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4章〜崩れて壊れても私はあなたの事を——〜
95話「崩壊の招き人8」
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ー零 vs エルグランドー
「クソッタレが⋯⋯!」
地上には片膝を着き、上空を見上げる エルグランド の姿があった。輝いていた白銀の鎧は砂や土で汚れ、口元を拭う姿は戦闘の激しさどれほどかが窺える。
「それはコチラの台詞よ」
上空から見下ろす 零 は苛立った声色でそう言った。
背中から覗かせる細身の砲台の一つが砲身から折られている。更に、零 の周囲を飛び回っていた盾の形をしたユニットも数個が地上に墜ちていた。
「お前の攻撃をソックリ返しただけだよ」
「そう。でも、その様子ならそう何度も使えそうにないけど?」
「ハッ、馬鹿言え。何度も喰らうわけがないだろうが」
そう言って エルグランド は立ち上がった。そして、右手には身の丈ほどのランス、左手には全身を隠せるほどの盾を構えた。
「来な」
「その挑発に乗ってあげる」
燃え続ける闘志を奥に潜めた エルグランド が 零 を見据えた。
零 は更に高度を上げながら背中に背負う砲台全ての照準を エルグランド に合わせた。
「逝きなさい」
その一言と共に全砲台から光が放たれた。一つ一つが膨大な破壊のエネルギーを含んでいる死の光が エルグランド に迫る。
「カッ!」
エルグランド は己の持つ脚力で地上を駆け巡った。僅かに到達する速度の違う光を正確に判断し、その隙間を縫う。
避けきれない場所は盾で軌道をズラし、それでも不可避ならば盾で受け止めその威力で無理やり回避する。そして——
「オラアアアアアアアァァッ!!」
エルグランド は 零 の直下に辿り着き右手に持っていたランスを 零 目掛けて投げつけた。
「くっ⋯⋯!」
流石に武器を投げつけてくることは予想外だった 零 は驚きを噛み殺し盾のユニットをランスの軌道上に配置するが——
「——ッ!」
数個のユニットを犠牲にしてもなお、投げられたランスは速度を緩めなかった。
とっさに判断した 零 は身を捩り背中の砲台を犠牲にし脅威から逃れた。
「まさか武器を投げるだなんて⋯⋯でも、今のでもう——ッ!?」
渾身の一撃を回避した満足感と安心感で緊張を緩めた 零 が視界から外れた エルグランド を見た。しかし、そこに映ったのは——
「い、いない? 何処へ? 」
盾とランスが置き去りになった地上だった。
焦りながら周囲を見渡し確認する 零。しかし、一切の人影が映らない。
「⋯⋯上ッ?!」
隠された気配の中、僅かに向かってくる殺気を察知し 零 は上を見上げた。そこには——
「騎士ってぇのは槍術だけじゃねえんだよっ!」
両刃の直剣を振りかぶり一直線に 零 に向かって落下する エルグランド の姿があった。
「詰みだッ!」
「⋯⋯」
ザッ、と斬撃の音がと共に 零 の頭から腰にかけて直剣が通り過ぎる。
しかし、地上に戻って来た エルグランド は大きな違和感を感じた。
「手応えが⋯⋯ねえ、だと?」
勢いよく振り返る エルグランド。そこには地上に落とされた 零 の姿があるはずだ、そう確信したために目に映る光景を疑った。
「どこだ⋯⋯奴がいねえ」
視界に映ったのは所々抉られた地面。それは、 エルグランド が避けた光が原因だ。しかし、映るにはそれだけ。そこには在るはずの 零 の姿が無かった。
「惜しかった、それだけは言っておくわ」
唐突に声が降り注がれた。その声は先程聞いた女性の声。エルグランド はゆっくりとその声を疑うように顔を上げた。
「おいおい、嘘だろ?」
信じられない、その気持ちがありありと表れた表情で エルグランド が言葉を漏らした。
「嘘ではない。これが現実よ」
上空で佇むのは一切の損傷のない戦う直前の姿の 零。腕を組み冷たく見下ろすその姿は人間とは思えない。言うなればそれは人形——機械人形そのものだ。
「俺は確かに切ったはずだぞ?」
「切った? 一体何をかしら?」
「お前の頭だよ」
「私の頭? おかしな事を言うのね。手応えはあった? 感触は? 血や死体はどこ? 貴方が切ったと思っているだけで本当は違うのでは?」
否定の言葉、嘲りの言葉。零 はツラツラと目の前に起きている現実を エルグランド に突きつける。
言われる エルグランド も言い返そうとするが言葉が出ない。何も証拠となるものが無いのだから。
ただ自分が切った、そう思っていると感じてしまう程に焦り、背中は汗でビッショリと濡れる。
(どう言うことだ? 確かにあのタイミングは避けられなかったはずだ。実際避けもしなかった。だが切った感触はなかった⋯⋯マジでどうなってやがる?!)
歯を強く噛み、エルグランド は上空に佇む 零 を睨みつける。焦りが加速し、余裕が消える。
そんな事を知ってか知らずか 零 は更なる追い討ちをかけた。
「さっきの瞬間移動だけど——」
(奴は俺の移動を知っている⋯⋯つまり、さっき俺が切った奴とは同一人物だよな?)
「——貴方と武器が入れ替わったのね」
エルグランド は 零 に正解を言い当てられ内心更に焦るがそれを顔に出ないように何とか堪える。
「そう。なら、その剣は始めた時には持ってなかった」
「⋯⋯そうだったか?」
「貴方が作った? 持っている技能で」
「——ッ!」
流石に連続での追い討ちされ堪え、限界がきた エルグランド は 零 の言葉に反応してしまった。
反応し終わってからその自らの愚かさに悔やみ、更に噛む力が強くなる。
「どうやら当たりね」
「⋯⋯はぁ」
だが、隠すのを諦め開き直った エルグランド はため息一つ吐いた後に脱力した。
今までこもっていた力が嘘のように抜ける。幸か不幸か、お陰で焦っていた気持ちが嘘のように落ち着き、余裕を取り戻す。
「そうだよ」
「開き直った?」
「ああ、どうせそこまでわかって、俺も反応しちまったんだ。訂正のしようがねえよ」
「随分と⋯⋯素直ね」
「別に。だが、もう面倒だ」
そう言って エルグランド は地面に両手を着けた。
「降参?」
「ハッ、バカ言うな。面倒だから——」
エルグランド の両手から膨大な魔力が発せられる。それと同時に エルグランド の周囲にいくつもの魔法陣が浮かび上がる。
「手の内を全部見せてやるよ」
いい終わりが合図か、魔法陣からはいくつもの武器が現れる。大剣、長剣、槍、斧、弓矢、鎌、槌、等。
どれもが別々の形を取り、様々な色合いを持つが共通しているのは全てが高い殺傷能力を秘めていることだ。
「その武器を⋯⋯どうする気?」
「こうするのさッ!」
困惑する 零。そんな 零 を置き去りに武器達が一斉に飛び上がり、先端を 零 に向け放たれた。
「『念動魔法』——避けれるものなら避けてみなっ!」
「面倒ねッ!」
矛先を向けられた 零 は背中に搭載されているエンジンで上空へ高速上昇する。しかし——
「⋯⋯チッ」
武器達は 零 の速度に引き剥がされる事なく追随し、その距離を縮める。急降下や急旋回を行うがその差は縮められる一方だった。
「まるで追尾弾⋯⋯殺傷能力を考えればミサイルね」
逃げ切れないと察した 零 は移動をしたまま体の向きだけを変え背中に搭載されている砲台で反撃するが——
「⋯⋯キリがないわね」
いかんせん武器の数が多すぎた。いくら砲撃で撃ち落そうと追跡する武器は増える一方であった。
ユニットを使ったとしても回避できないその攻撃に 零 は遂に移動をやめた。そして——
「⋯⋯」
——武器達の餌食となった。
「よっしっ!」
地上で 零 が武器達に串刺しにされる光景を見た エルグランド は嬉しさのあまりに拳を作る——だが、それは束の間の喜びにすぎなかった。
「認める。貴方は強い。今の私では攻撃もままならない」
エルグランド の背後からかけられた声。冷たいその声はよく耳に通る。
「うそ⋯⋯だろ?」
信じられない。本当に信じられない。そう言いたいのだろう、目を大きく開き、声に淀みを持つ エルグランド は声をかけられた方へ振り返った。
「嘘では無い。これが現実だ」
そこには一切の欠損を見せない 零 が上空で佇む姿があった。砲身も全てが元どおりであり、身体中には串刺しにされた痕跡は見つからない。
「なん、で⋯⋯?」
「何で? 何か不思議なことがあったのかしら?」
「た、確かに串刺しに!なったはずだ⋯⋯なのに! なんで生きている?!」
「何故生きている? 生きているから生きている。ただそれだけ」
「クソがッ! なら何度だって殺してやるよッ!」
そう言って エルグランド は再度武器を操り 零 に攻撃を仕掛ける。しかし、その攻撃を 零 は避けなかった。
「やったか!」
「一つ訂正」
今度こそ仕留めた。そう確信した エルグランド は声を大きくするが、背後から聞き慣れた女性の声がかけられた。
「な!?」
「貴方は私を殺せない。同様に、私も貴方を殺すことはできないだろう」
「本当にどうなってやがる!」
またもや エルグランド は武器を操り 零 を串刺しにする。しかし、結果は何も変わらなかった。
「つまりそれは貴方の負けを意味する」
「なら魔法ならどうだッ!」
完全に冷静さを失った エルグランド は念動魔法を 零 にぶつけた。勢いよく降下する 零。その勢いのまま 零 の体は地面に激突——することなく消えた。
「な!?」
「貴方の勝利条件は私の撃破。私の勝利条件は時間稼ぎ。つまり——」
無感情で無表情。冷徹で冷酷。
冷たい視線で エルグランド を見据え力強い声で 零 は言った。
「——私の勝ちだ」
こうして戦場の一部に決着が着いた。
「クソッタレが⋯⋯!」
地上には片膝を着き、上空を見上げる エルグランド の姿があった。輝いていた白銀の鎧は砂や土で汚れ、口元を拭う姿は戦闘の激しさどれほどかが窺える。
「それはコチラの台詞よ」
上空から見下ろす 零 は苛立った声色でそう言った。
背中から覗かせる細身の砲台の一つが砲身から折られている。更に、零 の周囲を飛び回っていた盾の形をしたユニットも数個が地上に墜ちていた。
「お前の攻撃をソックリ返しただけだよ」
「そう。でも、その様子ならそう何度も使えそうにないけど?」
「ハッ、馬鹿言え。何度も喰らうわけがないだろうが」
そう言って エルグランド は立ち上がった。そして、右手には身の丈ほどのランス、左手には全身を隠せるほどの盾を構えた。
「来な」
「その挑発に乗ってあげる」
燃え続ける闘志を奥に潜めた エルグランド が 零 を見据えた。
零 は更に高度を上げながら背中に背負う砲台全ての照準を エルグランド に合わせた。
「逝きなさい」
その一言と共に全砲台から光が放たれた。一つ一つが膨大な破壊のエネルギーを含んでいる死の光が エルグランド に迫る。
「カッ!」
エルグランド は己の持つ脚力で地上を駆け巡った。僅かに到達する速度の違う光を正確に判断し、その隙間を縫う。
避けきれない場所は盾で軌道をズラし、それでも不可避ならば盾で受け止めその威力で無理やり回避する。そして——
「オラアアアアアアアァァッ!!」
エルグランド は 零 の直下に辿り着き右手に持っていたランスを 零 目掛けて投げつけた。
「くっ⋯⋯!」
流石に武器を投げつけてくることは予想外だった 零 は驚きを噛み殺し盾のユニットをランスの軌道上に配置するが——
「——ッ!」
数個のユニットを犠牲にしてもなお、投げられたランスは速度を緩めなかった。
とっさに判断した 零 は身を捩り背中の砲台を犠牲にし脅威から逃れた。
「まさか武器を投げるだなんて⋯⋯でも、今のでもう——ッ!?」
渾身の一撃を回避した満足感と安心感で緊張を緩めた 零 が視界から外れた エルグランド を見た。しかし、そこに映ったのは——
「い、いない? 何処へ? 」
盾とランスが置き去りになった地上だった。
焦りながら周囲を見渡し確認する 零。しかし、一切の人影が映らない。
「⋯⋯上ッ?!」
隠された気配の中、僅かに向かってくる殺気を察知し 零 は上を見上げた。そこには——
「騎士ってぇのは槍術だけじゃねえんだよっ!」
両刃の直剣を振りかぶり一直線に 零 に向かって落下する エルグランド の姿があった。
「詰みだッ!」
「⋯⋯」
ザッ、と斬撃の音がと共に 零 の頭から腰にかけて直剣が通り過ぎる。
しかし、地上に戻って来た エルグランド は大きな違和感を感じた。
「手応えが⋯⋯ねえ、だと?」
勢いよく振り返る エルグランド。そこには地上に落とされた 零 の姿があるはずだ、そう確信したために目に映る光景を疑った。
「どこだ⋯⋯奴がいねえ」
視界に映ったのは所々抉られた地面。それは、 エルグランド が避けた光が原因だ。しかし、映るにはそれだけ。そこには在るはずの 零 の姿が無かった。
「惜しかった、それだけは言っておくわ」
唐突に声が降り注がれた。その声は先程聞いた女性の声。エルグランド はゆっくりとその声を疑うように顔を上げた。
「おいおい、嘘だろ?」
信じられない、その気持ちがありありと表れた表情で エルグランド が言葉を漏らした。
「嘘ではない。これが現実よ」
上空で佇むのは一切の損傷のない戦う直前の姿の 零。腕を組み冷たく見下ろすその姿は人間とは思えない。言うなればそれは人形——機械人形そのものだ。
「俺は確かに切ったはずだぞ?」
「切った? 一体何をかしら?」
「お前の頭だよ」
「私の頭? おかしな事を言うのね。手応えはあった? 感触は? 血や死体はどこ? 貴方が切ったと思っているだけで本当は違うのでは?」
否定の言葉、嘲りの言葉。零 はツラツラと目の前に起きている現実を エルグランド に突きつける。
言われる エルグランド も言い返そうとするが言葉が出ない。何も証拠となるものが無いのだから。
ただ自分が切った、そう思っていると感じてしまう程に焦り、背中は汗でビッショリと濡れる。
(どう言うことだ? 確かにあのタイミングは避けられなかったはずだ。実際避けもしなかった。だが切った感触はなかった⋯⋯マジでどうなってやがる?!)
歯を強く噛み、エルグランド は上空に佇む 零 を睨みつける。焦りが加速し、余裕が消える。
そんな事を知ってか知らずか 零 は更なる追い討ちをかけた。
「さっきの瞬間移動だけど——」
(奴は俺の移動を知っている⋯⋯つまり、さっき俺が切った奴とは同一人物だよな?)
「——貴方と武器が入れ替わったのね」
エルグランド は 零 に正解を言い当てられ内心更に焦るがそれを顔に出ないように何とか堪える。
「そう。なら、その剣は始めた時には持ってなかった」
「⋯⋯そうだったか?」
「貴方が作った? 持っている技能で」
「——ッ!」
流石に連続での追い討ちされ堪え、限界がきた エルグランド は 零 の言葉に反応してしまった。
反応し終わってからその自らの愚かさに悔やみ、更に噛む力が強くなる。
「どうやら当たりね」
「⋯⋯はぁ」
だが、隠すのを諦め開き直った エルグランド はため息一つ吐いた後に脱力した。
今までこもっていた力が嘘のように抜ける。幸か不幸か、お陰で焦っていた気持ちが嘘のように落ち着き、余裕を取り戻す。
「そうだよ」
「開き直った?」
「ああ、どうせそこまでわかって、俺も反応しちまったんだ。訂正のしようがねえよ」
「随分と⋯⋯素直ね」
「別に。だが、もう面倒だ」
そう言って エルグランド は地面に両手を着けた。
「降参?」
「ハッ、バカ言うな。面倒だから——」
エルグランド の両手から膨大な魔力が発せられる。それと同時に エルグランド の周囲にいくつもの魔法陣が浮かび上がる。
「手の内を全部見せてやるよ」
いい終わりが合図か、魔法陣からはいくつもの武器が現れる。大剣、長剣、槍、斧、弓矢、鎌、槌、等。
どれもが別々の形を取り、様々な色合いを持つが共通しているのは全てが高い殺傷能力を秘めていることだ。
「その武器を⋯⋯どうする気?」
「こうするのさッ!」
困惑する 零。そんな 零 を置き去りに武器達が一斉に飛び上がり、先端を 零 に向け放たれた。
「『念動魔法』——避けれるものなら避けてみなっ!」
「面倒ねッ!」
矛先を向けられた 零 は背中に搭載されているエンジンで上空へ高速上昇する。しかし——
「⋯⋯チッ」
武器達は 零 の速度に引き剥がされる事なく追随し、その距離を縮める。急降下や急旋回を行うがその差は縮められる一方だった。
「まるで追尾弾⋯⋯殺傷能力を考えればミサイルね」
逃げ切れないと察した 零 は移動をしたまま体の向きだけを変え背中に搭載されている砲台で反撃するが——
「⋯⋯キリがないわね」
いかんせん武器の数が多すぎた。いくら砲撃で撃ち落そうと追跡する武器は増える一方であった。
ユニットを使ったとしても回避できないその攻撃に 零 は遂に移動をやめた。そして——
「⋯⋯」
——武器達の餌食となった。
「よっしっ!」
地上で 零 が武器達に串刺しにされる光景を見た エルグランド は嬉しさのあまりに拳を作る——だが、それは束の間の喜びにすぎなかった。
「認める。貴方は強い。今の私では攻撃もままならない」
エルグランド の背後からかけられた声。冷たいその声はよく耳に通る。
「うそ⋯⋯だろ?」
信じられない。本当に信じられない。そう言いたいのだろう、目を大きく開き、声に淀みを持つ エルグランド は声をかけられた方へ振り返った。
「嘘では無い。これが現実だ」
そこには一切の欠損を見せない 零 が上空で佇む姿があった。砲身も全てが元どおりであり、身体中には串刺しにされた痕跡は見つからない。
「なん、で⋯⋯?」
「何で? 何か不思議なことがあったのかしら?」
「た、確かに串刺しに!なったはずだ⋯⋯なのに! なんで生きている?!」
「何故生きている? 生きているから生きている。ただそれだけ」
「クソがッ! なら何度だって殺してやるよッ!」
そう言って エルグランド は再度武器を操り 零 に攻撃を仕掛ける。しかし、その攻撃を 零 は避けなかった。
「やったか!」
「一つ訂正」
今度こそ仕留めた。そう確信した エルグランド は声を大きくするが、背後から聞き慣れた女性の声がかけられた。
「な!?」
「貴方は私を殺せない。同様に、私も貴方を殺すことはできないだろう」
「本当にどうなってやがる!」
またもや エルグランド は武器を操り 零 を串刺しにする。しかし、結果は何も変わらなかった。
「つまりそれは貴方の負けを意味する」
「なら魔法ならどうだッ!」
完全に冷静さを失った エルグランド は念動魔法を 零 にぶつけた。勢いよく降下する 零。その勢いのまま 零 の体は地面に激突——することなく消えた。
「な!?」
「貴方の勝利条件は私の撃破。私の勝利条件は時間稼ぎ。つまり——」
無感情で無表情。冷徹で冷酷。
冷たい視線で エルグランド を見据え力強い声で 零 は言った。
「——私の勝ちだ」
こうして戦場の一部に決着が着いた。
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