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死亡率50パーセント
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やっと自室にたどり着いたミラルカはリラにお茶の用意をしてもらっていた。
「さてと、何処から取り掛かろうか……」
一番気になるのはこの世界があの小説の中の世界なのかという事だが、それは一人でじっくり考えたほうがいい。
※ 末尾に数行書き足しました。
~~~~~~~~~~
差し当たっては、家族構成を確認するべきだろう。
「リラ、さっき廊下で会ったのは誰だったのかしら?」
「第六王女様のアンナロッテ様です。お歳は十七歳でございます」
「ふーん。ねえリラ、この紙に私の家系図を書いて欲しいのだけど」
「家系図…?でございますか」
「うん。第八王女の私の家族構成を知りたいの」
ミラルカが知っているのは自分が王の十三番目の子で第八王女という立場のみ。
姉妹兄弟の名前すらほとんど知らない。
確か現王には六人の妃がいたはずなので、其々の実家の爵位も添えて書き上げてもらった。
「私の兄上や姉上の十二人のうち存命の方は六人なのですか?」
十二人中六人死亡というのは多いように思うが、この世界では平均的なのかとミラルカは疑問を抱く。
「はい…皆様お小さい頃に、ご病気で身罷られてしまいました」
「そう……他の家でもそうなのかしら?」
「他の家でございますか?」
「ええ。王宮という所は一番手厚い治療がされる所だと思うの。なのにこんなに死亡率が高いってことはこの世界…いえ、この国では子供は育ち難いのかしら?」
「……そういえば、高位貴族のお子様ほど育ち難いと言われますわ。おそらく、魔力が多すぎて幼い身体が耐えられないのだろうと言われていますが」
「魔力が多いせいなの?」
「はい。そう言われております」
ミラルカは、何か引っかかるものを感じ、書き上げてもらった家系図を見ながら頭を捻る。
亡くなった六人のうち一妃の子が二人、二妃の子が一人、三妃の子が二人、五妃の子が一人。
一妃二妃三妃は、其々公爵家、侯爵家の令嬢達だ。
「…高位貴族の家では近親婚が多いのではない?魔力の多い血筋を得ようとして」
「さようでございますね。尊い血を保つ事を第一にお考えのように思います」
「…もしかして、お妃様たちは王家と近い親戚?」
「皆様ではありませんが、一妃様は陛下の従姉妹様ですし、二妃様ははとこ様、三妃様も四妃様も三代前頃に王家から降嫁された王女様のお血筋です」
リラの答えにミラルカは一つの仮説に思い至った。
『幾ら何でも死亡率50パーセントは高すぎるよ。魔力に身体が持たないっていうより近親婚の弊害じゃないの?』
「王家と四公爵家は建国の始祖の御血筋ですから、特に婚姻による血統は大事にされていますね」
近親婚がもたらす弊害は前世の日本ではよく知られてる事だが、この世界ではあまり知られていないようだ。
純血種のために繰り返されたと思われるが、近い血筋である高位貴族の妃との子供が多く亡くなっている点からも推測される。ましてや高位貴族でも子供が育ち難いとなれば。
『ペットだって血統ばかり重要視して交配させると虚弱体質や先天的な障害が出やすくなるって言われてるし。だから雑種の良さを見直されて、デザイナーズドッグとかがはやってたよね』
前世の知識で推察するに
『この王家、詰んでるんじゃない?』
どう考えても先細り(既に大分細くなっているが)の未来しか見えない。
『まぁ、私が心配する事じゃ無いな。関係無いし』
ミラルカはいつまでもこんな所に居るつもりは無い。
知識と生きる術を身につけたらさっさと出て行く予定だ。
「さてと、何処から取り掛かろうか……」
一番気になるのはこの世界があの小説の中の世界なのかという事だが、それは一人でじっくり考えたほうがいい。
※ 末尾に数行書き足しました。
~~~~~~~~~~
差し当たっては、家族構成を確認するべきだろう。
「リラ、さっき廊下で会ったのは誰だったのかしら?」
「第六王女様のアンナロッテ様です。お歳は十七歳でございます」
「ふーん。ねえリラ、この紙に私の家系図を書いて欲しいのだけど」
「家系図…?でございますか」
「うん。第八王女の私の家族構成を知りたいの」
ミラルカが知っているのは自分が王の十三番目の子で第八王女という立場のみ。
姉妹兄弟の名前すらほとんど知らない。
確か現王には六人の妃がいたはずなので、其々の実家の爵位も添えて書き上げてもらった。
「私の兄上や姉上の十二人のうち存命の方は六人なのですか?」
十二人中六人死亡というのは多いように思うが、この世界では平均的なのかとミラルカは疑問を抱く。
「はい…皆様お小さい頃に、ご病気で身罷られてしまいました」
「そう……他の家でもそうなのかしら?」
「他の家でございますか?」
「ええ。王宮という所は一番手厚い治療がされる所だと思うの。なのにこんなに死亡率が高いってことはこの世界…いえ、この国では子供は育ち難いのかしら?」
「……そういえば、高位貴族のお子様ほど育ち難いと言われますわ。おそらく、魔力が多すぎて幼い身体が耐えられないのだろうと言われていますが」
「魔力が多いせいなの?」
「はい。そう言われております」
ミラルカは、何か引っかかるものを感じ、書き上げてもらった家系図を見ながら頭を捻る。
亡くなった六人のうち一妃の子が二人、二妃の子が一人、三妃の子が二人、五妃の子が一人。
一妃二妃三妃は、其々公爵家、侯爵家の令嬢達だ。
「…高位貴族の家では近親婚が多いのではない?魔力の多い血筋を得ようとして」
「さようでございますね。尊い血を保つ事を第一にお考えのように思います」
「…もしかして、お妃様たちは王家と近い親戚?」
「皆様ではありませんが、一妃様は陛下の従姉妹様ですし、二妃様ははとこ様、三妃様も四妃様も三代前頃に王家から降嫁された王女様のお血筋です」
リラの答えにミラルカは一つの仮説に思い至った。
『幾ら何でも死亡率50パーセントは高すぎるよ。魔力に身体が持たないっていうより近親婚の弊害じゃないの?』
「王家と四公爵家は建国の始祖の御血筋ですから、特に婚姻による血統は大事にされていますね」
近親婚がもたらす弊害は前世の日本ではよく知られてる事だが、この世界ではあまり知られていないようだ。
純血種のために繰り返されたと思われるが、近い血筋である高位貴族の妃との子供が多く亡くなっている点からも推測される。ましてや高位貴族でも子供が育ち難いとなれば。
『ペットだって血統ばかり重要視して交配させると虚弱体質や先天的な障害が出やすくなるって言われてるし。だから雑種の良さを見直されて、デザイナーズドッグとかがはやってたよね』
前世の知識で推察するに
『この王家、詰んでるんじゃない?』
どう考えても先細り(既に大分細くなっているが)の未来しか見えない。
『まぁ、私が心配する事じゃ無いな。関係無いし』
ミラルカはいつまでもこんな所に居るつもりは無い。
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