストをしていたんだ。」
「あれがゴーレム?俺が見たのは間違いなく本物の地竜だったぞ。」
「あれはゴーレムじゃ無かった!俺はこの目で見たんだ!」
先程の地竜はゴーレムだという説明に、新米冒険者達は信じられないという様子で口々にそう言っていた。しかし以前タケルのオーク型ゴーレムを見た事が有る教官のカルロだけは、ビエントの話に納得した様子で頷いていた。
「信じられないのも無理は無い、今までに無い最新の技術で作られた新しい形のゴーレムだからな。」
「じゃあもう一度地竜のゴーレムを見せて下さいよ。そうじゃなければ信じられません。」
「そうだ!それが本当ならもう一度出して下さい!」
「俺も地竜を見てみたい!」
1人の新米冒険者の発言を切っ掛けに、次々と発言を始めた。
「あ~静粛に!分かった、本来であれば諸君達のような新米冒険者の訓練用で、オークやゴブリンしか出さないのだが、今日は特別にもう一度地竜を出してやろう。」
ビエントがそう言うと、まだ地竜を見てない新米冒険者達から歓声が上がった。
「では諸君、少しこっちへ寄ってくれ。」
ビエントは装置の前に立つとそう言って新米冒険者達を端に寄せ、ゴーレム作成装置を操作し始めた。
「見ろ!地面が光って何か出て来たぞ!」
「おお!スゲー!召喚魔法みたいだ!」
地面から湧きあがるように徐々に姿を見せる竜型ゴーレムを見て、新米冒険者達は再び驚きと歓声を上げていた。そして地竜型ゴーレムが完全に姿を見せると、新米冒険者達は地竜型ゴーレムの迫力に黙っりこみ、息を呑んで地竜型ゴーレムを見上げていた。
「どうだ?これがギルドが新たに開発したゴーレムだ。本物そっくりだろう。」
地竜型ゴーレムを見上げている新米冒険者達に向かって、ビエントがドヤ顔をして話し掛けた。
(なんでビエントさん、アンタがドヤ顔なんだよ!さっきまでシドロモドロしてたのはどこ行ったんだよ!)
ビエントのドヤ顔に対しタケルは心の中でツッコミを入れていた。
「この地竜のゴーレムが先程の咆哮を放ったのですか?置物のように全く動きませんが。」
地竜型ゴーレムが全く動かないので、先程の咆哮が本当にこの地竜型ゴーレムの物なのかと教官のカルロがビエントに質問をしてきた。
「勿論だ。なんならもう一度味わってみるか?」
「おお!スゲー!こんなに近くで地竜の咆哮を聞けるのか、楽しみだな。」
「もう一度ちゃんと聞いてみたいです!」
新米冒険者達は次々に咆哮を見たいと声を上げていた。そんな中、教官のカルロは黙ってその様子を見ているだけであった。
「どうしたカルロ、このゴーレムが咆哮を放ったかどうか確認したいんじゃないのか?」
「あ、いえ。自分は・・・」
カルロは冒険者の勘と言うのであろうか、何か嫌な予感がして咆哮を聞きたいと言い出す事を躊躇っていた。
「そうか、では誰か地竜と対峙してみたいと思う者は居るか?」
ビエントがそう言うと、数人の新米冒険者が手を挙げた。
「よし、では一番早かった君。地竜と対峙してみてくれ。」
「はーい。」
選ばれた新米冒険者は相手がゴーレムだと思って完全に舐めているようであった。
「新型のゴーレムって言ったって、咆哮を放って少し動く位だろ?対峙するくらい余裕余裕。」
新米冒険者はそう言うと、地竜の前に立ちゆっくりと剣を抜き構えた。
「おお!動いたぞ!」
剣を抜き対峙した事で動き始めた地竜を見て、見学する事になった新米冒険者達が指を指しながら声を上げた。
「なんだったら攻撃しても良いぞ!」
「はっ、幾ら地竜って言ったって所詮は土くれで出来たゴーレムだ、俺の剣でズタズタになっても文句言うなよ!」
新米冒険者はそう言うと地竜に向かって飛び掛かろうとした瞬間、地竜型ゴーレムが咆哮を放ち建物がビリビリと震え、新米冒険者はその場で耳を塞いでしゃがみこんでしまった。咆哮が止むと、ヨロヨロと新米冒険者は立ち上がり、頭をブンブンと振ると剣を構えた。
「くそっ!土くれのくせに!」
するとタケルがビエントに近付いて何やら耳打ちをすると、ビエントはニヤリと笑うと頷いてタブレットを操作し始めた。
「今度こそ土くれに戻してやる!」
新米冒険者がそう言って再び飛び掛かろうとした瞬間、今度は突然新米冒険者の体が硬直したように固まり、地面に倒れ込んだ。
「ヒィ!」
倒れ込んだ新米冒険者はその場で頭を抱えて、ブルブルと震えていた。そして見学をしていた者達も青い顔をして硬直していた。そんな中、教官のカルロだけは何とか平静を保っていた。
「ほう、これはなかなかの威圧だな。抑えてこの威圧とは流石に地竜といったところか。」
ビエントは地竜が放った威圧を感じ、そう言ってタブレットを操作していた。新米冒険者達は地竜型ゴーレムが放った威圧により動けなくなっていたのである。対峙していた新米冒険者はもろに威圧を受けて、あまりの恐怖に動けなくなっていたのである。
少しだけ前。地竜型ゴーレムの咆哮に耳を塞いで動けなくなっていた新米冒険者であるが、それでもまだ実力を計る事が出来ずに土くれと馬鹿にしていた。その言動に少し腹を立てたタケルはビエントに歩み寄ると、耳打ちをし始めた。
「ビエントさん、相手の実力を計る事が出来ない彼にお仕置きしちゃいましょう。普段は威圧を切ってるんですが、威圧を有効にしてみてください。」
「威圧?成る程。分かった。」
ビエントはタブレットを操作し、地竜型ゴーレムの威圧を半分程の威力で設定し有効にした。
元に戻って、新米冒険者達の様子を見て威圧を切ると、ビエントは新米冒険者達に話し掛けた。
「どうだ!良く出来てるだろう。因みに今の威圧は本物の半分だ!全開を味わってみたい者は居るか?」
新米冒険者達は全員揃ってブンブンと首を横に振っていたが、1人だけ手を挙げた者が居た。教官のカルロであった。
「おお、カルロ。受けてみるか。」
「ええ、耐えられるかどうか判りませんが、一度受けておいて損は無いと思いまして。」
「おお、そうか。君ももうすぐBランクだからな。良い経験になるだろう。」
カルロはあれから幾つか同時に依頼をこなしあと少しでBランクという所まで来ていたのである。そこで予め強力な威圧を受けておけば今後の役に立つと思い手を挙げたのであった。
「では地竜の前に立ってくれ。今度はカルロのみに威圧を放つように設定した。他の者は安心してくれ。」
ビエントがそう言うと、新米冒険者達はホッと胸を撫で下ろしていた。そしてカルロはゆっくりと地竜の前に歩み出ると、一度深く息を吸い込んでゆっくりと吐き出した。
「準備は良いですよ。」
「では咆哮は無しで威圧だけ行くぞ。」
カルロの準備が出来たのを確認したビエントは、タブレットを操作してカルロに向けて地竜の威圧を放った。
「ぐっ!これは・・・流石地竜・・・威圧だけでこんなに・・・気を抜くと意識を持っていかれそうだ・・・」
カルロは苦しそうにしてはいたが、恐怖に怯える事も無くジッと地竜を見据えて強力な威圧に耐えていた。時間にして1分程であったが、カルロには何十分にも感じていた。しかしその苦しい状況をカルロは耐えきったのである。
「大した物だな。」
ビエントはそう言うと威圧を切ってカルロの元に歩み寄って行った。
「凄いじゃないか。地竜の全開の威圧をあそこまで耐えるとは!」
「いや、全然凄くないですよ。自分はただ耐えただけです。もし本当の戦闘だったら何も出来ずにやられてましたよ。」
カルロはそう言っていたが、実際にCランクであそこまで地竜の全開の威圧に耐えられる者はそうは居なかった。だからこそビエントはカルロを誉めたのだが、カルロは凄くないと言って少し悔しそうにしていた。
ビエントとカルロが話をしていると、突然話し掛けてくる者が居た。
「ギルドマスター。そこの黒髪の少年は即日Aランクになったんですよね?是非そのお手並みを拝見したいのですが。」
先程地竜に対峙した新米冒険者であった。どうやら先程の事が悔しかったらしく、即日Aランク昇格したとして有名なタケルに対峙させ、少しでも怯もうものなら貶してやろうと思っていたのである。
「君は何を言ってるんだ!失礼だろう!」
「あれ?もしかして即日Aランクの有名人でも、地竜相手じゃ尻込みしちゃうんですか?ギルドマスターの影に隠れちゃって、本当は怖いんじゃないですか?」
新米冒険者は煽るようにタケルに言葉を吐きタケルを指差していた。カルロはタケルにそんな事を言う新米冒険者に唖然とし、ビエントは額に血管を浮き上がらせていた。
(あらら。俺じゃなくてビエントさんがキレそうだよ。仕方無い。)
「良いよ、ところで威圧に耐えるだけで良いのかな?」
タケルはビエントが先にキレそうなのを見て、ビエントの前に立ち新米冒険者に笑顔でそう話し掛けた。
「な、威圧に耐えるだけって・・・じゃあなんですか?この地竜を相手に戦うって言うんですか?いくらAランクだからってそれは・・・」
「良いよ。倒して見せるよ。」
「1人で戦うなんて・・・えっ?」
「倒して見せてあげるって言ったんだよ。」
「まさか!地竜を1人で倒すなんてそんな事出来るわけ・・・」
「タケル君、全て解放で構わんかね?」
タケルの言葉に新米冒険者が信じられないと話をしてる途中でビエントが割って入る形でタケルにそう聞いてきた。
「ええ。構いませんよ。」
タケルは様々に制限をかけてある地竜型ゴーレムの行動を全て解放して構わないと返事をすると、スタスタと地竜型ゴーレムの前に歩いて行った。そんなタケルを新米冒険者達は、煽ってきた冒険者と同様に本当にそんな事が出来るのかという感じでタケルを見ていた。しかしカルロだけは違った。タケルの戦いが見られると判り、目をキラキラと輝かせていた。
「じゃあみんな、よく見ててよ。」
タケルはそう言うとアイテムボックスから雲斬丸取り出し構えた。それと同時にビエントが制限を全て解放すると、地竜型ゴーレムの全開の威圧が闘技場全体に放たれ、何人かの新米冒険者は気を失ってしまい、他の者達も崩れ落ちてガタガタと震えていた。
「いけね。」
その様子に気付いたタケルは威圧を自分だけに向けて貰おうとビエントに話しかけようと振り向いた瞬間、地竜が攻撃を仕掛けて来た。
「あっ!」
カルロがタケルに攻撃が当たったと思い、思わず声を上げた。
「えっ・・・」
地竜型ゴーレムの攻撃により起こった土煙が収まり、視界に入った光景にカルロは目を疑った。タケルは雲斬丸を片手で持ち、背後からの声劇を受け止めていたのである。
「ビエントさん、威圧を俺だけに限定して下さい。何人か気絶しちゃってますよ。」
「おお、そうだな。確かに私も少しキツかったんだ。」
ビエントはそう言うと威圧をタケル限定になるよう操作すると、苦しそうにしていた新米冒険者達は威圧から解放されたが、激しい運動をした後のように肩で息をしていた。
「あらら、それじゃあちゃんと見る事が出来ないよ。」
タケルはそう言うと新米冒険者達にヒールを掛け、気絶した者に【再起動】の魔法を掛け、目を覚まさした。
「みんな大丈夫かな?」
「すっ、凄い・・・」
新米冒険者達は驚いた、タケルが地竜型ゴーレムに背中を向けているあいだ、地竜型ゴーレムは何度もタケルに攻撃をしてきていたのである。そしてタケルは後ろを向きながら片手で持った雲斬丸で、その攻撃を全て弾いていたのである。
「大丈夫そうだね。じゃあ今からが本番だからよく見ててね。」
タケルはそう言うと、大きく地竜型ゴーレムの攻撃を弾いたかと思うと一歩前に出て雲斬丸を納刀した。
「?」
新米冒険者達はいきなりタケルが武器を納めた事を不思議に思った。その瞬間地竜型ゴーレムの方から大きな音がした。みんなが視線を音の有った方に向けると、地竜型ゴーレムの首が切断され地面に落ちていたのである。そして次の瞬間、胴体が糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちたかと思うと、光り輝いて消えてしまった。
「どう?ちゃんと見てた?」
タケルが新米冒険者達の方に向き、そう問いかけるとビエントがタケルに声を掛けて来た。
「タケル君、あれじゃあ彼らには何をしたか判らないよ。」
「え?」
ビエントにそう言われ、タケルが新米冒険者達の方を見ると、全員何が起きたのか判らずポカンとしていた。
「ちょっと受かれてましたね・・・」
「あ、ああ。そうだな。」
ビエントはそう言うと剣を仕舞い、何事も無かったように装置に歩み寄ると地竜型ゴーレムを消し去った。
「タケル君、スマン。記憶を操作出来ると言っていたよな・・・」
ビエントは事態の収集の為に、タケルの魔法で記憶を操作して揉み消そうとしているようであった。
「いやいや、ビエントさん。流石にそれは不味いですよ!ギルドマスターなんですから自分で何とかして下さいよ!」
「・・・ハァ。そうだよな。どのみち訓練で使う予定だった物だ、しっかり説明するしか無いな。」
ビエントがそう言うと、先程まで驚き騒いでいた新米冒険者達が、地竜が突然消え去った事を不思議に思い地竜が居た辺りを調べようと近付いて来ていた。
「地竜、居たよな・・・」
「どこ行ったんだ?」
新米冒険者達は地竜型ゴーレムが居た辺りをウロウロとしており、そう言って周囲を確認していた。
「ウォッホッン!あ~諸君、ちょっと良いかな。カルロ、みんなを連れて来てくれ。」
ビエントはウロウロしている新米冒険者に声を掛けると、以前新米冒険者の訓練の教官をしていたカルロがまた教官をしており、カルロにみんなを集めるように言った。
「よし、みんな揃ったな。」
ビエントは集まった新米冒険者とカルロを見てそう言うと、小さく深呼吸をして話を始めた。
「諸君、初心者講習ご苦労様。初心者講習は諸君の冒険者としての──」
「ビエントさん!地竜の話。」
地竜の話を始めようとしないビエントに対し、タケルが歩み寄り小声でそう話し掛けた。
「分かっている・・・あ~先程地竜を見たと騒いでいたが、実際に見たと言うものはどれ位居るかな?」
ビエントがそう尋ねると、10人程の新米冒険者が手を上げた。どうやら他の者達は咆哮しか聞いていないようであった。
「あの、ギルドマスター。先程の咆哮のような物はやはり地竜なのでしょうか?」
教官のカルロは地竜の姿を見ていないようで、ビエントにそう質問をしてきた。
「ああ、確かに地竜は居た。」
ビエントがそう言うと、集まった新米冒険者達がザワザワと騒がしくなった。
「諸君!静粛に!・・・地竜は居たと言ったが、正確に言うと地竜では無い。」
「え?それはどういう・・・まさか!新種のドラゴンなのですか?」
ビエントの言葉にカルロがそう問い掛けた。
(一体何を言い渋ってるんだか、素直に言っちゃえば良いのに。)
「ビエントさん、代わりに言いましょうか?」
タケルはなかなかハッキリと説明しないビエントに小声でそう問い掛けた。
「う、だ、大丈夫だ。」
ビエントは意を決したように息を吐くと、顔付きがキリッと引き締まりギルドマスターらしい威厳の有る物へと変わり、再び話始めた。
「諸君。先程は驚かせてすまない。地竜を見たと思うが、あれはギルドが開発を重ねて来た訓練用ゴーレムの姿だ。今日ようやく完成してな、そのテストをしていたんだ。」
「あれがゴーレム?俺が見たのは間違いなく本物の地竜だったぞ。」
「あれはゴーレムじゃ無かった!俺はこの目で見たんだ!」
先程の地竜はゴーレムだという説明に、新米冒険者達は信じられないという様子で口々にそう言っていた。しかし以前タケルのオーク型ゴーレムを見た事が有る教官のカルロだけは、ビエントの話に納得した様子で頷いていた。
「信じられないのも無理は無い、今までに無い最新の技術で作られた新しい形のゴーレムだからな。」
「じゃあもう一度地竜のゴーレムを見せて下さいよ。そうじゃなければ信じられません。」
「そうだ!それが本当ならもう一度出して下さい!」
「俺も地竜を見てみたい!」
1人の新米冒険者の発言を切っ掛けに、次々と発言を始めた。
「あ~静粛に!分かった、本来であれば諸君達のような新米冒険者の訓練用で、オークやゴブリンしか出さないのだが、今日は特別にもう一度地竜を出してやろう。」
ビエントがそう言うと、まだ地竜を見てない新米冒険者達から歓声が上がった。
「では諸君、少しこっちへ寄ってくれ。」
ビエントは装置の前に立つとそう言って新米冒険者達を端に寄せ、ゴーレム作成装置を操作し始めた。
「見ろ!地面が光って何か出て来たぞ!」
「おお!スゲー!召喚魔法みたいだ!」
地面から湧きあがるように徐々に姿を見せる竜型ゴーレムを見て、新米冒険者達は再び驚きと歓声を上げていた。そして地竜型ゴーレムが完全に姿を見せると、新米冒険者達は地竜型ゴーレムの迫力に黙っりこみ、息を呑んで地竜型ゴーレムを見上げていた。
「どうだ?これがギルドが新たに開発したゴーレムだ。本物そっくりだろう。」
地竜型ゴーレムを見上げている新米冒険者達に向かって、ビエントがドヤ顔をして話し掛けた。
(なんでビエントさん、アンタがドヤ顔なんだよ!さっきまでシドロモドロしてたのはどこ行ったんだよ!)
ビエントのドヤ顔に対しタケルは心の中でツッコミを入れていた。
「この地竜のゴーレムが先程の咆哮を放ったのですか?置物のように全く動きませんが。」
地竜型ゴーレムが全く動かないので、先程の咆哮が本当にこの地竜型ゴーレムの物なのかと教官のカルロがビエントに質問をしてきた。
「勿論だ。なんならもう一度味わってみるか?」
「おお!スゲー!こんなに近くで地竜の咆哮を聞けるのか、楽しみだな。」
「もう一度ちゃんと聞いてみたいです!」
新米冒険者達は次々に咆哮を見たいと声を上げていた。そんな中、教官のカルロは黙ってその様子を見ているだけであった。
「どうしたカルロ、このゴーレムが咆哮を放ったかどうか確認したいんじゃないのか?」
「あ、いえ。自分は・・・」
カルロは冒険者の勘と言うのであろうか、何か嫌な予感がして咆哮を聞きたいと言い出す事を躊躇っていた。
「そうか、では誰か地竜と対峙してみたいと思う者は居るか?」
ビエントがそう言うと、数人の新米冒険者が手を挙げた。
「よし、では一番早かった君。地竜と対峙してみてくれ。」
「はーい。」
選ばれた新米冒険者は相手がゴーレムだと思って完全に舐めているようであった。
「新型のゴーレムって言ったって、咆哮を放って少し動く位だろ?対峙するくらい余裕余裕。」
新米冒険者はそう言うと、地竜の前に立ちゆっくりと剣を抜き構えた。
「おお!動いたぞ!」
剣を抜き対峙した事で動き始めた地竜を見て、見学する事になった新米冒険者達が指を指しながら声を上げた。
「なんだったら攻撃しても良いぞ!」
「はっ、幾ら地竜って言ったって所詮は土くれで出来たゴーレムだ、俺の剣でズタズタになっても文句言うなよ!」
新米冒険者はそう言うと地竜に向かって飛び掛かろうとした瞬間、地竜型ゴーレムが咆哮を放ち建物がビリビリと震え、新米冒険者はその場で耳を塞いでしゃがみこんでしまった。咆哮が止むと、ヨロヨロと新米冒険者は立ち上がり、頭をブンブンと振ると剣を構えた。
「くそっ!土くれのくせに!」
するとタケルがビエントに近付いて何やら耳打ちをすると、ビエントはニヤリと笑うと頷いてタブレットを操作し始めた。
「今度こそ土くれに戻してやる!」
新米冒険者がそう言って再び飛び掛かろうとした瞬間、今度は突然新米冒険者の体が硬直したように固まり、地面に倒れ込んだ。
「ヒィ!」
倒れ込んだ新米冒険者はその場で頭を抱えて、ブルブルと震えていた。そして見学をしていた者達も青い顔をして硬直していた。そんな中、教官のカルロだけは何とか平静を保っていた。
「ほう、これはなかなかの威圧だな。抑えてこの威圧とは流石に地竜といったところか。」
ビエントは地竜が放った威圧を感じ、そう言ってタブレットを操作していた。新米冒険者達は地竜型ゴーレムが放った威圧により動けなくなっていたのである。対峙していた新米冒険者はもろに威圧を受けて、あまりの恐怖に動けなくなっていたのである。
少しだけ前。地竜型ゴーレムの咆哮に耳を塞いで動けなくなっていた新米冒険者であるが、それでもまだ実力を計る事が出来ずに土くれと馬鹿にしていた。その言動に少し腹を立てたタケルはビエントに歩み寄ると、耳打ちをし始めた。
「ビエントさん、相手の実力を計る事が出来ない彼にお仕置きしちゃいましょう。普段は威圧を切ってるんですが、威圧を有効にしてみてください。」
「威圧?成る程。分かった。」
ビエントはタブレットを操作し、地竜型ゴーレムの威圧を半分程の威力で設定し有効にした。
元に戻って、新米冒険者達の様子を見て威圧を切ると、ビエントは新米冒険者達に話し掛けた。
「どうだ!良く出来てるだろう。因みに今の威圧は本物の半分だ!全開を味わってみたい者は居るか?」
新米冒険者達は全員揃ってブンブンと首を横に振っていたが、1人だけ手を挙げた者が居た。教官のカルロであった。
「おお、カルロ。受けてみるか。」
「ええ、耐えられるかどうか判りませんが、一度受けておいて損は無いと思いまして。」
「おお、そうか。君ももうすぐBランクだからな。良い経験になるだろう。」
カルロはあれから幾つか同時に依頼をこなしあと少しでBランクという所まで来ていたのである。そこで予め強力な威圧を受けておけば今後の役に立つと思い手を挙げたのであった。
「では地竜の前に立ってくれ。今度はカルロのみに威圧を放つように設定した。他の者は安心してくれ。」
ビエントがそう言うと、新米冒険者達はホッと胸を撫で下ろしていた。そしてカルロはゆっくりと地竜の前に歩み出ると、一度深く息を吸い込んでゆっくりと吐き出した。
「準備は良いですよ。」
「では咆哮は無しで威圧だけ行くぞ。」
カルロの準備が出来たのを確認したビエントは、タブレットを操作してカルロに向けて地竜の威圧を放った。
「ぐっ!これは・・・流石地竜・・・威圧だけでこんなに・・・気を抜くと意識を持っていかれそうだ・・・」
カルロは苦しそうにしてはいたが、恐怖に怯える事も無くジッと地竜を見据えて強力な威圧に耐えていた。時間にして1分程であったが、カルロには何十分にも感じていた。しかしその苦しい状況をカルロは耐えきったのである。
「大した物だな。」
ビエントはそう言うと威圧を切ってカルロの元に歩み寄って行った。
「凄いじゃないか。地竜の全開の威圧をあそこまで耐えるとは!」
「いや、全然凄くないですよ。自分はただ耐えただけです。もし本当の戦闘だったら何も出来ずにやられてましたよ。」
カルロはそう言っていたが、実際にCランクであそこまで地竜の全開の威圧に耐えられる者はそうは居なかった。だからこそビエントはカルロを誉めたのだが、カルロは凄くないと言って少し悔しそうにしていた。
ビエントとカルロが話をしていると、突然話し掛けてくる者が居た。
「ギルドマスター。そこの黒髪の少年は即日Aランクになったんですよね?是非そのお手並みを拝見したいのですが。」
先程地竜に対峙した新米冒険者であった。どうやら先程の事が悔しかったらしく、即日Aランク昇格したとして有名なタケルに対峙させ、少しでも怯もうものなら貶してやろうと思っていたのである。
「君は何を言ってるんだ!失礼だろう!」
「あれ?もしかして即日Aランクの有名人でも、地竜相手じゃ尻込みしちゃうんですか?ギルドマスターの影に隠れちゃって、本当は怖いんじゃないですか?」
新米冒険者は煽るようにタケルに言葉を吐きタケルを指差していた。カルロはタケルにそんな事を言う新米冒険者に唖然とし、ビエントは額に血管を浮き上がらせていた。
(あらら。俺じゃなくてビエントさんがキレそうだよ。仕方無い。)
「良いよ、ところで威圧に耐えるだけで良いのかな?」
タケルはビエントが先にキレそうなのを見て、ビエントの前に立ち新米冒険者に笑顔でそう話し掛けた。
「な、威圧に耐えるだけって・・・じゃあなんですか?この地竜を相手に戦うって言うんですか?いくらAランクだからってそれは・・・」
「良いよ。倒して見せるよ。」
「1人で戦うなんて・・・えっ?」
「倒して見せてあげるって言ったんだよ。」
「まさか!地竜を1人で倒すなんてそんな事出来るわけ・・・」
「タケル君、全て解放で構わんかね?」
タケルの言葉に新米冒険者が信じられないと話をしてる途中でビエントが割って入る形でタケルにそう聞いてきた。
「ええ。構いませんよ。」
タケルは様々に制限をかけてある地竜型ゴーレムの行動を全て解放して構わないと返事をすると、スタスタと地竜型ゴーレムの前に歩いて行った。そんなタケルを新米冒険者達は、煽ってきた冒険者と同様に本当にそんな事が出来るのかという感じでタケルを見ていた。しかしカルロだけは違った。タケルの戦いが見られると判り、目をキラキラと輝かせていた。
「じゃあみんな、よく見ててよ。」
タケルはそう言うとアイテムボックスから雲斬丸取り出し構えた。それと同時にビエントが制限を全て解放すると、地竜型ゴーレムの全開の威圧が闘技場全体に放たれ、何人かの新米冒険者は気を失ってしまい、他の者達も崩れ落ちてガタガタと震えていた。
「いけね。」
その様子に気付いたタケルは威圧を自分だけに向けて貰おうとビエントに話しかけようと振り向いた瞬間、地竜が攻撃を仕掛けて来た。
「あっ!」
カルロがタケルに攻撃が当たったと思い、思わず声を上げた。
「えっ・・・」
地竜型ゴーレムの攻撃により起こった土煙が収まり、視界に入った光景にカルロは目を疑った。タケルは雲斬丸を片手で持ち、背後からの声劇を受け止めていたのである。
「ビエントさん、威圧を俺だけに限定して下さい。何人か気絶しちゃってますよ。」
「おお、そうだな。確かに私も少しキツかったんだ。」
ビエントはそう言うと威圧をタケル限定になるよう操作すると、苦しそうにしていた新米冒険者達は威圧から解放されたが、激しい運動をした後のように肩で息をしていた。
「あらら、それじゃあちゃんと見る事が出来ないよ。」
タケルはそう言うと新米冒険者達にヒールを掛け、気絶した者に【再起動】の魔法を掛け、目を覚まさした。
「みんな大丈夫かな?」
「すっ、凄い・・・」
新米冒険者達は驚いた、タケルが地竜型ゴーレムに背中を向けているあいだ、地竜型ゴーレムは何度もタケルに攻撃をしてきていたのである。そしてタケルは後ろを向きながら片手で持った雲斬丸で、その攻撃を全て弾いていたのである。
「大丈夫そうだね。じゃあ今からが本番だからよく見ててね。」
タケルはそう言うと、大きく地竜型ゴーレムの攻撃を弾いたかと思うと一歩前に出て雲斬丸を納刀した。
「?」
新米冒険者達はいきなりタケルが武器を納めた事を不思議に思った。その瞬間地竜型ゴーレムの方から大きな音がした。みんなが視線を音の有った方に向けると、地竜型ゴーレムの首が切断され地面に落ちていたのである。そして次の瞬間、胴体が糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちたかと思うと、光り輝いて消えてしまった。
「どう?ちゃんと見てた?」
タケルが新米冒険者達の方に向き、そう問いかけるとビエントがタケルに声を掛けて来た。
「タケル君、あれじゃあ彼らには何をしたか判らないよ。」
「え?」
ビエントにそう言われ、タケルが新米冒険者達の方を見ると、全員何が起きたのか判らずポカンとしていた。
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僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
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仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
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なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
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