1 / 10
プロローグ
しおりを挟む気分が落ち込むと必ず思い出す光景がある。
忘れもしない。高校生のころだ。
「これなんだ?」
鞄につけたキーホルダーをぐいと引っ張られる。見上げた先にいたのは、爽やかな笑顔を浮かべたクラスメイトの男子がひとり。
「なんのキャラ? なんか……キモくない?」
なんの悪気もなさそうに言った。
俺は無言のまま彼の顔を見つめた。
こいつの名前は久我透。スクールカースト上位のサッカー王子だ。
「手、離せよ」
「あっ、ああ。悪い……」
久我は気まずげな顔で後退った。でも俺の机の傍を離れない。
「久我ー、そんなやつに構うなよ」
「練習試合用の編成、するんだろ」
俺は心を閉ざし、ずっと自分の机で俯いたまま、長い時間をやり過ごした──。
4
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説

お人好しは無愛想ポメガを拾う
蔵持ひろ
BL
弟である夏樹の営むトリミングサロンを手伝う斎藤雪隆は、体格が人より大きい以外は平凡なサラリーマンだった。
ある日、黒毛のポメラニアンを拾って自宅に迎え入れた雪隆。そのポメラニアンはなんとポメガバース(疲労が限界に達すると人型からポメラニアンになってしまう)だったのだ。
拾われた彼は少しふてくされて、人間に戻った後もたびたび雪隆のもとを訪れる。不遜で遠慮の無いようにみえる態度に振り回される雪隆。
だけど、その生活も心地よく感じ始めて……
(無愛想なポメガ×体格大きめリーマンのお話です)

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる