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第1章 イマドキの高校生
17話~輝かしい邪気~
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僕の名前は竹上真一。
特に取り柄もなく、これといって特徴もない平凡な高校1年生。
たった今、4限目が終わったところで、僕は鞄から弁当箱を取り出したところだ。
「よ。竹上は弁当持ってきてんのか。」
「あ…蘇芳くん」
ふと頭上から声がする。
顔を上げると蘇芳くんの姿。
蘇芳くんは背が高くて、つんとした顔立ちはカッコ良い。
僕とは違って健康的な肌の色に、恵まれた体格。
坂崎くんがいるせいであまり目立たないけれど、運動神経も抜群。
僕とはまったく正反対な彼だけど、僕をこうして気に掛けてくれる。
「蓮斗ー!食堂行こー!」
不意に明るく元気な声が聞こえた。
見ると水色の髪の彼、坂崎くんが教室のドアの前でひらひらと手を振っている。
その横には榊くん…だったと思う、金髪が綺麗なクラスメイトだ。
「あー、悪い。俺今日カップラーメン買っちゃったんだ。…つーことで、竹上、良かったら一緒に飯、良いか?」
いつものように彼らと一緒に過ごすものと考えていた。
不意に話を振られ、つい固まる。
「もっ、もちろん!」
慌てて答えると声が少し上擦ってしまった。
しかし蘇芳くんは気にしている様子なく僕に笑い、カップラーメンにお湯を注ぎに行った。
「っ」
蘇芳くんの背を見送っていると、ふと悪寒が走る。
一瞬にして背中に冷や汗が伝った。
それは間違いなく今も継続して自分に向けられているナニカの視線によるものだと、僕は気付いた。
……怖い…!
恐怖に身を強ばらせる。
そんな中ふと、蘇芳くんが思い浮かんだ。
蘇芳くんだったら、きっと振り向く。
そして鋭い眼光を返す筈だ。
僕も思い切って振り向いた。
するとその視線の主と目が合う。
その相手は、坂崎くんの隣に立つ…榊くんだった。
榊くんは僕と目が合うなり、微笑んだ。
ぞわりとし鳥肌が立つ。
アレは危険だ。
そう僕の本能が言っている。
理由は分からない、だけど、とにかく危険なんだ。
「守らなきゃ……!」
言葉が洩れた。
守らなくては…蘇芳くんを。
あの金髪の男から、絶対に…!
「あぁ、あの目…たまらないですね」
「ん?榊、なんか言った?」
蓮斗がいないということで聖と雹太の2人で食堂へ行くこととなった。
財布の中身を確認している雹太の耳に、聖の声が届く。
ふと見上げると微笑を返される。
「えぇ。竹上くんとも、是非仲良くなりたいな、と。」
「あぁ、蓮斗が仲良くしてる奴ね。俺も仲良くなりたいなー」
竹上真一が気付いた聖の危険性。
それに雹太が気付くことはない。
雹太だけではない。
彼の『異常性』に気付く者はこのクラスには、真一を除きひとりとしていない。
特に取り柄もなく、これといって特徴もない平凡な高校1年生。
たった今、4限目が終わったところで、僕は鞄から弁当箱を取り出したところだ。
「よ。竹上は弁当持ってきてんのか。」
「あ…蘇芳くん」
ふと頭上から声がする。
顔を上げると蘇芳くんの姿。
蘇芳くんは背が高くて、つんとした顔立ちはカッコ良い。
僕とは違って健康的な肌の色に、恵まれた体格。
坂崎くんがいるせいであまり目立たないけれど、運動神経も抜群。
僕とはまったく正反対な彼だけど、僕をこうして気に掛けてくれる。
「蓮斗ー!食堂行こー!」
不意に明るく元気な声が聞こえた。
見ると水色の髪の彼、坂崎くんが教室のドアの前でひらひらと手を振っている。
その横には榊くん…だったと思う、金髪が綺麗なクラスメイトだ。
「あー、悪い。俺今日カップラーメン買っちゃったんだ。…つーことで、竹上、良かったら一緒に飯、良いか?」
いつものように彼らと一緒に過ごすものと考えていた。
不意に話を振られ、つい固まる。
「もっ、もちろん!」
慌てて答えると声が少し上擦ってしまった。
しかし蘇芳くんは気にしている様子なく僕に笑い、カップラーメンにお湯を注ぎに行った。
「っ」
蘇芳くんの背を見送っていると、ふと悪寒が走る。
一瞬にして背中に冷や汗が伝った。
それは間違いなく今も継続して自分に向けられているナニカの視線によるものだと、僕は気付いた。
……怖い…!
恐怖に身を強ばらせる。
そんな中ふと、蘇芳くんが思い浮かんだ。
蘇芳くんだったら、きっと振り向く。
そして鋭い眼光を返す筈だ。
僕も思い切って振り向いた。
するとその視線の主と目が合う。
その相手は、坂崎くんの隣に立つ…榊くんだった。
榊くんは僕と目が合うなり、微笑んだ。
ぞわりとし鳥肌が立つ。
アレは危険だ。
そう僕の本能が言っている。
理由は分からない、だけど、とにかく危険なんだ。
「守らなきゃ……!」
言葉が洩れた。
守らなくては…蘇芳くんを。
あの金髪の男から、絶対に…!
「あぁ、あの目…たまらないですね」
「ん?榊、なんか言った?」
蓮斗がいないということで聖と雹太の2人で食堂へ行くこととなった。
財布の中身を確認している雹太の耳に、聖の声が届く。
ふと見上げると微笑を返される。
「えぇ。竹上くんとも、是非仲良くなりたいな、と。」
「あぁ、蓮斗が仲良くしてる奴ね。俺も仲良くなりたいなー」
竹上真一が気付いた聖の危険性。
それに雹太が気付くことはない。
雹太だけではない。
彼の『異常性』に気付く者はこのクラスには、真一を除きひとりとしていない。
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