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4章〜崩れて壊れても私はあなたの事を——〜
85話「崩壊の光4」
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ダンジョンの最奥、最下層に レイジ達は集まっていた。そして、レイジは真っ先にマーダから伝え聞いた勇者の来訪について話した。
「な、なんと⋯⋯!」
「ちょうぜつ一大事じゃないっすか!」
「⋯⋯」
「お兄様ぁ、それは本当なんでしょうかぁ?」
「ああ、おそらく事実の可能性が高い」
四者四様。
パンドラ、ハクレイ、ミサキ、エイナ は レイジ からおよそ三日後に勇者が攻めてくることを聞かされての反応だ。
驚き、困惑、覚悟、不安。様々な感情が渦巻く中、各々は自然と視線を交わし合った。
「そう言うわけで、三日後⋯⋯いや、どのタイミングかわからない以上、二日後までには準備を終え、勇者を迎え撃つ」
「お、お言葉ですがっ⋯⋯!」
レイジ の締めの言葉に異議を唱える者がいた。パンドラだ。
「貴方様、情報は彼の者⋯⋯マーダ から伝えられたのですよね?」
「ああ」
「失礼なのは重々承知で御座いますが⋯⋯その情報は信頼できるのでしょうか? 私はどうも⋯⋯」
パンドラの心配は当然であった。
侵入者としてダンジョンで戦い、エイナに呪いをかけゼーレを殺そうとした。そんな人物を信じろという方が難しい。
「確かにいきなり信用しろって言うのは無理があるかもな」
「なら——」
「だが、無いとは言い切れない。それに、奴の目的を考えるなら信用できずとも可能性として考慮すべきだろう」
「彼の者の目的⋯⋯でございますか?」
マーダの目的。
確かに、裏で考えていることがなければ敵に塩を送るなどということは考えにくいだろう。そして、その壮大な目的にパンドラ達は驚愕することになる。
「ああ、奴は望んでいるみたいだよ⋯⋯勇者の死を」
「なっ!?」
「ゆ、勇者の死を望んでるんっすか!?」
「本当なのですか? お兄様ぁ」
「⋯⋯ん!」
勇者の死。
マーダ との話し合いの途中 ゼーレ にどれほど重大なことなのかを レイジ は聞いていた。
勇者とはその世界のその時代の最後の希望であり、平和、正義、救済の象徴。そして、その正反対に君臨するのが魔王、そしてダンジョンマスター。そのどちらもが共通するのは魔物を生み出すこと。世界に、人類に害ある存在を生み出すことだ。
そして、それらの打倒を一手に担う勇者の死を世界の誰が望むだろうか?
勇者が死ねば実質次の勇者が現れるまで魔物達の脅威にさらされる暗黒時代が否応なくやってくる。
故に、魔王配下にいたことがある魔物達からすれば驚くな、と言うのは無理な話であろう。
「な、なぜ勇者の死を?!どんな意味があるのでしょうか⋯⋯」
「そこら辺は俺に聞かれてもわからんな。なにか執念的なものを⋯⋯狂気のようなものを感じる、としか言えないな」
マーダ の目的に戦慄する パンドラ に レイジ は両肩を竦めて答えた。
「そのような目的⋯⋯普通では言葉にすら出さないような物です。勇者の襲撃⋯⋯可能性に入れてもよいかと思います」
「納得いただけてなによりだ」
「でもお兄様ぁ、勇者が来るってことは他にも来るのではないですかぁ?」
「他に?」
「恐らくですがぁ、賢者、聖女、他には騎士あたりでしょうかぁ」
「あー、確かにっす。あいつらはまとまって来るって聞いたことあるっす」
「そうか、勇者だけじゃないんだったな」
勇者一行のことを僅かにだが耳に入れたことのある魔物達は思い出しながらそう言った。
その事を完全に失念していた レイジ は頭の中に書きながら悩みのタネが増えたことにゲンナリする。
「勇者、賢者、聖女、騎士、あとは⋯⋯」
「多分、斥候か暗殺者のどっちかがいると思うよ」
「なら最低で五人か」
レイジ達の陣営は戦えるのは レイジ を含め五人。
「⋯⋯マジか、一人一殺ってところか」
「あ、お兄ちゃん」
打ちひしがれているレイジに、ゼーレが思い出したように追い打ちをかける。
「おじさんが言ってたけど、なんか冒険者ギルドの方で何人か同行する冒険者を募ってるらしいよ」
「これ以上増やさないでくれよ⋯⋯」
「おじさんの見解だとお兄ちゃんが戦ったあの冒険者⋯⋯もしかしたら騎士団の人達も来るかもだって」
「もっと最悪だ⋯⋯」
「貴方様、戦った冒険者、騎士団の方とは何のことでしょうか?」
「あー、それはだな——」
パンドラ の質問に レイジ は頭を掻きながらばつの悪そうな顔をした。
「前回の襲撃で一人逃した奴だいただろ?」
「ええ⋯⋯まさかっ!」
「そのまさかだ。そいつと他に二人の冒険者⋯⋯片方の両刃斧の男はかなり強いな。そして、恐らく新たに就いたのだろう騎士団の副団長と呼ばれる男と隊長格のやつが三人」
あまり面と向かって話したくない内容だったために、レイジは代わりに背を向けた。
そして、多勢に無勢だったとしても、終始敗色が濃かった戦いと参戦していた面々を思い出した。
「そいつらにだな——」
「酷いんだよっ!」
負けた、そう言おうとした レイジ の言葉を ゼーレ が大きな声で遮った。
「あの人間共酷いんだよっ! ゼーレ を抱いて片手が使えないお兄ちゃんを寄ってたかって⋯⋯あんなの卑怯だ!」
思い出して悔しいのか ゼーレ は目尻に涙をため、拳を強く握りながら声を張り上げた。
そんなゼーレの様子を見た仲魔達は涙声でつっかえながら話すゼーレに耳を傾けた。
「それはつまり、その人間共は貴方様をハンデの状態で弄んだ、そう言うことですか ゼーレ様?」
「⋯⋯うん」
「戦えない ゼーレ先輩を庇いながらっすか⋯⋯」
「⋯⋯そう」
「お兄様は逃げられなかったのですか?」
「周りにはもっと沢山の人間共がいたから」
「ますたー⋯⋯けが⋯⋯は?」
「いっぱいだよっ! 一ヶ月くらい寝たきりだったんだよっ!」
一通り説明し終わった後、一人一人の質問に ゼーレ は強い口調で答えた。
それぞれが着火剤になったのか、はたまた火に油を注ぐようにより猛々しく燃え上がったのか——
「「「「その人間共コロス!」」」」
四人の少女達は息を揃えて胸の丈を爆発させた。
「貴方様に会えなかった一ヶ月⋯⋯どれほど辛かったでしょうか!それが、そんな屑共が原因だったとは⋯⋯!」
「お兄さんがいなかった一ヶ月⋯⋯どれだけ自分が大変だったか⋯⋯早く帰ってこないのは仕方ないって思ってたっすけど、まさかそんな卑怯なヤカラのせいだったとは!許せないっす!」
「お兄様の努力を塵共が踏みにじって言い訳はありませんっ! お兄様は⋯⋯お兄様はずっと、その努力をずっと、ずうぅっと見ているだけしかできなかったのですが、私はそれは許せませんっ!」
「⋯⋯ますたー、に⋯⋯あえなかった⋯⋯欠けてた⋯⋯さみしかった⋯⋯すぐ、あいたかった⋯⋯たりなかった⋯⋯つまんなかった⋯⋯ほしかった⋯⋯それなのに⋯⋯それなのに⋯⋯」
四人はそれぞれの恨みを、想い、憂いを隠すことなく言葉にした。
どこか不思議と嫌な汗が レイジ の背中を伝うがそれでも一体感が、指揮の上昇が見られたので無言を貫いた。
「パパぁ?」
ただ、いつの間にか レイジ の膝の上に乗っている テトラ だけが不安げに レイジ の顔を見上げた。
「大丈夫⋯⋯俺は大丈夫だ テトラ」
「ほんと?」
「ああ」
「テト心配だよ?」
「⋯⋯ありがとう」
別の方向に闘志を燃やす少女達を傍目に レイジ は膝に座る テトラ をギュッと抱きしめながら見てないフリをした。
「あ! そうですわ貴方様」
「な、ど、どうした?」
「貴方様と ゼーレ様はどうやって帰ってきたのですか?」
「あ、ああ。俺と一緒にいたやつがいただろ? そいつに見覚えがあると思うが、そいつが マーダ だ。で、マーダ に送ってもらったんだよ」
レイジ は テトラ の頭に額を埋め気怠げに答えた。しかし、レイジが思っていた反応とは違ったものがパンドラから返ってきた。
「⋯⋯はい?」
答えられた パンドラ は目をパチクリと瞬かせ、周囲にいる他の少女達と目を合わせた。合わせられた少女達は首を傾げたり、横に首を振るばかりだ。
「⋯⋯ん?どうした?」
先ほどの冒険者や騎士団とは全く違う反応に レイジ は顔を上げた。
見上げれば困惑の表情を見せる少女達。レイジ達の帰還に真っ先に駆けつけたミサキですら頭に『?』マークを浮かべているように見える。そして——
「⋯⋯貴方様と ゼーレ様以外——誰もいませんでしたよ?」
少女達を代表してか パンドラ が首を傾げながらそう言った。
「な、なんと⋯⋯!」
「ちょうぜつ一大事じゃないっすか!」
「⋯⋯」
「お兄様ぁ、それは本当なんでしょうかぁ?」
「ああ、おそらく事実の可能性が高い」
四者四様。
パンドラ、ハクレイ、ミサキ、エイナ は レイジ からおよそ三日後に勇者が攻めてくることを聞かされての反応だ。
驚き、困惑、覚悟、不安。様々な感情が渦巻く中、各々は自然と視線を交わし合った。
「そう言うわけで、三日後⋯⋯いや、どのタイミングかわからない以上、二日後までには準備を終え、勇者を迎え撃つ」
「お、お言葉ですがっ⋯⋯!」
レイジ の締めの言葉に異議を唱える者がいた。パンドラだ。
「貴方様、情報は彼の者⋯⋯マーダ から伝えられたのですよね?」
「ああ」
「失礼なのは重々承知で御座いますが⋯⋯その情報は信頼できるのでしょうか? 私はどうも⋯⋯」
パンドラの心配は当然であった。
侵入者としてダンジョンで戦い、エイナに呪いをかけゼーレを殺そうとした。そんな人物を信じろという方が難しい。
「確かにいきなり信用しろって言うのは無理があるかもな」
「なら——」
「だが、無いとは言い切れない。それに、奴の目的を考えるなら信用できずとも可能性として考慮すべきだろう」
「彼の者の目的⋯⋯でございますか?」
マーダの目的。
確かに、裏で考えていることがなければ敵に塩を送るなどということは考えにくいだろう。そして、その壮大な目的にパンドラ達は驚愕することになる。
「ああ、奴は望んでいるみたいだよ⋯⋯勇者の死を」
「なっ!?」
「ゆ、勇者の死を望んでるんっすか!?」
「本当なのですか? お兄様ぁ」
「⋯⋯ん!」
勇者の死。
マーダ との話し合いの途中 ゼーレ にどれほど重大なことなのかを レイジ は聞いていた。
勇者とはその世界のその時代の最後の希望であり、平和、正義、救済の象徴。そして、その正反対に君臨するのが魔王、そしてダンジョンマスター。そのどちらもが共通するのは魔物を生み出すこと。世界に、人類に害ある存在を生み出すことだ。
そして、それらの打倒を一手に担う勇者の死を世界の誰が望むだろうか?
勇者が死ねば実質次の勇者が現れるまで魔物達の脅威にさらされる暗黒時代が否応なくやってくる。
故に、魔王配下にいたことがある魔物達からすれば驚くな、と言うのは無理な話であろう。
「な、なぜ勇者の死を?!どんな意味があるのでしょうか⋯⋯」
「そこら辺は俺に聞かれてもわからんな。なにか執念的なものを⋯⋯狂気のようなものを感じる、としか言えないな」
マーダ の目的に戦慄する パンドラ に レイジ は両肩を竦めて答えた。
「そのような目的⋯⋯普通では言葉にすら出さないような物です。勇者の襲撃⋯⋯可能性に入れてもよいかと思います」
「納得いただけてなによりだ」
「でもお兄様ぁ、勇者が来るってことは他にも来るのではないですかぁ?」
「他に?」
「恐らくですがぁ、賢者、聖女、他には騎士あたりでしょうかぁ」
「あー、確かにっす。あいつらはまとまって来るって聞いたことあるっす」
「そうか、勇者だけじゃないんだったな」
勇者一行のことを僅かにだが耳に入れたことのある魔物達は思い出しながらそう言った。
その事を完全に失念していた レイジ は頭の中に書きながら悩みのタネが増えたことにゲンナリする。
「勇者、賢者、聖女、騎士、あとは⋯⋯」
「多分、斥候か暗殺者のどっちかがいると思うよ」
「なら最低で五人か」
レイジ達の陣営は戦えるのは レイジ を含め五人。
「⋯⋯マジか、一人一殺ってところか」
「あ、お兄ちゃん」
打ちひしがれているレイジに、ゼーレが思い出したように追い打ちをかける。
「おじさんが言ってたけど、なんか冒険者ギルドの方で何人か同行する冒険者を募ってるらしいよ」
「これ以上増やさないでくれよ⋯⋯」
「おじさんの見解だとお兄ちゃんが戦ったあの冒険者⋯⋯もしかしたら騎士団の人達も来るかもだって」
「もっと最悪だ⋯⋯」
「貴方様、戦った冒険者、騎士団の方とは何のことでしょうか?」
「あー、それはだな——」
パンドラ の質問に レイジ は頭を掻きながらばつの悪そうな顔をした。
「前回の襲撃で一人逃した奴だいただろ?」
「ええ⋯⋯まさかっ!」
「そのまさかだ。そいつと他に二人の冒険者⋯⋯片方の両刃斧の男はかなり強いな。そして、恐らく新たに就いたのだろう騎士団の副団長と呼ばれる男と隊長格のやつが三人」
あまり面と向かって話したくない内容だったために、レイジは代わりに背を向けた。
そして、多勢に無勢だったとしても、終始敗色が濃かった戦いと参戦していた面々を思い出した。
「そいつらにだな——」
「酷いんだよっ!」
負けた、そう言おうとした レイジ の言葉を ゼーレ が大きな声で遮った。
「あの人間共酷いんだよっ! ゼーレ を抱いて片手が使えないお兄ちゃんを寄ってたかって⋯⋯あんなの卑怯だ!」
思い出して悔しいのか ゼーレ は目尻に涙をため、拳を強く握りながら声を張り上げた。
そんなゼーレの様子を見た仲魔達は涙声でつっかえながら話すゼーレに耳を傾けた。
「それはつまり、その人間共は貴方様をハンデの状態で弄んだ、そう言うことですか ゼーレ様?」
「⋯⋯うん」
「戦えない ゼーレ先輩を庇いながらっすか⋯⋯」
「⋯⋯そう」
「お兄様は逃げられなかったのですか?」
「周りにはもっと沢山の人間共がいたから」
「ますたー⋯⋯けが⋯⋯は?」
「いっぱいだよっ! 一ヶ月くらい寝たきりだったんだよっ!」
一通り説明し終わった後、一人一人の質問に ゼーレ は強い口調で答えた。
それぞれが着火剤になったのか、はたまた火に油を注ぐようにより猛々しく燃え上がったのか——
「「「「その人間共コロス!」」」」
四人の少女達は息を揃えて胸の丈を爆発させた。
「貴方様に会えなかった一ヶ月⋯⋯どれほど辛かったでしょうか!それが、そんな屑共が原因だったとは⋯⋯!」
「お兄さんがいなかった一ヶ月⋯⋯どれだけ自分が大変だったか⋯⋯早く帰ってこないのは仕方ないって思ってたっすけど、まさかそんな卑怯なヤカラのせいだったとは!許せないっす!」
「お兄様の努力を塵共が踏みにじって言い訳はありませんっ! お兄様は⋯⋯お兄様はずっと、その努力をずっと、ずうぅっと見ているだけしかできなかったのですが、私はそれは許せませんっ!」
「⋯⋯ますたー、に⋯⋯あえなかった⋯⋯欠けてた⋯⋯さみしかった⋯⋯すぐ、あいたかった⋯⋯たりなかった⋯⋯つまんなかった⋯⋯ほしかった⋯⋯それなのに⋯⋯それなのに⋯⋯」
四人はそれぞれの恨みを、想い、憂いを隠すことなく言葉にした。
どこか不思議と嫌な汗が レイジ の背中を伝うがそれでも一体感が、指揮の上昇が見られたので無言を貫いた。
「パパぁ?」
ただ、いつの間にか レイジ の膝の上に乗っている テトラ だけが不安げに レイジ の顔を見上げた。
「大丈夫⋯⋯俺は大丈夫だ テトラ」
「ほんと?」
「ああ」
「テト心配だよ?」
「⋯⋯ありがとう」
別の方向に闘志を燃やす少女達を傍目に レイジ は膝に座る テトラ をギュッと抱きしめながら見てないフリをした。
「あ! そうですわ貴方様」
「な、ど、どうした?」
「貴方様と ゼーレ様はどうやって帰ってきたのですか?」
「あ、ああ。俺と一緒にいたやつがいただろ? そいつに見覚えがあると思うが、そいつが マーダ だ。で、マーダ に送ってもらったんだよ」
レイジ は テトラ の頭に額を埋め気怠げに答えた。しかし、レイジが思っていた反応とは違ったものがパンドラから返ってきた。
「⋯⋯はい?」
答えられた パンドラ は目をパチクリと瞬かせ、周囲にいる他の少女達と目を合わせた。合わせられた少女達は首を傾げたり、横に首を振るばかりだ。
「⋯⋯ん?どうした?」
先ほどの冒険者や騎士団とは全く違う反応に レイジ は顔を上げた。
見上げれば困惑の表情を見せる少女達。レイジ達の帰還に真っ先に駆けつけたミサキですら頭に『?』マークを浮かべているように見える。そして——
「⋯⋯貴方様と ゼーレ様以外——誰もいませんでしたよ?」
少女達を代表してか パンドラ が首を傾げながらそう言った。
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