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12 相談

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 大問題だ。両親に顔向け出来ない。亡くなった実の両親は泣いているかもしれない。
 
 弟への自慰レクチャーからの弟からのお返しのご奉仕。いやもうそうなってくると自慰ではないのではないか。手淫どころでは無かった。最後の方は覚えてないけど色んな場所を触られ舐められた気がする。
 
 朝起きた時は昨夜のことを思い出して頭が回らなかった。クロードがいつもとあまり変わらなかったから、そのまま一緒に登校した。馬車に乗り込む際に手を握ったら、そのまま親指で甲を撫でられたし、校舎が違うため途中で別れる時に頬や目尻にキスされたりしたけど、これは今までもやってたと思う。やってたかな。今まで当然のようにしてたスキンシップが、変に意識したせいでいつもと違うもののように感じる。
 
「兄弟で自慰を手伝ったり教え合ったりするか?」
「ぶは! ごっごほ!」
 
 1人で悩んでも解決には至らないと考え、自分と同じく兄弟がおり、知識豊富そうなギュンターに聞いてみた。鼻からグレープフルーツジュースが出ているし目からは涙が流れている。痛そう。
 
「どうした、そういった事態が起こったのか。遂に。」
「ライル、冷静が過ぎないか。」
「遂にって何?」
「いや、レイの弟もそういう年頃になったんだなと言う意味だ。」
「なるほど。」
 
 ということは、やはり年頃になると親しい間柄で性的な行為を教え合うことは問題ないのだろうか。
 
「ノーベル家において、私たち兄弟は体が大人になった、つまり精通してから閨教育が始まる。だから兄弟同士で教え合うということはない。閨教育をするかどうかは各家での方針による。どういった流れで実際どうしたかは詳しく聞かないが、フィールディング家で閨教育を行っていないなら、まぁ有り得ない話ではない。」
「昨日クロードが精通してね、それで」
「詳しく聞かないって言った! 私言いました!」
「ギュンターは諦めが悪いな。腹をくくれよ。」
「それでやり方を教えることになったんだ。」
「この子マイペースすぎない? 私は鼻が痛いんだよ労わって。」
 
 ギュンターを見て笑っていたライルが、レイフォードに真剣な顔を向けた。
「レイフォード、世間がどうとか、周りがどうとか、一般的にはこうとか考える必要はない。自分がどういう気持ちでいるのか、弟がどう思ってどうしたいのからそれが大事だ。」
「お互いの、気持ち……。」
「そうだ、嬉しかったのか、嫌だったのか、これからどうしたいのか、それを変にねじ曲げず、君の感じるままに行動すれば良い。」
「思うままに……。」
「レイもクロードも侯爵家のご子息だ。少しくらい我がままで良い。因みに僕はお金が大事だ。命も同じくらい大事にしている。」
「え? うん、お金も命も大事だよね。」
「win-winの関係も素晴らしいと思っている。」
「商家なら特にそうだよね。分かるよ。」
「私は公爵家のはずなのに無力だ……。」
 
 レイフォードによる相談会は、ギュンターの疲労感を犠牲にしながらも充実した時間となった。
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