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1章 転生~幼年期
33話 ゴーレムとスキル検証
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アルミスと手合わせした尊流だが、スキルの力のみではアルミスに勝てる事ができず、スキルを生かせる戦い方を身に付ける為、手合わせをするのは暫く止めて、アルミス指導のもと、スキルの検証をする事にした尊流は、自分で作ったゴーレムを召喚し、アルミスと二人で対峙していた。
「タケル様もゴーレムを作れたんですね。」
相変わらずアルミスが目をキラキラとさせている。
「このゴーレムはまだ術式を組み込んでいないので、ちょっと有ることをしてみたいんです。ちょっと待ってて下さいね。」
そう言うと、尊流はゴーレムを座らせ何かをし始めた、何かの魔法を使っているようだ。5分程すると終わったようで、ゴーレムが立ち上がった。
「さて、コレでヨシっと。」
尊流はかいてもいない汗を腕で拭う仕草をした。
「タケル様、今のは何をされたんですか?」
「ああ、何もせずにスキルの練習台にしちゃうとすぐに破壊されて、何体居ても意味が無いですからね、だからちょっと術式を今までと違う物を組み込んだんですよ。」
尊流の話を聞いたアルミスは顎に指を当て首を傾げている。
(カワイイ・・・)
「簡単に言うと、防御特化型って言うのかな、盾を持たせて攻撃は牽制やカウンター位しかしてこないんですよ、そうすれば破壊されにくいですからね。自己修復機能も付けたから多少は壊れても平気です、それと自律型の進化版と言った感じなんだけど、人工知能・・・ん~っと、学習機能を付けたんですよ。」
アルミスはまだ顎に指を当てて首を傾げている。
「えっと。防御力を上げて、ゴーレムの頭を良くしたんですよ。」
尊流が噛み砕いて説明すると、アルミスの顔はパアッと明るくなり、尊流の事を目をキラキラとした目で見つめた。
「タケル様。タケル様は凄いです!そんな難しい事が出来てしまうなんて、まるで賢者様のようです!」
(大賢者のジョブ有るんだけどね・・・)
「あはは・・・ま、まあ大体解って貰えましたか?」
尊流は苦笑いしながら指で顔を掻いた。
「で、ではアルミスさん、始めましょうか、先ずは[雷虎斬]からこのゴーレムに当ててみます」
尊流は木剣をアイテムバッグから取り出し、木剣を構えゴーレムに向かって[雷虎斬]を繰り出した、するとゴーレムは盾で[雷虎斬]を受け止めたが、盾は破壊されてしまった。
するとアルミスが心配そうな顔で尊流を見る。
「アルミスさん大丈夫ですよ、ゴーレムの改造は失敗してませんから。ほら、見てください、盾が修復されたでしょ。これで、次にまた同じ事をします。」
そう言うと尊流は再び[雷虎斬]繰り出した、先程のようにゴーレムは盾で受け止めたが、盾は破壊されずに残っていた。それを見たアルミスが驚いた顔をして尊流の方を見た。
「タケル様凄いです。どうやったんですか?」
尊流は笑みを浮かべ、少しドヤ顔して、アルミスに説明を始めた。
「ね、言った通りでしょ。あれは学習機能・・・頭が良くなったので、1度受けた攻撃を記録する事が出来るようになったんです、次からは同じ攻撃を受けても、そのダメージを無効化するんです。」
「タケル様、でもどうやって無効化してるんですか?」
「そうだね、そこが肝心だよね、簡単に言うと魔法だね、ただの剣撃ならさらに硬化させ、攻撃を受け流すようになり、[雷虎斬]のようなスキルの特殊効果は魔法で耐性を付けて行くんだよ。」
アルミスはやっぱり指を顎に置いて首を傾げていた。そして何とか理解したのか一言だけ尊流に向かって言った。
「おりこうさんになったんですね。」
尊流は平静を保ちながら内心ズッコケていた。
「あ、う、うん、そうですね。そういう事です。」
尊流は苦笑いしていたが、アルミスはご機嫌でニコニコしていた。
「とにかく、これでこのゴーレムには[雷虎斬]を何回使っても壊れないようになったので、アルミスさんも1つずつ剣技を繰り出して下さい、そうすれば俺は剣技を覚えられますから。あ、木剣でお願いしますね。でないと自己修復出来ないくらい壊れちゃうので。」
その後アルミスと尊流で剣士スキルの攻撃や、アルミスの剣技をゴーレムに繰り出し、どんどん記録させていった。
暫くして全てのスキルや剣技をゴーレムに記録させた尊流とアルミスだが、尊流が何かを思いつたように話し始めた。
「ん~、いいアイディアだと思ったんだけど、このままだと只の動く的なんですよね。岩みたい壊れて無くならないから、スキルと剣技の合わせ技とかを試すのは丁度いいんですけどね。」
「タケル様、私が近くに居てタケル様に攻撃しますか?」
「ん~。それもちょっと・・・ん?まてよ?」
何かを思いついたように顎に手を当て、首を傾げてブツブツとつぶやきながら考え込む尊流、暫くして閃いたようにポンっと手を叩く。
「そうか、どうしても時間が掛ると思って1体しか出さなかったけど、複数出せば良いんだ!アルミスさん、少し時間を下さい、ゴーレムを改造します。」
そう言うと、尊流はゴーレムを新たに2体召喚した、1体は背が高く阿修羅のように腕が6本有り長く、複数のゴーレムの背後から攻撃出来るように尊流が作ったが、移動や防御力に難が有った失敗作である。もう1体は箱のような形で車輪を沢山つけ、自由自在に動き回れるようにしたゴーレムである、本当は尊流が乗ったり、重いものを運んだりして活用しようと思ったのだが、自分で動いたほうが早いし、重い物もアイテムボックスを使った方が便利という事でお蔵入りしていた物だ。
「よし、じゃあ、これをこうして、リンクさせて・・・」
尊流は何やら新たに召喚したゴーレムと合わせ、計3体のゴーレムを近くに寄せて何かをしてブツブツ言っている。その頃アルミスはというと、尊流の作業を楽しそうに見ていた。
時折動作確認だろうか、ゴーレムが動いている、尊流はその度にウンウンと頷き、また何かをいじり、動作確認をする、そんな事を何度か繰り返し、ゴーレムは完成した。
「ヨシ!完成だ!これでこいつと戦う事が出来る。」
完成したゴーレムは、とても奇妙な姿をしていた。最初のゴーレムは盾を1枚持っており、オマケ程度に剣を持っていた、しかし現在は盾を大型で湾曲した物にに変更し、盾の数も2枚になっており、半円になるように持っている。そしてその後ろでは腕が6本有るゴーレムがそれぞれ剣を持ち、盾を持つゴーレムの前に腕をせり出すように構えている。2体は体を付けるように立っている、3体目はその2体のゴーレムを乗せている、傍目には2体のゴーレムが体を寄せ合い箱に入っているように見える。
「タケル様、コレは・・・凄く奇妙な姿ですが、一体どのようになっているのですか?」
アルミスにそのゴーレムの事を聞かれた尊流は、よくぞ聞いてくれたとでも言うかの如く、ドヤ顔でゴーレムの説明をし始めた。
「ふふふ、アルミスさん。このゴーレムはですね、先程の防御型のゴーレムを中心に置き、その後ろに腕が6本のゴーレムを配置して高い身長と長い腕を生かし、背後から前方への攻撃が可能となっているんですよ、そしてそのままだと移動が困難なので、移動、運搬用のゴーレムに乗せて移動を可能としているんですよ。さらに、防御型が受けた攻撃は記録され、魔法でリンクされた攻撃型のゴーレムがその攻撃を繰り出す事が出来るのです、勿論剣での受け流しなども出来ます。移動も勿論魔法リンクによって自在に移動が可能なのです。」
ゴーレムを説明し終わった尊流は腕を組み、少し体を仰け反らせながら、先程以上にドヤ顔をしていた。
そして、アルミスは顎に指を当て、首を傾げたいた。
「う~ん。タケル様、よく解らないですが、凄くなったんですね。」
尊流はガックリとした、しかしそれも仕方の無い事、他にゴーレムを作るのはサビオしかおらず、サビオの作るゴーレムもどちらかと言うと魔改造を施してある、規格外ゴーレムなのである、それをずっと見てきた尊流にとっては凄いゴーレムでも、他の人によっては魔改造ゴーレムであり、よく分からないゴーレムにしか見えないのである。
「あ、そ、そうですね、凄くなったんですよ。」
(さ、サビオさんなら判ってくれるさ。)
多少落ち込んだ尊流だが、サビオなら理解してもらえると気を取り直す事にした。
「じ、じゃあコイツで再開致しますか。」
尊流はアイテムボックスから木剣を取り出し、ゴーレムに近づくと木剣で切りかかった、すると6本腕のゴーレムが剣を受け止めた、そして尊流の木剣を弾き返したのである、休まず尊流はゴーレムに剣撃を叩き込むが、見事にゴーレムはその6本ある腕の剣で尊流の剣撃を弾き、[雷虎斬]を尊流が打ち込むと、ゴーレムも[雷虎斬]で尊流の攻撃を防いで見せた。
そこで尊流は一旦距離を置き、アルミスの方を見て、ニコッと笑った。
「ね、いい感じじゃないですか?コレなら思う存分スキルや剣技の練習出来ると思います。」
「なるほど、それぞれに役割分担させたんですね。タケル様、凄いです。」
アルミスは目をキラキラさせて尊流とゴーレムを交互に見ている。
「あ、アルミスさんもやってみたいですか?」
アルミスはキラキラさせている目を一段と輝かせ、コクコクと頷いた。
「い、良いんですか?タケル様!」
「え、ええ。あまり全力では控えて下さいね、あくまでも検証や練習用なんですかね。」
尊流はアルミスに念を押した、自分が使う前に壊されたら困るからである。
アルミスが木剣を出しゴーレムと対峙した、そして尊流は嫌な予感がした、次の瞬間アルミスは縮地でゴーレムに斬りかかると、ゴーレムの剣は弾かれ、アルミスの次の剣撃が胴部分となる並んだ盾に当たり盾が少し壊れる、自動修復で戻るが直ぐに壊される、ゴーレムも攻撃を繰り出すが、全てアルミスに弾かれ、空いた胴部分に剣撃が注がれていく、ゴーレムがスキルを使った攻撃を仕掛けようとした瞬間アルミスは一旦距離を取る、そして次の瞬間ゴーレムに飛びかかった。
「あっ!アルミスさん!だめ・・・・・」
尊流が声を発した直後、アルミスの本気の攻撃が決まりゴーレムがはじけ飛び、破壊されてしまった。
尊流はガクッと膝を付き両手も地面に付き、ガックリとうなだれてしまった。そしてアルミスは木剣を鞘に収める動作をし「フ~ッ。」吐息を吐き、尊流の方を見てニッコリとした。
「凄いですね、タケル様。なかなかやりますね、あのゴーレム。」
「そ、そう良かったですね。」
尊流はそう答えるのが精一杯だった、そこでアルミスはようやく何かに気づきハッとした。
「あ、あの、タケル様、申し訳ありません、つい力が入ってしまって・・・」
アルミスが顔を赤くして、申し訳なさそうにしながら俯いていた。
「いえ、アルミスさん、戻ってお昼にしましょうか・・・」
尊流は破壊されたゴーレムを回収し、扉を出現させて小屋に戻っていった。
「サビオさんにアイデアだけ教えれば良いか・・・・・」
尊流達が小屋に戻り、扉が消えようとしている。破壊されたゴーレムの小さな破片が優しい風に流されて消えていった。
「タケル様もゴーレムを作れたんですね。」
相変わらずアルミスが目をキラキラとさせている。
「このゴーレムはまだ術式を組み込んでいないので、ちょっと有ることをしてみたいんです。ちょっと待ってて下さいね。」
そう言うと、尊流はゴーレムを座らせ何かをし始めた、何かの魔法を使っているようだ。5分程すると終わったようで、ゴーレムが立ち上がった。
「さて、コレでヨシっと。」
尊流はかいてもいない汗を腕で拭う仕草をした。
「タケル様、今のは何をされたんですか?」
「ああ、何もせずにスキルの練習台にしちゃうとすぐに破壊されて、何体居ても意味が無いですからね、だからちょっと術式を今までと違う物を組み込んだんですよ。」
尊流の話を聞いたアルミスは顎に指を当て首を傾げている。
(カワイイ・・・)
「簡単に言うと、防御特化型って言うのかな、盾を持たせて攻撃は牽制やカウンター位しかしてこないんですよ、そうすれば破壊されにくいですからね。自己修復機能も付けたから多少は壊れても平気です、それと自律型の進化版と言った感じなんだけど、人工知能・・・ん~っと、学習機能を付けたんですよ。」
アルミスはまだ顎に指を当てて首を傾げている。
「えっと。防御力を上げて、ゴーレムの頭を良くしたんですよ。」
尊流が噛み砕いて説明すると、アルミスの顔はパアッと明るくなり、尊流の事を目をキラキラとした目で見つめた。
「タケル様。タケル様は凄いです!そんな難しい事が出来てしまうなんて、まるで賢者様のようです!」
(大賢者のジョブ有るんだけどね・・・)
「あはは・・・ま、まあ大体解って貰えましたか?」
尊流は苦笑いしながら指で顔を掻いた。
「で、ではアルミスさん、始めましょうか、先ずは[雷虎斬]からこのゴーレムに当ててみます」
尊流は木剣をアイテムバッグから取り出し、木剣を構えゴーレムに向かって[雷虎斬]を繰り出した、するとゴーレムは盾で[雷虎斬]を受け止めたが、盾は破壊されてしまった。
するとアルミスが心配そうな顔で尊流を見る。
「アルミスさん大丈夫ですよ、ゴーレムの改造は失敗してませんから。ほら、見てください、盾が修復されたでしょ。これで、次にまた同じ事をします。」
そう言うと尊流は再び[雷虎斬]繰り出した、先程のようにゴーレムは盾で受け止めたが、盾は破壊されずに残っていた。それを見たアルミスが驚いた顔をして尊流の方を見た。
「タケル様凄いです。どうやったんですか?」
尊流は笑みを浮かべ、少しドヤ顔して、アルミスに説明を始めた。
「ね、言った通りでしょ。あれは学習機能・・・頭が良くなったので、1度受けた攻撃を記録する事が出来るようになったんです、次からは同じ攻撃を受けても、そのダメージを無効化するんです。」
「タケル様、でもどうやって無効化してるんですか?」
「そうだね、そこが肝心だよね、簡単に言うと魔法だね、ただの剣撃ならさらに硬化させ、攻撃を受け流すようになり、[雷虎斬]のようなスキルの特殊効果は魔法で耐性を付けて行くんだよ。」
アルミスはやっぱり指を顎に置いて首を傾げていた。そして何とか理解したのか一言だけ尊流に向かって言った。
「おりこうさんになったんですね。」
尊流は平静を保ちながら内心ズッコケていた。
「あ、う、うん、そうですね。そういう事です。」
尊流は苦笑いしていたが、アルミスはご機嫌でニコニコしていた。
「とにかく、これでこのゴーレムには[雷虎斬]を何回使っても壊れないようになったので、アルミスさんも1つずつ剣技を繰り出して下さい、そうすれば俺は剣技を覚えられますから。あ、木剣でお願いしますね。でないと自己修復出来ないくらい壊れちゃうので。」
その後アルミスと尊流で剣士スキルの攻撃や、アルミスの剣技をゴーレムに繰り出し、どんどん記録させていった。
暫くして全てのスキルや剣技をゴーレムに記録させた尊流とアルミスだが、尊流が何かを思いつたように話し始めた。
「ん~、いいアイディアだと思ったんだけど、このままだと只の動く的なんですよね。岩みたい壊れて無くならないから、スキルと剣技の合わせ技とかを試すのは丁度いいんですけどね。」
「タケル様、私が近くに居てタケル様に攻撃しますか?」
「ん~。それもちょっと・・・ん?まてよ?」
何かを思いついたように顎に手を当て、首を傾げてブツブツとつぶやきながら考え込む尊流、暫くして閃いたようにポンっと手を叩く。
「そうか、どうしても時間が掛ると思って1体しか出さなかったけど、複数出せば良いんだ!アルミスさん、少し時間を下さい、ゴーレムを改造します。」
そう言うと、尊流はゴーレムを新たに2体召喚した、1体は背が高く阿修羅のように腕が6本有り長く、複数のゴーレムの背後から攻撃出来るように尊流が作ったが、移動や防御力に難が有った失敗作である。もう1体は箱のような形で車輪を沢山つけ、自由自在に動き回れるようにしたゴーレムである、本当は尊流が乗ったり、重いものを運んだりして活用しようと思ったのだが、自分で動いたほうが早いし、重い物もアイテムボックスを使った方が便利という事でお蔵入りしていた物だ。
「よし、じゃあ、これをこうして、リンクさせて・・・」
尊流は何やら新たに召喚したゴーレムと合わせ、計3体のゴーレムを近くに寄せて何かをしてブツブツ言っている。その頃アルミスはというと、尊流の作業を楽しそうに見ていた。
時折動作確認だろうか、ゴーレムが動いている、尊流はその度にウンウンと頷き、また何かをいじり、動作確認をする、そんな事を何度か繰り返し、ゴーレムは完成した。
「ヨシ!完成だ!これでこいつと戦う事が出来る。」
完成したゴーレムは、とても奇妙な姿をしていた。最初のゴーレムは盾を1枚持っており、オマケ程度に剣を持っていた、しかし現在は盾を大型で湾曲した物にに変更し、盾の数も2枚になっており、半円になるように持っている。そしてその後ろでは腕が6本有るゴーレムがそれぞれ剣を持ち、盾を持つゴーレムの前に腕をせり出すように構えている。2体は体を付けるように立っている、3体目はその2体のゴーレムを乗せている、傍目には2体のゴーレムが体を寄せ合い箱に入っているように見える。
「タケル様、コレは・・・凄く奇妙な姿ですが、一体どのようになっているのですか?」
アルミスにそのゴーレムの事を聞かれた尊流は、よくぞ聞いてくれたとでも言うかの如く、ドヤ顔でゴーレムの説明をし始めた。
「ふふふ、アルミスさん。このゴーレムはですね、先程の防御型のゴーレムを中心に置き、その後ろに腕が6本のゴーレムを配置して高い身長と長い腕を生かし、背後から前方への攻撃が可能となっているんですよ、そしてそのままだと移動が困難なので、移動、運搬用のゴーレムに乗せて移動を可能としているんですよ。さらに、防御型が受けた攻撃は記録され、魔法でリンクされた攻撃型のゴーレムがその攻撃を繰り出す事が出来るのです、勿論剣での受け流しなども出来ます。移動も勿論魔法リンクによって自在に移動が可能なのです。」
ゴーレムを説明し終わった尊流は腕を組み、少し体を仰け反らせながら、先程以上にドヤ顔をしていた。
そして、アルミスは顎に指を当て、首を傾げたいた。
「う~ん。タケル様、よく解らないですが、凄くなったんですね。」
尊流はガックリとした、しかしそれも仕方の無い事、他にゴーレムを作るのはサビオしかおらず、サビオの作るゴーレムもどちらかと言うと魔改造を施してある、規格外ゴーレムなのである、それをずっと見てきた尊流にとっては凄いゴーレムでも、他の人によっては魔改造ゴーレムであり、よく分からないゴーレムにしか見えないのである。
「あ、そ、そうですね、凄くなったんですよ。」
(さ、サビオさんなら判ってくれるさ。)
多少落ち込んだ尊流だが、サビオなら理解してもらえると気を取り直す事にした。
「じ、じゃあコイツで再開致しますか。」
尊流はアイテムボックスから木剣を取り出し、ゴーレムに近づくと木剣で切りかかった、すると6本腕のゴーレムが剣を受け止めた、そして尊流の木剣を弾き返したのである、休まず尊流はゴーレムに剣撃を叩き込むが、見事にゴーレムはその6本ある腕の剣で尊流の剣撃を弾き、[雷虎斬]を尊流が打ち込むと、ゴーレムも[雷虎斬]で尊流の攻撃を防いで見せた。
そこで尊流は一旦距離を置き、アルミスの方を見て、ニコッと笑った。
「ね、いい感じじゃないですか?コレなら思う存分スキルや剣技の練習出来ると思います。」
「なるほど、それぞれに役割分担させたんですね。タケル様、凄いです。」
アルミスは目をキラキラさせて尊流とゴーレムを交互に見ている。
「あ、アルミスさんもやってみたいですか?」
アルミスはキラキラさせている目を一段と輝かせ、コクコクと頷いた。
「い、良いんですか?タケル様!」
「え、ええ。あまり全力では控えて下さいね、あくまでも検証や練習用なんですかね。」
尊流はアルミスに念を押した、自分が使う前に壊されたら困るからである。
アルミスが木剣を出しゴーレムと対峙した、そして尊流は嫌な予感がした、次の瞬間アルミスは縮地でゴーレムに斬りかかると、ゴーレムの剣は弾かれ、アルミスの次の剣撃が胴部分となる並んだ盾に当たり盾が少し壊れる、自動修復で戻るが直ぐに壊される、ゴーレムも攻撃を繰り出すが、全てアルミスに弾かれ、空いた胴部分に剣撃が注がれていく、ゴーレムがスキルを使った攻撃を仕掛けようとした瞬間アルミスは一旦距離を取る、そして次の瞬間ゴーレムに飛びかかった。
「あっ!アルミスさん!だめ・・・・・」
尊流が声を発した直後、アルミスの本気の攻撃が決まりゴーレムがはじけ飛び、破壊されてしまった。
尊流はガクッと膝を付き両手も地面に付き、ガックリとうなだれてしまった。そしてアルミスは木剣を鞘に収める動作をし「フ~ッ。」吐息を吐き、尊流の方を見てニッコリとした。
「凄いですね、タケル様。なかなかやりますね、あのゴーレム。」
「そ、そう良かったですね。」
尊流はそう答えるのが精一杯だった、そこでアルミスはようやく何かに気づきハッとした。
「あ、あの、タケル様、申し訳ありません、つい力が入ってしまって・・・」
アルミスが顔を赤くして、申し訳なさそうにしながら俯いていた。
「いえ、アルミスさん、戻ってお昼にしましょうか・・・」
尊流は破壊されたゴーレムを回収し、扉を出現させて小屋に戻っていった。
「サビオさんにアイデアだけ教えれば良いか・・・・・」
尊流達が小屋に戻り、扉が消えようとしている。破壊されたゴーレムの小さな破片が優しい風に流されて消えていった。
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