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2章3部フィナールの街編
25話 装備調達
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フィデル達5人を冒険者にする為にギルドに向かったタケルとアルセリオ、その道中で5人とも元冒険者だという事を知った。しかし奴隷になった時点で登録は抹消されているとの事であった。しかし主であるタケルの許可が有れば再び登録が可能であるらしかった。ギルドに着き、特に問題も無く冒険者登録を済ませたタケル達、その後ハーピーの代金を受け取り、金額を確認すると、その金額は3億を越えていた。そんな金額を稼ぐタケルに買われたのだと知ったフィデル達は自分達はとんでもない人物に買われたのだと初めて知ることになったのであった。
「三億・・・・」
「お、今回も結構行ったな。」
3億という数字に半ばフリーズしかけているフィデル達とは裏腹に、アルセリオがさも普通の事のようにそう言った。
「そうだね、クイーンとナイトが結構良い値段だったかね。」
「なあ、タケル。そんなに金が有るならいっその事、この街に家を買わないか?」
「そうか、仲間も増えた事だし、街の外れでも良いから買っても良いかもね。」
「じゃあさ、すぐに買いに行こうぜ。」
アルセリオはそう言うと立ち上がり、タケルの手を引きすぐに買いに行こうとした。
「いやいや、ちょっと待ってよ、俺は用事があるし、みんなのレベル上げもしなくちゃいけないし、家を探してる暇なんか無いよ。第一みんなに確認を取らないといけないし。」
「そっか、それもそうだよな。ちょっと先走り過ぎたな。」
タケルが買いに行く暇は無いと言うと、アルセリオは手を離し、そう言いながら頭を掻いていた。
「まあ、話しだけはみんなにしておこうよ。」
「ああ、そうだな。」
「タケル君、この街で家を買うのかね。」
二人の会話を聞いてベルナルドがそう尋ねて来た。
「ええ、まだ決まってませんが、それも有りかなと思っています。」
タケルがそう言うと、ビエントは顎に手を当てながら少し考えると、タケルに話しかけた。
「もしかしたら何とかなるかもしれないな。ちょっと心当たりが有るんだ、良かったらその話、私に任せて貰えないか?」
「え?良いですけど、ギルドは不動産も扱ってるんですか?」
「いや、そういう訳では無いが、ギルドマスターなんてもんをやってると、立場上商人や貴族なんかとも付き合いが出て来るからね、その繋がりで何度か空いた屋敷の話を聞いた事があるんだ。」
「そうなんですか、でも何だか手間取らせる感じで悪いですよ。」
タケルが悪いからと遠慮すると、ビエントは身を少し乗り出して話を続けた。
「いや、タケル君、これは我々の為でもあるんだ、遠慮はしなくて良いよ。」
「え?どういう事ですか?」
「ああ。タケル君、君に話したと思うが、高ランクの冒険者は報酬の高い王都に行ってしまうんだ。」
「ええ、覚えてます。」
「そうか、それで今この街を拠点にしているAランク以上の冒険者はフォルティスとタケル君達のパーティーだけなんだよ。しかしフォルティスもこの街を拠点にしてはいるが、ずっとではない、いつでも移動出来るように宿に泊まっているのが現状だ。今回タケル君に強くしてもらう冒険者も、何人が残ってくれるか・・・」
ビエントはそう話しながら渋い顔をし、更に話を続けた。
「だからタケル君がこの街に家を買って、この街を拠点にしてくれるというのは、ギルドは勿論、街の為にもなる事だからね。ましてや君達のパーティーは全員がAランクだ、この街に拠点を置くと言うのであれば、ギルドとしても街としても、協力は惜しまんさ。」
ビエントの話を聞いてタケルは少し悩んだ、何故ならタケルは旅の途中にこの街に寄っただけに過ぎないからだ。家を買うのもあくまでも拠点として家が有れば、転移で移動しても楽だと思ったに過ぎないからだ。そしてこの街に永住するつもりの無いタケルは、期待されて家を手配されても、期待に応える事が出来ないと思っていたのであった。
「ビエントさん、期待をさせてしまうのは申し訳ないのでハッキリと言いますが、俺はこの街に永住するつもりは有りませんよ。この街には旅の途中に寄ったに過ぎません、家を買ってもいずれまた旅に出るつもりです。」
タケルの言葉を聞いたビエントは、特にガッカリも驚いたりもしなかった。そしてまた話を始めた。
「そう言うと思っていたよ、なんせ君達は冒険者だ、いつまでも同じ所に留まる筈が無いというのは判っている、しかし家を買っておけば、いつでも戻って来られるだろう。」
「確かにそうですね。では一応お任せします。」
タケルがそう言うと、ビエントはニコッと笑うと、タケルに話し掛けた。
「ああ、良い所を用意するよ。」
「ええ、どんな所なのか楽しみにしてます。」
タケルはそう言って席を立とうとすると、ビエントがタケルに声を掛けた。
「あっ、タケル君。そうだった、先日言っていた例の魔物の魔石だ。」
ビエントはアイテムボックスから大きな布袋を出して机に置いた。
「有り難う御座います。もう少し待ってて下さいね。」
「ああ、構わんよ。」
「それでは今日はこれで失礼しますね。」
タケルはそう言うと、リリアーナとも挨拶をかわし、ギルドをあとにして、フィデル達の装備を揃える為に街を散策することにした。
「さて、どこで買うのが良いかな。」
「そう言えば依頼を受けて林に行くときに、あっちに武器屋とか防具屋が並んでるのを見たな。」
アルセリオはそう言って武器屋の方角を指差した。
「じゃあ、アル、案内宜しく。」
「おう、任せとけ!」
アルセリオはそう言うと、先程指差した方角にタケル達を連れて歩き始めた。
「あれ?おかしいな。ここら辺だと思ったんだけど・・・」
「アル、忘れちゃった?」
「いや、そんな筈は・・・確かにこっちの筈・・・」
アルセリオはそう言ったが、完全に武器屋の場所を忘れてしまっていたようで、不安げな顔でキョロキョロと辺りを見回し、武器屋を探していた。
(仕方無いな。)
タケルは黙って【サーチ&スキャン】を使い、アルセリオが言っていた武器屋や道具屋が並んでいる場所を探した。
(お、これだな。幾つか並んでる。アル、惜しかったな、一本向こうの通りだったよ。)
タケルはその場所をさりげなく教えようとした時、かなり古いが良く手入れされた建物で、装備を売っている店が目に入った。
(ん?あそこの武器や防具はどれも魔力を纏ってるな・・・)
「アル、あの店じゃないのか?」
「え?んん~どうだったかな・・・あれのような気もするな。」
「じゃあ行ってみよう。」
タケルは敢えて指摘はせず、気になったその店に向かった。
店先には無造作に置かれた剣や槍、盾や防具が箱に入れて置いてあった。
(おお、ミスリルとオリハルコンを含んだ鋼の剣じゃないか!あっちはアダマンタイトを含んでる!なんだこの店!)
タケルは店先の品物を見て興奮していた、貴重な金属を使った装備が無造作に店先に置かれているのである、店内には一体どんな物が有るのか、期待でワクワクしていた。
(あとでアルミスにも教えてあげよう。)
「こんにちは~。」
タケルは開けっぱなしになっている店の扉を通り、店内に入って行った。
「おお、凄い量だな。」
店内は店先よりも更に無造作に箱や樽に装備が突っ込んであった。
タケル達全員が店内に入ると、身動きが取れない為、フィデル達は店先で待って貰うことにした。
「1人ずつ呼ぶから待っててね。」
タケルはフィデル達にそう声を掛けると、また店内に戻って行った。
「なあ、なんか埃を被った物ばかりじゃないか、俺が見た店は綺麗なやつばかりだったから、ここじゃなかったみたいだ。他行こうぜ。」
「何言ってるんだよ。アル、ここの装備は凄い物ばかりだぞ!」
タケルとアルセリオが大きな声で話していると、店の奥から声が聞こえてきた。
「なんじゃなんじゃ!騒がしい、買わないならせめて静かに出来んのか!」
奥から年配のドワーフがそう言いながら顔を出した。
「あ、こんにちは。」
「なんじゃ、子供か。お前らに売るもんは無い、帰れ!」
年配のドワーフはタケルとアルセリオの顔を見ると、そう言って奥へ戻ろうとした。
「あの!この店の装備は凄いですね、無造作に置かれた品物全てに貴重な金属や鉱石が使われて居ますね。」
タケルがそう言うと、年配のドワーフは奥に行く足を止め、タケルの方を見た。
「ふん、少しは見る目が有るようだな。お前さんは素材が判るのかね。」
「ええ、フェレーロって言うドワーフの鍛冶職人に色々教えて貰った事が有るんです。」
タケルがフェレーロの名前を出すと、年配のドワーフの顔色が変わった。
「フェレーロ?お前さんはあの鼻たれ小僧の知り合いなのか!」
「ええ、まあ。数年一緒に暮らしてましたよ。」
タケルがそう言うと、年配のドワーフは少しの間押し黙り、タケルの方を見て口を開いた。
「少し奥で話を聞かせて貰えるかい?お茶くらいだすぞ。」
年配のドワーフはそう言って店の奥を親指で指し示した。
「えっと、連れが沢山居るんですが、一緒に良いですか?」
「ああ、構わんよ。ここは狭いが、奥は広くなっておる。」
「じゃあ、ちょっと呼んで来ますね。」
「こっちだ。」
タケルがフィデル達を店内に呼び入れると、年配のドワーフはそう言って、サッと手招きをすると、タケル達を店の奥へ招き入れた。
「本当だ、こっちは広いですね。」
タケル達が案内されたのは工房のようで、鍛冶場で打ち上がった装備を加工する場のようで、様々な工具が綺麗に並べてあった、店先の商品とは違い、使い込まれてはいるが、キチンと手入れがなされており、埃ひとつ付いていなかった。しかし道具は沢山有るのだが、それらを扱う装備や材料は殆ど見当たらなかった。
「以前は材料や素材で溢れてたんだがな、最近はそんな状況はとんとご無沙汰でな。適当に座ってくれ、今お茶を淹れて来る。」
年配のドワーフはそう言うと、工場の奥に有る部屋に入って行った。
「なあ、ここの何がそんなに凄いんだ?」
アルセリオが工場を見渡し、近くの道具を手に取りながらタケルにそう聞いてきた。
「何って、今でこそ閑散としてる工場だけど、きっと昔は凄かったんじゃないかな、表の装備だって、他の店なら丁寧に扱われるような物だよ、けどあの人にとっては、あの装備でさえ対した価値が無いと思える程の凄い物を作ってるんじゃ無いかな。それに、ここに有る道具はどれも手入れが行き届いているしね、かなり腕の良い職人だと思うよ。」
「その通りだ。」
タケルがそう言うと、年配のドワーフがお茶を淹れて戻って来て、アルセリオの手から道具を取り、元に戻しながらそう言った。
「ふん、フェレーロの鼻垂れもお前さんにちゃんと基本を教えているようだな。」
年配のドワーフはそう言うと、みんなにお茶を手渡して回った。
「すまんな、客なんてそうそう来ないから、コップも揃っていなくてな。」
年配のドワーフの持ってきたお茶はどれも違うコップに入れられていたが、手作りであろうか、とても手の込んだ作りの物ばかりであった。
「いえ、ありがとうございます。あ、美味しい。」
「そうだろう、ワシ特製のお茶だ。」
年配のドワーフはそう言って、少しドヤ顔をしていた。
「そう言えば、えっと・・・」
「テオドルだ。」
「テオドルさんはフェレーロさんとお知り合いみたいですけど。」
「んあ?ああ。フェレーロの鼻垂れは俺の弟子だからな。」
「ええ?テオドルさんはフェレーロさんの師匠なんですか?」
タケルはテオドルがフェレーロの師匠だと知って驚いた、先日にはエルフのシーリバの妹ともこの街で知り合ったばかりであり、フェレーロの師匠とも同じ街で知り合ったからであった。
「ああ、そうだ。ところで、お前さんは最近のアイツが作った物を何か持ってないか?」
タケルはテオドルに言われ、アイテムボックスから一本の剣を取り出し、テオドルに手渡した。
「これくらいしか持って無いですね。」
タケルが取り出したのは、鍛冶の見本として作った剣で、特に特別な加工等は一切施されていない、シンプルな剣であった。
「ほう。シンプルだが、なかなか良い仕事をするようになったな。あの鼻垂れも。」
テオドルはフェレーロの作った剣を眺めながらそう言って、微笑んでいた。
(鼻垂れとか言ってるけど、やっぱり弟子は可愛いんだろうな。)
タケルがそう思っていると、テオドルがタケルに剣を返し、質問をしてきた。
「お前さんはさっき、あの鼻垂れに鍛冶を教わったと言ったな。それならお前さんが作った物が有るんだろ?見せてみな。」
テオドルはそう言って剣をタケルに返すと、手を差し出した。
「ええ、幾つか有りますよ。」
そう言ってタケルは雲斬丸をアイテムボックスから取り出し、テオドルに手渡した。
「なっ!こ、これはお前さんが作ったのか?」
テオドルは雲斬丸を手にすると、驚いて目を見開き、雲斬丸を持つ手が震えていた。
「ええ、最後に作った奴で、銘は雲斬丸です。」
「雲斬丸・・・なるほど、雲をも斬る剣か、それにしても変わった形の剣だな。」
「ええ、俺の国に伝わる刀って言う剣です。鉈の重さとカミソリの切れ味が特徴と昔から言われてます。」
「鉈の重さとカミソリの切れ味?!そんな事が可能なのか?」
テオドルは刀の特徴を聞いて驚いた、こちらの世界では、地球で言う中世ヨーロッパのような剣が主流であったからだ。中世ヨーロッパの剣は種類が様々有るが、日本刀のように斬るのではなく、刺突や、刀身で叩き切るといった要素が強い剣が主流であったからだ。
「ええ、特殊な製法で、時間が掛かりますが、可能ですよ、抜いて刀身も確認して見て下さい。」
驚くテオドルに対しタケルがそう言うと、テオドルはゴクリと唾を飲み込み、ゆっくりと雲斬丸を鞘から抜いた。
「こりゃあ凄い。お前さん、とんでもないもんを作ったな。」
鞘から抜かれた雲斬丸の刀身を見ると、テオドルはそう言ってタケルの方を見た。
「これ以上の物が欲しいって言うなら、悪いがウチでは無理だな。いや、きっと国中を探しても無理だろうな。」
「あっ、今日は俺じゃ無くて仲間の物を探しに来たんですよ。」
タケルはそう言ってアルセリオや、フィデル達の事を見た。
「おう、そうかい。なら何とかなるかもな。」
テオドルはそう言って雲斬丸を鞘に納めると、タケルに返した。
「で、どんなのが欲しいんだ?」
「アルセリオとフィデルさんは剣士なので剣を、ジラルドさんは・・・置いといて、エステルさんは操鞭士で鞭を、シーラさんは魔弓手なので弓を、シーラさんも良いかな?あとは皆の防具ですね。」
タケルは1人ずつ紹介しながら、欲しい物をテオドルに伝えた。
「ふむ、変わった職業ばかりだな。ちょっと待ってな。」
テオドルはそう言って工場の奥へ行くと、工具箱のような箱を抱えて戻って来た。
「どれ、剣はこの中から好きなの選んでくれ。」
テオドルはそう言うと、箱の中から十数本の剣を取り出して並べた。どうやら箱はマジックボックスになっているようだ。
(おお、流石フェレーロさんの師匠、どれも凄いな。)
「おお、どれにしようかな、悩むな~。」
アルセリオは並べられた剣を見て悩んでいた。するとテオドルが一本の剣を手に取った。
「アルセリオと言ったか、これを振ってみろ。」
そう言ってテオドルは手に取った剣をアルセリオに手渡した。
「え?もっとカッコいいのが良いんだけど。」
アルセリオはそう言いながら、言われた通り剣を振ってみた。
「おっ、おお!凄い振りやすいし、手に馴染むぞ!」
「お前さんは見た目よりも力が有るみたいだが、お前さんの背丈だとそれくらいが丁度良いだろう。」
「ああ!凄い扱いやすいな、コレ。決めた!俺はコレにする。」
アルセリオは見た目が地味な剣を最初は渋っていたが、実際に剣を振ってみると、扱いさを気に入ったらしく、すぐに購入を決めていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
作品をチェック中に大変な事に気付いてしまいました。この話では雲斬丸はタケルが作った事になってますが、実際はフェレーロが作った物です。折りを見て修正致します。
表紙絵が完了致しました。
今後は挿絵も入れられれば良いなと思っております。
「三億・・・・」
「お、今回も結構行ったな。」
3億という数字に半ばフリーズしかけているフィデル達とは裏腹に、アルセリオがさも普通の事のようにそう言った。
「そうだね、クイーンとナイトが結構良い値段だったかね。」
「なあ、タケル。そんなに金が有るならいっその事、この街に家を買わないか?」
「そうか、仲間も増えた事だし、街の外れでも良いから買っても良いかもね。」
「じゃあさ、すぐに買いに行こうぜ。」
アルセリオはそう言うと立ち上がり、タケルの手を引きすぐに買いに行こうとした。
「いやいや、ちょっと待ってよ、俺は用事があるし、みんなのレベル上げもしなくちゃいけないし、家を探してる暇なんか無いよ。第一みんなに確認を取らないといけないし。」
「そっか、それもそうだよな。ちょっと先走り過ぎたな。」
タケルが買いに行く暇は無いと言うと、アルセリオは手を離し、そう言いながら頭を掻いていた。
「まあ、話しだけはみんなにしておこうよ。」
「ああ、そうだな。」
「タケル君、この街で家を買うのかね。」
二人の会話を聞いてベルナルドがそう尋ねて来た。
「ええ、まだ決まってませんが、それも有りかなと思っています。」
タケルがそう言うと、ビエントは顎に手を当てながら少し考えると、タケルに話しかけた。
「もしかしたら何とかなるかもしれないな。ちょっと心当たりが有るんだ、良かったらその話、私に任せて貰えないか?」
「え?良いですけど、ギルドは不動産も扱ってるんですか?」
「いや、そういう訳では無いが、ギルドマスターなんてもんをやってると、立場上商人や貴族なんかとも付き合いが出て来るからね、その繋がりで何度か空いた屋敷の話を聞いた事があるんだ。」
「そうなんですか、でも何だか手間取らせる感じで悪いですよ。」
タケルが悪いからと遠慮すると、ビエントは身を少し乗り出して話を続けた。
「いや、タケル君、これは我々の為でもあるんだ、遠慮はしなくて良いよ。」
「え?どういう事ですか?」
「ああ。タケル君、君に話したと思うが、高ランクの冒険者は報酬の高い王都に行ってしまうんだ。」
「ええ、覚えてます。」
「そうか、それで今この街を拠点にしているAランク以上の冒険者はフォルティスとタケル君達のパーティーだけなんだよ。しかしフォルティスもこの街を拠点にしてはいるが、ずっとではない、いつでも移動出来るように宿に泊まっているのが現状だ。今回タケル君に強くしてもらう冒険者も、何人が残ってくれるか・・・」
ビエントはそう話しながら渋い顔をし、更に話を続けた。
「だからタケル君がこの街に家を買って、この街を拠点にしてくれるというのは、ギルドは勿論、街の為にもなる事だからね。ましてや君達のパーティーは全員がAランクだ、この街に拠点を置くと言うのであれば、ギルドとしても街としても、協力は惜しまんさ。」
ビエントの話を聞いてタケルは少し悩んだ、何故ならタケルは旅の途中にこの街に寄っただけに過ぎないからだ。家を買うのもあくまでも拠点として家が有れば、転移で移動しても楽だと思ったに過ぎないからだ。そしてこの街に永住するつもりの無いタケルは、期待されて家を手配されても、期待に応える事が出来ないと思っていたのであった。
「ビエントさん、期待をさせてしまうのは申し訳ないのでハッキリと言いますが、俺はこの街に永住するつもりは有りませんよ。この街には旅の途中に寄ったに過ぎません、家を買ってもいずれまた旅に出るつもりです。」
タケルの言葉を聞いたビエントは、特にガッカリも驚いたりもしなかった。そしてまた話を始めた。
「そう言うと思っていたよ、なんせ君達は冒険者だ、いつまでも同じ所に留まる筈が無いというのは判っている、しかし家を買っておけば、いつでも戻って来られるだろう。」
「確かにそうですね。では一応お任せします。」
タケルがそう言うと、ビエントはニコッと笑うと、タケルに話し掛けた。
「ああ、良い所を用意するよ。」
「ええ、どんな所なのか楽しみにしてます。」
タケルはそう言って席を立とうとすると、ビエントがタケルに声を掛けた。
「あっ、タケル君。そうだった、先日言っていた例の魔物の魔石だ。」
ビエントはアイテムボックスから大きな布袋を出して机に置いた。
「有り難う御座います。もう少し待ってて下さいね。」
「ああ、構わんよ。」
「それでは今日はこれで失礼しますね。」
タケルはそう言うと、リリアーナとも挨拶をかわし、ギルドをあとにして、フィデル達の装備を揃える為に街を散策することにした。
「さて、どこで買うのが良いかな。」
「そう言えば依頼を受けて林に行くときに、あっちに武器屋とか防具屋が並んでるのを見たな。」
アルセリオはそう言って武器屋の方角を指差した。
「じゃあ、アル、案内宜しく。」
「おう、任せとけ!」
アルセリオはそう言うと、先程指差した方角にタケル達を連れて歩き始めた。
「あれ?おかしいな。ここら辺だと思ったんだけど・・・」
「アル、忘れちゃった?」
「いや、そんな筈は・・・確かにこっちの筈・・・」
アルセリオはそう言ったが、完全に武器屋の場所を忘れてしまっていたようで、不安げな顔でキョロキョロと辺りを見回し、武器屋を探していた。
(仕方無いな。)
タケルは黙って【サーチ&スキャン】を使い、アルセリオが言っていた武器屋や道具屋が並んでいる場所を探した。
(お、これだな。幾つか並んでる。アル、惜しかったな、一本向こうの通りだったよ。)
タケルはその場所をさりげなく教えようとした時、かなり古いが良く手入れされた建物で、装備を売っている店が目に入った。
(ん?あそこの武器や防具はどれも魔力を纏ってるな・・・)
「アル、あの店じゃないのか?」
「え?んん~どうだったかな・・・あれのような気もするな。」
「じゃあ行ってみよう。」
タケルは敢えて指摘はせず、気になったその店に向かった。
店先には無造作に置かれた剣や槍、盾や防具が箱に入れて置いてあった。
(おお、ミスリルとオリハルコンを含んだ鋼の剣じゃないか!あっちはアダマンタイトを含んでる!なんだこの店!)
タケルは店先の品物を見て興奮していた、貴重な金属を使った装備が無造作に店先に置かれているのである、店内には一体どんな物が有るのか、期待でワクワクしていた。
(あとでアルミスにも教えてあげよう。)
「こんにちは~。」
タケルは開けっぱなしになっている店の扉を通り、店内に入って行った。
「おお、凄い量だな。」
店内は店先よりも更に無造作に箱や樽に装備が突っ込んであった。
タケル達全員が店内に入ると、身動きが取れない為、フィデル達は店先で待って貰うことにした。
「1人ずつ呼ぶから待っててね。」
タケルはフィデル達にそう声を掛けると、また店内に戻って行った。
「なあ、なんか埃を被った物ばかりじゃないか、俺が見た店は綺麗なやつばかりだったから、ここじゃなかったみたいだ。他行こうぜ。」
「何言ってるんだよ。アル、ここの装備は凄い物ばかりだぞ!」
タケルとアルセリオが大きな声で話していると、店の奥から声が聞こえてきた。
「なんじゃなんじゃ!騒がしい、買わないならせめて静かに出来んのか!」
奥から年配のドワーフがそう言いながら顔を出した。
「あ、こんにちは。」
「なんじゃ、子供か。お前らに売るもんは無い、帰れ!」
年配のドワーフはタケルとアルセリオの顔を見ると、そう言って奥へ戻ろうとした。
「あの!この店の装備は凄いですね、無造作に置かれた品物全てに貴重な金属や鉱石が使われて居ますね。」
タケルがそう言うと、年配のドワーフは奥に行く足を止め、タケルの方を見た。
「ふん、少しは見る目が有るようだな。お前さんは素材が判るのかね。」
「ええ、フェレーロって言うドワーフの鍛冶職人に色々教えて貰った事が有るんです。」
タケルがフェレーロの名前を出すと、年配のドワーフの顔色が変わった。
「フェレーロ?お前さんはあの鼻たれ小僧の知り合いなのか!」
「ええ、まあ。数年一緒に暮らしてましたよ。」
タケルがそう言うと、年配のドワーフは少しの間押し黙り、タケルの方を見て口を開いた。
「少し奥で話を聞かせて貰えるかい?お茶くらいだすぞ。」
年配のドワーフはそう言って店の奥を親指で指し示した。
「えっと、連れが沢山居るんですが、一緒に良いですか?」
「ああ、構わんよ。ここは狭いが、奥は広くなっておる。」
「じゃあ、ちょっと呼んで来ますね。」
「こっちだ。」
タケルがフィデル達を店内に呼び入れると、年配のドワーフはそう言って、サッと手招きをすると、タケル達を店の奥へ招き入れた。
「本当だ、こっちは広いですね。」
タケル達が案内されたのは工房のようで、鍛冶場で打ち上がった装備を加工する場のようで、様々な工具が綺麗に並べてあった、店先の商品とは違い、使い込まれてはいるが、キチンと手入れがなされており、埃ひとつ付いていなかった。しかし道具は沢山有るのだが、それらを扱う装備や材料は殆ど見当たらなかった。
「以前は材料や素材で溢れてたんだがな、最近はそんな状況はとんとご無沙汰でな。適当に座ってくれ、今お茶を淹れて来る。」
年配のドワーフはそう言うと、工場の奥に有る部屋に入って行った。
「なあ、ここの何がそんなに凄いんだ?」
アルセリオが工場を見渡し、近くの道具を手に取りながらタケルにそう聞いてきた。
「何って、今でこそ閑散としてる工場だけど、きっと昔は凄かったんじゃないかな、表の装備だって、他の店なら丁寧に扱われるような物だよ、けどあの人にとっては、あの装備でさえ対した価値が無いと思える程の凄い物を作ってるんじゃ無いかな。それに、ここに有る道具はどれも手入れが行き届いているしね、かなり腕の良い職人だと思うよ。」
「その通りだ。」
タケルがそう言うと、年配のドワーフがお茶を淹れて戻って来て、アルセリオの手から道具を取り、元に戻しながらそう言った。
「ふん、フェレーロの鼻垂れもお前さんにちゃんと基本を教えているようだな。」
年配のドワーフはそう言うと、みんなにお茶を手渡して回った。
「すまんな、客なんてそうそう来ないから、コップも揃っていなくてな。」
年配のドワーフの持ってきたお茶はどれも違うコップに入れられていたが、手作りであろうか、とても手の込んだ作りの物ばかりであった。
「いえ、ありがとうございます。あ、美味しい。」
「そうだろう、ワシ特製のお茶だ。」
年配のドワーフはそう言って、少しドヤ顔をしていた。
「そう言えば、えっと・・・」
「テオドルだ。」
「テオドルさんはフェレーロさんとお知り合いみたいですけど。」
「んあ?ああ。フェレーロの鼻垂れは俺の弟子だからな。」
「ええ?テオドルさんはフェレーロさんの師匠なんですか?」
タケルはテオドルがフェレーロの師匠だと知って驚いた、先日にはエルフのシーリバの妹ともこの街で知り合ったばかりであり、フェレーロの師匠とも同じ街で知り合ったからであった。
「ああ、そうだ。ところで、お前さんは最近のアイツが作った物を何か持ってないか?」
タケルはテオドルに言われ、アイテムボックスから一本の剣を取り出し、テオドルに手渡した。
「これくらいしか持って無いですね。」
タケルが取り出したのは、鍛冶の見本として作った剣で、特に特別な加工等は一切施されていない、シンプルな剣であった。
「ほう。シンプルだが、なかなか良い仕事をするようになったな。あの鼻垂れも。」
テオドルはフェレーロの作った剣を眺めながらそう言って、微笑んでいた。
(鼻垂れとか言ってるけど、やっぱり弟子は可愛いんだろうな。)
タケルがそう思っていると、テオドルがタケルに剣を返し、質問をしてきた。
「お前さんはさっき、あの鼻垂れに鍛冶を教わったと言ったな。それならお前さんが作った物が有るんだろ?見せてみな。」
テオドルはそう言って剣をタケルに返すと、手を差し出した。
「ええ、幾つか有りますよ。」
そう言ってタケルは雲斬丸をアイテムボックスから取り出し、テオドルに手渡した。
「なっ!こ、これはお前さんが作ったのか?」
テオドルは雲斬丸を手にすると、驚いて目を見開き、雲斬丸を持つ手が震えていた。
「ええ、最後に作った奴で、銘は雲斬丸です。」
「雲斬丸・・・なるほど、雲をも斬る剣か、それにしても変わった形の剣だな。」
「ええ、俺の国に伝わる刀って言う剣です。鉈の重さとカミソリの切れ味が特徴と昔から言われてます。」
「鉈の重さとカミソリの切れ味?!そんな事が可能なのか?」
テオドルは刀の特徴を聞いて驚いた、こちらの世界では、地球で言う中世ヨーロッパのような剣が主流であったからだ。中世ヨーロッパの剣は種類が様々有るが、日本刀のように斬るのではなく、刺突や、刀身で叩き切るといった要素が強い剣が主流であったからだ。
「ええ、特殊な製法で、時間が掛かりますが、可能ですよ、抜いて刀身も確認して見て下さい。」
驚くテオドルに対しタケルがそう言うと、テオドルはゴクリと唾を飲み込み、ゆっくりと雲斬丸を鞘から抜いた。
「こりゃあ凄い。お前さん、とんでもないもんを作ったな。」
鞘から抜かれた雲斬丸の刀身を見ると、テオドルはそう言ってタケルの方を見た。
「これ以上の物が欲しいって言うなら、悪いがウチでは無理だな。いや、きっと国中を探しても無理だろうな。」
「あっ、今日は俺じゃ無くて仲間の物を探しに来たんですよ。」
タケルはそう言ってアルセリオや、フィデル達の事を見た。
「おう、そうかい。なら何とかなるかもな。」
テオドルはそう言って雲斬丸を鞘に納めると、タケルに返した。
「で、どんなのが欲しいんだ?」
「アルセリオとフィデルさんは剣士なので剣を、ジラルドさんは・・・置いといて、エステルさんは操鞭士で鞭を、シーラさんは魔弓手なので弓を、シーラさんも良いかな?あとは皆の防具ですね。」
タケルは1人ずつ紹介しながら、欲しい物をテオドルに伝えた。
「ふむ、変わった職業ばかりだな。ちょっと待ってな。」
テオドルはそう言って工場の奥へ行くと、工具箱のような箱を抱えて戻って来た。
「どれ、剣はこの中から好きなの選んでくれ。」
テオドルはそう言うと、箱の中から十数本の剣を取り出して並べた。どうやら箱はマジックボックスになっているようだ。
(おお、流石フェレーロさんの師匠、どれも凄いな。)
「おお、どれにしようかな、悩むな~。」
アルセリオは並べられた剣を見て悩んでいた。するとテオドルが一本の剣を手に取った。
「アルセリオと言ったか、これを振ってみろ。」
そう言ってテオドルは手に取った剣をアルセリオに手渡した。
「え?もっとカッコいいのが良いんだけど。」
アルセリオはそう言いながら、言われた通り剣を振ってみた。
「おっ、おお!凄い振りやすいし、手に馴染むぞ!」
「お前さんは見た目よりも力が有るみたいだが、お前さんの背丈だとそれくらいが丁度良いだろう。」
「ああ!凄い扱いやすいな、コレ。決めた!俺はコレにする。」
アルセリオは見た目が地味な剣を最初は渋っていたが、実際に剣を振ってみると、扱いさを気に入ったらしく、すぐに購入を決めていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
作品をチェック中に大変な事に気付いてしまいました。この話では雲斬丸はタケルが作った事になってますが、実際はフェレーロが作った物です。折りを見て修正致します。
表紙絵が完了致しました。
今後は挿絵も入れられれば良いなと思っております。
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乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
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これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
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勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
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