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2章3部フィナールの街編

36話 ゴーレム作成装置

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タケルの従魔、ジライヤの里で宴に参加したタケル達、イビルエイプ達が火を使う事に少し驚いたタケルであった。その後宴も始まりタケルはジライヤ用の武器として作った伸縮自在の棍棒"如意棒"をプレゼントすると、ジライヤは凄く気に入り演舞を披露した。そしてタケルは様々な機能を組み込んだ西遊記の孫悟空が着けてる緊箍児モドキもプレゼントした。その後宴が終わり帰って来たタケルは觔斗雲の事を考えながら眠りに落ちた。
 
「んん~!あのまま寝ちゃったか。」

タケルはいつものように日の出よりも少し早く起きてそう呟いた。

「アル達も疲れたのかな、甲冑が脱ぎっぱなしじゃないか。」

タケルは脱ぎ捨てたように転がっている甲冑を綺麗に並べてあげた。

「さて、魔石も手に入ったし。ゴーレム作成用の装置作りでもするかな。レベル上げもアルがリーダーとして成長したし、みんなだけで森に行ってもらっても大丈夫かな。」

タケルがそう独り言を言っているとアルセリオか目を覚ました。

「ん、んん。おお、タケルおはよう。早いな。」

「ゴメン、起こしちゃった?」

「ん?いや、大丈夫だ。」

アルセリオはそう答えるとベッドから起き上がり、ノビをして窓から外を見ていた。

「う~ん。昨日は濃い1日だったなあ。」

「色々経験したしね。」

「ああ、そうだなあ。」

タケルもアルセリオの隣に並んで窓の外を見ながら話をしていた。

「んん~、クシーナ殿・・・フフフ。」

突然ベルナルドが寝言を言ってまた寝息を立て寝入ってしまった。

「!ビックリした。」

「ああ、驚いたな。」

「仲良くやってるみたいだね。」

「そうだな。」

タケル達はベルナルドの突然の寝言にビックリしたが、クシーナと仲良くやってる証拠だと感じ嬉しそうにしていた。

「今日もレベル上げだよな?」

「そうだね、けど今日から俺抜きで行って来て貰おうかと思ってるんだ。」

「ええ!タケル来ないのか?」

「うん。アルも指揮官として実力が着いたし、リーダーとしてみんなを引っ張ってみてよ。」

「だ、だけど・・・・」

アルセリオはそう不安げに返事をした。ミレイアと二人で狩りをしたことは有ったが、シーバムの大森林でタケル抜きで狩りをしたことは無かった。その為サポートでもタケルが居ない状況に不安を覚えいたのである。

「アルなら大丈夫だよ!イビルエイプ達との戦闘の時は立派にリーダーシップを発揮して、みんなを指揮してたじゃないか。」

「そうだけどさ・・・」

タケルに大丈夫だと言われたが、それでもアルセリオは本当に完全にタケルが居ない状態で行けるかどうか不安で自信が持てないでいた。

「大丈夫です!アルセリオ様なら出来ます!」

タケルとアルセリオの背後から、いつの間にか目を覚ましていたベルナルドがそう声を掛けてきた。

「アルセリオ様。もっと自信をお持ち下さい。昨日の戦闘の際のアルセリオ様の指揮は、とても素晴らしい物でした。」

タケルとアルセリオが突然の声に振り向くと、ベルナルドが続けてそう言った。

「ベルナルド、ありがとう。」

「アルセリオ様、大丈夫です。胸を張って指揮を指揮して下さい。」

「ベルナルド・・・」

「アルセリオ様。」

「下着くらい着けてくれよ。」

ベルナルドのフォローにアルセリオは少し自信を着ける事が出来、感動的な場面になるかと思いきや、下着を穿いていないベルナルドにアルセリオが突っ込んだ。
 
「やっ、こ、これは失礼致しました。」

「ベルナルドさん、いつも起きる前にモゾモゾしてたのは下着を穿いてたんですね。」 

慌てて下着を穿くベルナルドに対し、タケルが笑いながらそう話し掛けた。

「アハハハ!ベルナルド。おかげで少し自信も付いたし、変な気負いも抜けたよ。ありがとうな。タケル、タケル抜きでも頑張って指揮を執ってみるよ。」

アルセリオはベルナルドにお礼を言うと、タケルの方を向いて指揮を執ると決意を述べた。 

(お、顔付きが変わったな。)

「うん。みんなを頼むよ。ベルナルドさんもアルセリオのサポートをお願いします。」

「ああ、任せてくれ。」

「勿論であります。」

タケルはそう言って両手の拳を握り突き出すと、アルセリオとベルナルドも両手の拳を突き出し、互いに拳をトンと合わせた。

 その後タケルの転移でみんなを森に送り、事前に作っておいたタケルのマップ機能に似た事が出来るアイテムを渡した。念の為テオドルにも確認の為に転移で移動して声を掛けに行くと、付いて行く気マンマンで準備を整え待って居た。レベルが上がればそれだけ強い武器を作りやすくなるとの事で、レベル上げの期間はずっと付き合うという事になった。
 そして念の為ジライヤにもサポートをお願いしてタケルは1人セーフティゾーンに来ていた。

「さて。魔石も大量に揃ったしな。ゴーレム作成装置の作成を再開するか。」

『マスター。先ずは先日作り上げた宝玉を作って下さい。』

「う、うん。」

(いつもいきなりだな・・・)

タケルは【サポート】に言われた通り、新種の魔物の魔石を使い宝玉を作り上げた。

「よし、出来た。流石に10個分だと大きいな。」 

『そうですね。今それが悪人の手に渡ったら国を滅ぼせてしまいます。』

「マジか!我ながらとんでもない物を作ってるんだな。」

『そうです。マスターの実力は既に人の到達出来る粋を越えています。』

「えっ・・・・俺って一体・・・」

タケルは【サポート】に人の粋を越えていると言われ少し複雑な気持ちになり、そう呟いた。

『女神の使徒ですから当然です。』

タケルの呟きに冷静な口調で【サポート】がそう答えた。

「そ、そうか。まあ、元々普通の状態じゃないからな、この体も女神様が作ったんだもんな。さ、作業を再会するよ。」

そう言ってタケルは気を取り直し、作業を再開する事にした。

『そうですね、女神様に作って貰った体ですからむしろ誇るべきですね。それでは作業を再会致しましょう。』

「うん。それで次はどうするの?」

『次は────』

そうしてタケルは【サポート】に知恵を借りてゴーレム作成装置を完成させた。

「出来た!思いのほか早く完成させられたよ。【サポート】、きみのおかげだよ、ありがとう。」

『お礼には及びません。私はマスターによって作られたサポート魔法で、マスターの手助けをする為に有るのです。それにマスターの数々のユニーク魔法が有ってこその事です。』

「それでもありがとう。また何か有ったら宜しくな。」

『はい、マスター。いつでもお呼び下さい。』

【サポート】の魔法はそう言うと沈黙した。そしてタケルは完成したゴーレム作成装置を見て感慨深げに呟いた。

「それにしても・・・何気に凄い物作っちゃったよな、これ。」

タケルが作ったゴーレム作成装置は高さが1、2m程の高さが有り、一番上には冒険者ギルドで使っているような板が設置してあり、幾つもの支柱で支える形になっていた。そして土台部分には彫刻で装飾された箱が据えられており、そこに宝玉が納められていた。そしてその上には受け皿のような物が設置してあった。このゴーレム作成装装置は何重にもプロテクトが掛けられており、ゴーレム作成にしか使えないようにしてあった。そして造ったゴーレムも訓練以外では使えないように何重にもプロテクトを掛けてあった。仮に装置を壊して宝玉を取りだそうとしても、取り出した瞬間に宝玉が壊れるようにもしておいた。

「これも前世の俺が作ったギルドの装置みたいに残るのかな。」

タケルは装置を触りながらそう呟くとゴーレム作成装置をアイテムボックスに仕舞った。

「お、もうこんな時間か。思いの外早く作れたとは言え、結構時間経ってたんだな。」

タケルはマップに表示されるようにしていた時計を見てそう呟くと、久しぶりに小屋のキッチンで料理を作り1人で食事をする事にした。

「1人で食事するのも久し振りだな。ウチも随分大所帯になったしな~。普段賑やかな分、こう静かだと不思議な感じだな。」

タケルは1人分の食事を作り終えると、テーブルに座り食事をしながらそう呟いた。その後タケルは黙々と食事を続け、小屋には食事の音だけが静かに響いていた。

 1人での食事を終えると、タケルはゴーレム作成装置をギルドマスターのビエントに渡す為に冒険者ギルドに来ていた。

「おお、タケル君。今日はどうしたんだい?」

「ゴーレム作成装置が出来上がったので持って来ました。それとまた魔物を持って来ました。」

「おお!そうか。では魔物は倉庫に出して貰って、その後闘技場に行って確認しよう。」

ビエントはそう言うといつものようにタケルを案内した。タケルが魔物の山を出すと驚いていた。

「なっ!なんだこのオーガの数は!それにイビルエイプにイビルエイプロードまで・・・そうか、シーバムの大森林の獲物か。」

「ええ、そうです。たまたまオーガの群れが居たものですから。オーガって群れを作る事有るんですね。」

「オーガの群れ?そんな物聞いたことが無いぞ?」

ビエントはオーガが群れを作って居たと聞いて驚いていた。通常オーガは単独で行動する事が多く、多くても2、3匹で行動するという事しか確認されていなかったからである。

「イビルエイプはともかく、オーガの群れとは・・・他にオーガは居なかったか?」

「この群れ以外は近くには居ませんでしたね。」

「そうか、では取り敢えずは問題無いだろう。そうそうこれだけのオーガが集まる事も無いだろうからな。」

ビエントはそう言うと、いつものように職人に声を掛けると倉庫を後にし、タケルと共に闘技場へ移動した。

「今日は闘技場で何もやって無いんですね。」

「ん?いや。今はたまたま居ないだけだな。新人冒険者の訓練が入って居るぞ。」

誰も居ない闘技場を見てタケルがそう話し掛けると、ビエントは闘技場に置いてある訓練用の人形を見ながらそう答えた。

「そうですか、じゃあ戻って来る前に説明しますね。」

タケルはそう言うとゴーレム作成装置をアイテムボックスから取り出して、闘技場の地面に置いた。

「おお、これがそうなのか!何だか凄いな。」

ビエントて地面に置かれたゴーレム作成装置の回りを回りながら、そう言って色々な角度から見ていた。

「じゃあ説明しますね。」

「ああ、すまない。宜しく頼む。」

タケルはグルグルと装置の周りを回っていつまでも見ているビエントにそう声を掛けると、ビエントは少し慌てて姿勢を正し、タケルの話を聞き始めた。

「まずこの板の部分に触れて魔力を流します。」

「ふむ。ん?何か表示されたな。」

「登録用の魔方陣です。次に手形が現れますから、その手形に手を乗せて魔力を流してみて下さい。」

ビエントは言われた通り魔力を流してみた。すると板の部分が光り輝いた。

「コレでこの装置は俺とビエントさんしか使えない状態です。」

「私とタケル君のみ・・・なるほど。という事は私かタケル君が居ないと使えないって事か?」

「いえ、新たな登録権限をビエントさんにも付与しておきましてので、ここをこうすれば新たに登録出来ます。」

タケルは板に表示されている部分を操作しながらビエントに説明をした。

「なるほど、色々と設定出来るんだな。」

「ええ、そうですね。全てこの板・・・これはタブレットと名付けたんですが、このタブレットで全てを行う事が出来ます。」

タケルが作った装置の板の部分はミスリルで魔力を通しやすくし、その上に表面を魔法で平らに加工した魔石がハメてあり、見た目はほとんど地球に有るタブレットのようであった。そして操作の仕方も直感で出来るように、地球のタブレットを扱うように簡単に操作出来るようにしてあった。

「例えば講師の方を登録したり、そしてその人が使える回数や日にち、時間、ゴーレムの強さまで設定出来ます。それと副管理者なんかも設定出来ますよ。」

「ほう。それは凄いな。随分と細かい事まで出来るんだな。これだけの術式を組むのは大変だったろう。」

「え?まあ。そうですね。」

タケルはそう言って誤魔化したが、全て魔法で作り上げ、使い方をタブレット方式にした事で、地球での知識を生かす事が出来たのでそんなに大変では無かった。むしろタケルの【メイクゴーレム】の魔法を他人が使えるようにする事の方が大変であった。

「それじゃあ続けますね。ここでこうすると俺が今まで倒した事が有る魔物は全て再現出来ます。」

「なるほど。なっ!地竜まで有るじゃないか!」

ゴーレムとして再現出来る魔物の一覧の中に地竜が有るのを見つけ、ビエントは驚いて声を上げた。

「そうですね。でも俺が倒した奴って事は内緒でお願いしますね。」

「あ、ああ。分かった。約束しよう。」

「それとここに有る受け皿に魔物の魔石を乗せると、その魔物のゴーレムが作れるようになります。そして一度作成出来れば装置に記憶されますので、後は魔石無しでも作成する事が出来ます。」

「おお、何と!それは素晴らしい!正直な所ここのリストの魔物は新米冒険者達には強すぎてな、どうしようかと思っていたんだ。」

「アハハ。確かにそうですよね。ゴブリンとかオーク位しか弱いのは無いですからね。」

「そうなんだよ。魔石で再現出来るなら今後幾らでも集まるだろうからな、助かるよ。しかし地竜か、見てみたいが大きな穴が空きそうだな。」

ビエントは以前タケルがオークのゴーレムを作った時の事を思い出し、そう言いながら闘技場の地面を見ていた。すると、タケルがビエントに話し掛けて来た。

「大丈夫ですよ。次元収納の機能を組み込んで有るので、材料は次元収納の中に大量に仕舞ってあります。その材料を使って作るのでもう闘技場の土は使いませんよ。」

「そうなのか!じ、じゃあ試しに地竜のゴーレムを作って見ても構わないか?」

「ええ、どうぞ。っていうか俺の許可はもう必要有りませんよ。」

タケルがそう言うと、ビエントはまるで新しいオモチャを手に入れた子供のように、嬉しそうにして装置を操作し始めた。

「 えっと、地竜は確かここら辺・・・お、有った。地竜を選択して、承認、っと。お、更に実行するかどうか有るのか、間違え難くて良いな。実行っと。」

ビエントが地竜を選択すると、少し離れた場所が光り、地面から徐々に浮き上がるように地竜型ゴーレムが姿を現した。

「おお!何と素晴らしい。地竜をこんなに間近に見ても平気だとは!それに以前のオークの時よりも質感や色までもが本物そっくりじゃないか!」

「フフフ。それだけじゃ無いですよ!ビエントさん、剣を構えて対峙してみて下さい。」

タケルに言われた通り、ビエントが剣を持ち地竜型ゴーレムと対峙すると、地竜型ゴーレムはビエントの事を睨み付けたかと思うと、突然咆哮を放った!

「うお!まさか咆哮まで放つとは!」

闘技場が地竜型ゴーレムの咆哮でビリビリと震え、埃がパラパラと落ちて来ている中で、ビエントがそう言って耳を塞いでいた。

「ヒィィィィ!」

地竜型ゴーレムの咆哮が止むと、闘技場の隅の方から声が聞こえた。

「ち、地竜だ!」

「ど、ドラゴン・・・・」

闘技場に戻って来た新米冒険者達が地竜型ゴーレムの咆哮と姿を見てそう声を上げて騒いでいた。腰を抜かす者、興味本意で人混みをかき分け地竜を見ようとする者、唖然として動けない者、無駄に声を上げ騒ぐ者など様々であった。

「あっ。」

「あっ・・・・」

ビエントとタケルは新米冒険者達の存在に気付き、思わずそう声を上げると新米冒険者達の方を見ながら固まっていた。



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色々ご指摘を受けてますが、なかなか修正出来ず申し訳有りません。

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