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2章 少年期 2部 パルブス村編

1話 街への道中

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森を出て街に行くのに馬車を作ることにしたタケル、馬をどうするか考えていたが、アルミスの提案でゴーレム馬を作る事に、タケルは今まで狩った魔物の素材と新たな魔法だな魔法を使い生体ゴーレム馬を作成したが、完成した生体ゴーレム馬は伝説級の凄い物であった。二体の生体ゴーレムはエスペランサと疾風と名付けられ、それぞれ馬車を引き、森を抜けて街道にたどり着いた馬車はのんびりと街へ向かって進んでいた。

『街かあ、どんな所なんだろうな、楽しみだね。』

この世界に来て初めて街へ行くタケルは、胸の高まりを抑えられないでいた。

『そうは言っても国の外れの街なんだろ?大した事無いさ。』

アルセリオは大した事は無いと言い、余り期待していなかった。アルセリオは王族なので、住んでいたのは勿論王都の王宮である、そんな所に住んでいたアルセリオからすれば、多少大きい街でも大した事は無いと思うのは仕方ないであろう。

『ほっ、ワシはフィナールの街へ行った事が有るが、あそこはワシらが居たシーバムの大森林が近い事もあって、街が城壁で囲まれておってな、それでそこから冒険者が森に狩りに行くんだが、高ランクの冒険者も多く、彼らの狩った魔物の素材のお陰でかなり潤っており、辺境の割にはかなり栄えていたな。もう十年程前の話だ。』

サビオはフィナールの街へ行った事があるそうだ、もう十年も前と言う事は、女神の小屋に来る前の話であろう、サビオの話通りで有れば多少なら観光もする事が出来るであろうとタケルの胸は更に高鳴った。

『そうなんですか!サビオさんは行った事が有るんですね。その分だと楽しめそうですね。』

タケルの話を聞いてアルセリオがタケルに尋ねた。

『タケルは街に着いたら何かしたい事は有るのか?』

『そうだな、観光もしたいし、冒険者ギルドで登録もしたいな。魔物を売ったりもしてみたいし。』

『色々したい事が有るんだな、じゃあ暫く滞在するつもりか?』

『そうだね、暫く滞在して情報を仕入れたら次の行き先を考えるよ。』

『そうか。なあタケル、俺も冒険者登録出来るかな?』

どうやらアルセリオも冒険者になりたいようだ。しかしアルセリオは自分が千年前の人間だという事を気にしていた。アルセリオの話を聞いたサビオが話しに入ってきた。

『ほっ、アルセリオ殿、心配する必要は無いぞ、冒険者ギルドでの登録は年齢と性別と職業位しかバレる事はないからな。もし心配ならタケル殿にステータスを改ざんしてもらえばいいんだの。ワシは自分の分しか出来ないからの。』

サビオにそう言われタケルは少し考えたがすぐに何か思い付いたようであった。

『【パーティー】の魔法を少し改造すればいけるかな?』

タケルは【パーティー】の魔法を少し改造し、パーティーメンバーのステータスを改ざん出来るようにし、アルセリオとルシアナ、ミレイアのステータスを改ざんし、王族である事を隠した。クシーナやアルバ、サビオは自分で出来るらしく、自分で改ざんしてもらった。最後に自分も改ざんし、初めて会った時のアルセリオ位のステータスに変更した。

『こんなもんかな。あ、クシーナの服装も変えないとかな?』

『ん?私?この服じゃ駄目なの?駄目なら変えるよ。』

『え?変えられるの?』

『うん、ほら!』

クシーナがそう言うと板のような服が光だし、ルシアナとミレイアが着ている服と似たような服になった。

『え?クシーナそんな事出来たんだ?!』

『うん。見たこと有る服なら何でも変えられるよ~。』

『そ、そうか、随分便利だな・・・ん?魔物の反応が集団で動いてるな、ん?!』

クシーナと会話中のタケルがマップに現れた反応に気付いた、そしてその中に魔物とは違う反応が有るのに気付いた。

『みんな、少し離れた所に魔物の反応が出た、そしてその中に魔物の物では無い反応も有るんだ。』

『まさか、それって・・・』

先程とは違い、少し緊張感の有る感じで報告してきたタケルにアルセリオが返した。

『ああ、人間の反応だ。このまま近くまで行く、アルセリオは付いて来てくれ。』

タケルは御者席に移動し、アルミスの隣に座ると、疾風に指示を出した。

「疾風!急いでアッチの方角へ向かってくれ!」

タケルが指示を出すと、疾風は方向転換し、凄い速さで走り出した、その早さはとても馬車を引いてるとは思えない程の速さで、単独で馬に乗って走るよりも早かった、そして馬車もそのスピードにも関わらず、多少揺れはしたものの普通に座って居られる位揺れが少なかった。

「ほっゴーレム馬も凄いが馬車の性能も凄いもんだな、このスピードでこの程度の揺れとはな。」

サビオはゴーレム馬のスピードは勿論、殆ど揺れない馬車の性能に感嘆していた。しかしタケルは焦っていた、自分一人でならもっと早く移動出来るからである。そして何よりも、幾つか有った人間の反応が消えたからである、このままでは全て消えてしまうかも知れない、そしてそれはその反応の人物の死を意味するからだ。

「アルミス、俺は先に行く!魔力を辿って追って来てくれ。」

タケルにそう言うと、御者席で立ち上がりトンと飛び降りるとタケルの姿はまるで消えたかのようにあっという間に見えなくなった。

「やっぱりタケルは非常識だな。」

消えるように見えなくなったタケルをみてアルセリオが呟いた、その口調は軽かったが、アルセリオの手綱を握る手は固く握り込まれ、その目はとても鋭い物となっていた。アルセリオの脳裏には先日のオークのコロニーの洞窟内部で見た人骨の事が浮かんでいた。

「頼んだぞ、タケル・・・」

その頃、馬車から先行して単独で魔物の群れに向かっているタケルの視界が魔物の姿を捉えた。その魔物は背は低く、肌の色は濃いグレーで顔は人に似てはいるが醜悪で、短いが牙が生えている、オーク同様に粗末な武器を持ち、ボロ布を纏っていたり、鎧を着ている者もいた、ゴブリンであった。
 どこかを襲って来たのか、人間の物と思われる服や食料をじめんに広げ、我先にと取り合っていた、そしてその奥には見たことがある魔物の姿があった、オークである。この魔物の群れはオークとゴブリンの混成であった。タケルの脳裏にも先日の洞窟で見た人骨の事がよぎり、タケルには歯軋りをした。

「く、オークめ!」

タケルは走りながらファイヤーバレットを多数展開し、すぐさま撃ち放った。放たれたファイヤーバレットは戦利品を取り合うゴブリンを正確に射ぬき、すぐさまタケルは次弾を撃ち放ち、視界に写る全ての魔物を倒した。周囲を確認すると、魔物の姿は無かったが、マップにはまだ魔物の反応が有った、そこでタケルは周囲を探索すると、木の枝等で隠された洞窟を発見した。タケルは【スキャン&サーチ】を使い内部を確認すると、内部は結構広さがあり、所々で魔物が人間を囲んで居るのが判った。

「何をやっているんだ?」

マップのマークと、魔力の反応だけでは何をしているか迄は判らず、タケルは少しだけ悩んだ、マークと魔力を便りに魔法を行使する事は可能だが、囲まれている人間が不意に動かないとも限らない。

「一度目視で確認してみるか。」

タケルはそっと木の枝を掻き分け、内部へ侵入していった、入り口から入って直ぐは通路になっており、その先で曲がっていて、隠密も使っているので音をたてたりしなければ気付かれる事は無い、通路は乱雑に物が置かれており、慎重に物を避けながら進み、通路に角から奥をそっと覗いたタケルは目を疑った。

「な!あ、あいつら!」

タケルの視線の先には、着ている服をビリビリに破かれ、顔は殴られたのだろうか、血だらけで腫れ上がり、ぐったりとしている女性にオークがのし掛かり腰を振っていた。オークは女性を犯していたのである、それも数匹のオークが身体中を舐め回していた、奥の方では犯していた女性が死んだのか、オークがその死体を貪っていた。

「あのクソ供はただ殺すだけでは生温い・・・」

タケルは視界に写るオークとマップを確認し、ある魔法を使った。すると洞窟内のオーク達の体の下の地面に影が出現し、オークを徐々に包み始めた、闇魔法である。異変に気付いたオークは慌てたが、時既に遅く、オーク達の体は影により拘束され、身動きが出来なくなっていた、すると影から手が無数に出現し、オークの体を引っ掻き回すとオークの肉が抉れた、すると抉れた部分に先程よりも小さい手が集まり内部に入り込んでいった、そしてその手は内部からジワジワとオークの体を闇のなかへと引きずり込んで行った。そしてオークの体は全て闇の中に消えて行った。
 オークが全て消えたのを確認しタケルは犯されていた女性に駆け寄り、ヒールを掛けた、すると顔の腫れが引き、傷も消えて美しい顔が現れた、しかし女性の意識はもどらず気絶したままであった。他の女性も同様で傷は治っても意識は戻らなかった。

「どうするか・・・」

タケルは悩んでいた、魔法で意識を回復させる事は可能だが、今意識を取り戻しても彼女達は混乱するだろうと考えたからだ。タケルが悩んで居るとアルミス達が近くまで来たのがマップと魔力の反応で判った。同時にタケルは洞窟の奥にある扉の向こう側に違和感を感じ、扉を開けた。

「なっ!なんだと!!」

そこは小さい小部屋に仕切られており、全体的に結界が張られ、魔力や気配が遮断されるようになっていた。
そしてそれぞれの内部には裸の女性が鎖に繋がれグッタリとしていた、タケルがパッと見ただけで十人は繋がれていた、そして全ての女性の腹部が膨れていた、そこはオークの子供を孕まされた女性を閉じ込めておく場所のようであった。

『アルミス!すぐに来てくれ!アルバとクシーナも!』

タケルが念話で叫ぶとアルミスは疾風に追ってくるように言い、馬車から飛び降りると、タケル同様その場から消えたかのように瞬時に移動し、洞窟へ向かった。少ししてアルミスは洞窟に到着するとそのまま中に入って行き、裸同然で横たわっている女性を見つけ立ち止まった。

「アルミス!こっちだ!」

アルミスが到着するとしたのをマップと魔力で感じたタケルが叫んでアルミスを呼んだ。

「タケル様、これは・・・」

タケルと同様に囚われて居る女性を見てアルミスは唖然としていた。

「ここはオークの子供を産ませる為に閉じ込めておく場所のようだ。」

タケルが部屋に張られている結界を解除しながらアルミスに説明した、その口調は落ち着いているようではあるが、いつものタケルとは違う、怒りのこもった声であった。

「よし、これで大丈夫だ!アルミス、俺が鎖を外すから全員を広間につれてってくれ!」

タケルは一人一人魔法で鎖で繋がれた枷の鍵を解除して枷を外していった。

「タケル様、全員集まりました。」

広場に集められた女性は全部で二十人も居た。タケルは【メイクアイテム】で毛布を二十枚つくり、一人一人に渡し、必要な女性にはヒールを掛けて行った。

「あっ・・・」

先程犯されていた女性に毛布を掛けようとしてタケルはその女性の女性器からオークの物と思われる精液が溢れ出ているのに気付いた。

「すまん、気が回らなくて・・・」

タケルは意識を失っている女性の腹部に手を添えるように当て、クリーンと浄化の魔法を掛けた。犯されていて生きていたのは五名で、全員が同じ状態であった、どうやら代わる代わるかわるがわる犯されていたようである。

『タケルさん、着いたわ。』

アルバから念話が入り、タケルは中へ来るように呼んだ。

『アルバ、クシーナ、中に入って来てくれ!ルシアナさん、中は酷い状況なんだ、申し訳無いが、ルシアナさんも来て貰えますか。』

タケルが言うと三人が走って中へ入って来た。毛布にくるまっている沢山の女性を見て、状況が飲み込めず唖然としていた。

「説明はあとまわし、全員を小屋に運ぶ、そこで処置をしなくちゃいけないんだ。俺は先に戻ってベッドを作ってるから、頼んだよ。」

タケルはセーフゾーンに戻ると急いで大型のテントを作り、そこへ二十台のベッドを作った。
作り終わったところでアルミス達が女性を連れて来た。取り合えず歩ける者から連れて来たようだ。

「アルミス!ドンドンベッドに寝かせて、クシーナ!悪いけど身体にやさしい食事を作って!アルバは皆の状態を確認していって!ルシアナさん、意識の有る女性を落ち着かせてあげて下さい。」

タケルはアルミスたちに指示を出すと、小屋のリビングで【マジッククリエイション】で魔法を作り始めた。

マジッククリエイション 開始

魔法名 堕胎

[効果] 
魔物に妊娠させられた場合のみ有効。
母体に影響を及ぼす事無く魔物の胎児を溶かし、体外へ排出させる。
体型も妊娠前に戻す事が出来る。

マジッククリエイション 完了

「くそ!こんな魔法を作らなくちゃいけないなんて!」

タケルは複雑な心境になりながらも、もうひとつ魔法を作り始めた。

マジッククリエイション 開始

魔法名 【記憶操作】

[効果]
対象の記憶を自在に操作出来る。
但し一年以内の記憶のみ可能。

マジッククリエイション 完了

「よし、良かった、これで彼女達の心に傷を付けなくて済むかもしれないな。」

タケルは魔物に犯され、その子供を孕まされたという記憶を消すために記憶を操作する魔法を作った。例え今彼女を救ってもただそれだけではもしかしたら悲観して自ら命を断ってしまうかもしれないと思ったからだ、そこまで行かなくても心に深い傷を負ってしまうのは明らかであった為でもある。
タケルはテントに行くと、アルバに状態を聞き、一人づつ魔法を使用していった。

「こんな魔法を使ってゴメンな・・・」

タケルは魔法を使っては謝り、女性を眠らせて行った。

「ふう、全員終わった。皆を呼ばないと。」

タケルは洞窟に戻り、洞窟の外で待機しているサビオ達の元へ行き、何が有ったかを説明はした。

「なっ!そんな事が!」

アルセリオはタケルの話しに顔をしかめ、怒りを露にいていた。

「そう言う事なので、取り合えず一旦戻りましょう。」

タケルは疾風とエスペランサを馬車から外し、馬車をアイテムボックスに仕舞うとサビオ達と小屋へと戻って行った。

「タケル、彼女達はどうするんだ?」

アルセリオがテントを見ながらタケルに聞いてきた。

「今は傷の手当と特別な処置をして、捕まってた時の記憶を消して寝て貰ってる、後でここの記憶も消して街に連れて行こうと思ってる。」

「そうか、しかしどうやって連れて行くんだ?馬車に全員は乗り切らないだろ?」

「それは後で新たに馬車を作るよ、ゴーレム馬も作るようかも。」

タケルとアルセリオが話をしているとクシーナが真面目な顔をして食事が出来た事を伝えて来た。あの明るいクシーナもかなり心を痛めているようだ。

「タケるん、食事出来たよ。」

「ああ、クシーナありがとう。彼女達を起こして食事を食べさせよう。」

タケル達は全員でテントに食事を持っていき、手分けして食事を食べさせる事にした。既に記憶は消してあるので、魔物に教われて今は記憶が混濁してるという事を説明し、その日はゆっくりと休んで貰うことにし、タケル達もその日の移動は取り止め、今後の事を話し合う事にした。












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