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本能 (※R18描写あり)
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腰を引き寄せられ、胸に抱きしめられると互いの腹にゆるく勃ち上がるものに気づいた。
「あっ──す、すまん! その、咲也が可愛すぎてちょっとその、ごめんな」
「おっ俺こそ! ポメの時はこういうことないんだけど、なんか……興奮しちゃったみたいで」
「興奮って、なにに?」
「おまえしかいないじゃん……」
久我の胸に手をついてうつむくと、「なあ、咲也…」と掠れた声で腕を掴まれた。
「いっしょに手でしようか」
「あ……う、うん」
頬に血がのぼって、熱くて焼けそうになった。
「あっ、あっ、あ……」
「はぁ……咲也、咲也っ」
「くがっぁ……つよい、手、握りかた、強いよぉっ」
向かい合うようにして床に座り、互いのものをいっしょくたに握り込んで扱く。
最初は俺が手を添えてぬちぬちと擦っていたが、久我のちんこがでかいので両手を使っても気持ちよくはできなくて、今は久我が片手で俺のものと自分のものをいっぺんに擦り合わせながら刺激していた。
自分でやるのと全然ちがう。もっとずっと刺激がつよい。久我の指は長くて指の節がちょっと出っ張ってて、「男の手!」っていうたくましさがある。その指が裏筋を擦り上げて高めていく。
「あぅっ……」
「痛いか?」
「いたくはない、けど、」
ひとりだけよがって高められてるみたいで、眉根を寄せて久我を睨みつける。
「辛いようならちょっと、体勢変えてみようか」
といって、握り込んでいた手を離した。それから、なぜかTシャツをぬいで真っ裸になる。
「四つん這いになれるか? ちっちゃい子にお馬さんする時みたいなかっこう」
「う、うん、いいよ」
膝と手を床について、「これでいい?」と訊くと久我はごくりと唾を飲み込んで、尻を撫でた。
「お、おい……いきなり掘ったり、しないよな?」
「咲也が怖がることはしないよ。……ああ、やっぱり咲也のお尻は特別だ。小さくて丸くて可愛い……」
「尻褒められたのは人生初だな」
「このお尻のフォルム。咲也がポメになってもすぐに分かった。俺はどこにいても咲也をお尻で判別できる自信がある」
「なにそれホラーじゃん……」
手のひらが尻をむにむにと揉んで、そっと口づける。かるく食みながら、「マシュマロみたいだね」と言った。
「も、揉むなよ……恥ずかしいだろ」
お前がそれほど男の尻に対して執着を持っていたなんて、知りたくなかった。
「ちょっとびっくりするかもしれないけど、許して」といって俺の腰に手を回す。
なにするんだろう。ちんちんギンギンで痛くなってきた。
それから俺の背中にのしかかるみたいにして腰をくっつけて、太ももの間にでっかい久我を挟み入れた。俺には何をしたいのかまだよく分かっていなかった。こんなんで気持ちよくなれるのか。
「えっこれなに? なに?」
「素股だよ。知らない?」
「知らないよっどうすんのこれっ、あっ、ああ~っ!」
「足、きつめに閉じておいてな」
内ももの柔らかい肉のあいだを弾力のある屹立が行ったり来たりを繰り返し、俺の玉袋を押し上げる。刺激にぶるっと背筋を震えが走った。
久我は腰を振って抜き差しを徐々に激しくしていく。先っぽが俺の竿の裏を擦った。ちんこがちんこをいじめてる!
「あっ、あん、あ……」
肉と肉のぶつかるパンパンという音が静かな部屋に響いた。唾を飲み込む暇もなくて、喘ぎながら口の端を唾液が伝う。
腰を掴んでいた手がそろりと俺の腹を這って胸にのぼっていく。
「あ、なんで、あぁッ……!」
久我は左の手のひらを目一杯伸ばして、俺の両乳首を刺激し始めた。指の腹ですりすりと擦る。
「んなとこ、触っても……あ」
「咲也のここ、すごく可愛いから」
「あ、可愛いとか……言うなよ、俺、もうそんな歳じゃない、やぁん……」
「咲也は可愛いよ。三十になっても四十になっても、ずっとずっと可愛いから」
爪の先でかりっと引っ掻くようにされると、胸の突起が芯をもって、むくむくと起き上がる。
「ポメの、ときの、ほうが、可愛いのに……!」
はあははと荒い息の下でそう言うと、久我は「なにいってんの」と激しく首を横に振った。
「咲也は自分の良さをちっとも分かってない! 清楚だし、乳首もちんちんもピンクだし、ポメになっても可愛いのは、咲也自身が可愛いからだ……好きだよ」
「あ……好き?」
「うん。大好き……愛してる」
それからまた下に手を戻すと俺の前を握り込んで擦っていく。
抜き差しも激しさを増して、肉と肉がぶつかって音を立てていた。どちらのものか分からない汗が肌を流れた。
久我の鼓動が俺にも伝わり、俺の鼓動が久我にも伝わる。
揺さぶられていると、ぎゅっと陰嚢が引き攣った。亀頭がひくひくして、溜まっていた雫がほとばしる。
「あぁあっ──!」
「咲也っ!」
崩れかけた四つん這いのまま、どぴゅっと白濁が飛んだ。久我もほぼ同時に達して、その証が俺の股の間からぬるく流れ落ちていく。
濃密な時間……とても朝とは思えない。めまぐるしく一気に走り抜けて、もうなにも目に入らないし耳に入らない。
そのまま俺の手はずるりと床をすべって、からだを横たえた。そんな俺に久我もからだを重ねて息を吐く。
(すごいこと、しちゃった……)
夢でも見てるんだ。そんな感じで隣に寝そべる久我をぼーっとして見つめると、きらきらと眩しい笑みを返してくれた。
(キラキライケメンっぷりは健在か……)
目を細めて眺めていたら、からだをにじり寄せてきて唇を奪われる。
自然に受け入れているとさりげなく舌を入れてくる。ぬるりとしたやわらかなものが歯列を割って俺の舌をちょんちょんと舐め擦った。
「──んンぅーっ!」
じたばたと肩を押して久我を引き剥がすと、まなじりをてろんと甘く下げて「えへへ…」と照れていた。
キラキライケメンのガチのデレ顔。その殺傷能力を喩えるなら、デススター三個分に匹敵するとみた。まぶしくって、目が焼ける。
恋とか愛とか、久我への想いは清々しいだけの代物ではないと思う。
男としてはうらやましくて妬みたくなるし。お互いに受け入れがたい部分にも、これから直面するのかもしれないし。これからの関係に不安は絶えないだろう。
それでも。そういう不確かな可能性の話より、こいつが与えてくれるやさしさとか謎のいい匂いとか、本能的な勘がこいつの近くにいたいと告げるのだ。
ポメガの本能──そんなものがあるのかは知らないが、理性的な判断からは程遠い。でも……俺の居場所は、こいつのとなりだ。天啓のように、頭の奥で確信がひらめいた。
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