あの物語の続きを知りたい!

火輪

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遭遇 3

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『あ~やってしまった~。目立たずにひっそり生活するつもりだったのに』

リラを伴い自室を目指すミラルカは少しばかり後悔していた。

『でも やられっぱなしは私の性に合わないのよね。あと言いたい事ははっきり言わないと』

前世三人姉弟の真ん中だったミラルカ(紫)はちゃんと自己主張しなければ姉と弟に埋没してしまうということを結構早いうちに理解していた。
特に弟とは年子で どうしても末っ子長男に目が行きがちなのだ。
ボーッとしてたらオヤツも食いっぱぐれてしまうのだ。
姉のおっとりした性格と弟のちゃっかりした性格。
姉弟喧嘩は良くしたけど三人仲は良かった。

そんな事を思い出していたらささくれていた心が幾分軽くなりミラルカの口元にはかすかに笑みが浮かんだ。

「…ミラルカ様?」

「ちょっと思い出し笑い」

「ミラルカ様、少し言いすぎでしたわ」

「反省してます。後悔もちょっぴり」

「ちょっぴりですか?」

「はい。目立たないよう静かにしていてもさっきのように絡まれます。
……ひっそり隠れて人目につかないようにしていても結局、殺されました」

ミラルカは母とひっそり離れで生活していたのだ。人との交流も最低限で。
だが、息を潜めるように暮らしていても結局は暗殺されたのだ。
もう、不必要な我慢をするつもりはミラルカには無かった。

「ですが…危険です」
リラの心配も理解できる。

「生きるためだけに全てを我慢して感情を抑えて暮らすのは嫌なんです。そんなの楽しくない。母様に助けていただいたのに死んでるのと変わらない生活はイヤです。母様は『どうか幸せに』って仰いました。だから悔いのないように生きたいのです」

「ミラルカ様……」

「大丈夫です。私から何かを仕掛けたりはしませんし、毎回応戦したりはしませんよ。流石にそこまで喧嘩早い性格じゃありません」

まだ心配そうに見つめるリラに明るく話すミラルカだった。



部屋に向かう途中の庭で午後の茶を楽しんでいる二妃の姿があった。

何か言われるかと身構えたミラルカだったが、視線を向けられることもなく無視されたのだった。

『完全なるスルーですか、ばあちゃん。ま、どうでもいいけど』

転生して七年。もしかしたら一番多く人に会った日かもしれなかった。



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