26 / 31
遭遇 3
しおりを挟む
『あ~やってしまった~。目立たずにひっそり生活するつもりだったのに』
リラを伴い自室を目指すミラルカは少しばかり後悔していた。
『でも やられっぱなしは私の性に合わないのよね。あと言いたい事ははっきり言わないと』
前世三人姉弟の真ん中だったミラルカ(紫)はちゃんと自己主張しなければ姉と弟に埋没してしまうということを結構早いうちに理解していた。
特に弟とは年子で どうしても末っ子長男に目が行きがちなのだ。
ボーッとしてたらオヤツも食いっぱぐれてしまうのだ。
姉のおっとりした性格と弟のちゃっかりした性格。
姉弟喧嘩は良くしたけど三人仲は良かった。
そんな事を思い出していたらささくれていた心が幾分軽くなりミラルカの口元にはかすかに笑みが浮かんだ。
「…ミラルカ様?」
「ちょっと思い出し笑い」
「ミラルカ様、少し言いすぎでしたわ」
「反省してます。後悔もちょっぴり」
「ちょっぴりですか?」
「はい。目立たないよう静かにしていてもさっきのように絡まれます。
……ひっそり隠れて人目につかないようにしていても結局、殺されました」
ミラルカは母とひっそり離れで生活していたのだ。人との交流も最低限で。
だが、息を潜めるように暮らしていても結局は暗殺されたのだ。
もう、不必要な我慢をするつもりはミラルカには無かった。
「ですが…危険です」
リラの心配も理解できる。
「生きるためだけに全てを我慢して感情を抑えて暮らすのは嫌なんです。そんなの楽しくない。母様に助けていただいたのに死んでるのと変わらない生活はイヤです。母様は『どうか幸せに』って仰いました。だから悔いのないように生きたいのです」
「ミラルカ様……」
「大丈夫です。私から何かを仕掛けたりはしませんし、毎回応戦したりはしませんよ。流石にそこまで喧嘩早い性格じゃありません」
まだ心配そうに見つめるリラに明るく話すミラルカだった。
部屋に向かう途中の庭で午後の茶を楽しんでいる二妃の姿があった。
何か言われるかと身構えたミラルカだったが、視線を向けられることもなく無視されたのだった。
『完全なるスルーですか、ばあちゃん。ま、どうでもいいけど』
転生して七年。もしかしたら一番多く人に会った日かもしれなかった。
リラを伴い自室を目指すミラルカは少しばかり後悔していた。
『でも やられっぱなしは私の性に合わないのよね。あと言いたい事ははっきり言わないと』
前世三人姉弟の真ん中だったミラルカ(紫)はちゃんと自己主張しなければ姉と弟に埋没してしまうということを結構早いうちに理解していた。
特に弟とは年子で どうしても末っ子長男に目が行きがちなのだ。
ボーッとしてたらオヤツも食いっぱぐれてしまうのだ。
姉のおっとりした性格と弟のちゃっかりした性格。
姉弟喧嘩は良くしたけど三人仲は良かった。
そんな事を思い出していたらささくれていた心が幾分軽くなりミラルカの口元にはかすかに笑みが浮かんだ。
「…ミラルカ様?」
「ちょっと思い出し笑い」
「ミラルカ様、少し言いすぎでしたわ」
「反省してます。後悔もちょっぴり」
「ちょっぴりですか?」
「はい。目立たないよう静かにしていてもさっきのように絡まれます。
……ひっそり隠れて人目につかないようにしていても結局、殺されました」
ミラルカは母とひっそり離れで生活していたのだ。人との交流も最低限で。
だが、息を潜めるように暮らしていても結局は暗殺されたのだ。
もう、不必要な我慢をするつもりはミラルカには無かった。
「ですが…危険です」
リラの心配も理解できる。
「生きるためだけに全てを我慢して感情を抑えて暮らすのは嫌なんです。そんなの楽しくない。母様に助けていただいたのに死んでるのと変わらない生活はイヤです。母様は『どうか幸せに』って仰いました。だから悔いのないように生きたいのです」
「ミラルカ様……」
「大丈夫です。私から何かを仕掛けたりはしませんし、毎回応戦したりはしませんよ。流石にそこまで喧嘩早い性格じゃありません」
まだ心配そうに見つめるリラに明るく話すミラルカだった。
部屋に向かう途中の庭で午後の茶を楽しんでいる二妃の姿があった。
何か言われるかと身構えたミラルカだったが、視線を向けられることもなく無視されたのだった。
『完全なるスルーですか、ばあちゃん。ま、どうでもいいけど』
転生して七年。もしかしたら一番多く人に会った日かもしれなかった。
0
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
RESET WORLD
ききょう
ファンタジー
このサイト初投稿です!
よろしくお願いします(*ˊ˘ˋ*)♡
毎日更新予定!(大学受かってたら)
雷に打たれて亡くなった涙。
その原因は雷神だった。
お詫びに異世界に転生した涙は一体どうなるのか。
奇跡の確率
カザハナ
ファンタジー
僕の名前はコーディエ=コーズ。
職業は配達人で年齢は21…なんだけど童顔のせいか身長のせいか子供に間違えられます。おかげで僕の顔と等級を知らない支部だと見習い終了したばっかの下級と勘違いされる日々。僕、これでも特級と呼ばれる金なんだけどなぁ(遠い目)
あと、性別は女だよ。ショートだし僕呼びだから間違われるけど隠してないからね!ほとんどの人が気付かないだけで!!
そんな僕と、魔物に間違われ怪我を負わされた瑠璃の猫の姿をしたクリスとの出会いと恋の物語。
※一話が大体1000文字前後です。
※ファンタジー小説大賞で登録してます!投票宜しくお願いします!!
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる