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42 明日のご予定
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「……ア……ィア、ティア」
「んぅ……?」
「そろそろ日が暮れるから、家に帰ろう。送っていく」
「……んぇ……?」
レオの声で次第に目が覚めてきた。あのまま眠っちゃったのか……ん…あのまま……? 思い出し、横になったまま顔に手を当てる。
雰囲気にのまれて色んなことをしてしまった気がする……。
「あの……レオ……」
「ん?」
「その……初めてなのにあんな……」
「乱れて?」
「ちが! ……いや……恥ずかしいなって……」
「心の準備もさせないでごめんな。初心なのに頑張ってオレを気持ちよくしてくれるティアが可愛すぎて、オレもティアを気持ちよくしたいなって……。これからは焦らずゆっくりするから」
「……? 焦ってたの?」
「そりゃもう。無自覚に煽られて、なけなしの理性で衝動を抑えてたオレは必死だったよ。無理をさせたくないんだから、オレの理性を試す言動は控えるように」
どのことだろう……。
「さあ、これ以上遅くなるとご両親に怒られそうだから帰ろうか」
「あ、うん!」
「ティアを守るためにティアのご両親にきちんと挨拶して、今後のことを話し合いたい。近々話し合いが可能か尋ねてみようと思うけど、良い?」
「あ、うん。俺もお父様に近隣諸国の状況とか聞きたいし、合わせて話したい」
あまり長くは眠って無かったようだが、家までの距離を考えると門限(仮)は間に合わないだろうな、と思いながら帰る準備をした。眠る前はしどけない状態だった服装が綺麗に整えられていたので、すぐに出発出来た。
リーン、リーン。家に到着し、ベルを鳴らす。執事長のジェイムズが出迎える。
「おかえりなさいませ、エルティア様」
「ただいま帰りました。お母様かお父様はいる?」
「奥様はお部屋にいらっしゃいます。旦那様はまだご帰宅されていないようです」
「そうか。ジェイムズ、こちらはA級冒険者のレオンだ」
「レオンです。エルティア様とは懇意にしています。本日はこの時間になるまてエルティア様をお送りすることが出来ず、申し訳ございません」
「いえいえ、わざわざこちらまで送って頂きありがとうございます。一応理由があって門限を設けることになったのですが、レオン様がいらっしゃれば危険な事態にはならないでしょう。特に旦那様はエルティア様に過保護なものでして……」
「可愛い息子を心配されるのは親として当然のことですよ。──あの、出来れば伯爵様と伯爵夫人にお話がしたいのですが、いつ頃でしたらお時間を頂戴出来るでしょうか」
「そうですね……。旦那様は本日も夜遅くに帰宅され、明日はお休みのはずです。緊急の予定は今のところございませんので、明日の朝またお越し頂ければ、私から事前に旦那様方にお伝えしておきます」
「ありがとうございます。お手数をお掛けしますが、どうぞよろしくお願いします」
「はい、お任せくださいませ」
「じゃあエルティア様、明日の朝9時に伺いますね」
「うん……。レオンおやすみなさい。また明日……」
また明日会えるというのに、離れがたく、寂しくなってしまった。ジェイムズの前だから敬語だし……。
「おやすみなさい、愛しい人。また明日」
そう言っておでこにキスをして出ていった。
「エルティア様」
「なに?」
閉まった扉を見ているとジェイムズから声が掛かる。
「エルティア様の安全の為に平民街にいる間も伯爵家の密偵は見守っておりますので、明日旦那様とお話される時は隠し事なさらぬ方が良いと助言致します」
そう言って奥へと入っていった……。
「……え゛ぇ……」
「んぅ……?」
「そろそろ日が暮れるから、家に帰ろう。送っていく」
「……んぇ……?」
レオの声で次第に目が覚めてきた。あのまま眠っちゃったのか……ん…あのまま……? 思い出し、横になったまま顔に手を当てる。
雰囲気にのまれて色んなことをしてしまった気がする……。
「あの……レオ……」
「ん?」
「その……初めてなのにあんな……」
「乱れて?」
「ちが! ……いや……恥ずかしいなって……」
「心の準備もさせないでごめんな。初心なのに頑張ってオレを気持ちよくしてくれるティアが可愛すぎて、オレもティアを気持ちよくしたいなって……。これからは焦らずゆっくりするから」
「……? 焦ってたの?」
「そりゃもう。無自覚に煽られて、なけなしの理性で衝動を抑えてたオレは必死だったよ。無理をさせたくないんだから、オレの理性を試す言動は控えるように」
どのことだろう……。
「さあ、これ以上遅くなるとご両親に怒られそうだから帰ろうか」
「あ、うん!」
「ティアを守るためにティアのご両親にきちんと挨拶して、今後のことを話し合いたい。近々話し合いが可能か尋ねてみようと思うけど、良い?」
「あ、うん。俺もお父様に近隣諸国の状況とか聞きたいし、合わせて話したい」
あまり長くは眠って無かったようだが、家までの距離を考えると門限(仮)は間に合わないだろうな、と思いながら帰る準備をした。眠る前はしどけない状態だった服装が綺麗に整えられていたので、すぐに出発出来た。
リーン、リーン。家に到着し、ベルを鳴らす。執事長のジェイムズが出迎える。
「おかえりなさいませ、エルティア様」
「ただいま帰りました。お母様かお父様はいる?」
「奥様はお部屋にいらっしゃいます。旦那様はまだご帰宅されていないようです」
「そうか。ジェイムズ、こちらはA級冒険者のレオンだ」
「レオンです。エルティア様とは懇意にしています。本日はこの時間になるまてエルティア様をお送りすることが出来ず、申し訳ございません」
「いえいえ、わざわざこちらまで送って頂きありがとうございます。一応理由があって門限を設けることになったのですが、レオン様がいらっしゃれば危険な事態にはならないでしょう。特に旦那様はエルティア様に過保護なものでして……」
「可愛い息子を心配されるのは親として当然のことですよ。──あの、出来れば伯爵様と伯爵夫人にお話がしたいのですが、いつ頃でしたらお時間を頂戴出来るでしょうか」
「そうですね……。旦那様は本日も夜遅くに帰宅され、明日はお休みのはずです。緊急の予定は今のところございませんので、明日の朝またお越し頂ければ、私から事前に旦那様方にお伝えしておきます」
「ありがとうございます。お手数をお掛けしますが、どうぞよろしくお願いします」
「はい、お任せくださいませ」
「じゃあエルティア様、明日の朝9時に伺いますね」
「うん……。レオンおやすみなさい。また明日……」
また明日会えるというのに、離れがたく、寂しくなってしまった。ジェイムズの前だから敬語だし……。
「おやすみなさい、愛しい人。また明日」
そう言っておでこにキスをして出ていった。
「エルティア様」
「なに?」
閉まった扉を見ているとジェイムズから声が掛かる。
「エルティア様の安全の為に平民街にいる間も伯爵家の密偵は見守っておりますので、明日旦那様とお話される時は隠し事なさらぬ方が良いと助言致します」
そう言って奥へと入っていった……。
「……え゛ぇ……」
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