上 下
7 / 155
1章 転生~幼年期

5話 英雄と王様

しおりを挟む
地球でもかつては魔法が使えたと知り、驚き興奮する尊流、それと同時に今は使えない事に少し残念な気持ちでいた。
すると女神が新たに驚愕の事実を告げてきた。

「うふふふ、尊流さん、魂の格が上がった事よりも、魔法が使えなくて残念という感じですね。でも尊流さん、貴方は二回前の前世までは魔法を使えて居たんですよ。」
「ええ!そうなんですか!!!」

興奮して女神に聞き返すと、女神が話を続けた。

「ええ、それはそれは大変強力な魔法を使って居ましたね、それだけで無くとても強い力もお持ちでした、それらの力を使い貴方は様々な世界で英雄や、勇者として活躍していましたよ、時には世界をまとめた王にもなっていましたね。」

「俺が王や英雄…」

流石にピンと来ない、尊流が女神に聞く、

「そんな事言われてもピンと来ないですよ、魔法なんか使えないし、力はそれなりだし、お金持ちって訳でもないし。」

「地球では魔法は使えませんからね、特別な力もかなり制限されてしまいますしね。しかし尊流さん、少しは心当たりが有るんじゃないですか?貴方は初めての事でも何でもそこそこ出来て、色々な技術をお持ちではないですか、それは前世の【スキル】の影響なんですよ、と言ってもその名残り程度では有りますけどね。」

そう女神に言われてそういえばと、少しだけ思考をめぐらす尊流。

「確かに何でもそこそこ出来たな、俺。勿論その道のプロには及ばないから、只の器用貧乏だと思っていたが、スキルってやつの名残りだったのか…」

自分は何でもそこそこ出来た事に少しだけ納得した尊流。そこで、ふとある事を思い女神に聞いた。
「スキルって個々の技術って事ですか?」

女神は尊流の問いに対し、変わらず続けている微笑みのまま答えた。

「そうですね、間違っては居ませんが、【スキル】とは、もっと特殊な物です、地球で技術を身に付けるには、長い年月が必要ですよね、しかし尊流さんが前世で身に付けていた【スキル】は、それさえ有れば、その技術が身に付くといった特徴も有ります。勿論、修練によって【スキル】を身に付ける事も可能です。」
「成る程、神のみでなく、若い神々の世界も地球の常識は当てはまらないのですね、まるでゲームや小説の世界のように感じます。たまに読むラノベの異世界って感じですね。」

大分色々な事を理解し始め、落ち着いて来た尊流であった。

「そうですね、我々の世界から地球へ転生した者が、魂の記憶により無意識に前世の世界を想像として描いた物が多いですからね。」

まさかラノベのような事が現実に起きて居たとはまたしても尊流は驚いた、しかしどこかワクワクもしていた。

「そんな事が現実に有るなんて、何だかワクワクしますね、あ、でも記憶に無いけど俺も沢山転生してるんですよね?」

前世のスキルの名残で何でも出来るという事で、何となくは感じて居たが、ここに来てようやく自分も転生者なんだと思い始めた尊流。

「ええ、そうですよ、先程も言いましたが、尊流さんは100回程転生しています。」

改めて女神にそう聞いて、尊流あることを思い、女神に聞いてみた。

「転生や前世の記憶は無いんですが、今まではどうだっんですか?また転生するんですか?その時はまた記憶が無くなるんですか?」

その問いに対し女神は

「ええ、また転生してもらいます、しかし今回は純粋に転生は出来ません、尊流さんの魂の格が上がり、我々の世界の赤子の体では耐えられないのです、ですから今回は転生と転移の中間として、五歳児位で転生して貰う事になります。」

五歳児で転生と聞いて尊流は戸惑った

「理由は判りましたが、五歳児って…いきなり五歳児で行って生きて行けるんですか?それに親は居ないんですか?」

尊流の戸惑いや不安に対する問いに女神がこたえ始めた。

「本来はあちらの世界の両親の元に生まれて、赤子から育てばその世界に馴染みやすいので一番良いのですが、先程の理由で五歳児がギリギリのラインなのです。ですが安心してください、あちらの世界に神託をおろしておきます、それと私からの加護を付けておきます、魔法やスキルは最初は使えませんが、前世にて全ての適性は獲得してるので、それは引き継げます。スキルについては私の加護による付与の他に、最高神から預かったスキルを与えます。」

何だかラノベのような展開になり、またワクワクしてきた尊流、そのスキルについて聞いてみる事にした。

「少し安心しました、それで最高神から貰えるスキルってどんなスキルなんですか?」
すると今までは優しく微笑んでいた女神がイタズラっぽく笑みになり、言って来た。

「尊流さん、そこは前世の時と一緒なんですね、転生の不安よりもスキルの事が気になるなんて、地球のラノベ等の文化の事も有り、今までで一番興味津々ですね、わかりました、貴方が今心の奥で望んでいる言い方で教えて差し上げます。」

随分勿体つけられたが、どんなスキルかと固唾を飲んで女神の話を聞く尊流。
そして女神が言った。

「尊流さん、貴方に授ける最高神から貰ったスキルは、ユニークスキル【トレース】です、いわゆるチートスキルです。」

(来たーー!!!)尊流は心の中で叫んだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~

星天
ファンタジー
 幼馴染を庇って死んでしまった翔。でも、それは神様のミスだった!  創造神という女の子から交渉を受ける。そして、二つの【特殊技能】を貰って、異世界に飛び立つ。  『創り出す力』と『奪う力』を持って、異世界で技能を奪って、どんどん強くなっていく  はたして、翔は異世界でうまくやっていけるのだろうか!!!

成長チートと全能神

ハーフ
ファンタジー
居眠り運転の車から20人の命を救った主人公,神代弘樹は実は全能神と魂が一緒だった。人々の命を救った彼は全能神の弟の全智神に成長チートをもらって伯爵の3男として転生する。成長チートと努力と知識と加護で最速で進化し無双する。 戦い、商業、政治、全てで彼は無双する!! ____________________________ 質問、誤字脱字など感想で教えてくださると嬉しいです。

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

処理中です...