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8.颯さんとタモさん
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コンコココン - コンコン
颯がそんな気の抜けるようなノックを聞いたのは、ベッドで冒険者ギルドの小冊子を読み終わり、ウトウトしていた時だった。
こんなリズムでノックするような奴はタモしかいない。
颯はのっそり立ち上がりドアを開けた。
「ただいま戻りました!」
「……。おかえり」
誰かを迎える、なんて何年ぶりだろう。と、颯は思う。
対する愛は、ニコニコとお風呂上りで白い頬をピンクに染めて、石鹸の良い香りを漂わせている。
先程のような汚れた服ではないが、やはり少年のような恰好だ。
愛はスルリと中へ入ると、
「そうだ、お腹空いてないですか? 焼き鳥ありますよ、焼き鳥!」
焼き鳥を出しつつ、部屋にまた結界を張ったようで光が瞬いた。
「へぇ、美味そうだな」
「飲み物はまだ水しかないんですけどね」
「ああ、水ならオレも出せるよ」
颯が若干ドヤ顔で言うと
「あ! 生活魔法ですね!? わたし自己流なんで、見せてもらえませんか?」
と言うので、ここひと月ばかり熱心に練習していた生活魔法を実演することになった。
勇者と共に召喚されて勇者の国アータナで過ごした日々を思い出す。
会社帰りに突然地面が光って、気が付いたらこの世界に来ていたのだ。
窓もない石造りの部屋で、床には複雑な模様のある円が描かれ、その中には颯の他に、先程前を歩いていた二人の少年がいた。
そして円の周りを、中世ヨーロッパ的な姿の人々が取り囲んでいたのだ。
なんだかただならぬ雰囲気なのに、二人は「これってもしかして!?」などと騒ぎだす。
聞いてみると、”ラノベ”でよくある”勇者召喚”じゃないか、と言い出した。
取り敢えず落ち着かせようと名を名乗ると、一人は高校2年の日野 出、もうひとりは大学1年で竜門 誠と名乗った。
どちらも爽やかな好青年風で、勇者に選ばれるのも納得なのだが、45歳の冴えない会社員である早風 颯がいるのは何故だろう?
首を傾げているうちに、若い二人には可愛いお姫様と美人な女騎士が丁寧に語りかけ、どこかへ連れて行ってしまった。
よくわからないが二人について行こうとした颯の所には、気難しい顔のしわがれた爺がやってきて、ここは異世界で、あなたは勇者召喚に巻き込まれたのですと告げたのだった。
中年の颯は初めからおまけどころか、お呼びでもなかったらしい。
ここが異世界というのもピンと来なかったが、勝手に呼び出しておいてあんまりではないか。
確かに自分は勇者というガラではないし、もし勇者であったとしても、この年で魔王を倒す冒険の旅に出るのは辛いものがある。
人を殴った経験もないくらいだし、魔物と戦うなんて恐ろしいことはできないだろう。
そういうことならすぐに元の世界に帰して欲しいと頼んだが、それはできないと言う。
勇者召喚はこの国だけに伝わる術で、何度もこの部屋で行われているのだが、送還した記録は一切ない。
念のため方法を探して欲しいと頼んでみたが、どれほど探してもその方法がわからなかった。
ずっと昔にはあったかもしれないが、召喚された勇者たちは皆、こちらの世界の住人と結婚して定住するので必要ないらしい。
もしかすると魔王を倒せば還れるのではないか、などと無責任なことすら言われた。
腹は立つが、もともと世界を救う為とはいえ、全く関係ない他の世界の若者を拉致する集団である。
下手に逆らえば巻き込まれた中年異世界人などどうなるかわからない。
身の安全のため、大人しく言う事を聞くしかなかった颯である。
元の世界に女房子供がいるなら何が何でも還ろうとしただろうが、生憎のバツイチ・子ナシ。
親孝行はできなかったが、年老いた両親とは優秀な兄夫婦が同居し、姉や妹、孫も数人いるので安心だ。
勇者たちがこの世界の事を学んだり剣や魔法の修行をするというので、一緒に行動することにした。
この世界で生活しなければならないなら、知っておく必要があると思ったからだ。
しかし、実際に勇者たちと行動すると、その差は歴然だった。全くついていけないのである。
初めから常人を超えるステータスをもっていた二人に比べ、颯のステータスは精々HPの数値が人並み以上にあるくらい。
職業も二人は勇者で、颯は巻き込まれた異世界人になっていた。
勇者たちは剣も魔法もみるみるうちに上達し、すぐさま国内にある魔獣が出没する森にレベル上げに行ってしまう。
二人は戦えば戦う程、面白いようにレベルが上がり、『勇者さま』とチヤホヤされる異世界生活にすっかりハマってしまった。
颯はといえば、元の世界ではなかった魔法に興味を持ったが、なかなか発動させることができず、やっと日常的に使うという生活魔法を覚えた頃にはひと月近く経ってしまった。
力があれば勇者たちと同じように扱われたかもしれないが、これでは扱いに差があっても当然である。
結局、ひと月で思ったより勇者たちのレベルが上がり、魔王を倒す旅に出るというので、ただ一人居候するのも心苦しく、颯も支度金と装備をもらって城を出る事にしたのだった。
「風早さん、コップ持ってますか?」
愛の声で我に返る。
「ああ、持ってるよ」
そう言ってバッグからコップを取り出す颯。
愛は既に自分のコップを取り出して、ワクワクした顔で見つめている。
コホン、とひとつ咳をしてキチンと座りなおす。
集中しておもむろに詠唱を始めた。
「万物の源たるマナよ、我に一滴の恵みを与えたまえ、水」
コップに向かって手を差し出すと、ジワリジワリと水が溜まっていく。
「フゥ」
息をついて愛を見ると、愛はポカンとした顔をしていた。
「すごいですね……」
リアルに中二病だ!と内心で感嘆する愛。
実は呪文の詠唱が恥ずかしいから無詠唱で魔法を使っているのだ。
『中二病の独占に反対する会』名誉会長の自分ですらできない事をやってのける颯は、もはや、会員NO.1……いや『中二病の独占に反対する会』名誉会員に認定するしかない、と思った。
そんな頓狂な会に勝手に入会させられたとは知らない颯は、「すごい」と言われて満更でもない。
「いやぁ、タモさんに比べたら大したことないよ」
「あ、タモでいいですよ。
なんか元気少年キャラって結構疲れるんで、ちょっとキャラ変えますけど、これからも一応少年風でいくつもりなので」
「そうか、じゃあ俺も敬語はなしでいいよ」
「了解! オレは颯さん、って呼ぶね。
ところで颯さんは、今結構MPを消費しなかった?
オレは沢山魔法を使うと甘い物食べたくなるんだけど、どう?」
愛……いや、タモが女性だと思うと口調などに抵抗があるので、もうタモという少年と思うことにした。
というわけで愛改めタモの言う通り、颯はいつも多くのMPを消費してしまい、1日に何度も魔法を使うことができなかった。
甘い物ではないが、少々疲れるのか眠くなってしまう。
恐らくこの世界では、ゲームの様にMPを0まで使い切ることはできないだろう。
ギルカを見てみると
MP:200/250
になっており、50も減っている。
「MPが50減ってるな。俺は甘い物じゃなくて眠くなるタイプのようだ」
「そんなに? う~ん、オレはたぶんそんなにかかってないと思うんだよね。
調べたわけじゃないけど、一般の人ってMPもそんなにないはずだし、日常的に使う魔法だからなぁ。
オレのやり方でちょっとやってみて?」
「あ、ああ。」
戸惑いつつ、タモが言うことも最もなので頷く颯。
「水道の蛇口の栓を捻ったら水でるの当たり前だよね。」
「そうだな」
「じゃあ、目の前にある蛇口を捻るつもりで魔力使ってみて? 詠唱はしなくていいよ」
「わかった」
言われた通り、目の前に蛇口があるつもりで軽く捻る想像をした途端。
空中から水が流れ出た!
慌てて水を止めると、
「なんでだ!? 詠唱も集中もしなかったのに!」
と驚き、しきりに首を傾げる颯。
「MPいくつ減った?」
タモののんきな声がしてギルカを確認すると、
「1しか減ってない……」
そう答えて茫然とする。
今までの苦労は一体なんだったのか!?
「そっかそっか。やっぱりそうなんだ。
オレたち異世界人の強みだよね。これって」
「どういうことだ?」
「ん~、昔さ、”想いの強さが力になる”って言葉、聞いたことない?
この世界の人は集中して呪文を唱えれば魔法が使えるって、生まれた時から思ってるわけで。
でも、オレたちはそうじゃないよね?
例えば火だって、ライター使ったら小さい炎が出るの当たり前じゃないか?」
「そう言われれば、そうだなぁ」
颯はライターを使うように、火を出してみた。
あんなに苦労した魔法が、随分と簡単に使えてしまった。
「不思議だな……」
「不思議だね……」
兎にも角にも、これで颯は簡単に魔法が使えるようになったわけだ。
初めて魔法を使えた時も感動だったが、これは思った以上に感動した。
魔法でどんなことができるのか、年甲斐もなくワクワクした気持ちがこみ上げてくる。
異世界での生活に暗澹たる思いだったのが嘘のように心が晴れていく。
俺は、この世界で生きていける!
と、初めて自信を持つのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この回タモが「颯さん」と呼ぶことにしたんですが、実は以前から慣れ慣れしく呼んでいたので修正しました。
なかなか話しが進みませんが、次回にはお待たせした颯の固有スキルを明かしたい……
これからもゆっくりペースな大きいお兄さんとお姉さんですが、良かったらお付き合いください。
颯がそんな気の抜けるようなノックを聞いたのは、ベッドで冒険者ギルドの小冊子を読み終わり、ウトウトしていた時だった。
こんなリズムでノックするような奴はタモしかいない。
颯はのっそり立ち上がりドアを開けた。
「ただいま戻りました!」
「……。おかえり」
誰かを迎える、なんて何年ぶりだろう。と、颯は思う。
対する愛は、ニコニコとお風呂上りで白い頬をピンクに染めて、石鹸の良い香りを漂わせている。
先程のような汚れた服ではないが、やはり少年のような恰好だ。
愛はスルリと中へ入ると、
「そうだ、お腹空いてないですか? 焼き鳥ありますよ、焼き鳥!」
焼き鳥を出しつつ、部屋にまた結界を張ったようで光が瞬いた。
「へぇ、美味そうだな」
「飲み物はまだ水しかないんですけどね」
「ああ、水ならオレも出せるよ」
颯が若干ドヤ顔で言うと
「あ! 生活魔法ですね!? わたし自己流なんで、見せてもらえませんか?」
と言うので、ここひと月ばかり熱心に練習していた生活魔法を実演することになった。
勇者と共に召喚されて勇者の国アータナで過ごした日々を思い出す。
会社帰りに突然地面が光って、気が付いたらこの世界に来ていたのだ。
窓もない石造りの部屋で、床には複雑な模様のある円が描かれ、その中には颯の他に、先程前を歩いていた二人の少年がいた。
そして円の周りを、中世ヨーロッパ的な姿の人々が取り囲んでいたのだ。
なんだかただならぬ雰囲気なのに、二人は「これってもしかして!?」などと騒ぎだす。
聞いてみると、”ラノベ”でよくある”勇者召喚”じゃないか、と言い出した。
取り敢えず落ち着かせようと名を名乗ると、一人は高校2年の日野 出、もうひとりは大学1年で竜門 誠と名乗った。
どちらも爽やかな好青年風で、勇者に選ばれるのも納得なのだが、45歳の冴えない会社員である早風 颯がいるのは何故だろう?
首を傾げているうちに、若い二人には可愛いお姫様と美人な女騎士が丁寧に語りかけ、どこかへ連れて行ってしまった。
よくわからないが二人について行こうとした颯の所には、気難しい顔のしわがれた爺がやってきて、ここは異世界で、あなたは勇者召喚に巻き込まれたのですと告げたのだった。
中年の颯は初めからおまけどころか、お呼びでもなかったらしい。
ここが異世界というのもピンと来なかったが、勝手に呼び出しておいてあんまりではないか。
確かに自分は勇者というガラではないし、もし勇者であったとしても、この年で魔王を倒す冒険の旅に出るのは辛いものがある。
人を殴った経験もないくらいだし、魔物と戦うなんて恐ろしいことはできないだろう。
そういうことならすぐに元の世界に帰して欲しいと頼んだが、それはできないと言う。
勇者召喚はこの国だけに伝わる術で、何度もこの部屋で行われているのだが、送還した記録は一切ない。
念のため方法を探して欲しいと頼んでみたが、どれほど探してもその方法がわからなかった。
ずっと昔にはあったかもしれないが、召喚された勇者たちは皆、こちらの世界の住人と結婚して定住するので必要ないらしい。
もしかすると魔王を倒せば還れるのではないか、などと無責任なことすら言われた。
腹は立つが、もともと世界を救う為とはいえ、全く関係ない他の世界の若者を拉致する集団である。
下手に逆らえば巻き込まれた中年異世界人などどうなるかわからない。
身の安全のため、大人しく言う事を聞くしかなかった颯である。
元の世界に女房子供がいるなら何が何でも還ろうとしただろうが、生憎のバツイチ・子ナシ。
親孝行はできなかったが、年老いた両親とは優秀な兄夫婦が同居し、姉や妹、孫も数人いるので安心だ。
勇者たちがこの世界の事を学んだり剣や魔法の修行をするというので、一緒に行動することにした。
この世界で生活しなければならないなら、知っておく必要があると思ったからだ。
しかし、実際に勇者たちと行動すると、その差は歴然だった。全くついていけないのである。
初めから常人を超えるステータスをもっていた二人に比べ、颯のステータスは精々HPの数値が人並み以上にあるくらい。
職業も二人は勇者で、颯は巻き込まれた異世界人になっていた。
勇者たちは剣も魔法もみるみるうちに上達し、すぐさま国内にある魔獣が出没する森にレベル上げに行ってしまう。
二人は戦えば戦う程、面白いようにレベルが上がり、『勇者さま』とチヤホヤされる異世界生活にすっかりハマってしまった。
颯はといえば、元の世界ではなかった魔法に興味を持ったが、なかなか発動させることができず、やっと日常的に使うという生活魔法を覚えた頃にはひと月近く経ってしまった。
力があれば勇者たちと同じように扱われたかもしれないが、これでは扱いに差があっても当然である。
結局、ひと月で思ったより勇者たちのレベルが上がり、魔王を倒す旅に出るというので、ただ一人居候するのも心苦しく、颯も支度金と装備をもらって城を出る事にしたのだった。
「風早さん、コップ持ってますか?」
愛の声で我に返る。
「ああ、持ってるよ」
そう言ってバッグからコップを取り出す颯。
愛は既に自分のコップを取り出して、ワクワクした顔で見つめている。
コホン、とひとつ咳をしてキチンと座りなおす。
集中しておもむろに詠唱を始めた。
「万物の源たるマナよ、我に一滴の恵みを与えたまえ、水」
コップに向かって手を差し出すと、ジワリジワリと水が溜まっていく。
「フゥ」
息をついて愛を見ると、愛はポカンとした顔をしていた。
「すごいですね……」
リアルに中二病だ!と内心で感嘆する愛。
実は呪文の詠唱が恥ずかしいから無詠唱で魔法を使っているのだ。
『中二病の独占に反対する会』名誉会長の自分ですらできない事をやってのける颯は、もはや、会員NO.1……いや『中二病の独占に反対する会』名誉会員に認定するしかない、と思った。
そんな頓狂な会に勝手に入会させられたとは知らない颯は、「すごい」と言われて満更でもない。
「いやぁ、タモさんに比べたら大したことないよ」
「あ、タモでいいですよ。
なんか元気少年キャラって結構疲れるんで、ちょっとキャラ変えますけど、これからも一応少年風でいくつもりなので」
「そうか、じゃあ俺も敬語はなしでいいよ」
「了解! オレは颯さん、って呼ぶね。
ところで颯さんは、今結構MPを消費しなかった?
オレは沢山魔法を使うと甘い物食べたくなるんだけど、どう?」
愛……いや、タモが女性だと思うと口調などに抵抗があるので、もうタモという少年と思うことにした。
というわけで愛改めタモの言う通り、颯はいつも多くのMPを消費してしまい、1日に何度も魔法を使うことができなかった。
甘い物ではないが、少々疲れるのか眠くなってしまう。
恐らくこの世界では、ゲームの様にMPを0まで使い切ることはできないだろう。
ギルカを見てみると
MP:200/250
になっており、50も減っている。
「MPが50減ってるな。俺は甘い物じゃなくて眠くなるタイプのようだ」
「そんなに? う~ん、オレはたぶんそんなにかかってないと思うんだよね。
調べたわけじゃないけど、一般の人ってMPもそんなにないはずだし、日常的に使う魔法だからなぁ。
オレのやり方でちょっとやってみて?」
「あ、ああ。」
戸惑いつつ、タモが言うことも最もなので頷く颯。
「水道の蛇口の栓を捻ったら水でるの当たり前だよね。」
「そうだな」
「じゃあ、目の前にある蛇口を捻るつもりで魔力使ってみて? 詠唱はしなくていいよ」
「わかった」
言われた通り、目の前に蛇口があるつもりで軽く捻る想像をした途端。
空中から水が流れ出た!
慌てて水を止めると、
「なんでだ!? 詠唱も集中もしなかったのに!」
と驚き、しきりに首を傾げる颯。
「MPいくつ減った?」
タモののんきな声がしてギルカを確認すると、
「1しか減ってない……」
そう答えて茫然とする。
今までの苦労は一体なんだったのか!?
「そっかそっか。やっぱりそうなんだ。
オレたち異世界人の強みだよね。これって」
「どういうことだ?」
「ん~、昔さ、”想いの強さが力になる”って言葉、聞いたことない?
この世界の人は集中して呪文を唱えれば魔法が使えるって、生まれた時から思ってるわけで。
でも、オレたちはそうじゃないよね?
例えば火だって、ライター使ったら小さい炎が出るの当たり前じゃないか?」
「そう言われれば、そうだなぁ」
颯はライターを使うように、火を出してみた。
あんなに苦労した魔法が、随分と簡単に使えてしまった。
「不思議だな……」
「不思議だね……」
兎にも角にも、これで颯は簡単に魔法が使えるようになったわけだ。
初めて魔法を使えた時も感動だったが、これは思った以上に感動した。
魔法でどんなことができるのか、年甲斐もなくワクワクした気持ちがこみ上げてくる。
異世界での生活に暗澹たる思いだったのが嘘のように心が晴れていく。
俺は、この世界で生きていける!
と、初めて自信を持つのだった。
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この回タモが「颯さん」と呼ぶことにしたんですが、実は以前から慣れ慣れしく呼んでいたので修正しました。
なかなか話しが進みませんが、次回にはお待たせした颯の固有スキルを明かしたい……
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