極悪令息と呼ばれていることとメシマズは直接関係ありません

ちゃちゃ

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58 レオによって変えられる体

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「レオ大丈夫?」
「決闘のこと? もちろん大丈夫だよ。むしろオルフェス様は事前に聞いていた通り理知的で視野が広く、自身の気持ちよりティアのことを愛して一番に想っているんだと分かったかな」
 
 レオが言ってることがよく分からなかった。怒ってグラスを割って決闘を申し込んだことと、理知的で視野が広いということは繋がらないように思える。
 
「どうしてそう思ったの?」
「オルフェス様がオレを気に入らないのは当然だし、認めないならそのまま認めないままでも良いはずだ。認められなくてもオレはティアを譲る気はないけどね。でもわざわざ決闘で決着を付けるには理由がある」
「理由?」
「ティアを守ってくれる存在が必要だ。絶対に裏切らない、自分の代わりに命を懸けてティアを第一に考えて動ける、そんな存在が。オルフェス様は個人としてはオレにティアを頼むことは苦々しく思ってはいるが、ティアにはオレという存在が必要だと判断した。時間も無い、ティアを守るオレ以上の人材もいない。次期伯爵として、現実的なメリットとデメリットを考えた上で、自身の想いよりもティアの安全と幸せを取ったんだよ。それにオルフェス様も自分に負けるような人間には任せられないだろうから、決闘というより試験みたいなものだと思ってる」
 
 全然そんな考えに至らず、レオの考えの深さとお兄様の不器用にも見える優しさに、俺を取り巻く状況は悪くとも嬉しくなる。俺がキールとリアムという友人を失った時も、学校で孤立している間も、ずっと優しく「大好きだよ、愛しているよ」と言い続けてくれたお兄様。内心少し不貞腐れていた俺が非行に走らなかったのも、他の人で鬱憤晴らしすることが無かったのも、お兄様が俺を心から愛してくれていると実感させてくれる程傍にいて毎日愛情をくれていたからだ。
 
「お兄様はブラコンだってフリードが言ってたけど……俺も……お兄様大好きなんだ……」
「うん。オルフェス様がティアの傍にいてくれて、良かったとオレも思うよ。ちょっと嫉妬するけど」
「決闘……レオが怪我しないで欲しいけど、勝って欲しいけど、お兄様も怪我しないで欲しい……」
「頑張るよ。ティアの望みを必ず叶える」
「ありがと……レオ大好き」
「オレもティアが大好きだよ。明日オレがもっと頑張れるように、ティアからキスして欲しいな」
 
 そう言ってレオはベッドに腰掛け、立っている俺を見上げる。これは……俺がキスしやすいように……ということだろうか……。レオから強請ねだられることはあまりないので可愛く思え、レオの両肩に自分の手を添えてチュッと口付ける。すぐに離れようとしたら、後頭部と背中に手が回されレオの唇ではむはむと甘くまれる。
 
「ん……んちゅ……」
「ティア……口開けて……舌出せる?」
「……んぁ……」
 
 言われて舌をちろっと見せるとすかさずレオが俺の口を飲み込んだ。伸ばされるレオの長い舌につつかれ、一度は奥に引っ込めた舌を、今日こそはとレオの口内に侵入させる。レオに触れられて気持ち良かった上顎の裏や歯茎の内側に舌を這わせ、どちらのものか分からない唾液をすする。
 
「ジュル……んく……レオ……」
「ん……キス気持ち良いね。ティア、キスが上手くなったね」
「うん……レオの真似した……」
「可愛い……上手いよ。もっとしようか」
「うん、キス好き」
 
 すぐに魔力に酔うことは少なくなったけど、レオとのキスが気持ちよくて、雰囲気に飲まれて行くのが分かる。最初の頃のように強制的に思考が鈍るのではなく、自ら自身を制御することを放棄している。好きだからとか、気持ち良いからとか……これって……。
 
「俺、レオと会って性欲が強くなったのかなぁ?」
「ぶっ! え!? ティアどうしたの」
「だって、今まで自分は性欲なんて無いに等しいと思ってたのに、レオとキスしてから、気持ち良いことにどんどん抵抗がなくなってきて……もっとしたくなってきて……。実は俺……い…淫乱なのかも……」
「ティア、めちゃめちゃ可愛いこと言ってくれてるけど、ティアは淫乱なんかじゃないよ」
「ほんとう……?」
「敢えて言うなら、オレがティアをそういう気持ちや体に変えさせたんだよ。オレがティアにもっと好かれたいとか、気持ちよくなって欲しいって思ってるから、きっとそれが伝わったんだ」
 
 ことある事にレオは愛を告げてくれるし、たくさんキスしてくれる。俺はそれがとても心地よくなって……。
 
「オレに愛されることを受け入れたってことだ。心のどこかで引っ掛かりがあるとブレーキが掛かったみたいに立ち止まったり進むスピードを落としたりするだろ? 好きな気持ちも、キスも気持ちよさも全部受け入れて委ねてくれるほど信頼してくれたんだと思えて、オレは嬉しい。ティアがオレに愛も恋も教えてくれた。オレもティアに出会って大分変わったよ」
「レオに愛されて大事にされてるって実感出来て、それが幸せで……。いつの間にか……変わってたのかな……」
「ゆっくりと、すぐには気付かないうちにじわじわと変わっていったんだよ」
「俺もレオを変えたの?」
「そうだよ。ただの保護者も普通の友人もこんなところにキスしたいとは思わない」
「んっ……ぁ…」
 
 レオがオレのシャツをめくり、乳首をぺろぺろと舐め始めた。今まで乳首を何度も弄られてきたので、レオの舌が触れるだけで刺激になって気持ちよくなってしまう。足が震え出したところで、レオがおもむろに俺を縦抱きに持ち上げた。
 
「どんどんオレだけに愛される体になってね」
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