27 / 155
1章 転生~幼年期
25話 異空間
しおりを挟む
昼食後、サビオの指導で尊流が異空間の扉を出現させ、二人は尊流が作った空間の中に立っていた。
「ほっほっほっ。タケル殿、これは素晴らしい場所だの、景色も良いしの、適度に有る岩山にの、草原も有るしの、あれは大きな池かの。素晴らしいイメージ力だの。」
尊流のイメージしたのは、7つの玉を集める漫画の戦闘シーンで良く出てくるような場所だった、強くイメージしたのは、緑の肌をした種族が住んでいた今は無き星であった。
「戦闘にはもってこいの場所をイメージしたんですよ。」(ドカンドカンとするならやっぱり此処だよね!)
尊流は小さくガッツポーズをしていた。
サビオは辺りをゆっくりと見回し、満足したように頷いていた。
「ほっほっほっ。そうだの、魔法の練習や、戦闘に適しているの、ここなら模擬戦も様々な事が出来るだろうの。」
「模擬戦ですか。やるんですか?」
サビオの模擬戦という言葉を聞いて、模擬戦をするのかと、尊流は少し怯えていた。
「ほっほっほっ。ワシと尊流が戦ったら魔法の威力が強すぎてどちらかが死んでしまうわいの。」
そう言ってサビオは髭を触りながら笑っていた。
「そうですか、安心しました、けど、もし模擬戦をやったとしたら、殺す位強力なのを使うつもりなんですね。」
そう言って尊流はサビオを少しジト目で見つめていると、視線に気付いたのか、サビオが誤解を解くかのように話始めた。
「ほっほっほ。そんな事はせんよ、しかし魔法は本人にその気が無くてもの、そう言った事になる可能性が有るからの、それだけ魔法は制御が難しく、強力だと言う事だの。」
サビオは髭を握り締めながら、そう言って、次に少し離れた所に有る、大きな岩が点在している場所を指差した。
「先ずはワシがやってみせるからの。ファイヤーボールとは違う初級魔法からが良いかの。」
そう言ってサビオは先程指し示した岩が点在する場所を見つめた。
すると、数種類の属性の大人の握り拳大で、アーモンドのような形をした物が、発射されたと言う表現が似合う速度で岩に向かって飛んで行った。
「お、おお~。バレット系ですか?凄い、穴が空いて向こうが見えますね。」
サビオが放った魔法は、岩に当たると、弾ける事無く、そのまま岩を抉り貫通して、岩の後ろの地面に穴を開けていた。
「ほっほっほ。タケル殿が言った通りバレット系の魔法だの、ファイヤーボール等は小さいが範囲魔法になるんだがの、これは特定の対象のみを攻撃出来るん魔法だの、タケル殿のように遠隔操作が出来れば百発百中だの、それに威力の調整がしやすいのも特徴かの。」
サビオは髭を触りながら魔法の解説をしていた、そして尊流は顎を触りながら話を聞いてウンウンと頷いていた。
「さて、タケル殿、やって見ようかの。属性は複数での。」
尊流は言われた通り、複数のバレットの魔法を作り出し、岩に向け発射した。
「ほっほっほ。流石タケル殿だの、バレット系では簡単過ぎたかの、もう一度だけ、今度は威力を押さえて放ってみてくれるかの」
尊流は自らの魔法により、岩に空いた穴を確認すると、今度は先程よりも少し小さいバレットを作り出し、発射した。
尊流の放った魔法は、それぞれが岩を抉り、岩の中程まで穴を開けて消えていた。
「ほっほっほ。やはり簡単過ぎたの。では今度は中級魔法のウォール系をやってみるかの、この系統の魔法はの、属性の壁を作り出してその魔法で攻撃を防いだりそのまま攻撃として使うことも出来る優れものなんだの、運用次第で幅広い戦術が組み立てられるからの、多様な使い方を覚えておいて損は無いの。ではファイヤーウォールをあそこら辺に出すからの。」
サビオが言い終わるやいなや、サビオが指し示した場所に、幅5m、高さ3m程の炎の壁が出来上がった。
「こんな感じだの、大きさや高さはかなり自由に調整出来るんだがの、大きければそれだけ魔力を消費するんだがの、タケル殿は平気だろうの。ではちと色々やってみるぞい。」
そう言うと炎の壁が幅10m高さ5mの壁に変化した、サビオを見ると涼しい顔をして、髭を触りながら炎の壁を見つめているだけのように見えた。
すると、こんどはその炎の壁が移動し始めた、様々な大きさに変化しながら、周囲を動き回ったのち、フッと炎の壁が消え、辺りはファイヤーウォールにより、焼け焦げた地面がまるで模様のように残っていた。
「なるほど、ちょっと思い付いたことやってみて良いですか?」
サビオのファイヤーウォールの魔法を見終わった尊流がサビオにそう尋ねた。
「ほっほっほ。構わんぞい、色々試して見ると良いの。」
サビオにそう言われ尊流は先程思い付いたことを試すために、先程サビオがファイヤーウォールを出した場所を見つめた。
「・・・・・」
少しの沈黙が有ったのち、突如炎の壁が出来上がったかと思うと、壁は高さを保ったままどんどん延びていき、徐々に円形になって行った。そして炎の円が完成すると、次に炎の円は徐々に円を小さくなって行き、最後には太い炎の柱となった。
炎の柱が出来上がると、尊流は何かを考えているようで、顎に手をあてていた。
「このまま試したい事が有るんで、少し離します。」
そういうと、炎の柱は徐々にまた円形になっていき、尊流とサビオから離れた位置へと移動していった。その後十分に離れたのか、尊流は炎の円の少し上に水球を出現させた、そして円の中に水球を移動させると炎の円をまた縮ませ、炎の柱へと変化させた。
「タケル殿、あれは何をしておるのかの?」
尊流のしている事の意味が判らなかったサビオは、どういう事か尊流に聞いてきた。すると尊流はが首を傾げながら答えた。
「成功するかどうか分かりませんが、水は温度が上がると体積が増えるんですよ、そして更に熱すると蒸発して水蒸気になるんです、その体積は水の時と比べておよそ1700倍、そして圧力が溜まった時に解放するか、圧を掛けているものが耐えられなくなった時、行きますよ。」
そう尊流が言うと、炎の柱は轟音と共に大爆発を起こした。
爆風は尊流とサビオをも巻き込む威力であったが、尊流が予め出しておいたエアーウォールにより、被害は一切無かった。
そしてサビオが驚いて尊流に問いただした。
「な、なんなのかの!今のは!」
「水蒸気爆発を作ってみたんですよ。」
「す、水蒸気爆発?水蒸気が爆発したのかの?」
サビオが驚いて尊流に聞くと、尊流は首を傾げながら答えた。
「んん~。何て説明すれば良いですかね、さっき言った通りなんですが、とにかく水蒸気が急激に膨張した結果爆発のようになったって事ですね。」
尊流の説明を聞いて、暫く考えていたサビオであったが、ポンと手を叩き、尊流の方を見て言った。
「成る程、そういう事たんだの、それにしてもタケル殿はそんな事も知ってるとはの、大賢者の名に恥じぬ博識だの。ワシも勉強になったわいの。」
そう言ってサビオは髭を触りながらウンウンと頷いていた。それを見て尊流は思った。
「あの説明で解ったんだ・・・まあ、大賢者って言う位だから、実験とかで失敗して爆発させた事でも有ったんだろうな。」
するとウンウン頷いていたサビオがこちらを見た。
「ん?何か言ったかの?」
慌てて尊流は胸の前で手をひらひらとさせた。
「いえ、何でも無いですよ、すぐに理解できたサビオさんは凄いなと思って。」
そう言って尊流は誤魔化した。
「このくだり何度目だろ・・・」
するとサビオは目を細め、少し顔を綻ばせ、髭を触りながら口を開き話始めた。
「ほっほっほっ。タケル殿、もう少し魔法の練習をしようかの、そうだの、今度は上級魔法のストーム系でもやろうかの。」
サビオがそう言うと尊流は目を輝かせ、興奮した様子でサビオに問いかけた。
「サビオさん、ストーム系って暴風って事ですよね、何だか強力そうな魔法ですね、一体どんな魔法なんですか?ちょっとイメージしづらくて。」
尊流の様子を見たサビオはいっそう目を細め、声高に笑いながら尊流に話し始めた。
「ほーっほっほっ。尊流殿は魔法が好きなんじゃのう、目が輝いておるの。さて、そろそろワシの実力を見せてやるとするかの。では行くからの。」
そう言うとサビオはアイテムボックスから杖を取り出し、目を見開き、杖をスッと差し出した。すると100m程先で1本の火柱が上がった、そして火柱は徐々に渦を巻き始め、徐々に高さを増していき、やがて大きな炎の竜巻となった、そしてその周りでは火柱が幾つも上がり、同じように炎の竜巻へとなっていき、やがてそこには十数本の炎の竜巻が立ち並んでいた。
炎の竜巻が周囲の物を次々に巻き上げ、焼き尽くしていった、そして炎の竜巻の間では灼熱の炎によって熱せられた空気が熱く、暴風となって吹き荒れていた、やがて暴風は炎そのものとなり、炎の暴風となり、周囲を焼き尽くしていった。
100m程離れた尊流とサビオの元にも周囲を焦がす程の熱風が押し寄せたが、サビオの張った結界で二人は熱を感じる事は無かった。
サビオが杖を下げると、炎の竜巻は瞬く間に消え去った、そしてその周囲は炎の竜巻と、炎の暴風によって全てを焼かれ、焼けただれた大地のみとなり、辺りは荒野と化していた。
サビオが炎の竜巻を消し、結界を解除すると、さっきより興奮した尊流がサビオに問いかけた。
「サビオさん、凄いです!本当想像以上でした。それにあの杖は何ですか?初めて会った時も持っていましたよね?あれから持ってませんでしたが、魔法の杖なんですか?あと、あの結界はも凄いですね、熱風で周囲の草は焦げてるのに、全然熱くなかったです。」
興奮して一気に捲し立てる尊流に、サビオは杖を渡して、1つずつ話し始めた。
「ほーっほっほっ。その杖の事を知りたいのかの。」
「ええ、どんな杖なんですか?魔法使いが使うような杖ですけど。」
「その杖はの。」
そう言ってサビオは髭を触りながらニヤニヤしていた。
「ほほ、その杖はの。ただの木の杖だの。」
「え?」
「だからの、ただの木の杖なんだの、元々ワシは魔法を使うのに杖や道具は必要無いんだがの、旅に出る時は魔法使いだと判りやすくする為に持ち歩いておったんだの。」
若干のフリーズから復帰した尊流が聞き返した。
「え、でもさっき杖を使って魔法を放ってましたよね?」
するとサビオが声高に笑って答えた。
「ほーっほっほっ。アレはの、ちょっと格好イイ所を見せようと思っての。で、どうだったかの、大賢者らしかったじゃろ。ほーっほっほっほ。」
その時尊流はほんの少しだけ殺意を覚えた。
「ほっほっほっ。タケルどの、そう怒らんで欲しいの、魔法はすごかったじゃろ?」
尊流はため息を付いて、サビオの方を見た。
「ハア・・・確かに魔法は凄かったですね、特大の範囲魔法って事ですか?それに怒ってはいませんよ、でもあの杖がただの木の杖って事の方ががガッカリです。」
「ほーっほっほっほ。そんな所はやはり子供なのかのう。ほーっほっほっ」
その後二人のそんなやり取りは暫く続いた。
「ほっほっほっ。タケル殿、これは素晴らしい場所だの、景色も良いしの、適度に有る岩山にの、草原も有るしの、あれは大きな池かの。素晴らしいイメージ力だの。」
尊流のイメージしたのは、7つの玉を集める漫画の戦闘シーンで良く出てくるような場所だった、強くイメージしたのは、緑の肌をした種族が住んでいた今は無き星であった。
「戦闘にはもってこいの場所をイメージしたんですよ。」(ドカンドカンとするならやっぱり此処だよね!)
尊流は小さくガッツポーズをしていた。
サビオは辺りをゆっくりと見回し、満足したように頷いていた。
「ほっほっほっ。そうだの、魔法の練習や、戦闘に適しているの、ここなら模擬戦も様々な事が出来るだろうの。」
「模擬戦ですか。やるんですか?」
サビオの模擬戦という言葉を聞いて、模擬戦をするのかと、尊流は少し怯えていた。
「ほっほっほっ。ワシと尊流が戦ったら魔法の威力が強すぎてどちらかが死んでしまうわいの。」
そう言ってサビオは髭を触りながら笑っていた。
「そうですか、安心しました、けど、もし模擬戦をやったとしたら、殺す位強力なのを使うつもりなんですね。」
そう言って尊流はサビオを少しジト目で見つめていると、視線に気付いたのか、サビオが誤解を解くかのように話始めた。
「ほっほっほ。そんな事はせんよ、しかし魔法は本人にその気が無くてもの、そう言った事になる可能性が有るからの、それだけ魔法は制御が難しく、強力だと言う事だの。」
サビオは髭を握り締めながら、そう言って、次に少し離れた所に有る、大きな岩が点在している場所を指差した。
「先ずはワシがやってみせるからの。ファイヤーボールとは違う初級魔法からが良いかの。」
そう言ってサビオは先程指し示した岩が点在する場所を見つめた。
すると、数種類の属性の大人の握り拳大で、アーモンドのような形をした物が、発射されたと言う表現が似合う速度で岩に向かって飛んで行った。
「お、おお~。バレット系ですか?凄い、穴が空いて向こうが見えますね。」
サビオが放った魔法は、岩に当たると、弾ける事無く、そのまま岩を抉り貫通して、岩の後ろの地面に穴を開けていた。
「ほっほっほ。タケル殿が言った通りバレット系の魔法だの、ファイヤーボール等は小さいが範囲魔法になるんだがの、これは特定の対象のみを攻撃出来るん魔法だの、タケル殿のように遠隔操作が出来れば百発百中だの、それに威力の調整がしやすいのも特徴かの。」
サビオは髭を触りながら魔法の解説をしていた、そして尊流は顎を触りながら話を聞いてウンウンと頷いていた。
「さて、タケル殿、やって見ようかの。属性は複数での。」
尊流は言われた通り、複数のバレットの魔法を作り出し、岩に向け発射した。
「ほっほっほ。流石タケル殿だの、バレット系では簡単過ぎたかの、もう一度だけ、今度は威力を押さえて放ってみてくれるかの」
尊流は自らの魔法により、岩に空いた穴を確認すると、今度は先程よりも少し小さいバレットを作り出し、発射した。
尊流の放った魔法は、それぞれが岩を抉り、岩の中程まで穴を開けて消えていた。
「ほっほっほ。やはり簡単過ぎたの。では今度は中級魔法のウォール系をやってみるかの、この系統の魔法はの、属性の壁を作り出してその魔法で攻撃を防いだりそのまま攻撃として使うことも出来る優れものなんだの、運用次第で幅広い戦術が組み立てられるからの、多様な使い方を覚えておいて損は無いの。ではファイヤーウォールをあそこら辺に出すからの。」
サビオが言い終わるやいなや、サビオが指し示した場所に、幅5m、高さ3m程の炎の壁が出来上がった。
「こんな感じだの、大きさや高さはかなり自由に調整出来るんだがの、大きければそれだけ魔力を消費するんだがの、タケル殿は平気だろうの。ではちと色々やってみるぞい。」
そう言うと炎の壁が幅10m高さ5mの壁に変化した、サビオを見ると涼しい顔をして、髭を触りながら炎の壁を見つめているだけのように見えた。
すると、こんどはその炎の壁が移動し始めた、様々な大きさに変化しながら、周囲を動き回ったのち、フッと炎の壁が消え、辺りはファイヤーウォールにより、焼け焦げた地面がまるで模様のように残っていた。
「なるほど、ちょっと思い付いたことやってみて良いですか?」
サビオのファイヤーウォールの魔法を見終わった尊流がサビオにそう尋ねた。
「ほっほっほ。構わんぞい、色々試して見ると良いの。」
サビオにそう言われ尊流は先程思い付いたことを試すために、先程サビオがファイヤーウォールを出した場所を見つめた。
「・・・・・」
少しの沈黙が有ったのち、突如炎の壁が出来上がったかと思うと、壁は高さを保ったままどんどん延びていき、徐々に円形になって行った。そして炎の円が完成すると、次に炎の円は徐々に円を小さくなって行き、最後には太い炎の柱となった。
炎の柱が出来上がると、尊流は何かを考えているようで、顎に手をあてていた。
「このまま試したい事が有るんで、少し離します。」
そういうと、炎の柱は徐々にまた円形になっていき、尊流とサビオから離れた位置へと移動していった。その後十分に離れたのか、尊流は炎の円の少し上に水球を出現させた、そして円の中に水球を移動させると炎の円をまた縮ませ、炎の柱へと変化させた。
「タケル殿、あれは何をしておるのかの?」
尊流のしている事の意味が判らなかったサビオは、どういう事か尊流に聞いてきた。すると尊流はが首を傾げながら答えた。
「成功するかどうか分かりませんが、水は温度が上がると体積が増えるんですよ、そして更に熱すると蒸発して水蒸気になるんです、その体積は水の時と比べておよそ1700倍、そして圧力が溜まった時に解放するか、圧を掛けているものが耐えられなくなった時、行きますよ。」
そう尊流が言うと、炎の柱は轟音と共に大爆発を起こした。
爆風は尊流とサビオをも巻き込む威力であったが、尊流が予め出しておいたエアーウォールにより、被害は一切無かった。
そしてサビオが驚いて尊流に問いただした。
「な、なんなのかの!今のは!」
「水蒸気爆発を作ってみたんですよ。」
「す、水蒸気爆発?水蒸気が爆発したのかの?」
サビオが驚いて尊流に聞くと、尊流は首を傾げながら答えた。
「んん~。何て説明すれば良いですかね、さっき言った通りなんですが、とにかく水蒸気が急激に膨張した結果爆発のようになったって事ですね。」
尊流の説明を聞いて、暫く考えていたサビオであったが、ポンと手を叩き、尊流の方を見て言った。
「成る程、そういう事たんだの、それにしてもタケル殿はそんな事も知ってるとはの、大賢者の名に恥じぬ博識だの。ワシも勉強になったわいの。」
そう言ってサビオは髭を触りながらウンウンと頷いていた。それを見て尊流は思った。
「あの説明で解ったんだ・・・まあ、大賢者って言う位だから、実験とかで失敗して爆発させた事でも有ったんだろうな。」
するとウンウン頷いていたサビオがこちらを見た。
「ん?何か言ったかの?」
慌てて尊流は胸の前で手をひらひらとさせた。
「いえ、何でも無いですよ、すぐに理解できたサビオさんは凄いなと思って。」
そう言って尊流は誤魔化した。
「このくだり何度目だろ・・・」
するとサビオは目を細め、少し顔を綻ばせ、髭を触りながら口を開き話始めた。
「ほっほっほっ。タケル殿、もう少し魔法の練習をしようかの、そうだの、今度は上級魔法のストーム系でもやろうかの。」
サビオがそう言うと尊流は目を輝かせ、興奮した様子でサビオに問いかけた。
「サビオさん、ストーム系って暴風って事ですよね、何だか強力そうな魔法ですね、一体どんな魔法なんですか?ちょっとイメージしづらくて。」
尊流の様子を見たサビオはいっそう目を細め、声高に笑いながら尊流に話し始めた。
「ほーっほっほっ。尊流殿は魔法が好きなんじゃのう、目が輝いておるの。さて、そろそろワシの実力を見せてやるとするかの。では行くからの。」
そう言うとサビオはアイテムボックスから杖を取り出し、目を見開き、杖をスッと差し出した。すると100m程先で1本の火柱が上がった、そして火柱は徐々に渦を巻き始め、徐々に高さを増していき、やがて大きな炎の竜巻となった、そしてその周りでは火柱が幾つも上がり、同じように炎の竜巻へとなっていき、やがてそこには十数本の炎の竜巻が立ち並んでいた。
炎の竜巻が周囲の物を次々に巻き上げ、焼き尽くしていった、そして炎の竜巻の間では灼熱の炎によって熱せられた空気が熱く、暴風となって吹き荒れていた、やがて暴風は炎そのものとなり、炎の暴風となり、周囲を焼き尽くしていった。
100m程離れた尊流とサビオの元にも周囲を焦がす程の熱風が押し寄せたが、サビオの張った結界で二人は熱を感じる事は無かった。
サビオが杖を下げると、炎の竜巻は瞬く間に消え去った、そしてその周囲は炎の竜巻と、炎の暴風によって全てを焼かれ、焼けただれた大地のみとなり、辺りは荒野と化していた。
サビオが炎の竜巻を消し、結界を解除すると、さっきより興奮した尊流がサビオに問いかけた。
「サビオさん、凄いです!本当想像以上でした。それにあの杖は何ですか?初めて会った時も持っていましたよね?あれから持ってませんでしたが、魔法の杖なんですか?あと、あの結界はも凄いですね、熱風で周囲の草は焦げてるのに、全然熱くなかったです。」
興奮して一気に捲し立てる尊流に、サビオは杖を渡して、1つずつ話し始めた。
「ほーっほっほっ。その杖の事を知りたいのかの。」
「ええ、どんな杖なんですか?魔法使いが使うような杖ですけど。」
「その杖はの。」
そう言ってサビオは髭を触りながらニヤニヤしていた。
「ほほ、その杖はの。ただの木の杖だの。」
「え?」
「だからの、ただの木の杖なんだの、元々ワシは魔法を使うのに杖や道具は必要無いんだがの、旅に出る時は魔法使いだと判りやすくする為に持ち歩いておったんだの。」
若干のフリーズから復帰した尊流が聞き返した。
「え、でもさっき杖を使って魔法を放ってましたよね?」
するとサビオが声高に笑って答えた。
「ほーっほっほっ。アレはの、ちょっと格好イイ所を見せようと思っての。で、どうだったかの、大賢者らしかったじゃろ。ほーっほっほっほ。」
その時尊流はほんの少しだけ殺意を覚えた。
「ほっほっほっ。タケルどの、そう怒らんで欲しいの、魔法はすごかったじゃろ?」
尊流はため息を付いて、サビオの方を見た。
「ハア・・・確かに魔法は凄かったですね、特大の範囲魔法って事ですか?それに怒ってはいませんよ、でもあの杖がただの木の杖って事の方ががガッカリです。」
「ほーっほっほっほ。そんな所はやはり子供なのかのう。ほーっほっほっ」
その後二人のそんなやり取りは暫く続いた。
2
お気に入りに追加
3,420
あなたにおすすめの小説
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる