あの物語の続きを知りたい!

火輪

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プロローグ

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早く家に帰ろう!
家に着いたら早速読まなくちゃ!
アルバイトを終えた|青柳 紫(あおやぎ ゆかり)は家路を急いでいた。

今、紫がハマっている小説《蒼き月に黄金の翼》の第三巻を手に入れウキウキとした足取りで家に向かっていた。
発売予定日は十日前だったのだが なかなか出なくて、今日やっと店頭に並んだのだ。
早く読みたくて注意力散漫になっていたが、信号は間違いなく青なのを確認してから車道に出た。
横断歩道を渡っていた紫に赤いスポーツタイプの車が突っ込んできた。
紫の目にスローモーションで迫って来る車と運転手の顔がよく見えた。直前まで助手席の女の子と笑い合っていた運転手が紫に気がついて「ヤベェ!」って口が動いてたのまで、はっきり見えた。さらに助手席の彼女が運転手にしがみ付いているのも。
紫の身体が衝撃とともに宙に浮いて、結構な距離を跳ね飛ばされて地面に落っこちた。

『コレ、まずい…。死ぬかも。リア充どもめ……』

薄れていく意識の中で紫は死ぬ事への恐怖より、唯一つの事が心に残った。

『あ~あ…《蒼き月に黄金の翼》続きが読みたかったなぁ……。
続きが、続きが気になるよぉ………』



『……な~んて事を思っていたせいなのかな?この状況は。
どうやら、《蒼き月に黄金の翼》の登場人物に転生してたみたい。
続きが読みたかった私に、コレはどういう事?ご褒美?それとも執念?登場人物なら物語の続きが知れるからって?
だとしたら私の立場は微妙すぎる。
物語の序盤にしか登場しない人物で、名前も出ていないキャラクターだなんて』


《蒼き月に黄金の翼》第一巻 第二章より
その日ファルシオ国の第二王子エリオットは隣国から花嫁を娶った。
同盟のために必要だと説得され渋々応じた政略結婚である。
花嫁衣装のベールから 青銀色の髪がこぼれているのが見て取れる。
ベールに隠され、貌は見えないが興味は無いのでどうでもいい。


ーーこのどうでもいい花嫁が紫の転生した人物だった。
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